[ 記事作成日時 : 2016年6月30日 ]
[ 最終更新日 : 2020年2月5日 ]

産婦人科看護師の役割は?助産師と違いや給料についてもくわしく解説

産婦人科の看護師

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命の誕生に向き合う産婦人科で、働きたいと考える看護師は多いようです。また婦人科は、女性の一生を通じて関わりをもつ場所でもあります。

産婦人科で働くにあたり、看護師として特に知っておきたいことはあるのでしょうか。ここでは産婦人科の看護師の具体的な役割や働き方について、詳しく解説していきます。

      
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産婦人科看護師の役割は?

産科で働く看護師の役割

産科はお産という女性にとって最大ともいえるイベントを中心に、その前後をケア・サポートする診療科です。

お産前の健診を通じて母体の変化を観察し、子宮や卵巣の正常な状態を保つための診療を行います。おなかの中の赤ちゃんの様子を確認しながら、健やかな誕生に向けたフォローをしていきます。

産科の看護師は妊娠中から出産後まで、その時期に応じてさまざまな役割を果たします。

医師が行う診察の補助はもちろん、妊娠中の生活指導や、健診の案内、また不安定になりがちな妊産婦の精神的な支えとなり適切なアドバイスを与えます。

特に初めての妊婦さんに向けては、出産までの経過を伝え、安心してお産を迎えられるように流れを説明しながら身体の変化についての理解を促します。

分娩時、看護師は間接的な補助の役割を担い、出産後の新生児の計測や母子の健康維持のための処置を行います。

退院までの間、赤ちゃんとお母さんのケアをしながら、母子間のつながりを強めていきます。退院にあたっては、新生児との生活についての注意点を説明し、安全な家庭生活が送れるように指導します。

退院後は病院によっても異なりますが、2週間後および1ヶ月健診までは産科で実施します。また母乳相談や育児相談など、お産の後も多彩なサポートを実施していきます。

看護師は母親の様子に注意をはらい、産後うつなどの症状についても留意しなければなりません。

産科の看護師の具体的な業務内容には、次のようなものがあります。

  • 妊婦のバイタルチェック
  • 体重・腹囲計測
  • 各種検査の補助(採血など)
  • 診察の介助
  • エコー診断の準備など
  • 分娩時のモニターチェック
  • 入院時のケア(検温・点滴の管理、清潔ケア)
  • 出産後の母子のケア(検温・採血、沐浴・授乳の指導)
  • 出産前後の生活指導(母親学級・父親学級)

分娩時の来院では、進行状況を診察するのは医師ですが、出産までの間の観察は医師の指示のもとで看護師が行っても良いとされています。

この場合には分娩の進行の状況を適時計測し、医師の報告を行います。出産時も医師の指示に従い、看護師が診療及び助産の補助を行ないます。

産科の看護師は妊娠の兆候を感じて来院したときから、出産・出産後と妊産婦によりそい、心身のケアとサポートを切れ目なく行っていく存在です。

婦人科で働く看護師の役割

お産に関わるトラブルを含め、幅広く対応をするのが婦人科です。患者の年齢層も幅広く、婦人系の疾患のほか、不妊治療や思春期の生理異常なども婦人科の扱いとなります。

月経不順、月経困難症、更年期障害、膣炎や性病といった女性器官の症状、また、乳がん検診や子宮がん検診も実施します。

婦人科の外来では、何らかの異常を感じて不安を抱える患者の診察や処置の介助を行います。

また婦人科の病棟では、オペ出しが頻繁にあり、手術療法だけでなく、化学療法や放射線療法などの多岐にわたる治療をこなさなければなりません。

産科の仕事と同様にデリケートな女性の身体を専門とするため、精神的なケアも看護師の大きな役割のひとつです。

特に不妊治療を行っている場合、患者の精神的苦痛を理解し、可能な限りのサポートを心がけていく必要があります。

不妊治療では検査や治療に負担を感じる患者が多く、またゴールが明確でないだけに心理的な苦痛も大きくなります。ときには夫婦とコミュニケーションをとりながら、励まし、勇気づけていかなければなりません。

