[ 記事作成日時 : 2015年6月30日 ]
[ 最終更新日 : 2020年6月21日 ]

手術室看護師を辞めたい!とストレスを感じたときに読んでほしいこと

手術室看護師

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看護師はだれもが大変ですが、特に手術室看護師の業務は特殊であり、看護学校で学習した以外の仕事が多く、中でも新卒1年目や2年目がつらいと言われます。

手術室看護師を辞めたいと思ったとき、「辞めたい理由」「これまでのやりがい」「これからやりたいこと」をひとつひとつ考えていくと、これからの展望が開けてくるでしょう。

      
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手術室で働いていた看護師が語る。こんなところがつらかった!

最初に、手術室勤務の看護師の経験談です。手術室は全ての診療科を扱うため、覚えることがたくさんあり、勉強が追いつかないことがつらかったと振り返っています。

手術室看護師の経験談1

手術室勤務で一番つらかったのは、新卒1年目の6月から11月にかけてでした。私は地元でも大きな急性期病院の手術室の看護師として勤務。外科、整形外科、心臓外科、脳神経外科、産婦人科、形成外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、眼科、歯科と10科の手術を行っていました。

手術室看護師の業務は、おもに医師に器械を渡し、手術の進行を助ける器械出しと、外から麻酔の管理、手術の流れを助ける外回りです。

外回りの業務では、手術の流れや手術内容、麻酔時に使用する薬剤、手術中の記録内容などを各科に合わせて覚える必要があります。器械出しも同様で、各科に合わせて必要な器械などを準備しなくてはなりませんし、器械の名前から器械出しの手順や応用を覚えなければなりません。

各科の手術についての勉強が追いつかず、先輩からはできないことを毎日厳しい言葉で指摘されます。寝不足になり、看護師には向いていないと何度も思いました。

乗り越えられたのは、先輩に思い切って自分に何が足りていないかを聞いたことでした。また、同期や近い年代の先輩にわからないことについて確認したり、互いに聞き合ったりして、共通理解をもつことで、少しずつできることが増えてきました。自分にできないこと、わからないこと、困ったことをしっかり確認して少しずつ向き合っていきました。 

技術面ではできないところを練習し、知識面では力をつけられるようになりました。

そうすることで少しずつわかることも増え、積極的に動くことができ、少しずつ仕事を乗り越えることができました。

私は看護学校を卒業して、看護師とは何かをわかったつもりでいました。でも実際に患者さんに関わるようになると、自分は知識も技術も未熟で、まだまだ勉強が必要でした。今になってつらかった時期を振り返るとそう思います。

(一般病床約500床、手術室11室の二次救急医療施設の手術室に勤続3年 24歳)

手術室看護師の経験談2

小児専門病院内の手術室に8年勤務。全科の手術業務をしていました。小児専門病院だったので、病気が特殊であり、先天性のものがほとんどで、看護学校で学ぶ病気以外もたくさんありました。また脳神経外科や心臓血管外科からアレルギー科まで全ての分野があるため、かなり専門性の高い知識が要求されました。

さらに未熟児、乳児、幼児、学童など、発達段階も異なりますし、先天性の場合、人によっても病気や奇形の重症度もまったく異なるため、その子オリジナルの治療となる場合もかなり多くあります。また患者である子どもたちの家族との関わりも非常に重要でした。ですから、小児科手術室看護師は、一次救命処置などのスキルの他に、チャイルドマインダーやタッチケアのスキルもあるといいと思います。

大変だったのは、小児手術室は全科の患者を扱うところだったので、毎日勉強し続けなければならなかったことです。また小さい子がたくさんの管につながれて命をつなぐしかないような姿を見るのもつらかったです。

ただ子どもたちがとにかくかわいく、子どもたちや家族から感謝され、お礼を言われるのはうれしいものでした。

(小児病院内の手術室に8年勤務)

自分と向き合い、本音を探ろう

手術室看護師の経験者が語るように、手術室看護師にはつらいこともあれば、達成感もあり、報われることもあります。自分にとっての手術室勤務を振り返ってみましょう。

何にやりがいを感じているのか?

これまで、自分が手術室看護師として、何にやりがいを感じてきたのかを思い出してみましょう。「必要な器械の先読みができた」「手術のことがわかったという達成感」「実習で手術室看護師をかっこいいと思い、そして今、自分が手術室看護師となれた喜び」などがあるでしょう。術後訪問で患者やその家族から「ありがとう」と言われたうれしさもあります。

「手術室看護師が経験している手術室看護の魅力」(※1)という研究報告でも手術室看護の魅力を分析しています。結果では「手術室看護の専門性・独自性を発揮できる」と「チーム医療の一員として協働できる」という二つの魅力があるとあります。

「手術室看護の専門性・独自性を発揮できる」というのは、「手技の上達」「手術の進行に貢献する」「安心を提供できる要として患者と関わる」「患者の身体を守る責任」「リスク管理ができること」とあり、「手術室看護に<成長できる専門性>があることを魅力」としています。

「チーム医療の一員として協働できる」というのは、「他職種やエキスパートからの刺激」「チームに駆られる使命感」「共通の目標に向けての一体感」「支援し合える関係性」「チームで相互成長できる」「チームに果たす役割と責任」「信頼するチームに所属できる」とあり、「チームに希望が持てる」ことが「手術室看護の魅力」として語られています。

出典:吉田和美 研究報告「手術室看護師が経験している手術室看護の魅力 Attractive Points of Operating Room Nursing for Operating Room Nurses 」『日赤看会誌』 J Jpn Red Cross Soc Nurs Sci Vol.12, No.1, pp.27-35, 2012(※1)

なぜ辞めたいの?

