[ 記事作成日時 : 2012年9月30日 ]
[ 最終更新日 : 2023年10月19日 ]

専門看護師とは?認定看護師との違いや資格要件と費用

看護師のキャリアアップ

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専門看護師の資格取得に興味がありますか?もし興味をもったとしても、実際に専門看護師と一緒に働いた経験がある看護師は少なく、どのようにして資格をとり、どのような働き方をするのかはよくわからないものです。専門看護師の数は2,519名(2019年12月時点)※1。

平成30年末の就業看護師の数は121万8,606人、准看護師は30万4,479人※2ですから、専門看護師はかなりの少数です。

でも一念発起して、集中して専門的な勉強をするのもいいかもしれません。ここでは専門看護師の資格取得の方法、働き方、認定看護師との違いなどを解説します。

出典:日本看護協会 「専門看護師登録者数」※1

出典:厚生労働省「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 ※2

      
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専門看護師とは

日本看護協会の認定資格には、「専門看護師」「認定看護師」「認定看護管理者」の3つの資格があります。1994年に専門看護師制度、1995年に認定看護師制度、1998年に認定看護管理者制度が発足しました。まず、専門看護師の概略は、このようなものです。

  • 専門看護師とは水準の高い看護を効率よく行うための技術と知識を深め、卓越した看護を実践できると認められた看護師
  • 看護師として5年以上の実践経験をもち、看護系の大学院で修士課程(約2年間)を修了して必要な単位を取得した後に、専門看護師認定審査に合格することで取得できる資格である
  • 審査合格後は専門看護師としての活動と自己研鑽の実績を重ね、5年ごとに資格を更新する

実際の専門看護師の活動については、日本看護協会のホームページなどに紹介されています。看護という仕事に対して積極的に取り組んでいる先輩専門看護師の活動を知ると、自分も専門看護師に挑戦してみたい気持ちになります。

出典:日本看護協会「専門看護師の活動事例紹介」
出典:国立看護大学校専門看護師教育課程「感染管理看護学座談会」

専門看護師の現状

専門看護師になるのは難しいのでしょうか?認定審査の合格率や、専門の分野について解説します。

2019年の合格率と専門看護師の総人数

2019年の専門看護師認定審査では、12分野258名が合格しています。合格率は70.9%でした。毎年、合格者数は250名前後、合格率も70%前後となっています。

認定更新審査は、11分野319名が合格し、再認定審査では19名が合格しています。専門看護師総数は2,519名(2019年12月時点)となっています。

専門看護師の専門分野は13種類

今ほど医療の専門分化が進んでいなかった時代には、看護師はどのような診療科でも、どのような患者にも対応できるオールマイティであることが求められていました。しかし、医療が専門分化して高度になっている昨今は、専門的知識と実践能力をあわせもつ看護師が必要になっています。

専門看護師はもちろん看護全般も研究しますが、おもな課題は専門分野においての看護です。ですから、専門看護師はそれぞれの「専門看護分野」ごとの認定となります。専門看護師には以下のような、13の分野があります。

がん看護
がん患者の身体的・精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOL(生活の質)の視点に立った水準の高い看護を提供する。

精神看護
精神疾患患者に対して水準の高い看護を提供する。また、一般病院でも心のケアを行う「リエゾン精神看護」の役割を提供する。

地域看護
産業保健、学校保健、保健行政、在宅ケアのいずれかの領域において水準の高い看護を提供し、地域の保健医療福祉の発展に貢献する。

老人看護
高齢者が入院・入所・利用する施設において、認知症や嚥下障害などをはじめとする複雑な健康問題を持つ高齢者のQOLを向上させるために水準の高い看護を提供する。

小児看護
子どもたちが健やかに成長・発達していけるように療養生活を支援し、他の医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する。

母性看護
女性と母子に対する専門看護を行う。主たる役割は、周産期母子援助、女性の健康への援助に分けられる。

感染症看護
施設や地域における個人や集団の感染予防と発生時の適切な対策に従事するとともに感染症の患者に対して水準の高い看護を提供する。

家族支援
患者の回復を促進するために家族を支援する。患者を含む家族本来のセルフケア機能を高め、主体的に問題解決できるよう身体的、精神的、社会的に支援し、水準の高い看護を提供する。

在宅看護
在宅で療養する対象者及びその家族が、個々の生活の場で日常生活を送りながら在宅療養を続けることを支援する。また、在宅看護における新たなケアシステムの構築や既存のケアサービスの連携促進を図り、水準の高い看護を提供する。