婦人科の外来での看護師の業務には以下のようなものがあります。

  • 診察時の介助
  • 検査準備(採血など)
  • 健康診断のサポート
  • 日帰り手術前、手術後のケアと生活指導
  • 不妊治療検査の介助と患者・家族へのフォロー

婦人科の病棟の看護師は、入院患者に対して検温などのバイタルチェック、衛生ケア、点滴・服薬管理や医療処置について継続的な看護ケアを行います。

他科と同様に手術が必要となる患者に対しては、手術までの流れを説明し、安心して治療を受けられるようにフォローをしていきます。

助産師と看護師の違い

助産師をするためには、看護師免許に加え助産師免許の取得が必要とされます。すでに看護師の資格を保有したあとで、指定の助産師養成学校で1年以上学ぶことにより、助産師国家試験の受験資格を得られます。

病院などの医療機関の場合、助産師も看護師も医師の指示のもとで出産時の処置にたずさわります。

しかし助産師が直接赤ちゃんを「取り上げる」ことができるのに対して、看護師はあくまで医師や助産師の介助という立場になります。

助産師は出産の場に立ち会い、分娩を直接サポートします。ただし会陰切開や吸引分娩、鉗子分娩などは医療行為となるため、医師以外が行うことはできません。

助産師は独自で助産行為を行うことができ、助産院を開設できますが、扱うのは正常分娩のみに限られます。切開や縫合、そのほか手術などが必要とされる場合には、病院での出産しか認められません。

一方で新生児指導など、助産師にしか認められていない行為もあります。

分娩時の処置において、看護師は医師・助産師の補助業務を行い、指示に従って妊産婦や新生児の看護を実施します。

助産師や医師が赤ちゃんを取り上げた後、母親の産後の看護をしたり、赤ちゃんの計量や世話を行ったりすることで連携をとります。

出産時には思わぬトラブルが発生することも多く、母体や新生児が命の危険にさらされる場合もあります。

そうした事態が発生したときには、医師が処置に最善を尽くし、助産師、看護師が一丸となって、それぞれの立場で動きながら母子の安全を図ります。

産婦人科看護師の働き方

総合病院(外来・病棟勤務について)

産科外来の特徴

総合病院の産科外来は、個人病院で出産をするのが不安という妊婦も数多く訪れます。予定帝王切開や無痛分娩、ほかに持病のあるケースなどで、難しい症例を経験する機会が多くなります。

産科であっても基本的には他科の外来と同じような業務内容で、医師の診察介助や検査のための採血などを行います。診察台が高い位置にあることが多いため、妊娠後期には配慮しなければなりません。

外来では分娩に立ち会うことがなく、病棟と比べると患者との直接的な関わりは少ないのが特徴です。また予約制であっても待ち時間が長くなりがちなので、妊婦さんの様子に気を配る必要があります。

総合病院の産科の外来は、夜勤がなく比較的残業も少ないことが多いようです。

産科病棟の特徴

総合病院の産科病棟には、正常分娩以外の妊婦も多く入院してきます。

他科との連携がとりやすく緊急時対応が可能なため、持病を抱えた妊婦や個人病院では対応しきれない難しい出産が予測されるケースもあります。

病棟看護師は入院患者の清潔ケアや、バイタルチェック・観察、服薬管理などを行いますが、産科の場合ではさらに産後の業務が加わります。

妊産婦に対する授乳指導や授乳時間の管理、新生児の健康管理、沐浴やおむつ交換などのケアをするのも看護師の業務です。

また場合によっては、小児科との連携のための連絡係や観察報告も業務に加わる可能性があります。

ただ入院患者の自立度が高いため、体位交換のような手技はあまり必要とされません。

病棟では夜勤が普通にありますが、緊急性の高い事例は稀で、残業も通常ではそこまで多くはないようです。

婦人科外来の特徴

総合病院の婦人科外来は、個人病院から紹介されたり健診で異常が見つかったりして来院するケースがほとんどです。

そのため患者は不安を感じていることが多く、それに応対する看護師には細やかな配慮が求められます。扱う症例は婦人科系の腫瘍や不妊治療など、非常にデリケートな案件もあります。

