透析看護師の仕事内容や給与からメリット・デメリットを解説
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看護師の中でも透析を専門に行う透析看護師は、ちょっと敷居が高いように感じます。
しかし実際には未経験での転職も多く、夜勤がないなど働きやすい職場として人気があります。
ここでは転職に役立つ情報として、透析看護師の仕事内容や給与、そのメリットやデメリットについて解説していきます。
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この記事に書いてあること
透析看護師とは
人工透析とは
透析看護師は、透析室や透析センターなど透析治療を行う現場で働く看護師を指します。
透析看護師になるための資格は特になく、未経験からでも始められます。
透析は腎臓の働きの一部を人工的に補うために行われる治療法です。
腎臓の機能不全により、体内の老廃物や余分な水分を排出する機能が失われた場合、ろ過・排泄機能がうまく働かず、老廃物が蓄積し続けます。
放置すると尿毒症を引き起こし、倦怠感や食欲不振、嘔吐、全身けいれんなどの症状とともに、ときには命に係わります。
機械を使って腎臓の代わりに老廃物の排出を促し、血液の浄化をするのが透析療法です。
透析には「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があり、病状や患者の状態によって選択されます。
透析看護師の仕事内容と役割
人工透析が必要な患者は、ほぼ一生にわたって透析治療を継続しなければなりません。
透析看護師は実際の透析の作業にたずさわるだけでなく、可能な限り患者の苦痛を和らげ、励ましながら治療を続けさせる役割を果たします。
患者のセルフケアや日常生活の指導など、患者の心に寄り添いながら、生活の質の改善に努めます。
飲水制限をきちんと守れない患者や管理ができていない患者に対しては、ときに厳しく、毅然とした態度で必要性の説明にあたり、生活指導を行います。
実際の業務内容としては、機械(コンソール)の操作やプライミング、穿刺、抜針、止血、さらに透析中のバイタルチェックや患者の介助、ケア、トラブルが起こったときの対処、患者指導などがあります。
機械は病院によって異なりますが、最近では操作が簡単なものが増えてきているため、ある程度の練習と指導によって操作できるようになります。
透析看護師の業務の流れ
透析看護師の仕事の流れの例を見ていきましょう。
透析室や透析クリニックでは、2交代制もありますが通常は日勤のみが多いので日勤のみの仕事の流れをご紹介します。
業務内容 | 詳細 |
---|---|
出勤 | |
プライミング | 透析機械の準備をします。 |
患者の入室 | 患者の受け付け後、スタッフ内で情報を共有します。 |
穿刺 | 透析のために2本の血管に針を刺します。 |
バイタルチェック | 患者の血圧を確認し、低下している場合には対応します。 |
カンファレンス | 医師を交えて患者の状態を把握、報告しま |
返血 | 浄化された血液を体内に戻す作業です。 |
患者の退室 | 異常のないことを確認し、患者を帰します。 |
後片付けと記録 | シーツ交換などを行い、透析の記録を付けます。 |
勉強会など | 業務反省会や勉強会に参加します。 |
透析看護師の職場環境
透析看護師の労働時間
透析治療は、外来患者に行う時も入院患者に行う時も、日時を指定した予約治療です。
治療時間も4時間前後と予め決まっていますので、残業になることや急患が入ることはまずありません。
医療機関によっては土日や夜間に透析を行っていることもありますが、大抵の場合は平日の日中ですので、家庭生活とも両立しやすい職場といえるでしょう。
通常では残業もほとんどなく、定時に帰宅できます。
他の疾病を併発している患者などで、透析中に症状が急変した場合には、ICUや他の医療機関と連携を取り、適切な治療をすぐに行えるように看護師が手配して移送します。
そのような場合には状況の記録した書類の作成や、事後処理などに多少の時間を取られることもありますが、そうした事態はそれほど多くないようです。
基本的に、一般病棟などの看護師業務とは違い、規則的な生活がしやすい労働環境と言えます。
透析での人間関係
透析学会による透析看護師のストレス調査では、「心理的な仕事の負担が65%と高い」と発表されています。
しかし、その内容は「体外循環という特殊治療で死亡の危険性が高い為、患者急変に強いストレスを感じる」といったもので、人間関係については言及がありません。
透析は看護師だけでなく、医師や栄養士、臨床工学技士等とチームで行う医療です。
