緩和ケアで働く看護師の仕事内容や給与は?メリット・デメリットも解説

緩和ケア看護師の仕事
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日本人の2人に1人がかかるといわれるがんは、医療の進歩とともに必ずしも死に至る病ではなくなりました。がんを克服した多くの人が、健康な人生を送っています。

また、不治の病と闘い続けている人も数多く存在します。緩和ケアは、病気でありながらも自分らしく生きられるよう、サポートする役割を担います。

日本では1981年に初めてホスピスが設立され、2019年時点では全ての都道府県に緩和ケア病棟が開設されています。

緩和ケアの現場で、看護師はどのように働いているのでしょうか?ここでは看護師の仕事内容から労働環境、緩和ケアで働くメリット・デメリットまで詳しく解説しています。

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緩和ケアとは

緩和ケアの定義

緩和ケアは1960年代からイギリスで始まったホスピスケアの流れをくむ考え方です。

1970年代に人が死に向かう過程に焦点をあて、 積極的なケアを提供するという主張がカナダで提唱されます。その後WHOが、その概念を定義しました。

WHOの緩和ケアの定義は次のとおりです。(日本語定訳:2018年6月 緩和ケア関連団体会議作成)

  • 痛みやその他のつらい症状を和らげる
  • 生命を肯定し、死にゆくことを自然な過程と捉える
  • 死を早めようとしたり遅らせようとしたりするものではない
  • 心理的およびスピリチュアルなケアを含む
  • 患者が最期までできる限り能動的に生きられるように支援する体制を提供する
  • 患者の病の間も死別後も、家族が対処していけるように支援する体制を提供する
  • 患者と家族のニーズに応えるためにチームアプローチを活用し、必要に応じて死別後のカウンセリングも行う
  • QOLを高め、さらに、病の経過にも良い影響を及ぼす可能性がある
  • 病の早い時期から化学療法や放射線療法などの生存期間の延長を意図して行われる治療と組み合わせて適応でき、 つらい合併症をよりよく理解し対処するための精査も含む

日本国内では平成24年に閣議決定された「がん対策推進基本計画」の中で、「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」が取り組むべき重要な課題と位置付けられています。

緩和ケアでは生命を脅かす病と対峙する患者と、その家族のクォリティ・オブ・ライフを高めるために、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題(死への恐怖)の軽減に尽力します。

緩和ケアの種類

緩和ケアには、入院、外来、在宅の3種類があります。

入院中の緩和ケア

緩和ケア病棟
身体と心の痛みやつらさを和らげることを治療として位置づけています。がんの進行による症状や精神的な苦痛がある患者などを対象としますが、がん治療に対する適応がなかったり積極的ながん治療を希望していなかったりする場合にも対応します。
緩和ケアチーム
がんの治療などにあたる医師と連携しながら、チームにより緩和ケア活動を専門的に行います。チームメンバーとして、看護師、薬剤師、心理士、ソーシャルワーカーなどがその対応にあたります。

外来での緩和ケア

通院中の患者に対し、外来で緩和ケアを提供します。治療を担当する医師と連携し、がん治療などを継続しながらつらい症状の緩和、家族のケアを行います。

在宅での緩和ケア

自宅や介護施設で過ごす患者に対して、緩和ケアを提供します。訪問看護師が中心となり、点滴や痛みを緩和する処置を行います。

緩和ケアで働く看護師の仕事内容

具体的な業務内容

緩和ケアで働く看護師は、治療や回復を目的とする一般の看護業務とは方向性が異なります。緩和ケアで働く看護師の具体的な業務には、以下のようなものが挙げられます。

  • バイタルチェック・測定
  • 点滴
  • 投薬管理
  • 体位変換や清拭・排せつ・食事などの日常的なケア
  • ADL介助・管理
  • 患者の訴えの傾聴
  • 疼痛や急変時の対応

症状の進行に伴う痛みを和らげながら、可能なかぎり高い生活レベルを維持するよう支えるのが、緩和ケア看護師の仕事です。

処置にはがんの皮膚転移や皮膚の侵食が起きたときの対応などもあります。

がんによっては、体表面に進出する場合もあり、そうした症状に対して医師と相談しながら処置を施します。

緩和ケアでは必須となる疼痛に対する処置に加え、がんなどが引き起こすさまざまな症状に対応しながら患者ができるだけ快適に生活できるよう、深い配慮をもってケアを行います。