婦人科外来では検査の頻度が高く、看護師は採血や検査室への誘導などの業務が多くなります。

産科と比べると患者の年齢層も幅広く、状況に応じたより卓越したコミュニケーション力が必要とされます。

婦人科病棟の特徴

婦人科は急性期の中でも、特に忙しい病棟のひとつと言われ、週に何件もオペ出しがあるのも珍しくありません。

総合病院の場合、患者の回転が速いので、あまりじっくりと相談にのってあげられる機会がないという悩みをもつ看護師もいます。

婦人科の病気といっても、さまざまな種類があり手術療法以外にも、化学療法や放射線療法など多岐にわたります。

術後に起こるリンパ浮腫や排尿障害への対応、ストーマ管理など、看護師が主体となって実施する処置も数多くあります。

女性同士だけに共感をもち、精神的に寄り添えるというメリットがありますが、患者の不安感を取り除くためには非常な苦労もあるようです。

また常に多忙な部署だけに、残業や時間外なども多くなりがちです。

産科クリニック

産科クリニックの場合、総合病院と比べて医療設備も人手も小規模になります。そのため、正常分娩が多く、異常が見られる場合には大学病院や総合病院など大規模な施設に紹介することになります。

一般的には難しい症例の出産を扱うことがあまりなく、看護師よりも助産師の雇用に力を入れているところも多いようです。

正常分娩が多いクリニックでは、看護師の仕事は診療の補助や、出産時の間接的な介助、分娩中の妊婦のケア、産褥期のケア、新生児のお世話などが中心となります。

他科のような医療的な業務の機会が少ないため、どうしても業務のメインは助産師となり、看護師が率先して行える業務の幅は狭くなります。

クリニックではマタニティや育児指導に力を入れているところもありますが、こうした取り組みでも、助産師の補助的な役割の方が多くなってしまうと考えられます。

クリニックは大規模病院と比較して、患者との距離が近く親身になって相談にのる機会が多くなります。

妊婦はアットホームな環境で出産を望んでいるため、こまめに声かけをしながら信頼を構築していくことを心がける必要があります。

レディースクリニック

レディースクリニックでは、女性の病気に関して幅広い治療が行われます。

クリニックによっては妊娠から出産までを扱うところもありますが、入院設備がない場合には外来診療に限られ、生理痛や更年期障害、ピル処方、婦人科検診など、女性特有の症状に対応しています。

レディースクリニックの特徴として、大規模な病院よりも敷居が低く、わずかな変調でも来院しやすいという傾向が見られます。

年齢層も幅広く、中には若い頃から通院歴がある患者もいるため、自然と顔なじみになることも多くなるでしょう。

看護師に対して信頼を寄せて、不安感や生活状況について相談をする患者もいます。

症状が重い場合や原因が不明なときには、総合病院などへ紹介するため、緊急性の高い患者を扱うことはほとんどありません。

入院患者を受け入れていない場合には夜勤もなく、比較的残業も少なめというクリニックが多いようです。

不妊治療専門クリニック

不妊治療専門クリニックは、妊娠に向けた治療に特化しているため、婦人科の病気や産科のような診療は行っていません。

カウンセリングによる一般治療や人工授精、体外受精、顕微授精、また卵子や精子の凍結保存などによる治療を実施します。

看護師の業務には来院した患者に対しての聞き取り、採血や注射、治療の説明といった一般的な外来に近い仕事と、不妊治療専門クリニック特有の仕事があります。

採卵や手術の準備、それに伴う麻酔管理、施術時の医師の介助、術後の管理などがあります。また必要となる処置の一連の流れや、それに関連する生活上の注意事項の説明なども、看護師の仕事となります。

産婦人科看護師の給料・年収はどれくらい?