患者の急変を防ぐためにも、頻繁に連絡を取り患者の状態をチームとして把握している必要があります。
チーム医療を実施する上で、職場の人間関係の状態は重要なポイントです。お互いに反目しあっていては、患者の命に関わります。
透析治療の現場は比較的閉鎖された環境にありますが、専門性の高い部署だけにお互いの業務を理解し合い、切磋琢磨して仕事に取り組んでいる看護師は多いようです。
急患が運び込まれるようなこともなく、予定時間に従った業務スケジュールが組まれているため、精神的な余裕もあります。
総合的な面から、透析治療の現場は看護師の職場としては、かなり働きやすいといえるでしょう。
透析看護師として働くメリット・デメリット
透析看護師として働くメリット
- 家庭生活やプライベートとの両立がしやすい
- 業務内容が定型
- 患者との摩擦が少ない
透析は他の診療科とは違って急患や残業がほとんどなく、家庭生活やプライベートと両立しやすいことから、透析を希望する声が多く聞かれます。
総合病院や大学病院の病棟で透析を行う場合も、透析室で透析を行う場合もその多くは平日の昼間に行われます。
そのため透析看護師の勤務は、大抵の場合、日勤のみとなります。子育てや家庭生活との両立も、透析看護師であれば難しくはありません。
また透析では、看護師の業務内容がある程度決まっています。
患者のバイタルチェックや検温などの検査業務と、透析装置の準備とシャントへの穿刺、透析終了後の抜針と止血のみがメインです。
未経験者でも、2か月程度の研修で穿刺の独り立ちができます。業務に慣れてしまえば新しい技術が必要になるということもなく、後になるほど楽になっていきます。
透析中のモニター管理や、患者のストレスを軽減するための会話といった仕事もありますが、基本的にはルーティーンワークです。
ほかの部署では変化についていけなかったという経験のある看護師でも、腰を落ち着けて活躍できそうです。
患者の中には気難しい人もいて、ときには合わないということもあるでしょう。
しかし、透析が終われば帰宅をしてしまうので、それほど問題はないようです。
透析はほぼ一生続くため、毎回顔を合わせなければならない患者もいますが、基本的には穿刺のときに接近する程度です。
病棟などほかの部署よりは、患者との摩擦が少なくて済みます。
透析看護師として働くデメリット
- 機械操作が必須
- 医療行為についてのスキル向上は望めない
- 指導に従わない患者もいる
透析にはコンソールという専用の機械を使います。機器類が苦手な看護師でも、どうしても操作は避けられません。
しかもわずかなミスが、患者の命を奪うことになります。
今は、機械の安全対策が向上しているため、異常な操作があれば機械が察知してくれます。
しかし、基礎的な操作を完璧にマスターしなければならず、重大事故を招きかねないというプレッシャーが常にあります。
透析看護師が行う医療行為は、「シャントへの穿刺」という特殊なものです。
逆に採血や点滴といった一般的な医療行為の機会は少なく、新たな症例を学ぶこともなくなります。
看護師としてさまざまな経験を積んでいきたいタイプには、あまり向かない職場であるともいえます。
透析患者は病院で治療を行うほか、日常生活にも多くの制約があります。中には医師や看護師の指導に従わず、病状を悪化させる患者も出てきます。
患者のためを思い、ことばを尽くして説明しても、逆に暴言を吐かれることもあります。
気の弱い看護師であれば、ストレスとして受け止めてしまう可能性があります。
透析看護師の収入
透析の看護師給料
透析の看護師は病棟勤務の他の診療科の看護師の給与と同じく、25万円~30万円が相場となっています。
透析は日時を指定して「透析室」や「病棟内のベッド」で行うため、病棟勤務と同等の扱いとなります。
透析看護師には、夜勤のないところが多く、日勤でも時間通りに終業できます。
「外来の日勤業務」のような内容で「病棟勤務」と同じ給料が支給されるので、透析看護師は仕事の割に給料が良いと言われることが多いようです。
透析看護師はパートタイムでの募集も多く、平均時給は1,500~2,000円前後となっています。
他の業種と比較するとかなり高額のため、夜間だけ、また土日だけのアルバイトとして働く透析看護師も多く見られます。
透析の看護師の年収相場
残業や夜勤がない病院が多いこともあり、年収としては450万円前後と、外来勤務の看護師と夜勤の多い病棟看護師との中間です。
透析センターやクリニックによっては、土日や夜間の透析も行っているところもあるので、夜勤ありを希望する場合にはそうした病院を選ぶと良いでしょう。
透析看護師に限ったことではありませんが、一般に、学校付属の病院や従業員数1,000人以上の大規模病院は、年収が高くなる傾向があります。
また、都市部にある医療機関では、物価水準に合わせて看護師の収入も高くなります。