慢性疾患看護
生活習慣病の予防や、慢性的な心身の不調とともに生きる人々に対する慢性疾患の管理、健康増進、療養支援などに関する水準の高い看護を行う。

急性・重症患者看護
緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な看護を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるよう支援する。

遺伝看護
対象者の遺伝的課題を見極め、診断・予防・治療に伴う意思決定支援とQOL向上を目指した生涯にわたる療養生活支援を行い、世代を超えて必要な医療・ケアを受けることができる体制の構築とゲノム医療の発展に貢献する。

災害看護
災害の特性をふまえ、限られた人的・物的資源の中でメンタルヘルスを含む適切な看護を提供する。平時から多職種や行政等と連携・協働し、減災・防災体制の構築と災害看護の発展に貢献する。

専門看護師と認定看護師の違いは?

専門看護師と似ている資格に、認定看護師があります。2つの違いを説明します。

認定看護師との違い

先にも書いたように、日本看護協会の認定資格には「専門看護師」「認定看護師」「認定看護管理者」の3つの資格があります。

この3つの認定資格のうち「認定看護管理者」は、病院の看護部長や訪問看護ステーションの所長などで活動する看護師向けの資格です。いわば師長クラスの看護師が取得する資格となっています。

残りの2つの専門看護師と認定看護師はどちらも特定分野の知識や技術を向上させた専門性の高い看護師であり、日本看護協会の実施する認定審査に合格する必要があるという点では共通しています。では、専門看護師と認定看護師はどのように違うのでしょうか。

資格取得にかかる期間

  • 認定看護師は看護系の大学などで、6~8ヵ月間、勉強をして資格をとる
  • 専門看護師は看護系の大学院などで、約2年間、勉強をして資格をとる

専門看護師は資格取得まで2年という時間がかかります

それぞれの役割

  • 認定看護師は実践・指導・相談を行うことで、看護ケアの広がりと質向上を図る役割
  • 専門看護師は実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究を行うことで、保健医療福祉や看護学の発展に貢献する役割

専門看護師も認定看護師も、看護師の質を高めることにはかわりないのですが、簡単にいえば、専門看護師の方が、「研究を行う」ことに重きを置いているといえます。

資格を取得するメリット

自分自身がより自信をもって専門分野の看護や、教育、職場環境を整えることなどに取り組めることは、看護師にとってとても大きな意味があります。病院内外に活動範囲や人脈も広がることで、広い視野をもって働くことができます。

専門看護師の活動状況については、日本看護協会のサイトにあります。

出典:日本看護協会「専門看護師の活動状況」

専門看護師の受験資格と実務経験

専門看護師の資格取得にチャレンジするための要件を実際に見てみましょう。専門看護師の認定システムは次のようになっています。

「実務経験のある看護師」「大学院で所定の単位を取得」して、「専門看護師認定審査」において認定されると、専門看護師になることができます。

受験資格とは

専門看護師認定審査の受験資格は以下の3つです。

  • 日本国の看護師免許を有すること
  • 看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること
  • 看護師としても実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること

看護師の実務経験

専門看護師の認定資格を得るには、看護師としての実務研修(実務経験)が通算5年以上あること。そして、そのうち3年間以上は専門看護師としての専門看護分野の実務研修があることが必要となります。

専門看護師になるには

専門看護師教育課程基準の所定の単位を取得するためには、大学院に約2年間通う必要があります。では、大学院で学ぶための資格はあるのでしょうか。

大学院へ!働きながら!

大学院の修士課程には、働きながら学ぶこともできる履修形態もあります。

例えば、

  • 1年集中履修・・・1年間だけ休職して集中して講義を履修する。
  • 長期履修・・・休職をせずに3年間で計画的に講義や研究指導を受ける。

など、働きながら履修しやすい設定もあります。

ただし、専門看護師コースではこのような履修ができないこともあるので、事前に大学と相談してください。また、専門看護師の教育課程基準はかなり厳しく、大学院の研究そのものは楽しくできるとしても、大変で時間がかかるものです。

看護師として常勤で働きながら大学院で勉強をしたいという人はまれで、仕事と勉学を両立するのはかなりの負担となるようです。

大卒の場合

大学院で学ぶためには、まず大学院の選抜試験に合格する必要があります。試験の出願資格は、大学院によってそれぞれではありますが、看護系の大学以外の出身でも、大卒で学士の学位を取得していれば、出願資格があります。