産婦人科科看護師の給料

産婦人科は女性に特化した診療科という、特殊性のある分野です。そこで働く看護師の収入はどの程度なのでしょうか。先に挙げた4つの形態の職場について見ていきましょう。

総合病院の産婦人科看護師

総合病院の場合、基本給については診療科による大きな違いはありません。手当によって手取りが変わりますが、特に夜勤のあるなしで収入に大きな差が出てきます。

また病院によっては、分娩手当を支給する場合もあります。一般的に外来では夜勤がありませんが、病院によってはシフト上、病棟との混成を行っているケースもあるようです。

総合病院の平均年収は450~470万円です。夜勤がある勤務の場合の月額給与は、30~33万円程度になると考えられます。

産科クリニック

クリニックの場合、看護師の給与には施設ごとにかなりの開きがあります

基本的に産科クリニックには入院設備があるため、夜勤シフトの体制があり、外来だけのクリニックよりは収入も多くなります。

最近の産科クリニックは妊産婦の居心地を重視し、ゴージャスな部屋やホテル並みの食事を提供するなど、付加価値に考慮した施設が増えてきています。

経営状態が良好な産科クリニックでは、看護師の給与にも反映されるため高収入が期待できます。一方で昔ながらの産科クリニックでは、大規模な病院ほど給料が高くないようです。

大手求人サイトに掲載されている産科クリニックの求人の平均は、時給で1,700~2,000円程度、月額給与は22~30万円前後となっています。

助産師になれば35万円前後と大幅にアップしますが、看護師の場合はやはり総合病院よりもやや低めの傾向が見られます。

年収ベースでは、賞与があるところで400万円程度と考えられます。

ただし、先にも挙げたように付加価値によって利益を上げているクリニックもあるため、職場の選択の仕方で大きな違いがあるのは間違いなさそうです。

レディースクリニック

レディースクリニックの場合は、産科と違って入院設備のない施設が多く見られます。そのため夜勤がない代わりに手当分が減るため、収入全体は大きく下がるところが多いようです。

レディースクリニックの求人情報から見た看護師の平均月額は、25~27万円です。

東京都心などの場合では30万円を超えている求人も見られますが、その他のエリアでは30万円以下のところがほとんどで、時給案件も多くなっています。

夜勤がないクリニックでは、パート勤務の需要が高いことが伺われます。年収ベースでは、エリアにもよりますが350~400万円程度になると推測されます。

不妊治療専門クリニック

不妊治療専門クリニックの求人の多くは日勤のみとなっており、レディースクリニックとさほどの差異はないようです。

こちらについても東京都心エリアの場合では30~35万円という求人も見られますが、そのほかの区域では25万円からが相場となっています。

不妊治療専門クリニックで行う作業はほかの婦人系の医療分野ともまた異なり、特殊性が高くなりますが、特に高い専門性を求められるというわけではないようです。

看護師であれば、不妊治療の経験がなくても就業が可能とされている求人も多く、比較的間口が広いといえます。

首都圏であれば年収450万円以上もねらえますが、そのほかの地域では400万円以下が相場と考えて良さそうです。

産婦人科看護師の夜勤事情

レディースクリニックや不妊治療専門クリニック、また産婦人科であっても入院設備がなく、出産時にはほかの施設に移すという体制の場合には夜勤の仕事がありません。

また総合病院のように常時多くの入院患者がいないクリニックの場合には、夜勤があっても回数が少なくなる可能性があります。

夜勤手当は看護師の収入の大きな部分を占めており、その有無によって年収にかなりの影響を及ぼします。

日本看護協会調べによると、勤続10年の看護師の2018年の基本給与額平均24万4,445円、月額給与は32万2,111円です。一方、夜勤手当のおよその相場は、2交代の場合で1万1,000円前後といわれています。

看護師の場合、基本給と月額給与を比べると8万円ほどの上乗せがありますが、一般的な職種の手当の平均額は2万円程度と言われています。

ここから考えても、夜勤手当が看護師の収入を大きく上げていることは推測できます。

夜勤がない場合の月額給与は、基本給とさほど変わりない金額となります。夜勤のない一般的なクリニックで働く看護師の給与は、23~25万円が相場で、地方によっては20万円前後というのも珍しくありません。

