[ 記事作成日時 : 2015年8月7日 ]
[ 最終更新日 : 2020年1月29日 ]

循環器科で働く看護師の仕事内容は?やりがいと働くメリットを解説

循環器科の看護師

人間の身体中を巡る血液。血管や血液の流れに異変が起こると、重大な症状を引き起こします。

循環器科は血液に関わる疾患を扱う診療科です。症例は多岐にわたり、そこで働く看護師にも多くの知識と技術が求められます。難しい仕事に思われますが、それだけにやりがいもありそうです。

循環器科で働く看護師の業務内容や、メリット・デメリットについて解説していきましょう。

循環器科とは?循環器内科と循環器外科の違いについて

血液の流れに関わる疾患が対象

血液は人間の身体のすみずみを巡りながら、酸素をはじめとして生きるために必要なさまざまな物質を身体中に送り届けています。

診療科における「循環」は、この血液の流れを指しています。循環器科の対象となる病気は、大きく3つに分類されます。

  • 動脈に関係する疾患
  • 心臓に関係する疾患
  • 腎臓の疾患

動脈は血液の通り道であり、心臓は血液を送り出しまた、回収します。

また腎臓は循環する血液の水分量や血圧、血中の老廃物をろ過する役割などをもつ臓器です。

循環器科ではこうした部位で発生する、さまざまな病気についての診療や治療を行っています。

具体的には、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、狭心症、心筋梗塞、心不全、心筋弁膜症、不整脈、慢性腎臓病、ネフローゼ症候群などの他、喫煙が原因といわれる疾患や痛風についても循環器科の範囲となります。

循環器内科と循環器外科の違い

循環器科には循環器内科と循環器外科の2つの科があり、循環器外科は心臓血管外科と呼ばれることもあります。

まず循環器内科で診察を受け、その後、治療方法に応じて内科または外科に分かれます。

循環器内科では基本的に、投薬、カテーテルを使った治療までを行います。循環器外科では心臓や大きな血管の手術など、外科的で比較的難易度の高い治療が行われます。

扱う部位は共通していますが、対処法によって内科と外科に分かれます。

循環器内科・循環器外科で働く看護師の業務内容

循環器科では外来、内科、外科によって看護師の業務内容が異なります。それぞれの部署について見ていきましょう。

循環器科の外来での看護師の役割と仕事内容

外来や入院設備のないクリニックなどの循環器科の看護師業務は、医師の診察介助や検査介助がおもな業務となります。

患者に対しての検査の説明やバイタルサインのチェック、検査機器の準備を行います。

検査や診察がスムーズに進められるよう、臨機応変に対応していくのが看護師の役割です。

具体的な業務としては、以下のようなものがあります。

  • 患者への検査の説明
  • 事前のバイタルチェック
  • 心電図や心エコーの準備と、専門スタッフの補助、後片付け
  • 検査室などへの患者の誘導
  • 診察室での患者への対応、医師の補助
  • カルテ・伝票の処理

検査に使う医療機器の操作は医師や専門の技師が行いますが、循環器科で働く以上は心電図の読み方医療機器の基本的な扱い方は覚える必要があります。

また他の医療スタッフと共同で業務を遂行することも多い職場であるため、チーム医療を円滑に進められるようなコミュニケーションも心がける必要があるでしょう。

循環器内科の病棟での看護師の役割と仕事内容

循環器内科では、薬物療法やカテーテルなどによる治療をおもに行っています。心臓内科、血管心臓内科といった名称を使っている病院もあります。

具体的な看護師の業務には、以下のようなものがあります。

  • 点滴や採血
  • 入院患者の投薬管理
  • バイタル測定
  • 生活介助
  • 心電図や心エコーなどの検査準備
  • カテーテル治療の準備
  • 治療後の体調管理と観察

