[ 記事作成日時 : 2015年6月16日 ]
[ 最終更新日 : 2020年6月21日 ]

消化器外科で働く看護師のやりがいは?仕事内容と関連資格を解説

消化器外科の看護師

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消化器外科での経験は看護師としてのキャリアップにつながると聞いたことがあります。看護師はどんな働きをしているのでしょうか。看護師の働き方から、役割、役立つ資格などを調べてみました。

      
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消化器外科をわかりやすく解説!

消化器を診察する診療科には、消化器内科と消化器外科があります。消化器内科ではおもに投薬による治療が行われ、手術が必要と判断された患者は消化器外科へ送られます。一般的に「消化器科」という場合には、消化器内科を指すことが多いようです。

消化器外科とは

「食道・胃外科」「胃腸科外科」「肝胆膵外科」などの名称も、すべて消化器外科です。消化管というのは、皆さんもよく知っているように、口(口腔)から肛門まで続く長い管のことであり、消化器には口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸などの臓器があります。付属消化器官として、肝臓、脾臓、胆道、膵臓といった食物の消化、吸収を助ける働きをする消化管の外側にある臓器も含まれます。

ですから、消化器外科では食道から直腸・肛門にいたる全消化管と、肝胆膵と脾臓を含めた消化器疾患を専門としています。疾患の内容は、嚥下(えんげ)困難から逆流性食道炎、胃潰瘍から虫垂炎、痔疾患まで、胆のう結石、膵炎から、消化器悪性腫瘍(がん)まで多岐にわたります。

これらの病気に対し、外科的手術を行い、異常の発生している箇所を取り除いたり、放射線化学療法を行ったりします。内視鏡的治療、超音波下治療、保存的治療なども含まれます。

国立がん研究センターがん情報サービスが発表した「がん罹患数予測(2019年)」(※注1)では、男女計の第1位は大腸、第2位は胃、第6位は膵臓、第7位は肝臓と、消化器官のがんが上位となっています。

消化器官は年齢とともに機能が弱り、異常が出やすい部位です。超高齢社会を迎えた日本では、今後も消化器外科の需要が減ることはなさそうです。

消化器外科ってどのくらいあるの?

消化器外科は、大学病院や総合病院、クリニックなどにあります。外科手術を行うことから、基本的には入院設備のある施設となります。

厚生労働省発表の「平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」(※注2)によると、消化器外科(胃腸外科)のある病院は1699施設、消化器外科(胃腸外科)を掲げている一般診療所は1188施設でした。

  • 病院:患者20人以上の入院施設を有するもの
  • 一般診療所:患者の入院施設を有しないもの又は患者19人以下の入院施設を有するもの

消化器外科での働き方は?

消化器外科の看護師の勤務先は、総合病院、消化器専門病院、消化器クリニック、内視鏡検査や治療が専門のクリニックなどがあります。看護師に求められる役割としては、患者の疾患やそれに伴う症状の理解と処置がメインになります。

雇用形態も多様であり、結婚や子育てなどのライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことができます。消化器外科を専門とするなら、後半の「消化器外科で役立つ看護資格」をとっておくと、転職などにも役立つでしょう。

消化器外科での看護師の仕事内容

消化器外科には、入院前の診療を行う外来と、術前・術後管理(周術期管理)を担当する病棟があります。外来で行う看護師の業務は、他の科とあまり変わらず、注射や点滴、採血などの一般的な検査や、医師の診察・処置の補助、投薬についての説明などがおもな業務となります。病棟看護師は、上記の業務に加え、消化器外科に特化した業務が数多く発生します。では、詳しく説明していきましょう。

消化器官ケアと生活指導

消化器外科看護師の業務内容は他科の看護師と同様、採血や検温、食事や排せつの介助などの他に、ドレーンの管理やバイタルサインの管理、手術前の状態の把握、手術後の経過観察などがあります。患者の疾患によって異なりますが、痛みの種類や程度、嘔吐や吐血の有無、食事の摂取状況、排せつ状況などを観察し、医師へ報告します。さらに医師の指示に従って適切な処置を行います。

患者の中には、消化器官の不具合により人工肛門(ストーマ)が必要になるケースもあります。ストーマの造設により、非常に大きな精神的ショックを受けてしまう患者は少なくありません。ストーマケアを行うと同時に、患者自身が人工肛門を受け入れられるよう、精神面で支えていくのも消化器外科の看護師としての役割です。

また入院生活や退院後の生活について、患者やその家族への指導も看護師が行います。このように、手術や検査の準備から術後の経過の観察、退院後の生活管理まで、患者やその家族の長期的な支援を行う役割を担うことが多くあります。

周術期ケア

消化器外科は、開腹手術や腹腔鏡手術によって、疾患の治癒を目指す診療科ですから、消化器外科病棟での看護業務は、おもに術前・術後(周術期)の患者の管理になります。消化器外科の看護師は、手術の準備をしたり、手術後の患者の経過を観察したり、医師など治療チームのメンバーと情報共有することが仕事になります。

