チームナーシングへの理解を深めよう!基本知識やメリット・デメリットを紹介
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医療機関によって看護方式が違うとは知っているけれど、その違いを説明できる人は少ないかもしれません。ここではチームナーシングやその他の看護方式について説明します。チームナーシングの特徴やチームで働くときの注意点なども紹介します。
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この記事に書いてあること
看護方式と日本での導入の歴史
看護方式とは、クオリティの高い看護を効率よく提供するために研究、開発された看護のシステムのことです。
日本では第二次世界大戦後の1951年にGHQ(第二次世界大戦後に日本の占領政策を行った連合国軍機関)の指示のもと、「機能別看護方式」が導入されたのが看護方式採用の始まりといわれています。
機能別看護方式は、「検査」「投薬」「処置」「注射」などを担当する看護師をそれぞれ決め、その日の業務を行うものです。
1961年になるとチームで看護をする「チームナーシング」が日本で紹介されるようになります。その後「プライマリーナーシング」「モジュールナーシング」などの複数の看護方式が開発されると、日本でも導入されるようになります。
近年では、日本で開発された「モジュールナーシング」「PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)」または複合型と呼ばれる、複数の看護方式をミックスしたオリジナルのシステムを取り入れる医療機関も増えています。
出典:櫻井 知賀 他『わが国における看護方式の変遷に関する文献検討』大阪市立大学看護学雑誌 第11巻 (2015.3)
出典:吉田 由美 他「看護方式の採用状況に関する調査」日本看護管理学会誌 2巻(1998)2号
チームナーシングとは
チームナーシングは、1950年代にアメリカニューヨーク州のコロンビア大学で開発された看護方式です。患者の満足度とケアのクオリティ向上を目指して開発されました。看護師をいくつかのチームに分け、チームで患者の看護を行うことが大きな特徴です。
チームナーシングが正しく機能するためには、リーダーの存在が欠かせません。
仕事の効率やケアの質を上げるために、看護師として数年経験を積んだメンバーが日替わりで担当するのが日々のリーダー業務です。
リーダーのおもな役割はメンバーへの業務の指示とフォロー、情報の把握や調整、伝達です。そして、各部署との連携やコメディカルとのコミュニ―ケーションです。詳しくは「看護師のリーダー業務とは?看護師のリーダー業務に求められるスキルや役割」をご覧ください。
チームナーシングのメリット・デメリット
チームナーシングを導入するメリットとデメリットについて見ていきましょう。
チームナーシングのメリット
チームナーシングのメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- 一定水準を保った看護の提供ができる
- 患者のより高い満足度が得られる
- 看護師の業務負担を軽減できる
- メンバーの力量不足を補える
- メンバーの能力をうまく活用できる
- メンバーの成長に合わせた無理のない配置ができる
- インシデント発生を抑制できる
チームナーシングでは、1つのチームに看護歴が浅い新人からベテランまでが入り、どのチームも同じ水準の看護ができるように配置されます。スキルや力量が低いメンバーを能力があるメンバーが補うことでバランスを保つことができ、みんなが無理なく業務を行うことが可能になります。
また、チームでの業務がスムーズに行えるようにと互いに気を配るようになることでチームワークについての学習機会となり、さらによい人間関係の構築にも役立つといわれています。
「お互いの仕事の進捗が気になり、確認したり、補ったりするようになる」「チームリーダーの指示で、忙しそうなメンバーを手伝っているうちに、臨機応変に対応することができるようになった」という調査結果もあります。また、お互いを気に掛ける意識が高まることが、インシデントの抑制にもつながっています。
出典:﨑山 愛、グレッグ美鈴『臨床看護師が経験する良いチームワーク』日本看護科学会誌 38巻(2018)
チームナーシングのデメリット
チームナーシングのデメリットとしては、新人など看護歴が浅い看護師でもあまり負担を感じずに仕事を進めていける一方で、個人の責任感の希薄さなどが問題視されるケースがあります。チーム全体で患者のケアに当たるため、メンバーに頼りがちになる人も出てきます。
他にはチーム内で中堅となる人が担うことになるチームリーダー(日替わりや固定)の負担増です。リーダーは、チームで担当している全ての患者の様子やケアプランを把握しつつ、メンバーの様子や業務状態を把握し、指導も行わなくてはなりません。
そのため、看護師経験が豊富なメンバーがそろっている場合はよいのですが、経験が浅いメンバーが多い場合などは、リーダーの負担増が心配される場合もあります。
チームナーシングの導入を成功させるポイント
チームナーシングだけではありませんが、チームで看護を効率的に行うために、もっとも大事にしたいことはチームワークです。チームワークを乱さないということを意識して働くことは、周りの人たちだけでなく自分自身にも有益な結果が得られます。看護師のチームワークの効果を調べた興味深い研究結果があります。
『臨床看護師が経験する良いチームワーク』によると、チームワークの基盤は
メンバーが一体感を持って、チームの目標達成を目指す態度を共有していること
とあります。具体的に説明すると、大事にしたい行動は3点です。
- お互いの仕事をフォローする
- メンバーが働きやすいように行動する