求められる役割

緩和ケアで働く看護師に求められるのは、患者とその家族に寄り添う姿勢です。

訴えに耳を傾け、痛みや苦しみを理解しながらケアを継続していきます。ときにはやり場のない悲しみやぶつけようのない怒りが、看護師に向けられることもあります。

緩和ケアの看護師は冷静さと寛容さを失わず、患者を見守り続けなければなりません。

また、医師や看護師の他、薬剤師やカウンセラーなど、さまざまな役割をもつ人たちと連携しながら業務を進めていきます。

コメディカルを含めたカンファレンスが随時行われ、患者の状態に合った緩和ケアについての方針を決めていきます。

家族と病院側との連絡調整や、患者の死後のエンゼルケアもこなすのが緩和ケアで働く看護師の役割です。

緩和ケアで働く看護師の労働環境

緩和ケアは意外と多忙

常に看護師たちが忙しく動き回る他の診療科とは異なり、緩和ケアにはゆったりとした時間が流れているように感じられます。

そのゆったりとした雰囲気は、患者の気持ちを落ち着かせ、精神的なストレスを感じさせないようにするための大切な環境です。

しかし、看護師の仕事環境はそれとはまた別です。看護業務自体は、他科と引けを取らないくらいの多忙です。

患者のバイタルチェックや投薬管理といった通常の業務に加え、何度も患者と患者の家族と面談をして看護計画を立て、報告書とレポート作成を行います。

業務時間内に終わらず、残業になることもしばしばです。

特に患者の家族と面談する場合、夜間を希望する方が多いので、勤務時間が延びることも少なくありません。

また緩和ケアについてはICUなどの緊急医療を提供する場と同じく、1ヶ月の夜勤が72時間を超えることも認められています。

緩和ケアは比較的新しい看護分野のため、周知が行き届いているとはいえません。そうした状況にもかかわらず、緩和ケアの需要は伸び続けており、看護師不足は一層深刻な状態です。

こうした社会背景を受け、必然的に夜勤も多めになることがあるようです。

緩和ケアでの人間関係

緩和ケアでは看護師だけでなく医師や薬剤師、カウンセラーなどのスタッフがチームを組み、患者のケアを行います。

多くのスタッフと日々接し、患者の状態について逐一連絡し合うため、関わりも密になります。緩和ケアという場の性質上、スタッフどうしの関係はおおむね良好なところが多いようです。

多くの緩和ケア病棟では、チームワークの重要性をスタッフそれぞれが深く理解しているため、出入りする人数が多くても、和気あいあいとした雰囲気を保つよう意識化されているようです。

訪問看護師として緩和ケアを提供する場合は、一人で患者の自宅を訪問します。

業務自体は一人でこなすことがほとんどですが、患者の状態を訪問看護ステーションの他のスタッフと共有する必要があります。

死を意識せざるをえない患者の周囲では、和をもって円滑に業務を進めていく配慮が求められます。

緩和ケアで働く看護師の収入

緩和ケアの看護師の給与

緩和ケア看護師の職場はおもに入所型の施設か、総合病院やがんセンターに付属する病棟になります。

比較的大規模な施設にあることが多いため、他の診療科の病棟勤務と同じく25~30万円が基本給となっているようです。

千葉県にある医療法人グループの緩和ケア求人の例を見てみましょう。

正看護師資格取得者に限られますが、看護師としての経験年数は不問、ブランクがある場合も歓迎となっています。

月給は1回2万2000円の夜勤手当を含む、31万8000円以上。夜勤4回分を想定しているため、基本給は23万円ということになります。

基本給としてはやや低めですが、20~50歳代まで募集対象が幅広く設定されているのが特徴的です。賞与は年2回保証されています。

緩和ケアは需要が急激に伸びており、在宅医療が推奨されている状況から、今後もますます求人が増えると予測されています。

緩和ケア看護師の求人については、さらに好条件となっていくことが期待できます。

緩和ケアの看護師の年収相場

他の診療科と同じく年収は450~500万円程度とされています。

ただ緩和ケアでは夜勤の上限が設定されていないため、夜勤をが多い場合は年収600万円前後になることもあります。

一方で、夜勤がほとんどない訪問看護ステーションは、中小の民間団体が母体となっていることが多く、収入も高いとはいえません。

大規模病院や国公立病院と比較すると賞与が少なく、年収としては400~450万円程度になります。

緩和ケアで働く看護師の適性とスキル

緩和ケアで求められる適性

緩和ケアでは患者が望む最期の形を実現するために、看護師、医師、薬剤師、作業療法士、心理カウンセラー、そしてキリスト教系の施設の場合は牧師などが、チームとなってサポートしていきます。

協調性をもって各人を尊重しながら、チームとして働くことができる人材が求められます。

緩和ケアでは身体的な痛みの軽減も重要ですが、それ以上に精神的な安らぎを与えられることを患者とその家族に求められています。

看護師は、当事者の痛みを分かち合いながらも、感情の波に飲み込まれない冷静さがなければ、看護ケアを続けていくことはできません。

話にじっくりと耳を傾け、相手の様子を観察しながら、心を落ち着かせる言葉を与えられる寛容な精神が必要であると同時に、自分自身の使命を常に意識できる気丈さがなければ務まらない仕事です。

緩和ケアは患者を教育・指導するような場ではなく、患者が心地よく終末期を過ごすための場です。

患者は病の重症化にともない、食欲を失うこともあります。真面目な看護師の場合、相手を思う気持ちからつい食事をとるよう強制してしまいがちですが、緩和ケア本来の目的を理解していれば間違いであることに気づけるはずです。