看護師の収入が高いのは、夜勤をしているという前提があるからです。夜勤がない場合ではごく一部の例外をのぞくと、一般的な女性の職種とそれほどの違いがないと考えても良いでしょう。

産婦人科ナースの本音を教えて

産科で働く看護師の声

新しい命の誕生に立ち会える喜び

産科で働く「やりがい」で圧倒的に多く聞かれるのは、やはり新しい命の誕生に立ち会える瞬間という声です。

何年も産科で働き、何度も同じような場面を経験しているのにも関わらず、毎回あふれるような感動を得られるのは、産科ならではといえるでしょう。

赤ちゃんの誕生という場面に立ち会い、お母さんが赤ちゃんを抱くよりも先に赤ちゃんのケアすることについて、申し訳無い気持ちと、有り難い気持ちが混ざるという看護師もいます。

それでも赤ちゃんをきれいにしてお母さんの所に連れて行ったときに、喜びと大きなやりがいを感じるようです。

赤ちゃんのかわいさがやりがいに

また、とにかく赤ちゃんのかわいさがやりがいになっているという声もあります。業務ではありますが、沐浴で看護師自身が本当に癒やされているようです。

出産間近の妊婦さんに対して、心のケアもしてあげられる事が、やりがいとなっているという看護師もいます。同じ妊娠という事柄でも、一人一人個々に症状や向き合い方が異なります。

分娩前の不安や出産準備に対して入院中は思うようにいかないこともあります。そうした妊婦に対して、親身によりそい心の平安のために役立てるとき、同じ女性である看護師は大きな存在となります。

お産に不安を抱えて入院した母親が、退院の時にはとてもいい表情をして帰るのを見ると、心からよかったと感じるといいます。

お母さんやご家族からありがとうと声をかけてもらえたり、赤ちゃんを抱っこして笑顔で退院していくご家族を見送るとき、産科の看護師としての最高の充実感があるようです。

元気な誕生に立ち会えなかった時の辛さ

一方で産科では、助産師の指示の元で動くので上下関係が出来てしまい、複雑な気持ちを抱くという看護師も少なくありません。業務のメインになれず、脇役に甘んじなければならないことが続くと、やはり辛く感じます。

幸せなはずの出産で、妊婦や赤ちゃんの辛い姿に心が傷つくという声も多数あります。

母親の精神状態が欝になり、対処の限界を感じると経験をもつ看護師も増えているようです。

またおなかに赤ちゃんがいる母親が、ガンなどで余命が少ないことがわかった時などは、運命の残酷さにいたたまれない気持ちになります。

出産はひとつ間違えば、母親にも子どもにも危険が及びます。死産の赤ちゃんを出産する場所に立ち会った時に虚しさを感じ、死産や新生児死亡の方のケアに心を痛める看護師もいます。

思いがけず赤ちゃんが亡くなる時のほかにも、NICUに入る現実を母親が受け入れられないのを目の当たりにすると、看護師もどう慰めて良いかことばを失います。

妊娠中から胎児に重い障害があると判明しているとき、事実の重さに他人事ながら泣きたくなるという声もあります。

同時に中絶も目の当たりにする虚しさ

望んでも子どもができない人がいる一方で、中絶が多いことにも虚しさを感じます。親同士や家族との関係が悪い事例や、母親が赤ちゃんに関心を抱かずネグレクトの片鱗が窺えるときには慎重に関わらざるを得なくなります。

正常な出産でも、初産の妊婦さんのお産がなかなか進まず、見ている方が辛くなったり可哀想でしかたがないというケースもあるようです。

妊婦さんが泣き叫んでいる時や陣痛促進剤を使用して苦しんでいる時には、経験を積んだ看護師といえども辛くなるといいます。

命の誕生という輝かしい場所でも、幸せや喜びばかりに満ちているわけではありません。自然の摂理や人間の力ではどうにもならないこと、人為的な事柄も含めて、看護師が辛く感じる場面は多々あります。