手術室看護師は、どのような理由で辞めたくなるのでしょうか?

新卒の場合、学校で習っていないことばかり

手術室看護師は特に1年目が大変だといわれます。例えば病棟での清拭(せいしき)や血圧の測り方など基本的なことは実習で経験しますし、小さな頃から病院はなじみのあるものです。しかし手術室というのはなじみのない場所であり、何よりもほとんど初めてのことばかり。器械出しにしても、手術室の清潔・不潔のルールにしても学習していないことばかりなのです。

緊張感がある

一つのミスも許されない緊張感の中での長時間作業は疲弊します。手術室の緊張した空気に慣れることができない人もいます。

術式がたくさんあり、毎日違うことをやる

病棟勤務などでは、じっくり同じ患者と付き合うことができますし、スタッフも決まっています。しかし手術室は術式も患者も、毎日違います。毎日違うことに対応しなければならないことをつらく感じるかもしれません。扱う器械も多いので、どうしても器械の扱いになれなくて悩む人も多くいます。

スタッフとの連携が必要

各科にまたがっているので執刀医の数も多く、麻酔科医、薬剤師、臨床工学技士など多くのスタッフがチームとして業務にあたります。受け持ちの患者さんも多く、病態もさまざまです。出入り業者も多くいます。多くの人と連携することが苦手な人は向いていないかもしれません。また、手術中に医師のイライラを直接ぶつけられるという経験をする看護師も少なくありません。

達成感を得にくい

手術室は患者との関わりが少ないこともあります。手術室は看護師の中でも、患者から「ありがとう」と言われることが少ないともいわれています。手術前の患者は緊張していますし、手術直後は局所麻酔で意識があったとしても、まだ「ありがとう」という気持ちではないでしょう。手術室看護師の術後訪問を行っていない病院もあるので、達成感を得にくいのかもしれません。

手術室で働くことで得たことは?

手術室看護師の経験で身につくスキルとしては、以下のようなものが考えられます。

  • 外科の看護技術や手術介助の技術
  • 患者へのカウンセリング・検査技術
  • 手術器械・器材の知識
  • 臨機応変な対応力
  • 冷静な判断力

手術室看護師になれば外科、手術介助という専門的な知識、技術が飛躍的に身につき、特殊なスキルとなります。

患者の状態の把握や、観察力も手術室看護師という立場でこそ培われるスキルであり、手早い処置、緊急時の対応などは、どこの医療現場でも歓迎されます。大量の出血や人体内部を目の当たりにしてきた手術室看護師は、大抵の光景には動じなくなり、どのような状況でも、常に冷静でいられることもスキルの一つです。

次のステップを考えてみよう

手術室看護師は、看護師の中でも特殊業務が多くなります。それゆえに、「他部署に異動しても使えない」と言われたり、逆に「手術室ならどこでも働ける」と言われたりします。しかし、どのような職種であれ、異動すれば仕事のやり方は違うものです。

また、自分の心構えとしては、「一から覚える」という気持ちを忘れてはどこでもやっていくことはできません。ですから手術室看護師の業務は特殊ですが、選択肢が少ないわけではありません。

では、次のステップを考えてみましょう。次のステップを考えるとき、まず手術室看護師を続けるのか、それとも手術室看護師を辞めて他の診療科に変わるのかを考えましょう

もう少しがんばってみる

先ほど紹介した2人の手術室看護師の経験談からもわかるように、手術室看護師は配属されて最初の頃がつらいようです 国立大学病院と公立大学病院を比較した研究(※2)でも、臨床経験年数に関係なく、手術室経験年数が浅い者のストレス得点が高いという結果があります。手術室看護師は、新卒であっても経験者であっても、手術室看護師としての経験が少ないほどストレスがたまるということでしょう。

ですから1年目を過ぎると少しずつ楽になるともいわれます。もしかしたら、とにかく1~2年やってみる、というのもいいかもしません。高齢化などにより、手術件数は増えていて、手術室看護師の需要も増えています。

一人前の手術室看護師になるには時間がかかるもの。もう少しがんばってみてもいいでしょう。もう少しがんばりたいと思うなら、小さくても毎日の達成感と、目先の目標をつくるといいでしょう。手術室看護師は、毎日やったことのないオペの連続なので、その都度「できない」「できない」となりがちです。

