[ 記事作成日時 : 2015年6月30日 ]
[ 最終更新日 : 2020年6月21日 ]

回復期リハビリ病棟看護師の役割・仕事内容は?給料や適性、資格も解説

回復期リハビリの看護師

回復期リハビリテーション病棟の需要は日本社会の高齢化と共に高まり、地域包括ケア病棟と同様に増加傾向にあります(※1)。一般病棟と比べると、長期間入院する患者が多いため、一人ひとりの患者に向き合って看護を行い、回復の喜びを分かち合える、やりがいのある職場といわれています

その一方で「看護師として学べることが少ない」という意見もあります。本当にそうなのでしょうか。回復期リハビリテーション病棟における看護師の仕事内容、役割、向き不向きについて詳しく紹介します。

出典:入院医療等の調査・評価分科会令和元年7月25日(※1)

回復期リハビリテーション病院とは

病気やケガの発症から急性期医療を経て、回復期に入った患者を受け入れるのが、回復期リハビリテーション病棟。回復期リハビリテーション病棟を主体とする病院を、回復期リハビリテーション病院といいます。看護師が携わるのはリハビリテーション看護です。リハビリテーション看護について日本リハビリテーション看護学会は、次のように定義しています。

リハビリテーション看護の定義 リハビリテーション看護とは、疾病・障害・加齢等による生活上の問題を有する個人や家族に対し、障害の経過や生活の場にかかわらず、可能な限り日常生活活動(ADL)の自立とQOL(生命・生活・人生の質)の向上を図る専門性の高い看護である。

回復期リハビリテーション病棟のやりがいと向き不向き

看護師が回復期リハビリテーション病棟の業務にやりがいを感じるかは、その人の人生設計や、仕事に対する考え方で変わってきます。また、職場環境に左右される部分も少なからずあるようです。

回復期リハビリ看護師のやりがい

患者が回復していく姿を見られる喜びを、やりがいとする看護師が多いようです。脳梗塞や骨折、外傷など入院期間が長い患者が多いため、患者や家族とじっくり向き合うことができます。

回復期リハビリテーション病棟では他職種とチームで医療に取り組みますが、看護師の役割は重要です。患者と接する機会が多いため、体調やメンタルの変化を近くで長い時間観察することができるからです。リハビリに集中できているか、二次合併症が起きていないかなど、看護師の知識・視点から得た気づきをチームへ共有することが求められます。チームが連携よく細やかな医療を提供することが患者の退院時期を早め、退院後の生活の安定へとつながっていきます。自ら気づき考え医療に貢献している実感が、やりがいにつながるでしょう。

回復期リハビリ看護師の向き不向き

容態の急変は少ない患者が多く、リハビリは毎日の地道な積み重ねです。長い目で患者を見守れる人、小さな変化にも細やかに気づける人、患者や家族の生活や気持ちを想像して思いやれる人が回復期リハビリ看護師に向いています。将来、慢性期の医療や介護施設で働くことを視野に入れている人にも、回復期リハビリテーション病棟の勤務経験は強みになるはずです。

また、医療機関の診療科目や認知症高齢者の割合などによって、看護師が行う医療行為は大きく変わります。ストーマや気管カニューレなど装身具交換が必要な医療機関もあれば、検温や血圧測定がメインのところもあります。幅広い医療行為の経験を積んで将来急性期医療に携わりたいと考える人、救急医療にやりがいを感じている人には、向いていないと言えるかも知れません。しかし、患者と向き合う看護のあり方を見つめ直したい人には、得るものがある仕事といえるでしょう。

回復期リハビリテーションの対象疾患と入院期間

厚生労働省のガイドラインでは、回復期リハビリテーションの対象疾患や入院期間を定めています。

回復期リハビリテーション病棟の役割

回復期リハビリテーション病棟の役割は、日常生活動作(ADL)の向上を図って寝たきりになることを防ぎ、在宅復帰を目指す医療を提供することです。そのために必要な、集中的なリハビリを早期に開始していきます。患者が退院後にその人らしい生活を送れるよう、家族への指導や介護関係者との調整など退院支援も行います。

また、「急性期病棟の病床が埋まっていて患者を受け入れることができない」「必要ないのに急性期病棟に入院を続けている」など、非効率な医療提供を防ぐ役割も回復期リハビリテーション病棟は担っています。高齢化に伴い医療資源がひっ迫する中、急性期、回復期、安定期それぞれ患者の状態に合った医療を提供するために必要な存在です。

