夜勤手当だけじゃない!給料に大きな差がつく看護師の手当を徹底調査
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看護師と言えば社会的にも高給取りと見られがちですが、その中身を知れば少しイメージが変わってくるかもしれません。
ほかの職業と比較して給与に対する手当の割合が大きく、手当の額が変われば手取り額が大きく違ってきます。
ここでは給与明細に記載された手当の見方、手当の種類など転職時に参考になる情報を紹介していきます。
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この記事に書いてあること
看護師給与と手当の関係
看護師の基本給は平均的?
ひと口に給与と言っても、月給とされる金額の中にはいろいろな要素が含まれています。
例えば、求人情報に「月額30万円~」と書いてあっても、その金額が丸々もらえるわけではありません。
逆に「基本給18万円」でも、手当の付きようでは支給される額が上がる場合もあります。
看護師の給与は一般的に高いと言われますが、すべてのベースとなる基本給は実はそれほど高額とはいえません。
日本看護協会の2017年データによると、大卒の新卒看護師の平均基本給は20万7,013円、勤続10年の30代前半の看護師の平均基本給は24万3,736円となっています。
30代男性の給与調査では30~34歳の平均基本給が27万1,700円なので、基本給だけを見れば社会的には低いとすら言えます。
新卒では看護師の基本給がほかの職種に比べてやや高めのようですが、年次を経るに従って追い越されているのがわかります。
ところが、年収で見た場合には30代看護師の平均は437万円、さきの30代前半の男性の平均年収は286万円と大きな差があります。
単純に考えればこの150万円もの差に当たる部分が、手当の違いということになります。
給与明細を確認しよう
給与明細の記載内容を確認して見ましょう。
給与には大きくは「所定内給与」と「所定外給与」の2つがあり、大抵は記載の欄が分かれています。
所定内給与は基本的に決められている労働時間内での労働の対価として支払われるもので、主に基本給と家族手当や通勤手当、住居手当、役職手当など定例的に支払われる手当が含まれています。
所定外給与は、所定労働時間外の勤務を行ったことに対する給与です。
超過勤務手当、時間外手当、残業手当などの時間外勤務で発生する給与で、まさに看護師の収入を大きく押し上げている部分と言えます。
看護師の手当の種類
手当の種類は病院や医療施設によって様々ですが、超過勤務手当、時間外手当、残業手当などの時間外勤務給については、法律で厳格に支給が義務付けられています。
主な手当の種類を見ていきましょう。
家族手当
家族を扶養している場合に支払われる手当です。配偶者手当も、家族手当に含まれます。子ども以外にも、父母などの親族も被扶養者の対象となります。
扶養人数に対して増額されるところが多く、扶養手当とも呼ばれます。
国立病院機構の例では、配偶者手当が13,000円、子ども、その他の扶養が6,500円とされています。ただし、子どもの年齢によって金額の調整が行われます。
子どもの養育にあたっては育児手当や保育手当などもあり、保育園などの託児施設に預けている場合に一人当たり6,000~1万5,000円程度の支給があります。
通勤手当
通勤手当は通勤にかかる費用に対して支払われるもので、1ヶ月10万円までであれば非課税の対象となり、所得税や住民税がかからないというメリットがあります。
ただし、医療機関のほとんどは通勤手当の上限を定めており、マイカー通勤の場合、その多くは通勤距離に応じて限度額が決められています。
住居手当
住宅手当や住宅補助はクリニックや規模の小さい病院よりも、大学病院など規模の大きい施設の方が充実している傾向にあります。
世帯主か非世帯主かで支給金額が違う場合があり、また持ち家では補助が出ないことが多いようです。
住宅手当や補助がある場合でも全額負担ということではなく、ほとんどの場合は一部負担が基本となっているようです。
住宅手当は家賃補助とも言われ、住宅購入のほか、賃貸料に対しても支給があります。賃貸住宅に住む看護師にとっては、職場を選ぶ上で非常に重要な条件のひとつとなります。
支給基準は病院によって様々です。寮に格安で住める、家賃の何割かを負担してもらえる、一律で決められた金額を支給される、引越し代を補助するなどそれぞれで条件が異なります。
例えば国立病院機構では、借家賃に対して最高月額27,000円が支給されています。
寒冷地手当
寒冷地手当は私立ではあまり聞きなれませんが、公立病院では地方によって支給されています。