婦人科で働く看護師の声

患者さんに安堵をもたらせられたとき

どこの診療科でもあることですが、患者さんに感謝される時です。婦人科外来で、緊急避妊ピルを求めて来院される方もいました。避妊はしていてもやむを得ない事情の場合もあり、その際に相手は10代後半や20代前半の子が多い中、ゆっくりと話を聞くことや、不安に思っていることなどを傾聴し、外来時間の限られたなかでも患者に寄り添えるように心がけた関わりを行なっていました。

妊娠していないことを確認するためにもう一度来院予約を取ってもらって帰宅してもらいますが、次に来院した時には安堵の顔も見られることが多くありました。

子宮系のがんの患者さんが告知を受け、最初は病気を受け入れられなかったのが、病気を受け入れ、前向きに治療している姿を見た時。私がいた病院はある程度の規模があり、外来の受け付け時間や、予約制であることなど、「受診のしやすさ」に関してはあまりよくない外来だったと思います。

頑固で気難しい医師が多く勤務していたのですが、婦人科に関しては違っていました。医師は二人でしたが、とても優しく穏やかでした。看護師としても接しやすかったですし、患者さんの評判もとてもよかったです。緊急避妊や、イライラしている患者さんなど、こころの不安定な状態のかたにたいして、優しい口調で話しかけていて、ていねいな治療をしていたので嬉しかったです。急にポリープを切除するなどの処置が生じることもありましたが、急な準備にも気遣ってくれて、気持ちよく仕事ができました。優しい医師が多いと思います。

がんや子宮摘出に立ち会うとき

婦人科はときにがんなど、重大な症例も扱います。抗がん剤治療のために入院した患者がまだ若くて子供も小さいと、その姿を見ていられませんでした。どんどん浮腫が酷くなっていったり、動けなくなっていったりするのを間近で見ているのは、とても辛いものです。

同年代で仲良くなった女性患者がなくなるという経験をしました。また産科と婦人科が同じ病棟では、生まれてくる子もいる一方、若くしてなくなってしまう患者もおり、メンタル的にきつさを感じました。

女性にとって、性はとてもデリケートな問題です。子どもを望んでいたのに、流産してしまった場合や死産だったときには、離れているとはいえ、同じ病棟で赤ちゃんの泣き声が聞こえてくるのは非常に残酷に思われます。

妊娠を希望していても、筋腫が多く子宮ごと摘出せざるを得ないということもあります。患者が嘆き悲しむのを見るのは、プロである看護師でも辛いことです。乳房の切除など、辛い場面を目の当たりにしなければならず、精神的に大きな負担を背負いました。

また婦人科では、性的暴行を受けた女児や少女、女性たちと接する機会もあります。同性として苦しむ姿に身体中が震えるほどの憤りや悲しみを覚え、いつまでたっても慣れることはありません。一方で女性ばかりの病棟では、患者さんもスタッフも説遇には厳しく、注意されてばかりいることに辛さを感じました。

産婦人科看護師の向き・不向き

産科の看護師に向いている人の特徴

産科の看護師に向くもっとも大きなポイントは、赤ちゃんがとにかく好きであるということでしょう。泣いてたりしてもイライラせず、自分が忙しくても決して小さな命をいい加減に扱わないことが大前提となります。

子どもが好きで、命の大切さを理解していることはもちろんですが、一方で光と影がはっきりしている職場であるため、メンタルがある程度は強くないと勤まらない職場です。

いい意味で緩さのあるタイプであれば、育児に対して神経質になりがちな母親を温かく包み込むように指導できます。

真面目過ぎて「こうでなければならない」という縛りを押し付けるタイプは、未熟な母親はつらい気持ちになります。

出産前後は気持ちが不安定になる人が多いので、母親の気持ちを聞くことが必要な場面も多くあるため、人との関わりが好きな人でなければ親身になれません。

大らかである一方、細かい配慮ができないと、神経質になっている妊婦の気持ちを傷つけかねません。

現場の看護師からは、お産経験がある人はやはり強みになるという意見も聞かれます。瞬時に判断ができ、忙しくても笑顔で患者さんと対応できて、赤ちゃんやお母さんに対していつでも優しい態度がとれる看護師は安心感があります。