回復期リハビリの対象疾患

回復期リハビリテーション病棟の対象疾患は以下のように定められています。

1.脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、 腕神経叢損傷等の発症後若しくは手術後又は義肢装着訓練を要する状態 2.大腿骨、骨盤、脊椎、股関節若しくは膝関節の骨折又は膝関節の骨折又は2肢以上の多発骨折の発症後又は手術後の状態 3.外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後又は発症後の状態 4.大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の神経、筋又は靱帯損傷後の状態 5.股関節又は膝関節の置換術後の状態

回復期リハビリの入院期間

回復期リハビリの入院期間は、訓練に時間がかかる疾患が多いため、入院期間は長い場合が多く、患者の病名により以下のような制限があります。

1、脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症後若しくは手術後の状態又は義肢装着訓練を要する状態(算定開始日から起算して百五十日以内。ただし、高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷の場合は、算定開始日から起算して百八十日以内) 2、大腿骨、骨盤、脊椎、股関節若しくは膝関節の骨折又は二肢以上の多発骨折の発症後又は手術後の状態(算定開始日から起算して九十日以内) 3、外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後又は発症後の状態(算定開始日から起算して九十日以内) 4、大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の神経、筋又は靱帯損傷後の状態(算定開始日から起算して六十日以内) 5、股関節又は膝関節の置換術後の状態(算定開始日から起算して九十日以内)

回復期リハビリテーションのチーム医療

医師や栄養士、薬剤師のほか、以下に紹介するセラピストなどの多職種とチームで医療に取り組みます。看護師は医師の診療補助のほか、患者の日常生活に寄り添い、動作の介助や心理面のケアをすることが重要な任務です。チームメンバーと密な連携をとりながら、患者が家庭復帰・社会復帰できるよう取り組んでいきます。

医師

医師は、診察や看護師・栄養士・各セラピストからの情報を元に患者を詳細に把握し、治療方法を考えていきます。看護師は医師の診療のサポートをします。

理学療法士(PT)

起き上がる、座る、歩くなどの基本動作の回復を目指したトレーニングをします。医師や看護師と連携し、筋力、バランス能力、持久力を向上させ、日常生活に戻れるよう、患者ごとに適切なプログラムを作成します。

作業療法士(OT)

日常生活を送るための基本動作をトレーニングします。具体的には、着替え、入浴、料理、掃除などです。施設基準により1~2名が配属されています。作業療法士は、看護師と患者の情報を共有することで、患者の身体機能を把握し、リハビリの内容を構築していきます。

言語聴覚士(ST)

聞く、話す、嚥下(飲み込み)などのトレーニングをします。患者の状態に合わせ、専門プログラムを立て段階的に訓練していきます。施設基準により、配属がない医療機関もあります。言語聴覚士は、患者の機能の変化や精神状態などを看護師と情報共有をし、トレーニングのプログラムの内容や進度の調整を図ります。

医療ソーシャルワーカー(MSW)

患者と家族の不安や問題を聞き取り、チームと連携をとって患者がリハビリに専念できるよう調整をします。退院後に向けて社会福祉制度の手続きや介護関連の施設を紹介、諸手続きのサポートなどを行います。医療ソーシャルワーカーは、看護師と相談をしながら患者の退院後の環境整備を行います。

セラピスト

リハビリ専門職の総称です。看護師は、セラピストと情報を共有し、リハビリがスケジュールどおりに行われるように、患者の創傷の処置の時間を調整したり、サポートをしたりします。

回復期リハビリテーション病院の看護の特徴

回復期リハビリテーション病棟(病院)は、地域包括ケア病棟と併せて、患者が家庭復帰・社会復帰できるように取り組む場です。その中で看護師に求められるのは、他職種のチームで連携するコミュニケーション力、患者をよく観察し気づき考えて行動する力です。具体的な業務について見ていきましょう。

地域包括ケア病棟との違い

その前に、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟の役割分担を確認しておきます。回復期リハビリテーション病棟と違う点は、入院できる対象疾患の指定がなく、より多くの患者を受け入れられるということです。入院できる期間は60日に制限されています。患者の家庭復帰・社会復帰を目指して患者の訓練を行うことを目的に平成26年に新設されました。

また、回復期リハビリテーション病棟が急性期病棟から患者を受け入れるのに対し、地域包括ケア病棟は自宅や療養型病棟などからの受け入れも行うことができます。つまり、回復期リハビリテーション病棟の方が、より長期のリハビリを必要とする患者を受け入れる場として位置づけられています。

回復期リハビリ病院の退院支援

回復期リハビリテーション病院の特徴のひとつとして、退院支援があります。退院後も患者が必要なリハビリを継続するには、外来通院や在宅医療、福祉施設などを利用するための手続きが必要です。患者の症状や希望、家族・自宅の状況を考慮し、適切な手段を決めていきます。ケアマネージャーなど福祉関係者にわかりやすく情報提供できるよう、必要な記録類を作成することが求められます。また、患者の家族に対して、介護の仕方などを看護師から指導することがあります。

