NICUは過酷な現場?NICU看護師の実態に迫る!
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生まれたばかりの赤ちゃんが、何らかの問題を抱えている場合に集中治療を行うNICU。大人の患者以上にデリケートであり、少しのミスも許されない現場ですが、そこで得られる働く喜びもひとしおと言われます。
しかし、ナーバスになっている親との関わりなど、一般的な診療科とはまったく違う苦労もあります。小さな命に寄り添い、支えるNICUの看護師の仕事について詳しく追っていきましょう。
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この記事に書いてあること
NICUとは
NICUが赤ちゃん専門の部署ということは何となく知っていても、中ではどのようなことが行われているのかまではわかりにくいものです。最初にNICUの基本的な知識を見ていきましょう。
新生児だけを扱う集中治療室
NICUとは、新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit)の略で、生まれたばかりの新生児に特化した集中治療室(ICU)です。
月数に満たない超未熟児や、先天的に疾患をもった赤ちゃんが生まれた場合、通常のICUでは対応できません。
NICUでは一般のICU以上に細菌感染に対して厳重な管理が行われるなど、最大の配慮がなされています。子宮に近い環境となる特別な保育器によって、温度・湿度・明るさなどを管理し、赤ちゃんに負担のない状態での治療を実施します。
赤ちゃんたちは安全な保育器の中で、酸素や栄養の補給を受けながら治療を受け、生きる力を養います。
NICUの設置は新生児科がある病院の中でも、比較的大規模で新生児に対する十分な医療技術や施設がある病院に限られます。
またひとりひとりに対して24時間体制で、密度の濃い治療を行う必要があるため、収容人数も限られます。例えば東京都でNICUのセンター的役割をもつ東京大学医学部附属病院でも、受け入れられるのは9人までとされています。
高度な技術、最先端の施設環境に加え、それに対応できるスキルを兼ね備えたスタッフが必要になるため、かなり大きな病院でも収容できる赤ちゃんには限りがあります。
またNICUに所属する医師と看護師は他の病棟や科との兼任が禁止されているため、常に同じメンバーが交代でNICUの管理をしています。
生まれたばかりで未熟ではかなくもろい命を守るために、NICUでは精鋭の専任スタッフの手ですべての看護が行われています。
GCUと NICUの違い
同じ新生児を扱う場所として、GCUがあります。こちらは「Growing Care Unit」の略で、「継続保育室」「回復治療室」「発育支援室」などと呼ばれている場合もあります。
基本的にはNICUで治療を受け急性期を脱した後でケアされるところですが、体重や赤ちゃんの状態によっては、最初からGCUで診ることもあるようです。
集中治療を受け状態が安定してきた赤ちゃんでも、いきなり一般病室での看護は難しいことがあります。引き続きしっかりとした管理下で治療を受け、また退院までの準備を行います。
GCUはNICUがある病院に必ず設置されているわけではなく、NICUのみで退院までのケアを行っている病院もあります。
厚生労働省が公表している文書によると、新生児医療の現場ではNICUでは3床あたり1名の看護師が、GCUでは8床あたり1名の看護師が配置されることになっています。
現在新生児医療のニーズが増える中、NICUは常に満床となっているため、GCUに早期に移して対応しているのが実情です。
そのため、GCUにおいてもNICU同等のスキルをもつスタッフの確保が求められています。
NICUで扱う疾患
NICUは超低出生体重児(1,000g未満)と、それ以外にはあらゆる疾患をもつ新生児が対象となっています。新生児であれば、内科や外科、その他の疾患や外傷などについてもすべて対応します。
基本的には一度も病院から退院したことがない赤ちゃんが、NICUに収容されます。