ですから「今日は時間に間に合わせて準備ができた」「予測してタイミングよく医師に器械が渡せた」という小さなことでも、「今日はこれができた」ということを思い出し、達成感を得るようにしましょう。

そして、「いつかこのオペをやってみたい」「心臓外科のオペができるまで続けよう」など、何か目標をもちましょう。手術室関連のセミナーも多く開かれていますから、参加してスキルアップを目指ししたり、他の病院の手術室看護師と交流したりするのもおすすめです。

 出典:須藤絢子「手術室看護師のストレスとモチベーションの関連 ―国立大学病院と公立大学病院の比較 ―」『北海学園大学大学院経営学研究科研究論集』※2

他部署への異動

手術室看護師の業務は特殊なので、他部署への異動は不安があるかもしれません。また、他部署では、即戦力としては役に立ちにくいかもしれません。しかし看護師としての基礎知識はありますし、経験者によると、謙虚に学ぶ姿勢があれば、それほど困らないようです。

手術室看護師が他の部署に異動したときの一番の強みは、患者に手術について説明できること。看護師の多くは、手術室でどのようなことをしているのかは具体的に説明できないものです。

病棟勤務でも外来でも、手術室看護師なら手術についての説明もできますし、手術後に痛みが出た患者にも、どのような機序で痛みが出てきたのかを話すことができます。

では、手術室看護師としてのスキルを役立たせるとしたら、どのような部署がいいでしょうか。手術室看護師の経験が活きる部署を挙げるなら、ICUもいいでしょう。手術室から引き継がれる部門ですから、手術室での介助の経験が十分活かせます。手術室と隣接しているため、業務内容にもなじみがあります。

もう一つ勧めたいのがペインクリニックです。

ペインクリニックでは、片頭痛、椎間板ヘルニア、がん性疼痛(とうつう)、そして術後痛など、ありとあらゆる痛みが対象となります。麻酔科医のサポート役としての経験を発揮できますし、ペインクリニックの需要も増えていますから、手術室看護師からの転職にもいいでしょう。もちろん、外科では、手術室看護師の経験を活かすことができます。

手術室経験を武器に転職

手術室看護師は、全国どこの病院でも手術室看護師として働くことができます。全国の7割の医療機関が看護師不足を訴える状況であり、しかも高齢化などにともなって手術件数は増えているので、手術室看護師の経験は強い武器となるでしょう。

また、手術室看護師としての採用ではなくても、器材や薬剤、術式といった多彩な知識を身につけ、厳しい職場で働いてきた経験は活きるものです。手術室のない病院であっても、緊急時に頼りになる存在として活躍できる可能性は高いでしょう。

手術室看護師からの転職を成功させるためには、自分が本当に求める職場について、下記のようにリストをつくって書き出すといいでしょう。

  • 患者との触れ合いが欲しい・回復を見届けたい
  • 殺伐とした現場ではない職場で働きたい
  • 人間関係が穏やかな職場で働きたい
  • 休日に呼び出されるのはいやだ
  • 定期的な休憩が取れる職場がよい
  • 一般的な看護師としてのスキルを得たい

その後に、もっとも転職先で重視することの順番を決めていきましょう。

教育環境が十分な医療機関へ転職

もう一度、一から学び直す決意で、教育環境が十分な医療機関へ転職するという手もあります。

例えば手術室看護師の場合でも、先の「手術室看護師のストレスとモチベーションの関連」研究(※2)で、「国立大学病院よりも人員配置の少ない公立大学病院の手術室看護師は、よりストレス得点が高くモチベーションの得点が低下している」ことがわかっていますから、人員配置の多い病院を選ぶとストレスは少なく、モチベーションは高く学ぶことができるでしょう。

では、教育環境が十分な医療機関かどうかは、どのようにすればわかるでしょうか。大学病院の多くは教育環境がいいともいえますが、人数も部署も多いので、入職する職場がどうかはわかりにくいかもしれません。

看護学校のときの友人や多くの施設に出入りしている業者に聞いてみたり、外部のセミナーに参加して、他の病院の事情を教えてもらったりするのもよいでしょう。転職を決める前に見学できるところもあります。

「手術室勤務は夜勤が少なく、定時に終わることが多く、やることがはっきりしているので働きやすい」という看護師もいれば、「どうしても手術室が合わない」という看護師もいます。

どのような職場でも手術室看護師の経験は役立ちます。もしつらくなって辞めようと決心したら、自分が手術室に向いていないことを素直に認めて、「これから自分はどのように働きたいのか」をしっかり考えて、前に進みましょう。

参考文献

参考:日本手術看護学会

出典:国家公務員共済組合連合会佐世保共済病院 中央手術室 小野幸子 坂本陽美 中村加代子 有馬裕美子 森山栄子「手術室看護師のストレスの実態」

出典:石橋まゆみ「手術室看護師の役割ー日本手術看護学会としてー」『日臨麻会誌』終了Vol.35 日本臨床麻酔学会第34回大会シンポジウム

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※ページ内の求人数は職種別に集計しています。