寒冷地で冬場の生活にかかる負担を軽減するために、光熱費が手当として支給されます。10月から2月までといった期間限定で、月額1万円台~2万円台程度です。
地域手当
こちらも公立系の病院でのみ支給される手当です。都市手当とも呼ばれ、物価水準の高い地域で見られます。
国立病医院機構の例では、地域の物価に応じて基本給の3~12%程度の支給となります。
役職手当
昇格に伴い役職に応じて支給される手当です。管理職手当、職務手当、職責手当といった呼び方もあります。
役職の責任や遂行する職務の重さによって、金額が決められています。役職名付の主任手当、師長手当、部長手当と言われる場合もあります。
一般的な例としては以下の通りです。
- 師長:25,000~50,000円
- 主任:5,000~15,000円
- 副主任:5,000~10,000円
また定額制ではなく、基本給に対する定率で設定している病院もあります。例としては次のような割合です。
- 師長:基本給月額の12%
- 看護部長:基本給月額の16%
定率での設定の場合では、年次によって基本給が上昇するため、勤続年数によって同じ役職でも支給額が変わります。
資格手当
専門看護師手当や認定看護師手当など、専門性の高い資格に対して支給される手当です。
大規模な病院の場合にはこれらの特定分野についての専門的なスキルへの評価として、資格手当を付加する場合がほとんどですが、クリニックなどでは手当の制度を設けていない場合もあります。
資格手当の金額も施設によってまちまちで、3,000~5,000円程度の支給額ということも少なくないようです。
2018年時点で専門看護師は13分野、認定看護師は21分野ありますが、特定の分野に特化した医療を行っている病院では、資格が優遇され高額な手当となる傾向が見られます。
またこうした専門資格以外でも、資格手当という名称が使われるケースがあります。
看護師という資格自体について支給される手当で、多くの場合はほかの看護師との給与調整のために何らかの金額を付加したいときに利用されます。
診療看護師手当
問診などの初期診療や看護師の特定行為と特定行為に指定されていない医療行為が可能な資格である、診療看護師に資格認定された看護師に対して支給される手当です。
国立病院機構では月額60,000円と、他資格手当とは異なる基準で支給されています。
賞与
期末手当や業績手当、期手当、勤勉手当と呼ばれる場合があり、いわゆるボーナスのことです。多くの病院では6月と12月の2回に分けて支給されています。
給与と違って法的に定められているものではなく、求人条件に賞与の記載がないところでは支給がありません。
賞与については基本給を基準に計算されるため、月額給与が多くても賞与に反映されるわけではないので注意が必要です。
施設によって支給割合は異なりますが、国立病院機構では年間3.95月分程度と定められています。
夜勤加算手当
夜勤手当は法的に基準が決められていますが、そのほか役職や職務に応じて夜勤手当に加算される病院もあります。
救急呼出待機手当
緊急の呼び出しに備え、自宅で待機する場合に支給される手当で、オンコール手当、待機手当、拘束手当、拘束呼出し手当などと呼ばれることもあります。
国立病院機構では、待機1回ごとに2,000円の支給額となっています。待機時間が長くなれば、さらに加算があります。
特殊業務手当
特に危険性があったり過重なストレスが認められたりする職場で働く場合に、支給される手当です。
国立病院機構の例では、以下のようなものがあります。
- 重症心身障がい児(者)病棟:25,000円
- 神経・筋ジストロフィー病棟:25,000円
- 結核および精神科病棟:12,500円
- 救命救急センター:12,500円
危険手当
看護師として働く場合、危険が伴うとされる業務について支給される手当です。主な診療科では精神科や放射線科などがあります。
また、手術室勤務手当と同じくしている病院もあります。一業務につき1万円程度が相場です。
助産師手当
分べん介助業務手当とも呼ばれます。助産師の資格を持った看護師が、分娩を介助する都度支給されます。
病院によって金額の幅が大きく、1回あたり2,000円から1万円程度までの支給があります。
皆勤手当・精勤手当
無遅刻、無欠席、早退なしといった、勤怠が優秀な看護師に支給される手当です。ほとんどの場合は施設ごとに独自のルールがあり、制度自体がないところもあります。
調整手当
何らかの事情で給与金額の調整が必要とされる場合に支給される手当です。転職前の給与水準と同等にするために、付加される場合もあります。
年末年始勤務手当
年末年始に出勤した場合に支給される特別手当です。時給換算で付加されたり3,000円~5,000円程度の金一封が付いたりする場合が多いようです。