先の例にあった東京大学医学部附属病院など特に高度な医療を扱うNICUでは、ECMO(体外式膜型人工肺)やCHDF(持続的血液濾過透析)といった他のNICUでは対応できない治療も行っています。
こちらの病院では年間で200〜250人ほどの新生児を治療しており、そのうち低出生体重は3~4割、外科疾患や先天性心疾患の赤ちゃんがそれぞれ2割程度になるといいます。
最近は妊婦の高年齢化が進み、それに従って新生児の疾患リスクも増えてきているようです。
NICUで働く看護師の役割
新生児、それも何らかの疾患や問題を負った急性期の赤ちゃんのみを扱うNICU。その中で看護師は、どのような役割を果たしているのでしょうか。
NICUで働く看護師の主な仕事は、次の3つです。
- 新生児のバイタル管理・ケア
- 医療補助
- 家族の精神ケア
バイタル管理と生活のケア
NICUの赤ちゃんたちはそれぞれが保育器の中で、懸命に生きようとしています。モニターや人工呼吸器、輸液ポンプなどのさまざまな医療機器がつながれ、常時監視されています。
看護師は赤ちゃんの検温を行ったり、モニターの画面をチェックしたりしてバイタルを把握します。わずかな異常も見逃さず、医師に報告することがもっとも重要な役割といえるでしょう。
また母親に代わり、おむつを替え、お乳を与えるのも看護師の役目です。状態によっては母親から直接母乳を与えられることもありますが、ほとんどの場合は搾乳した母乳を保存して使います。
呼吸器などに疾患がある場合などには、挿管チューブなどを管理するのも看護師の仕事となります。
医師の補助
処置が必要なときには医師が行い、看護師は処置の補助に付きます。
診察や検査、治療がスムーズに行えるように赤ちゃんの身体を支持したり、必要に応じて機器類の操作を行ったりします。
また医師の指示があれば採血や注射などの、各種処置や医療行為を行う場合もあります。ただ新生児の場合、すべての器官が微細であるため、単独で看護師が処置を行うことはあまりないようです。
家族への精神ケア
どの診療科でも患者やその家族への精神的なサポートは看護師の重要な役割のひとつですが、特にNICUではその立場が大きくなります。
家族の希望を背負って生まれた赤ちゃんに疾患があると、それだけで家族全体に暗い影を落とします。生まれたばかりの赤ちゃんを病院に残し、離れて暮らさなければならないことに、強い不安をもつのも当然です。
特に母親は子どもの障害や疾患に対して、大きな責任を感じてしまい、自らを責めてしまいがちです。また赤ちゃんがNICUにいることをなかなか受け入れられず、退院ができないことにいら立ちを見せる親もいます。
看護師は赤ちゃんの状態をわかりやすく家族に伝えながら、相手の気持ちに寄り添い、できる限り心穏やかに過ごせるようサポートしていかなければなりません。
疾患や障害をもった親にとっては、ここからが子育てのスタート地点です。退院後の生活を想定しながら、赤ちゃんの様子を細かく報告し、成長と回復を親と同じ目線で喜び合う気持ちが求められます。
ときに感情的になりがちな親に対して、プロの看護師として、また親を理解する味方として、接することがNICUの看護師に必要とされる能力といえます。
NICUで働く助産師
NICUの看護師には助産師の資格をもつ人も少なくありません。
実際にNICUで働いた経験をもつ助産師によると、現場での経験はその後にも大きな意味があったといいます。
一般的な産婦人科では実際に母親と関わるのは、5日間程度、帝王切開でも10日弱くらいの短い時間です。NICUでは退院がいつになるのかも定まらない中で、母親は面会に通い、搾乳を行います。
助産師としては、不安を抱えた妊婦の時期から、出産後の困難な成育状況を知る機会を得るのは、ほかではできない経験です。
また入院している赤ちゃんの母親にしても、「母と子」の専門家である助産師は、普通の看護師以上に頼りになる存在といえるようです。
看護師というプレートを付けていても助産師だとわかると、妊娠中や退院後の子育てへの不安について、打ち明けてくる母親は多いようです。
NICUは助産師が働く場所としても、高い価値をもつといえるでしょう。
NICUで働く看護師がつらいのはどんな時?