透析専門の病院では、看護師給与も高水準で設定しているところもあり、年収が470~500万円という好条件も見られます。
外来と同じ時間帯で働きながら病棟看護師クラスの収入も見込める透析看護師は、労働条件としてはかなり恵まれていると言って間違いなさそうです。
透析看護師の適性とスキル
透析看護師に求められる適性
透析看護師には一般的な看護師の素養に加えて、さらに求められる適性があります。
- チームとして働くことができること
- コミュニケーション能力が高いこと
- 探究心が強いこと
透析治療は体内の血液を一度外に出して浄化するという、非常にハイレベルな作業を行います。ひとつ間違えば、患者の命が失われかねないリスクもあります。
実際に穿刺する看護師だけでなく、透析装置を扱う臨床工学技士や医師、栄養士といった様々な医療スタッフがチームとして関わることで、有効で安全な透析治療が行われています。
患者への負担を最小限に抑えながら、効果を上げていくためには、モニターやフィジカルアセスメントを通して患者の状態を細かくチェックし、チーム全体で情報を共有することが重要です。
チーム全員がそれぞれの役割をしっかりと果たすことで、患者の急変を防いでいます。
透析を受ける患者は、大抵の場合、同じ医療機関で週に2から3回、4時間前後の治療を行うため、必然的に看護師と顔なじみになっていきます。
4時間安静にしていることは、人によっては辛いものです。
透析により倦怠感や吐き気を生じる患者もいますので、患者のストレスを軽減するためにも適切な声掛けを行うことが必要です。
中には治療の辛さから自暴自棄になったり、医師や看護師にあたったりする患者もいます。
透析看護師にはそうした状況にあっても、冷静に対応し、治療に対する意欲を持たせられるようなコミュニケーションスキルが求められます。
透析看護師は、透析という特殊な治療に特化した業務に取り組みます。
透析の業務についての探求心を持ち、看護師としての知識や技術の向上を図れるタイプであれば成長していけます。
マルチプレーヤーではなく、職人気質である方がマッチしている職場といえるでしょう。
透析看護師に役立つ資格
透析を担当する際には特に資格は必要ありませんが、キャリアアップを図るためには次のような資格の取得が有効です。
透析認定看護師
患者にとって透析治療が安全かつ安楽であるように配慮し、長い治療生活において患者がセルフケアできるように支援するための資格が「透析看護認定看護師」です。
「透析看護認定看護師」は日本看護協会の認定資格で、看護師経験が5年以上あり、透析に携わる経験が3年以上ある場合、資格取得のための講習が受けられます。
認定看護師専門機関で6カ月以上615時間以上の講習や研修を受け、審査に合格すると「透析看護認定看護師」の資格を授与されます。
資格取得後も看護実践の報告書を5年に1度提出し、資格を更新する必要があります。
透析療法指導看護師
「透析療法指導看護師」は日本透析医学会と日本腎臓学会、日本腎不全看護学会、日本泌尿器科学会、日本移植学会、そして日本腹膜透析医学会の6つの学会が共同して設立している「透析療法認定看護師認定委員会」が認定しています。
透析治療に関する深い知識と技術を有し、患者と家族に説明や指導も的確に行うことができると認められた看護師が取得できます。
透析療法指導看護師の資格取得条件は、以下の通りです。
- 看護師経験5年以上
- 腎不全看護領域での勤務が3年以上
- 日本腎不全看護学会会員歴が3年以上
- 腎不全看護に関わるレポートを3本以上提出
- 定められた数の講習会や学会に参加
- 資格取得試験に合格すること
透析技術認定士
「透析技術認定士」は、血液透析に関しての専門知識を持っている医療のスペシャリストです。
日本透析学会が認定し、毎年3月に4日間の日程で実施される「透析技術認定士認定講習会」を受講し、試験に合格することで「透析技術認定士」の資格を取得することができます。
講習会への参加が困難な場合には、ネットでのe-ラーニングでの受講も可能です。
透析技術認定士の資格取得条件は、以下の通りです。
- 臨床工学技士もしくは正看護師の場合:2年以上の透析経験
- 高卒の准看護師の場合:3年以上の透析経験
- 中卒の准看護師の場合:4年以上の透析経験
これらの資格取得により高い透析技術が認められると同時に、病院によっては資格手当が給与に上乗せされる場合もあります。
透析看護師として究めていきたいのであれば、ぜひ取得にチャレンジすることをおすすめします。
※ランキング評価の詳細は看護師転職サイトおすすめランキングの記事で紹介しています。
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