看護師にはカテーテル治療後の心電図モニタリングや、穿刺を実施した箇所の状態観察合併症の有無などの確認作業があります。

病状が急変する患者が多く、対応が遅れたばかりに命に関わることも多い診療科です。鋭い観察眼をもち、体力に自信のある看護師でなければ務まらないでしょう。

循環器外科の病棟での看護師の役割と仕事内容

冠動脈形成術や心臓カテーテル検査などの外科的手術を伴う循環器系疾患のある患者は、循環器外科の病棟に入院します。

循環器内科と同様の業務もありますが、手術前のオリエンテーション術後の管理といった外科特有の業務も多数発生します。

循環器外科の看護師の具体的な業務内容には、以下のようなものがあります。

  • 手術前オリエンテーション
  • 術前の患者の体調管理
  • 点滴・採血
  • 投薬管理
  • 術後の経過観察
  • 退院指導

循環器外科の手術では術後に急変する患者も多く、看護師には全身の細かいアセスメントが要求されます。

場合によっては再手術を行ったり、ICUやCCUへ送られたりする例もあります。

循環器外科の看護師は頻繁にバイタルチェックを行いながら、病変の経緯を詳細に記録し重大事に備える必要があります。

退院時の指導も看護師の重要な役割です。

生活習慣病の患者への生活指導も含め、退院後に疾病のある部位に負担をかけないような暮らし方について、患者に理解を求めます。

心不全や心筋梗塞などの心疾患を患う高齢者も多く、患者やその家族に対する看護師の説明がその後の病状の経過に大きく影響します。

循環器科の職場環境とは?忙しさと人間関係について

循環器科の労働環境

循環器科の病棟は業務内容が多岐にわたり、また急性期患者や重症患者も多いため非常にハードな職場といえます。扱う病気の数も多く、専門用語が飛び交います。

入院患者はたくさんのモニターに囲まれており、その波形の異常にすぐに気づかなければ命に関わるというケースもあります。専門書が手放せないという循環器科の看護師も多いようです。

一日の業務が分刻みで進行していくため、いかに段取りをうまくできるかが仕事の効率に現れる部署です。

急変する患者が珍しくない部署だけに、残業も多くなりがちと考えてよいでしょう。

加えて専門性の高い知識やスキルが必要とされ、病院内でも勉強会や研修が頻繁に行われます。

当然自己学習も必要となるため、のんびり仕事がしたいという看護師には向かない職場と言えます。

循環器科の人間関係

循環器科は、少しの見逃しや方針の誤りがあっても、一気に重篤化する恐れがある患者ばかりです。

総合病院の循環器内科や循環器外科、循環器専門病院また循環器系のクリニックなど、いずれの医療機関であっても、チームが一丸となって患者に対応していることは変わりません。

医療スタッフ皆が頻繁にコミュニケーションを取り連携体制を取っていなければ、わずかな時間の遅れが生死に影響する可能性もあります。

皆が患者のためにという目標の下で働いています。スタッフどうしの人間関係のせいで患者への対応が遅れるようなことは、万が一にもあってはならないことです。

プロとしてお互いを尊重しながらそれぞれの役割を果たしているため、循環器科の看護スタッフどうしの人間関係は円滑であることが多いという印象です。

厳しい現場であるからこそ、人間関係が良好に保たれているといえるでしょう。

循環器科の看護師は本当に給料が高い?収入の実態とは

高給イメージは手当の多さから

循環器科の看護師の給与は、基本的には他の科と大差がないと考えてよいでしょう。

常勤で働く看護師の場合、全国平均水準と同じ月収は25~35万円が相場となっています。ただ一般的には、循環器科の給料は高めといわれています。

循環器科は救急科が併設されていることも多く、非常に看護業務が多い科です。

手術も夜勤も多めの職場ということもあり、夜勤手当や深夜勤手当、残業手当、手術手当などが追加されます。

大抵の循環器内科や循環器専門病院ではひと月あたりの手当に制限はるものの、これらの手当を含めると年収は500~550万円ほどで、一般の病棟勤務の看護師年収より若干高くなります。

また、病院によっては「循環器専門ナース」など循環器に特化した資格に対して資格手当が出ることもあります。それ以外にも循環器科の看護師としての経験年数が加算される病院もあります。

ハードな仕事がその後の評価に

循環器科での経験がその後の収入アップにつながるという可能性は、おおいに考えられます。循環器科は、一瞬のミスが患者の命に関わる緊張感にあふれた現場です。

そこで鍛えられた看護師は行動力も判断力も向上し、生命維持についての知識も豊富になります。

多少のことでは動じない冷静さをもち、チームワークの重要さを良く理解しコミュニケーション能力も高い看護師であれば、どこの診療科でも大歓迎されるでしょう。

循環器科で働いた経験によって評価が上がり、看護師としての収入増につながっても不思議ではありません。

循環器科看護師のスキル

循環器科で働くことにより習得できるスキルは、看護師としてとても価値あるものです。

循環器内科や循環器外科の患者は状態が急変することや、重症であることが多く、それに対応していくうちに脈拍や血圧といったバイタルサインから異常兆候を読み取り、早期対処・報告連携を行うフィジカルアセスメントを自然に体得できるでしょう。

また、日常的に心電図や輸液ポンプなどを扱うため、これらの医療機器の操作にも慣れると同時に、心電図の読み取りやアセスメントなどの専門スキルも身につきます。

バイパス手術やカテーテル治療といった最先端の医療にふれる機会が得られ、医療知識や看護技術の向上が期待されます。

循環器科に適性がある看護師とは?

