[ 記事作成日時 : 2019年4月3日 ]
[ 最終更新日 : 2020年6月21日 ]

看護師の30代転職事情 メリット・デメリットから成功への心構えと秘訣まで解説

30代看護師の転職

平成23年発表の「看護職員就業状況等実態調査結果」の「年齢別、就業継続の予定」では、「他施設で看護職員として働きたい」の割合がもっとも多いのは20代ですが、30代はそれに次ぐ割合で転職への希望を示しています。

女性の場合は、結婚・妊娠・出産・育児といったライフイベントを30代で迎える場合も多く、「看護師は続けたいけれど、今の働き方を続けるのは難しい」と悩む人も多いでしょう。

30代の看護師が転職する場合、どういった準備が必要でしょうか? また、新しい職場ではどんな立場で、どういったスキルが求められるのでしょうか? 30代看護師の転職について詳しくご紹介しましょう。

30代看護師「ベテラン、新米、ブランク明け」

30代看護師といっても、それまでどのような働き方をしてきたかによって、そのキャリアやスキルはさまざまです。大きく次の3つに分類されるでしょう。

勤続10年以上のベテラン看護師

看護専門学校もしくは大学や短大の看護学科を卒業し、それからずっと看護師として働いてきた場合は、キャリアも10年以上。1ヶ所にずっと勤め続けた場合は、勤続年数に応じて出世していき「看護主任」といった責任ある立場にある人もいるでしょう。

また、経験値や即戦力となる技術を活かし、すでに何回か転職を経験している人も多いのではないでしょうか。

30代で看護師資格取得の新米

最近は、他の仕事をしていたけれど、一念発起して看護師を目指すという人が増えているそうです。その数は年々増加傾向にあり、看護専門学校の一般入試より社会人入試の方が、倍率が高くなる場合も。

例えば、東京都立看護専門学校の2019年入試受験状況を見ると、一般入試が2.2倍に対し、社会人入試は3.7倍と高い倍率となっています(東京都立看護専門学校 令和3年度入学案内)。

平成31年度の入学者の年齢構成を確認すると、18歳が一番多い(61%)ですが、次いで26~30歳(12%)、31~35歳(8%)と続きます。

看護師となった年齢が高い場合は、その分、看護師歴も短くなります。30代看護師といっても臨床経験が浅く、ほぼ新人看護師と同じキャリア、スキルと考えられます。

産休・育休明けのブランク看護師

20代で結婚、妊娠、出産をきっかけに退職し、育児が一段落したところで、医療現場に復帰する30代の「ブランクあり」看護師も多いでしょう。

1年程度の産休・育休明けで元の職場に復帰する場合は、看護師自身もそれほどのプレッシャーを感じず、知識やスキルの遅れも比較的早く取り戻せるでしょう。

しかし、いったん看護師を辞めて数年たち、子どもから手が離れたため看護師として再就職する場合は、医療現場から離れていた期間の長さだけ、知識やスキルを取り戻すのに時間がかかるものです。こういった場合は、30代看護師とはいえ即戦力としての採用ではなく、教育係の看護師がつくケースが多いでしょう。

30代看護師「転職で求めること、求められること」

30代看護師は、一般的にどういったことを求めて転職をするのでしょうか。また、病院や施設側は、採用する30代看護師にどういったことを求めているのでしょうか。30代前半と後半とでは、少し違いがあるようです。

これだけ違う、20代看護師と30代看護師

20代は、看護師として一人前になるために、与えられた職務を全うし、今いる場所でベストを尽くすことを第一にしている人が多いでしょう。そうやって十分な知識やスキルを身につけ、いよいよ30代へ突入するというとき、看護師の多くは重要な選択を迫られるでしょう。

その後、看護師としてどういったキャリアを積んでいきたいかによって、より専門的な分野に挑戦するのか、職場や働き方自体を変えてみるのかなど、30代看護師は考える機会が多くなります。

例えば、手術室看護師は、35歳過ぎて未経験での採用は難しいといわれています。目指すなら、30代前半までの進路変更が必要です。同様に、以下の科の看護師も早い段階で経験を積むのがよいとされています。

  • 救命救急センター
  • 外科
  • 脳神経外科
  • 心臓外科
  • 消化器外科 他

また、リハビリに携わりたいなら内臓系(生活習慣病など)の診療科の経験が重要だそうです。

30代看護師は、すでに1~2回転職をしている人もいるでしょうし、同じ病院に勤務していても1~2回は配置換えがあるでしょう。

その際、自分がこれからどのような看護師になりたいのか、例えば、認定看護師を目指すのか、マルチに働ける看護師になるのか、病院を変えるべきなのか、それとも楽に長く働けるようにしたいのか、多くの選択肢を前に決断をしなければならない年代なのです。