またお産は昼夜関係なく始まるため、体力があるパワフルな看護師が求められます。

婦人科の看護師に向いてる人の特徴

婦人科の看護師は、同じ女性としての痛みや悲しみ、苦しみに寄り添える人であることが求められます。

しかし単に優しいだけではなく、同時に厳しさを使い分けられる性格でなければなりません。がんなどの難しい病気には多種多様な治療方法があり、ときにそれは患者本人にとって耐えがたいものとなることもあります。

心情を十分に思いやると共に、治療についての理解を求め、患者からの協力を得ていくことが重要となります。

婦人科のさまざまな病気では、他科との連携を取りながら治療に当たる場合も多くあります。チームワークを大切にし、お互いの立場を尊重しながら患者本位の看護ができる看護師でなければなりません。

ときには緊急性を要する状況となることもあるため、迅速に状態を見極められる冷静さも必要です。

女性の疾患を扱うという特化した部署であるため、女性の傾向に理解をもつ姿勢も大切です。辛い病気を抱える患者は、ときに理不尽であったり混乱した発言があったりします。

相手の複数の発言や表出から本来のニーズを的確に捉え、数多くの情報をより分けて判断する能力が役立ちます。

辛抱強く傾聴しながら、患者の訴えを受け止められるタイプでないと、自分も感情的になり看護に専念できません。

強靭な精神力をもちいろいろなことにくじけずに頑張れる性格であれば、婦人科の看護師としても成長できます。

また婦人科は非常に入れ替わりの激しい診療科でもあります。患者の入退院に、気持ちを切り替えながら対応できる看護師の方が重宝されます。

婦人科では女性の人生の縮図を見る機会も多くあります。さまざまな境遇の患者さんがくるため、偏見を表に出さないで、おおらかな気持ちで支えていくことが大事です。

苛立ちや不機嫌さを表に出す看護師は、信頼性が築けません。

それぞれに家庭の事情があり、その人なりの考え方があります。患者をあるがままに受け止め、尊重して、患者にとってベストな医療を提供しようする看護師であることが求められます。

産婦人科の看護師に向いていない人の特徴

産婦人科の看護師に向いていないのは、赤ちゃんや子どもが嫌いなタイプです。産科と婦人科は近い場所にあることが多く、泣き声にイライラする性格は向きません。

赤ちゃんを扱うことに抵抗感があり、おむつ交換などが苦手な人は産科では働けないでしょう。

産婦人科は命が誕生する晴れやかさと、死の重さが同時に存在する科でもあります。

小さな命が失われることや、女性が苦しみながら死に至ることもあります。一度落ち込むと、なかなか立ち直れないという性格には辛い職場といえるかもしれません。

産婦人科で扱う診療は、女性の心のデリケートな部分にふれなければならないことが多くあります。ときには寄り添い、ときには適度な距離感を保てる視点がないと、治療や看護に支障をきたす場合もあります。

独りよがりにならず、相手をよく観察できるタイプの看護師でないと務まらない部署です。

一方で優しすぎる人も、相手とのコミュニケーションに一線を引けず感情に引っ張られてしまう可能性があります。優しさをもちながらも、正しく指導する姿勢を崩さない強さが必要です。

当然のことではありますが、個人情報を守れず、つい口を滑らせるような看護師は失格です。女性は特にそうした言動に敏感です。信頼感をもてない看護師には心を開かず、治療や看護を拒否されることになりかねません。

産婦人科は療養病棟のように、じっくりと患者に関われる時間があまりもてません。産科も婦人科も基本的には早いサイクルで、患者が入れ替わります。

患者さんとゆっくり関わり、ケアをしていきたいタイプにはあまり向いている部署とはいえません。

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