新しい命と向き合い健やかに成長するための手助けができる、大きな意義をもつNICUの仕事ですが、実際に現場で働くことにはさまざまな葛藤があるようです。
NICUで働く看護師が仕事で特につらいと感じる理由には、以下のようなものがあります。
- シフトが厳しい
- 緊張感の継続
- 特殊な病気と看護技術
- 患者の家族との関係
シフトの厳しさ
先にも見たように、NICUでは3床あたり1名の看護師の配置が厳守されています。そのため日勤と夜勤はほぼ同数のシフトが組まれているため、ひとりの看護師にかかる負担もそれだけ重くなります。
NICUのスタッフは専従であり、ほかの病棟の看護師との交代はできません。またNICUは「平均夜勤時間数72時間要件」 が適用されない現場のひとつです。
ただでさえ気の抜けない現場で、長時間拘束の続く夜勤が、月に何度も入っていれば心身ともに参ってしまうのもうなずけます。
NICUで働くこと自体は好きであっても、シフトの辛さに離脱していく看護師も少なくないようです。
緊張感の連続
NICUは24時間体制であるため、勤務中は常に神経を張り詰めていなければなりません。
成人であれば問題のないことであっても、免疫力や体力がない新生児にとってはちょっとした異変でも命に係わる重大な原因になりかねません。
このわずかな変化を見逃さないために、NICUのなかには常に緊張感が漂っています。当然現場では少しのミスについても、厳重な注意がなされます。
あまりの厳しさと緊張感に打ちのめされ、疲労してしまうことは想像できます。
特殊な病気と看護技術
NICUでは赤ちゃんの負担軽減のために、「ミニマムハンドリング」が基本となっています。
薄くて傷つきやすい皮膚を守るため、使われる器具やテープなどもすべて大人の患者に対する仕様とは異なります。
小児科についても語られるように、「子どもは大人のミニサイズ」ではありません。大人とはまったく異なる概念での治療が施されます。
特に新生児特有の症状や障害も多く、それに対する看護技術もほかの診療科とはかなり違う場合があります。
ある程度経験を積んだ看護師であっても戸惑う場面が多く、学んでも学んでも知識が追い付かないという思いにとらわれることも多いようです。
患者の家族との関係
看護師の役割にも出ていましたが、赤ちゃんの親を始めとする家族とのコミュニケーションは重要な仕事のひとつです。
一般的な診療科よりも、長期にわたる濃密な時間を共有することは珍しくありません。
しかし大切な子どもの状態に神経質になっている親の場合、病院に不信感をもち、その気持ちを看護師にぶつけてくることしばしばです。
辛い現場で必死に取り組んでいながら、心ないことばを投げられると精神が折れてしまいます。
いくら看護師という立場であっても、人間である以上は強いストレスを感じ、辛くなるのも無理はありません。
NICUを辞めたいと思う理由
NICUの仕事で辛さを感じ、改善できないままに辞めたいと気持ちが募っていく看護師もいます。
先に挙げたどの辛さでも、NICUを辞める動機となって不思議はありません。
しかし人間の力ではどうしようもない理由が、辞めたいという原因となっていることもあります。
それが、担当している赤ちゃんの死です。
NICUでは小さく弱い命を守るために、24時間体制ですべての医療スタッフが尽力しています。看護師もまた心を砕き、誠心誠意、業務にあたっているはずです。
元気になり、無事に両親の腕の中に帰っていく赤ちゃんが多数ですが、一方で力を尽くしても及ばない結果を迎える赤ちゃんもいます。
大人を相手にする診療科であっても、人の死を看取るのはこの上なく辛いことです。
まして本来であれば数十年生きるはずの命が目の前で消えていくのは、耐えがたい苦痛です。
看護師として接していても、長時間一瞬も忘れることなく見守り続けた小さな命が尽きるとき、家族とともに涙を流すのは人間として正常です。
さらに職業的に、もっともほかにできることがあったのではないかと根拠のない後悔にさいなまれることも考えられます。
こうした経験が度重なるうちに、喪失感や悲しみ、重責から立ち直れなくなり、ついにはNICUの現場を去ろうとするかもしれません。
仕事に対する意欲を失わせるほどの辛さは、ほかのどの理由よりも強烈です。