看護の原点でもある「患者の立場に立った看護」を実践する緩和ケアの現場では、作業効率ではなく患者のペースに合わせられる姿勢が問われます。

緩和ケアに関する専門資格

緩和ケアエキスパートの資格として、緩和ケア認定看護師があります。

日本看護協会が認定する資格で、緩和ケアを受ける患者とその家族の支援に関する専門的な知識と技術を十分に有すると認められる看護師に授与されます。

緩和ケア自体の知名度が十分でないため、受講定員総計は全国でも1,224人(日本看護協会 2019年4月現在)ほどです。

緩和ケア認定看護師は、地方では特に緩和ケアチームの専従とされていることが多く、地域医療の中核を担います。

緩和ケアの仕事を続けていこうと決めているのであれば、ぜひ取得しておきたい資格といえるでしょう。

緩和ケアに関する専門資格の取得要件は以下のとおりです。

  • 看護師として5年以上の実務経験
  • うち3年以上は緩和ケアを必要とする患者の看護を経験していること
  • 認定看護師教育機関で6ヶ月のカリキュラムを受講
  • 毎年5月に開催される日本看護協会の認定審査で合格すること
  • 認定証の交付を受けて登録し、5年毎に更新すること

緩和ケアで働く看護師のメリット・デメリット

看護師が緩和ケアで働くメリット

緩和ケアで看護師として働くメリットには、次のようなことが挙げられます。

  • チーム医療の喜びを味わえる
  • 多忙な中にも精神的な余裕が得られる
  • 疼痛コントロールのスキルが身につく

緩和ケアは治療ではなく、患者が安楽に過ごせることを目標としたケアを提供しているため、看護師、医師、薬剤師、カウンセラー、作業療法士などがチームとなって働きます。

全員が一致して同じ目的に沿って行動するため、チームで働く喜びを肌で感じられる職場といえるでしょう。

緩和ケアにおいても急変する患者はいますが、基本的には穏やかに死を迎え入れるための場です。他の病棟と比較しても、和やかな雰囲気の中で仕事ができます。

緩和ケアは、最後までその人らしく生きるためのケアです。患者と深く向き合い、一人ひとりに適切な看護を模索しながら役目を果たしていくことができます。

緩和ケアでは患者の痛みを軽減するために、疼痛コントロールを日常的に行います。

疼痛コントロールに用いる薬剤の種類や特性を知ることができ、疼痛源の違いによる薬剤の使い分けや疼痛コントロール中の観察スキルが身につきます。

看護師が緩和ケアで働くデメリット

一方、緩和ケアで働くことにはデメリットもあります。

  • 患者の死を覚悟して働かなければならない
  • 夜勤や残業が多い

緩和ケアであるからには患者の死を覚悟することが前提となります。深く関わった患者が回復するのを見ることができず亡くなることは、看護師にとっても大きな悲しみです。

ケアを提供する立場でありながらも、患者や患者の家族と接するのがつらくなるという声は多く聞かれます。

患者に穏やかさを提供したいという理想と、自分が穏やかでいられなくなるという現実のギャップに耐えられず離職に至る看護師もいます。

緩和ケアは基本的には病棟勤務です。他科のように上限がないため、夜勤が非常に多くなる月もあります。

患者の家族との面談やレポート作成など、事務作業もあり残業時間も増加しがちです。家庭生活や子育ての両立が比較的難しい職場であるといえそうです。

緩和ケアの求人で見るべきポイント

運営母体をよく確認する

徐々に増えているとはいえ、まだまだ施設も少なく募集も少ないのが「緩和ケア」の現状です。

緩和ケアとひと口にいっても形態は統一されておらず、運営母体によって事業内容にばらつきがあります。

求人に応募する際には、緩和ケアだけを行っているのか、治療を行いながら緩和ケアを行っているのかを見極める必要があります。

基本的にキリスト教系の施設の場合は緩和ケアのみ、総合病院やがんセンターに付属した施設の場合は治療と緩和ケアを同時に行うことが多いようです。

看護師としてのスキルを高めたいのであれば、医療行為が多めの仕事を選ぶと汎用性の高いスキルが身につきます。

精神面を重視したいのであれば、緩和ケアに特化した施設を選択するとよいでしょう。

また自治体が母体となり、在宅看護で緩和ケアを実施するところも増えてきています。

どのような形態の事業団体か、医療機関として認定を受けた緩和ケア施設なのかなども、チェックしておく必要があります。

スキルアップを目指すのならばサポート体制を確認

緩和ケアは残業の72時間ルール適用外となっており、夜勤を増やすことも可能です。

夜勤が苦にならず夜勤手当で高収入を目指そうとするのであれば、希望に応じられる施設を選択条件に入れましょう。

また、既定の看護師数に足りていない施設などでは、看護師給与自体が低い場合もあります。

患者数と看護師数が7:1となっていること、基本給が平均以上であることなどを視野に入れて応募先を探しましょう。

緩和ケアでエキスパートを目指すのであれば、資格取得を積極的にサポートする体制が整えられているかがポイントとなります。

緩和ケアは、看護師が提出するレポート・報告書の多さが他科より多いことで知られています。学ぶ時間がまったく取れないところではエキスパートの希望がかなえられません。

緩和ケアの看護師として働くうえでどのような成長を望んでいるのか、転職にあたっては自身の将来像をしっかりと見定める必要があります。

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