特別指定衣服手当
白衣やナースサンダルなど、業務に必要な衣服類についての出費を補助するため支給される手当です。管理費などの名目の場合もあります。
食事手当
夜勤や長時間勤務に対し、食事の補助がない場合に支給される手当です。月額数千円であることが多いようです。
退職手当
一般的な退職金を指します。退職金についても法的な支払い義務を負いませんが、多くの病院では6か月以上の勤務実績で何らかの退職手当を出すようです。
個人クリニックなどでは、退職手当の制度がないところも見られます。
国立病院機構の退職手当の例を見ておきましょう。
- 勤続35年以上の正看護師が定年退職した場合:約1,960万円
- 勤続35年以上の看護部長が定年退職した場合: 約2,790万円
所定労働時間外給与についての手当の種類と計算方法
所定労働外の給与について、一般には「〇〇手当」といった名称で呼ばれています。看護師の給与の中でも支給額の大きな部分を占め、年収を押し上げています。
代表的な所定労働時間外勤務に関する手当を見ていきましょう。
超過勤務手当・時間外手当・残業手当
時間外勤務給労働基準法では法定労働時間(原則1週40時間、1日8時間)を超えて就労した場合、給与の25%増しの給与を支払うことが定められています。
計算方法は以下の通りです。
1時間当たりの給与{基本給+諸手当(住宅手当、家族手当、通勤手当を除く)÷所定労働時間 (160時間など)}×1.25(1日8時間又は1週40時間を超える場合)×残業時間数
休日手当
法律で決められたお休みの日に働く場合には、給与の35%増しが加算されます。
計算方法は以下の通りです。
1時間当たりの給与{基本給+諸手当(住宅手当、家族手当、通勤手当を除く)÷所定労働時間 (160時間など)}×1.35×休日勤務時間数
深夜手当・夜勤手当
準夜手当、夜間看護等手当なども深夜勤務給に分類されます。労働基準法では22時から翌5時まで就労する場合、25%増しの給与を支払うことが義務付けられています。
残業などによって業務が深夜にまで及んだ場合は、通常の割増に深夜割増が加算されます。
計算方法は以下の通りです。
1時間当たりの給与{基本給+諸手当(住宅手当、家族手当、通勤手当を除く)÷所定労働時間 (160時間など)}×0.25×深夜勤務時間数
例えば国立病院機構では夜間看護手当として、夜勤1回につき3,200 円~7,600 円が固定で支払われます。夜勤手当は時給換算した場合の25%割増で支給されています。
手取り額を上げるためには
規定されている以外の手当の支給に注目
労働基準法で定められる以外の手当は施設任せとなっており、例えば住宅手当すら支給されていないというところもあります。
手当の支給状況はおおよそ医療施設の規模に比例していますが、国公立系の施設では公務員に準じているため手厚くなっている傾向が見られます。
「深夜割増賃金」は労働基準法で定められた割増の給与ですが、夜勤手当自体は法的に定められたものではありません。
同じ夜勤回数であっても、病院ごとに給与が異なるのはそのためです。
手当は固定制となっているもののほか、基本給がベースになっている場合が多くあります。
手取り額を上げていくためには、求人情報の中でも基本給はもちろん、手当の内容や支給条件についてしっかりと確認しておく必要があります。
求人案件では月額の総支給額のモデルケースを表記していることが多いですが、ひとつひとつの手当についても、どのような場合に何が支給されるのかを見るようにしなければなりません。
手当の内情は事前の情報収集で確実に
上記にもあるように、求人情報の表記だけでは内情がわからないこともあります。個人的に転職活動をした場合、そうした部分への情報収集が甘くなる可能性があります。
手当の支給状況は入職後の総収入を考える上では非常に重要なポイントですが、応募前にそこまでの詳細を聞き出すのは、なかなか難しいと考えられます。
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公表されている手当が正しく給料に反映されているのか、ほかの医療施設と比較して厚い待遇が実施されているのかといった気になる部分を確実につかむことができます。
看護師の仕事にとっては、手当についてのルールがきちんと整備され、実施されているのかで労働に見合う対価が得られるかどうかが決まります。
夜勤や長時間労働を避けられない看護師という職業だからこそ、転職に際しては手当支給の実情を事前に把握しておく必要があります。
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