なぜなら赤ちゃんの死は、自分の努力や周囲の協力によって回避できる問題ではないからです。
健気に生きようとするとても小さな命を見つめながら、それを守り切れなかったとき、人間としての深い絶望にとらわれてNICU以外の場所を求めてしまう。そうした看護師がいることは、十分に理解できます。
NICUの新人看護師
新人看護師がNICUに配属されることは皆無ではありません。また、看護師の経験がある場合でも、NICUの現場はまったく異なるものとなります。
NICUで必要となる看護技術は、看護学校での学習・実習や成人の診療科とは大きく違います。
実際、看護学校の授業で新生児の疾患や早産児、超低出生体重児、先天性の病気などについて詳細に学ぶことはありません。またNICUでの看護実習を行っているところは、あまりないようです。
何よりもNICUは一般の診療科とは異なり、身体すべての疾患や障害をひとつの科で扱います。
新生児という極小サイズの身体を全部学び直す必要があります。解剖生理に加え、新生児に多くみられる病態、その対処方法などを勉強し続けなければなりません。
新人看護師はとにかく学習が必要となりますが、NICUの場合は、さらに大変です。
学生時代のテキストはあまり役立つといえず、NICUに特化した専門書も一般の診療科と比較して数は多くありません。
大規模でそのエリアの中核を担うような病院の場合、特殊なケースや困難な疾患を取り扱うことが多く、自分でも学習しておく必要に迫られます。
しかし、NICUの場合にはその手立てを探すのさえひと苦労のようです。
学校で習った知識や実習で得た経験だけでは、小さな命を看護するためには不足です。
友人や家族に協力をしてもらい練習をするというわけにもいかないNICUの業務は、現場でしか覚えていくことしかできないものが多いだけに、新人看護師にとってさらに過酷といえるのかもしれません。
実際にNICUで働く新人看護師の声では、大変な現場で不安を抱えながら、先輩看護師に支えられて業務をこなす様子がうかがえます。
生まれたばかりの命を守るという仕事に、強い希望をもって臨みました。しかしいざ働き始めると新生児にどう触れていいのか、自分の処置の仕方が新生児にストレスや不安を与えていないだろうか、と悩んでばかりいました。そんな悩みを解消してもらえたのが、チューター制度でした。チューター役の看護師から、励ましのことばをもらったり、他の新人看護師の様子を聞いたりすることができ、次第に落ち着いて業務にあたれるようになっていきました。
特に先輩看護師も自分同様に悩んだ経験があると知り、まずは自分なりに頑張ろうという前向きな気持ちになれたのが大きかったと思います。また職場にいる新生児集中ケア認定看護師による勉強会が開催され、知識の吸収に役立ったとともに、その場で日ごろの疑問を解決していくことができたのも、大きな自信につながりました。
NICUで働くことのやりがい
心身ともに決して楽ではない現場でありながら、ひたむきに業務に向き合う看護師にはどのようなやりがいがあるのでしょうか。
小さな命を守り喜びに至る過程を見られる
NICUにいる赤ちゃんはみんな、生まれたときから重篤な疾患やハンデを抱えています。
弱っていた赤ちゃんが看護師や医師の懸命な処置とケアによって、徐々に元気になっていく姿を見られるのは何物にも代えがたい感動と喜びがあるでしょう。
またその結果、落ち込んでいたご両親やご家族にも明るい笑顔を取り戻すことができ、感謝の言葉をいただけることも少なくありません。NICUで働くことで、他では得難い大きなやりがいを感じられるでしょう。
未来につながる仕事
少子高齢化が急激に進む社会の中で、子ども国全体の大切な存在です。ひとつひとつの命を守り抜くことは、社会への大きな貢献となるでしょう。
NICUで助けられた命が、やがて未来の社会をつくっていきます。
数年後には元気にたくましく走り回る子どもとなり、成人をし、もしかしたら医師や看護師になる子が出てくるかもしれません。
そうした次世代に続く仕事であることに思いをはせれば、社会的にいかに大きな意義のある職務を果たしているのかが強い思いとなって根付いていくでしょう。
最先端の医療現場で働くという誇り