回復期リハビリ病院の看護の注意点

回復期リハビリ病院には、もともと内科的な持病を抱える患者も多くいます。体調の変化を見逃さないようにするのは、看護師の大切な役目。排便の状況や動作に異変があれば、薬や食事、水分量、温度、過剰なストレスなど問題がないかを見直します。場合によってはリハビリ計画の変更が必要になるため、気づいたことは随時チームメンバーに共有していきます。患者の容体が急変したときには、一般病棟へ転院する場合もあります。

患者は身体が動かしにくいことから、転倒したりベッドから落ちたりするリスクがあります。また、脳梗塞後のリハビリ中では、誤嚥性肺炎を起こすことも多く、注意が必要です。入院期間に期限があるため、どこまで回復できるかと焦ったり、つらいリハビリで気持ちが落ち込んでいる患者もいます。明るく温かく接することでモチベーションが上がり、回復を早めることにつながります。看護師は患者の心のケアも行うよう心掛けます。

回復期リハビリ病棟で行うリハビリの特徴

回復期リハビリテーション病棟で行うリハビリの特徴は、毎日の生活をリハビリと捉えることです。そのためには、セラピストの指示に従ってリハビリをこなすだけではなく、リハビリを通して身に付けたことを日々の動作に取り込むことが大切です。洗面所での洗顔、トイレでの排泄、着替え、食事、入浴など日常の動作を、少しずつで患者が主体的に行えるようにサポートしていきます。長い目で患者を見守り、寄り添う姿勢が求められます。

回復期リハビリ看護師の資格

「回復期リハビリテーション看護師」という資格があります。回復期リハビリテーション病棟の質を上げるために、回復期リハビリテーション病棟協会が認定している資格です。実務経験と医師の推薦状が必要で、回復期リハビリテーション看護に必要な専門知識・技術・心構えを学ぶことができます。

出典:一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会

参考:回復期リハビリテーション看護師認定規約運営細則様式集第9版

回復期リハビリ看護師の1日

急な入院受け入れが少ないため、スケジュール通りに進められる職場が多いようです。医療機関によって異なりますが、1日の流れは次のようなイメージになります。

午前

  • カンファレンス
  • 患者のバイタルチェック
  • 着替え介助
  • 食事の介助、服薬の確認―できるだけ食堂で食べられるようにして、生活リズムを整えます。
  • 創傷の処置―創部の洗浄を行いガーゼ交換します。
  • トイレ介助
  • ナースコール対応
  • 面談―家族や医療ソーシャルワーカーと、退院に向けて話し合いをします。

午後

  • 食事の介助、服薬の確認
  • 入浴の介助―病状により機械浴の場合もあります。
  • レクリエーションー前向きな気持ちになれるよう、無理のない範囲で参加をうながします。
  • ナースコール対応
  • 記録など事務処理

  • 申し送り
  • 食事の介助、服薬の確認
  • 着替え介助
  • 消灯
  • ナースコール対応
  • トイレ介助

回復期リハビリテーション病院の求人の選び方

回復期リハビリテーション看護は社会のニーズが高まっている仕事ですが、やりがいを感じられる人と感じられない人がいます。転職を決める前に十分な情報を集め、自分が求めている仕事と一致するのかを、見極めたたうえで転職を決めるとよいでしょう。

そのため、業務量や職場環境がイメージに合うか知るために、事前によく情報収集しましょう。可能ならば職場見学もするとよいでしょう。明るい雰囲気でスタッフ同士が自然なコミュニケーションをしているかなど、直接職場を見ないと分からない情報を得られるはずです。

看護師求人を選ぶ場合は、ナースコールの多さや、看護師が意見を言いやすい雰囲気か、セラピストや介護士と看護師の関係なども気になるところです。

回復期リハビリの求人数は増加傾向です。新設病棟の場合は大人数の求人がありますが、その場合は同時期に入職する人は多くなりますが、看護師としての経験も年齢も違う場合の方が多いでしょう。求人を見る場合は、次の項目をできる範囲で確認し、看護師ひとり当たりの負荷をイメージしてみましょう。自分の将来につながる経験を得られそうか、待遇面と併せて考えてみましょう。

  • 科目、病棟の種類
  • 病床数
  • 看護体制(施設基準により、看護師ひとりあたり13~15人の患者を担当する)
  • 在宅復帰率
  • 認知症患者の割合
  • スタッフの人数(看護師のほか、セラピストや介護士など)
  • 平均勤続年数

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