- チームでの仕事がスムーズに行くように態勢を整える
調査ではチームワークが良い環境で働くと、職務への満足感の高まり、さらなる仕事への意欲に影響することも明らかになっています。では、この3つはどのように実行すればよいのでしょうか。
お互いの仕事をフォローする
チーム全体での仕事の進捗を大きな視点で見るようにしてみましょう。自分の担当じゃなくても、忙しいメンバーに気づいたときは、仕事が進むようにフォローします。フォローはメンバーだけではありません。チームリーダーに対しても同じように様子を見て、臨機応変に手伝うようにします。
前述の調査では、自分の仕事だけを意識して行うメンバーが多いチームと、お互い仕事をフォローしあうチームを観測し比較した結果も出ています。
前者のようなチームは全体の仕事が滞ってしまった一方で、忙しいときでもお互いに補い合いながら仕事を進めた後者のようなチームは、達成感を味わいさらにはメンバーへの感謝の気持ちが生まれた、と報告されています。
メンバーが動きやすいように行動する
メンバーが動きやすいように行動するためには、自分の状況を他のメンバーに伝える必要があります。その情報の伝え方にもポイントがあります。どんな情報を、どんな方法で伝えるかです。
例えば、自身の業務の進捗状況をメンバーに伝えるコミュニケーション。看護師だけではありませんが、人にはそれぞれ個性がありますから伝え方に配慮も必要です。
カンファレンスで伝えた方がよいこと、個人的に伝えた方がよいこと、または電子カルテなどで伝えるべきことなどを見極めることで、メンバーからの信頼度は変わってくるかもしれません。
また、ときには深いコミュニケーションも必要になります。自分の意見をしっかり伝え、相手の話を受け止めることで協調性が高まり、信頼関係が深まります。
チームでの仕事がスムーズに行くように態勢を整える
チーム内の仕事がスムーズに行えるように、メンバー全員のスケジュールと役割を確認し、調整しあいます。ここでは、日頃からお互いに伝えやすい雰囲気をつくることが大切になります。
また、チームナーシングは責任の所在について問題視されることもありますが、これを防ぐためにも誰から誰への報告、連絡、相談なのか、そして指示系統をみんなが理解しているかを再度確認してみましょう。
これらの一連の流れをみんなが理解したうえで、各自で責任に対しての自覚をもつことがチームメンバーへの配慮となり、仕事をスムーズに行う態勢がつくられます。
医療機関で取り入れられている看護方式
チームナーシング以外に、日本の医療機関で取り入れられている看護方式を紹介します。
プライマリーナーシング
プライマリーナーシングは、1970年代にミネソタ大学病院で設立された看護方式です。1人の看護師が患者の入院時から退院時まで一貫して看護をするのが特徴です。担当看護師は患者の看護計画から評価までをそれぞれの責任で行うため、患者の変化にも気づきやすく、信頼関係を築きやすいことがメリットです。
また、1人の看護師が担当するとはいえ24時間看護をするわけではなく、不在時にはアソシエイトナースと呼ばれる他の看護師が対応を担当します。問題点としては、看護師の力量や経験値にばらつきがあるため看護のクオリティに差が生じることがある点です。この点がプライマリーナーシングのデメリットだといわれています。
モジュールナーシング
チームナーシングとプライマリーナーシングの利点をそれぞれ取り入れた看護システムです。先に開発されたチームナーシングとプライマリーナーシングのさらに上のケアを目指し日本で開発されました。
看護師はグループで担当患者の入院から退院までを看護しますが、チームナーシングとの違いはグループ人数を、さらに小さな単位に分けて、看護師の人数を絞るという点です。
同じように担当する患者数も少なくなるので、患者とのコミュニケーションがより厚くなるというメリットがあります。また、複数人で患者を看護することから、担当看護師の負担はプライマリーナーシングよりも少ないともいわれています。
PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)
PNSは、2009年に福井大学病院で開発された看護方式です。特徴は看護師がペアを組み、複数の患者をペアで看護するというところです。1人では負担が大きかった業務内容がペアで行うことで互いに補完できるため、経験が浅い看護師の不安の解消や高い安全性が提供できると期待されています。
患者の情報を共有することで、効率的な看護が可能となり、休憩時間の確保など看護師の働く環境改善にもつながっています。また、ペアの中に新人を入れた3人で業務を行う医療機関もあります。
セル看護提供方式
2013年に日本で開発された、さらに新しい看護方式です。働き方改革の一環として看護師の業務負担の改善を目的に開発されました。
従来のナースステーションを起点とした情報収集や作業を病室で行えることが特徴です。情報を記録するパソコンや看護に必要な物品を専用カートに乗せ、病室へ持ち込みます。看護ステーションで行っていた作業がベッドサイドでできるため、看護師の業務負担が減り、超過勤務の改善に期待されています。
また、看護師が病室にいる時間が増えることから、患者の満足度が向上。新人看護師へのフォローもすぐにできるため、新人看護師の離職率の改善にも効果が出ています。
看護師が病室にいる時間のタスクやスケジュール、マニュアルが細かく決められているため、チェックすることで業務の管理ができるようなシステムも整っています。最近では、ナースコールの回数削減にも役立っているという調査結果が出ています。
※ランキング評価の詳細は看護師転職サイトおすすめランキングの記事で紹介しています。
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