循環器科で働く看護師の適性としては、以下のようなことが挙げられます。

精神的にタフであること

循環器科は心臓や血管に疾患がある患者が対象となるため、急性期や重症、また高齢者のことが多く、常に緊張感が強いられる診療科です。

日勤・夜勤に限らず、ナースコールにすぐに応えられなければ、生死が分かれることもあります。

また、循環器内科や循環器外科の看護師は、入院患者のバイタルチェックや与薬、生活習慣病の患者の生活指導、手術前後の患者管理、点滴や血液検査など、非常に多くの業務内容をこなさなくてはなりません。

数多くの業務をこなすための体力、物事に動じず冷静に判断を下すことのできる強い精神力が求められます。

体力があること・学習意欲があること

循環器科では、専門性の高い知識やスキルが必要とされることが多いので、勉強会や研修なども頻繁に実施されます。

体力なしには看護業務と勉強会の双方を乗り越えることはできません。自ら積極的に学び取る向学心も必要です。

観察能力が高い

どの診療科でも同じですが、患者を観察することはすべての医療の基本です。

特に循環器看護では早期処置を行うことで、患者の生死に関わるリスクが格段に下がる場面が多々あります。

顔色の変化、目の動きや濁りなど、体調の変化を示すサインは至る所に表れています。

普段から患者をよく観察し、変化に敏感に反応することで患者の命を守ることにつながります。

コミュニケーション能力が高い

循環器科では申し送り事項などの伝達方法が、他の科と異なることが多いといわれます。

これは情報をチームスタッフ全員と共有し、早期治療の実施を目指すためです。

どれほど多忙な中でもスタッフとコミュニケーションを的確に交わすことができ、そうしたことが苦にならないタイプであれば、循環器科看護師としての適性があるといえます。

循環器科看護師の関連資格にはどのようなものがある?

循環器看護師に関連する資格には、以下のようなものがあります。

循環器専門ナース

「循環器専門ナース」は臨床心臓病学教育研究会の認定資格です。

看護師経験5年以上(正看護師経験かかわる1年以上含む))、かつ学会が開催する循環器専門ナース研修会に参加し、既定の試験を合格すると取得できます。

循環器についての高度な専門知識をもつ証明となるため、最初にこの認定資格取得を目指す看護師が多くいます。

慢性心不全看護認定看護師

「慢性心不全看護認定看護師」は日本看護協会が認定する資格です。

資格取得の受験に向け日本各地にある認定看護師教育機関で、慢性心不全に関する専門性の高い教育を6ヶ月、615時間以上受けることが必要でしたが、2020年からの新しい認定看護師教育は、「1年以内、800時間程度」となります。

受講資格はナースとしての5年以上の経験と、循環器科における慢性心不全看護の実務経験が3年以上とされています。

受講後に受験し、試験に合格すると慢性心不全看護認定看護師資格が授与されます。

専門スキルの高さと知識を維持するため、5年ごとに更新を行います。

急性・重症患者看護専門看護師

「急性・重症患者看護専門看護師」は上記と同様に、日本看護協会が認定する資格です。

受験するためには看護師として5年以上の経験と、そのうち少なくとも3年は循環器科などで急性・重症患者の看護師として実務に携わった経験があり、看護系大学院修士課程を修了し、所定の単位を取得している必要があります。

呼吸療法認定士

正看護師は2年、准看護師は3年以上の実務経験をもち、必要とされる講習会に参加し、試験に合格することで「3学会合同呼吸療法認定士」の資格取得ができます。

看護師業界の中では広く知られた資格であるため、2018年時点で50,000人以上の保有者がいます。

循環器科で働くメリット・デメリット

循環器科で働くメリット

循環器科で看護師が働くメリットには、以下のようなものがあります。

  • 看護師としてのスキルアップができる
  • やりがいが感じられる
  • 最新医療や機器類の知識と経験が養える
  • 精神的な成長が望める
  • 転職時に有利

循環器科は看護師としてのスキルアップを狙える職場として、脳神経外科や手術室に並んで人気があります。

心臓や血管に関する医療は、常に最先端技術が用いられます。

命に関わるさまざまな症例と日々接することで看護ケア技術が向上し、仕事にやりがいを感じられます。

また心電図や心エコーなどの循環器科特有の医療機器の扱い方だけではなく、循環器科で使用する専門用語や略語などについても知識を深めることができます。

循環器科は勉強熱心な看護師や経験豊かな医療スタッフが多いので、周囲から強い刺激を受けながら自身の成長を感じていけるでしょう。

循環器科で働いた経験は他の診療科でも高く評価されるため、転職時には有利です。

循環器科で働くデメリット

看護師として大きく成長できる循環器科ですが、デメリットもあります。

  • 夜勤や残業が多い
  • 常に緊張感が求められる
  • 学ぶことが多い

看護技術向上や知識向上には非常に良い職場である一方、看護師の働く場としてはかなりハードです。

夜勤が比較的多く、患者の急変により残業も頻繁に発生します。ナースコールに対しては迅速な対応が不可欠とされ、高い集中力が求められます。

生死に関わる場面も多く、プレッシャーとストレスから逃れるのが難しい現場です。多くの専門知識が必要となるため、研修会や勉強会への参加とともに自主学習が必須です。

手当がつくため給与自体は高めですが、業務内容から見ると妥当とはいえないかもしれません。

しかし、看護師人生においてのキャリアアップを目指すのであれば、循環器科の業務はスキル向上ができやりがいのある職場といえます。

循環器科での経験が、看護師としての将来的な可能性を広げてくれることは間違いありません。