NICUで働くメリットとしてもっとも大きいのは、一般病棟では経験することのできない高度な医療スキルを身に付けられるということです。
豊富な知識量と幅広い対応力という点においては、通常のICUでも同じですが、NICUでは新生児を対象に見ているため、成人よりも遥かに高度な医療スキルが要求されます。
そのため、一般病棟で働いている看護師よりも圧倒的な技術力が身につけられるといえます。
また、NIUCでは新生児の体調管理に万全を期すために、最先端医療機器が揃えられていることが通常です。
最新の医療機器に対する知識や技術も必然的に身に付くようになります。
NICUのある病院は地域の中でも大規模で、進んだ医療が受けられる場所です。その中でもNICUはトップクラスの医療現場として、中で働く看護師にも誇りがわいてきます。
NICUの看護師の収入
厳しい環境と専門性の高さから、NICUの看護師の給料は高額と思われがちですが、実態はどうなのでしょうか。気になるNICUの看護師の収入全般について見ていきましょう。
基本給は他の診療科と同じ
実はNICUに配置されたからといって、看護師の基本給に変わりはありません。
2017年に日本看護協会が公表したデータによると、大卒の新卒看護師の基本給与平均額は、206,608円となっています。
勤続10年の非管理職看護師の基本給与平均額は244,445円と、新人看護師は20万円が基本、その後はおよそ25万円が基本給の目安として考えられます。
看護師の平均月額給与は33万円前後で推移していますが、これは基本給に夜勤や超過勤務などの手当が加算されたものです。
NICUはICUと同じく夜勤についての制限が定められておらず、ほかの病棟に比べると夜勤回数が多くなっています。
この夜勤の多さが給料に反映されているため、NICUの看護師は高給であると言われるのです。
夜勤手当は各病院によっても異なりますが、一般的には2交代制の場合、1~1.5万円程度が相場です。ただICUやNICUの場合には難易度の高い症例が多いため、特別手当が加算されるケースも見られます。
基本給から見ると変わりはありませんが、夜勤回数の多さとプラスされる手当の関係で、月額給与がかなり高めになっていることが予測されます。
例えば1回で2万円の手当が付く夜勤が月に10回ある場合には、月額給与は単純計算で45万円となります。
年次や経験にもよりますが、少なくとも同年齢の看護師よりは給与額が高いのは間違いなさそうです。
NICUで働く看護師の年収
毎月の給与額で見たように、一般病棟よりもNICUの看護師の方が高収入であるといえます。年収で見た場合、NICUの看護師に限ったデータではありませんが、ICUの看護師の年収平均は550万円程度となっています。
看護師全体の平均年収は470~480万円なので、かなり上回っていることがわかります。
年収に含まれる賞与額は基本給がベースとなっているため、ほかの看護師とそこまで違いがあるとは考えられません。
年収全体を押し上げているのも、毎月の業務から発生する手当の部分が大きいのではないでしょうか。
NICUの仕事はほかの病棟にはない辛さもありますが、収入面から見た場合にはそれなりに恵まれていると言えるようです。
NICUに向いている・求められる資質
新生児の命を救う現場で働きたい、そう考えてNICUを目指している人もいるのではないでしょうか。NICUの看護師として働くためには、どのようなことが求められるのでしょう。
NICUに向く資質や、関連する資格について見ていきましょう。
これまで見てきたように、NICUは社会への貢献度ややりがいの面で高いモチベーションがもてる職場です。一方で、24時間体制の現場は過酷であり、辛さもそれ相当なものがあります。
こうした特殊な環境で働くためには、以下のような資質が必須となります。
- 心身のタフさ
- 高いコミュニケーションスキル
- 観察力・感知能力
- 寛容の精神
心身のタフさ
当然のことながら、日勤・夜勤をこなしていくためには体力が最大のポイントとなります。ミスが許されない現場での緊張感に耐えチームの連携に貢献するため、常に冷静である必要があります。
過酷な勤務にも、張り詰めた空気にも負けない心身の強さ が第一の条件です。
高いコミュニケーションスキル