専門学校卒の場合

専門学校卒で学士の学位がなくても、大学院で学ぶことはできます。あまり知られていませんがどのような分野であれ、大学院で学ぶために大卒の資格は必須ではなく、学士と同等の経験などがあれば出願資格があると見なされます

それは看護系大学でも同じです。看護系の大学院の場合、看護師資格や実務経験があれば出願資格があり、入学試験に合格すれば大学院で勉強することができます。

例えば、日本赤十字大学大学院の出願基準はこのようになっています。

看護系以外の大学ご出身でも、学士の学位を取得していれば出願資格に該当します。また、看護系の短期大学や専門学校を卒業され、一定の条件を満たし大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められた場合には、受験が可能となります。それらに該当しない場合も、看護系の学校を卒業されていて看護師の資格を持ち、5年以上の実務経験がある場合には「個別入学資格審査」を受けて出願資格を得ることができます。

東京大学大学院の修士課程募集要項にも大卒資格は必須にはなっていません。

このような出願資格は各大学でそれぞれなので、よく確認しましょう。

専門看護師になるための必要な費用

専門看護師をめざしたいと思った場合に、気になるのは必要な費用です。

大学院の入学金・授業料などで年間約100万円強、2年間で200万円ほどかかります。他に大学院の入試検定料は3~5万円。専門看護師認定検査の、認定審査料・認定料がそれぞれ51,700円(税込)がかかります。

病院によっては、専門看護師の資格取得サポートの制度があります。

例えば、「研究休職で、基本給が支給される」「学費免除制度がある」「学費の貸し付け」などの制度や、復職後に決められた期間の勤務によって「貸付金の返済免除」という制度をとっている病院もあります。専門看護師をめざすなら、手厚いサポートのある病院へ転職しておくのもいいでしょう。

専門看護師の給料や手当

専門看護師になると、給与や手当はアップするのかが気になります。

専門看護師の給料

資料は少し古いのですが、2007年に認定された専門看護師の活動状況を調べたアンケートによると(※1)、専門看護師の資格取得以後に給与面その他の待遇改善があったのは、全体の3割程度で残り7割が「変化なし」と回答しています。

専門看護師の手当

資格手当を支給している医療施設では、一般的に月額1~3万円ほどの手当が加算されています。

看護師の給与は夜勤の回数によって大きく左右されますから、もし、専門看護師として働く職場が日勤中心であり、夜勤の回数が減ってしまえば収入が減ることがあるかもしれません。

ただ、専門看護師の重要性は認知されつつあり、職場でのポジションについても昇格しやすくなっているので、待遇が向上している傾向はあるようです。さらに転職のときは、専門看護師の資格はかなり有利な条件になります。

出典:日本看護協会「専門看護師の活動状況」※1

認定審査の内容と合格後の手続き

専門看護師の認定審査と更新手続きについて、最後に簡単に説明します。

認定審査と更新

認定審査は

日本看護協会は毎年1回、専門看護師認定審査を実施しています。審査に合格し、登録手続きをした人を専門看護師として認定しています。資格の有効期間は5年です。

認定審査の受験資格は

  1. 日本国の看護師の免許を有すること
  2. 日本看護系大学協議会専門看護師教育課程基準で指定された内容の科目単位を取得していること
  3. 看護師の資格取得後、実務研修が通算5年以上であること。そのうち通算3年以上は専門看護分野の実務研修をしていること

認定審査は書類審査・筆記試験です。

更新は

専門看護師のレベル保持のため、専門看護師は、認定を受けてから5年ごとに更新審査を受けます。過去5年間に規定された看護実績、研究業績及び研修業績などについての書類審査になります。

まとめ

医療が専門分化して高度になっている現在、専門的知識と実践能力をあわせもつ看護師はさらに必要とされていくでしょう。

専門看護師の取得にかかる大学院での2年間は、長いように思えるかもしれません。しかし、看護師として40年も50年も働くとしたら、長い目で見れば2年間なんて短いと思うこともできます。

「もっと看護師としてステップアップしたい」「家庭の事情で3年間の専門学校で学んだけれど、もっと勉強がしたい」などと思うなら、チャレンジしてみてはどうでしょうか。

参考文献

日本看護協会「専門看護師・認定看護師・認定看護管理者」

日本看護協会「データで見る専門看護師」

日本専門看護師協議会

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※ページ内の求人数は職種別に集計しています。