30代前半の看護師に求められること

30代前半の看護師は、20代看護師の延長線上にあり、体力や意欲もまだ十分で、そのうえ経験値や知識、スキルを備えているため、病院や施設では頼りになる年代といえるでしょう。10年以上のキャリアを積んでいる場合、一般的に、看護主任を任される場合が多いようです。

ただし、妊娠や出産、育児などライフステージの変化により、看護職から離れる、もしくは日勤のみや派遣・パートといった非正規労働という働き方をあえて選ぶ看護師も多く、「キャリアの二極化」が見られる年代でしょう。

30代前半の看護師が転職する場合、病院・施設側が求める働き方と期待しているスキル、自分自身が求める働き方と身につけたスキルに差が生じやすいといえるかもしれません。

30代後半の看護師

平成24年の調査によると、看護職員の中で一番多い人数を占めるのが35~39歳、いわゆる30代後半で、21万人を超えています(厚生労働省「平成26年 看護職員の現状と推移」)。

平成14年の調査では一番多いのが25~29歳の層であることから、全体的に看護師の年齢が高くなっていることと、最近は妊娠・出産・育児が一段落した看護師が復職していることが考えられるでしょう。

一般的に40歳前後で看護師長や副看護師長を任されることが多いことから、30代後半の看護師には、それに準じた知識やスキル、管理能力やリーダーシップが求められます。

看護師長の役割として、病棟の看護目標の設定・達成、そのために組織のチームワークを強化、看護師の指導とマネジメントなどが挙げられるでしょう。病院や施設の経営陣と、看護現場とをつなぐ役割を担うのも看護師長の務めです。

そのため、30代後半の看護師には、転職後に役職がつく・つかないにかかわらず、リーダーシップやマネジメント能力、調整力が求められることが多いといえるでしょう。

30代看護師 転職に有利な4つのプラスポイント

30代となっての転職は、ある程度のキャリアやスキルを求められることが多いため、不安に感じる看護師は多いでしょう。特に、転職は初めてという方は、自分の看護師としての技術や知識がどれほどのものか、他の病院や施設で通用するのかがわからず、プレッシャーを感じるかもしれません。

30代の看護師が転職する場合、どんな点が有利となるのか、ポイントをまとめてみました。

プラスポイント1:前職の勤続年数が長い

病院・施設側としては、なるべく長く勤務してほしいと思って採用するわけですから、前職の勤続年数が長ければ「うちでも長く勤務してくれるだろう」と好印象をもちます。

勤続年数に比例して、経験値も高く知識やスキルも期待できるため、即戦力として採用される可能性が高いといえるでしょう。看護師歴がだいたい6年以上というのが、一人前と見なされる一つの目安のようです。

プラスポイント2:外科、内科の臨床経験がある

外科もしくは内科は、数ある診療科の中でも、比較的、看護業務の汎用性が高い診療科といわれています。そのため、この2つの科での臨床経験は、その後の転職に有利に働くようです。

もし、30代で未経験の診療科へ転職したとしても、それまでに外科もしくは内科でキャリアを積んでおけば、新しい職場や業務へスムーズに適応できるといわれています。

プラスポイント3:資格をもっている

看護師として、より専門性が高く転職に有利な資格といえば「認定看護師」「専門看護師」が挙げられるでしょう。時間や費用がかかり取得条件も厳しいことから、この2資格はハードルが高いと感じる看護師も多いでしょうが、それだけ転職には有利に働くわけです。

費用や時間に限りがある場合は、介護分野での活躍も見込める「ケアマネジャー」や、リーダーや管理者経験がある方におすすめの「認定看護管理者」はどうでしょうか。

ケアマネジャーは看護師の実務経験5年かつ900日以上従事(厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)」)、認定看護管理者は看護師として5年以上の実務経験をもち、以下の要件のいずれかを満たせば、受験資格を得ることができます。

要件1:認定看護管理者教育課程サードレベル(465時間)を修了している者。
要件2:看護系大学院において看護管理を専攻し修士号を取得している者で、修士課程修了後の実務経験が3年以上ある者。
要件3:師長以上の職位で管理経験が3年以上ある者で、看護系大学院において看護管理を専攻し修士号を取得している者。
要件4:師長以上の職位で管理経験が3年以上ある者で、大学院において管理に関連する学問領域の修士号を取得している者。