NICUの看護師の特殊な役割として、ナーバスになりがちな家族への対応があります。病人を抱えた家族は普通でも物事に敏感になり、傷つきやすい反面、攻撃的にもなります。
まして生まれたばかりの我が子に命の危険や障害が降りかかっている場合、冷静になれるわけはありません。
そうした相手に対して精神的な安定を促し、病院への協力を求めるためには優れたコミュニケーション能力が必要となります。
観察力・感知能力
ことばを発することができない生まれたばかりの赤ちゃんの状態を、正しく把握するのは、そばにいる看護師をおいてほかにありません。
機器類のデータから分析する能力はもちろん、顔色や動きなど、ほんのわずかな違いから異常に気付ける看護師でなければ、NICUで務まりません。
日頃から観察眼、察知する力を養い、徴候を見逃さないことを意識するなど、自身の能力を高めていく努力はできます。現場で何が大切なのかを、よく考えて自発的に行動する資質が求められます。
寛容の精神
感情的になる親や家族に対して、またピリピリとした雰囲気の中で働く同僚に対して、心を鎮めて対応できる精神力が人間力を向上させます。
看護師としても人としても信頼されるためには、自身の気持ちに振り回され、私情を爆発させるようなことがあってはなりません。
相手の立場を考え、理解する努力をできる看護師であれば、NICUで大きな力となることができます。
NICUで働く看護師に関連する資格
必ずしも関連資格を取得することが、NICUで働く条件というわけではありませんが、特殊な環境下で業務をこなす上で役立つ資格はあります。
またNICUで働くことを目指す際に、取得していると優遇されたり就職が有利になったりということは十分に考えられます。
新生児集中ケア認定看護師
新生児集中ケア認定看護師は、急性期、また重篤な状態にある新生児のケアや処置に関する知識と技術を習熟し、専門性に特化した看護師であることを認める認定資格です。
「ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防」「生理学的安定と発育促進のためのケア」「親子関係形成のための支援」の3つをメインとしています。
2020年度から新たな認定分野として加えられたもので、妊婦の高齢化などで急増するニーズに対応するための資格です。
内容としては、ハイリスク新生児の急性期の全身管理や個別ケア、家族支援など精神的なケアを含み、気管カニューレの交換といった技術も学びます。
新生児集中ケア認定看護師を取得することにより、新生児に対する看護の深い知識を身に着け、NICU看護師としての自信を高められます。
NICUという現場に真摯に向き合う姿勢を示し、チームスタッフからの信頼も得られるはずです。
新生児集中ケア認定看護師となるためには、通算5年以上の実務経験(うち3年以上は認定分野での実務研修)が条件とされています。
NICUでの経験を得ながら、学んでいく必要があります。
助産師
お産のプロである助産師の資格は、NICUでも大きな力となります。
助産師は新生児の取り上げやその後のケアを専門に行う人であり、生まれたばかりの赤ちゃんとその母親に対する深い知識を有しています。
そのため、新生児のみを扱うNICUでは助産師の資格を持っている看護師は特に優遇される傾向にあるようです。
先にもありましたが、助産師の資格がある看護師は母親からの信頼も厚く、心を開いて相談するというケースも見られます。
母親への精神的なケアという面でも、助産師の知識は重宝されます。
しかし同じ病院内の産科で助産師が足りないときには、そちらに呼ばれる場合もあります。NICUの業務は掛け持ちができないため、不本意にも異動しなければならなくなります。
紹介したいずれの資格にしても、取得がゴールではなく、そこからスタートラインです。資格をもつことで周囲から頼りにされたり知識を求められたりする場合もあります。
取得した資格に自信をつけていくのは、看護師としての働き方にかかっています。
関連する資格はNICUという現場にあって、小さな命を守るために何をすれば良いのか、それを教えてくれるひとつの指針となり得るのかもしれません。
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