プラスポイント4:前向きな理由での転職

転職の際は、面接で必ずといっていいほど聞かれるのが、「前職を辞めた理由は?」「転職理由は?」でしょう。

例えば、「病院以外での施設での看護に興味があって」「スキルアップしたくて」「未経験の診療科にチャレンジしたい」など、前向きな理由での転職は相手に好印象を与えるでしょう。自分なりの明確な看護観をもち、業務に積極的な看護師を病院・施設は求めているので、転職に有利に働くでしょう。

30代看護師 転職に不利な4つのマイナスポイント

30代看護師が転職する場合、マイナスに働く不利なポイントとは何でしょうか? ここでは、おもに4つのマイナスポイントと、それを挽回するための方法をご紹介しましょう。

マイナスポイント1:転職回数が多い

20代よりも看護師歴が長くなる30代では、何度か転職をしている人も多くなっています。

ただし、前述したとおり、人材確保のために予算を割いて採用するわけですから、求人を出す病院・施設としては、なるべく長く勤務してもらいたいと考えています。

もし、これまで短期間で転職を繰り返しているようでしたら、あまり良い印象をもたれないかもしれません。

一つの目安となるのが、「1ヶ所に3年以上勤務しているかどうか」。これは看護業界に限らず、一般企業でも同じことがいわれています。そこから計算すると、例えば30代前半で看護師歴10年くらいの場合、転職が今回で3回目ならマイナスとは受け取られないと考えられます。

転職回数が多い場合は、面接で退職・転職理由を必ず聞かれると思います。その際、相手が納得できる説明ができるようにしておきましょう。

前述の「プラスポイント4:前向きな理由での転職」でご紹介した理由なら、好印象を与えることができるでしょう。その際、将来的にどんな看護師になりたいか、どんな看護をしていきたいか、具体的なキャリアアップなど、自分自身の未来像や看護観を伝えることができればよりよいでしょう。

マイナスポイント2:看護師経験が浅い

「出産・育児で長く医療現場から離れていた」「30代になって看護師になった」といった場合、年齢に対して看護スキルや知識が十分とはいえません。もし、求人を出している病院・施設が求めているのが、即戦力となる30代看護師であれば不利に働くでしょう。

しかし、看護業界ではキャリアをはかる場合、年齢ではなく看護師歴に重きを置きます。「未経験や新人の採用は20代まで」といったケースが多い一般企業とは違い、30代だとしても看護師歴が浅いようならほぼ新人として採用し、スキルに応じた業務を担当し、プリセプターからの指導も受けられます。

そのため、転職の際には正直に自分自身のスキルやキャリアについて伝えることが肝心です。入職してから「使えない」「できない」と思われないために、できないことはできないと未経験なことは明確にしておきましょう。

マイナスポイント3:特殊な診療科の臨床経験しかない

例えば、耳鼻科や眼科といった特殊性の高い診療科しか経験がない場合、内科や外科のような汎用性はないため、他の科への転職には苦労するかもしれません。

ただし、専門性が高いことから、同じ科で別の病院への転職には、逆に有利に働くでしょう。

マイナスポイント4:転職しても解決しない理由での転職

転職理由が、「人間関係が嫌になって」「長時間労働がつらくて」「夜勤が多いから」などの場合は、転職を希望する先にあまり良い印象を与えないでしょう。

というのも、「人間関係」や「勤務形態」は、転職したからといって必ずしも改善されるわけではないからです。そのため、病院や施設からは「同じ理由でまたすぐ辞めてしまうのではないか」という印象をもたれ敬遠されるでしょう。

ただし、あらかじめ転職先に求める条件を絞ることで、「転職しても解決しない理由」という印象を変えることができます。例えば、「長時間労働がつらくて」が理由なら三交代制のところ、「夜勤が多いから」が理由なら日勤だけのところと、あらかじめ条件を絞ることによって、求人側と自分の希望にずれがなく、転職理由も共感が得られるでしょう。

「人間関係が嫌になって」なら、派遣看護師やツアーナースという選択肢もあり、転職にプラスに働くのではないでしょうか。

まとめ

「30代看護師」と一口にいっても、それまでの働き方やキャリア、看護観によってさまざまで、ひとくくりにするのは難しいでしょう。

しかし、年齢が上がっても転職で不利にならないのは、国家資格をもつ看護師という職業ならでは。自信をもって、転職に一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。