がん看護

消化器外科はがん患者の多い診療科です。がんの治療方法には手術、化学(薬物)療法、放射線療法があり、それぞれいくつもの方法があり、病院などによって治療方針は大きく違うこともあります。看護師もそれぞれの治療法を勉強し、理解しておく必要があります。

がんの患者に対して、看護師は術前・術後の抗がん剤を用いた化学療法による治療の中で、経口投与・静脈内投与など直接的な世話をしていくことになります。

投与後は抗がん剤の種類によって観察ポイントが異なることがあるため、異常兆候に早期対処できるよう、フィジカルアセスメントを頻繁に行って詳細な状態観察をすることが求められます。

また、抗がん剤治療や開腹手術などを受けた患者やその家族の場合、つらい治療から精神的に不安定になることも多いようです。そうした不安を取り除いて安心して医療が受けられるように、看護師は精神的なサポートを必要とされることもあります。

総合病院・大学病院・クリニックでの仕事の違い

入院施設がある病院は、総合病院、大学病院にかかわらず、周術期管理(術前・術後のケア)がおもな仕事になります。総合病院・大学病院・クリニックでの仕事の違いを見ていきましょう。

総合病院

総合病院、大学病院では、仕事の内容自体に大きな違いはありません。しかし、患者の病状やタイプが違うため、それらに付随する看護師の作業が違ってくることはあります。ICU/HCUの有無や大きさでも患者のようすは違ってきます。総合病院でのおもな患者は合併症の少ない人が多いかもしれません。

総合病院は看護師数の問題などから、実践領域が広くなりがちなため、さまざまな手技を経験することが可能になります。

大学病院

総合病院と大学病院の大きな違いは移植手術の有無です。総合病院ではほとんど行われていませんが大学病院では行われる場合があります。大学病院では、総合病院での治療が困難な疾病や合併症、基礎疾患の患者が紹介されてくることが多いため、看護師の知識量が多くなり、この範囲の経験が豊かになります。

術後数日は全てHCUで管理しほぼ全てのライン(点滴や酸素などの管)がなくなってから病棟に戻す病院もありますし、術後すぐ病棟に戻す病院もあります。病院によって方針が異なるため看護師が担う作業も違ってきます。

クリニックの場合

多くのクリニックでは入院設備もなく、手術も行わないため、看護師の仕事は医師の診療補助、採血、点滴業務、検査などがメインになります。休診日には予定どおり休みがとれますし、残業もほぼない病院が多いでしょう。子育て中など、家庭を優先したい人には働きやすい環境です。クリニックでは消化器外科とせずに消化器科、胃腸科などの名称にしているところもあります。

消化器外科で役立つ看護資格

消化器外科看護師としてスキルアップするための関連資格には、以下のようなものがあります。

消化器内視鏡技師

日本消化器内視鏡学会が認定する資格を有した技師です。日本消化器内視鏡学会会員である専門医の指導のもと、消化器内視鏡部門で満2年以上の実務経験があり、資格取得のために必要な講習を受けた看護師であれば、受験可能です。

内視鏡は消化器がんの早期発見に役立つために需要が高く、クリニックでも内視鏡検査は行われています。内視鏡による診療は消化器がんの早期発見だけでなく、ポリープや早期がんの切除、食道静脈瘤の硬化療法や結紮(けっさつ)・胃ろう造設・胆管のステント留置・胆石の除去など多岐にわたり、内視鏡技師の役割は今後さらに大きくなるといわれています。

日本口腔ケア学会認定資格

日本口腔ケア学会の認定資格で、口腔ケアの知識・技術の普及と質の向上を目指した制度です。1級から5級および指導者までの段階があり、4級以上は医療系の有資格者に限定され、看護師なら受験資格があります。

口腔ケアには検診、口腔清掃、義歯の手入れ、咀嚼(そしゃく)や嚥下のリハビリ、歯肉・頬部のマッサージ、食事の介護、口臭の除去、口腔乾燥予防などがあります。高齢者数増加に伴い、高齢者の誤嚥性肺炎予防や、がん治療に伴う口腔内トラブルの予防など、口腔ケアの重要性が高まっており、一般病院から口腔専門病院、療養病院、さらには介護施設など、多くの職場が専門家を必要としていますから、資格をもっていれば、転職にも有利になるといえます。

栄養サポートチーム専門療法士(NST専門療法士)

NST(Nutrition Support Team=栄養サポートチーム)は、管理栄養士や看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士などの多職種の医療スタッフが協力して、入院患者に栄養管理を行う栄養ケアのチームです。資格を取得することにより、さらに豊富な知識と実践的な技術をもって、チームメンバーと連携しながら、患者の栄養サポートができます。

看護師や管理栄養士などの国家資格があり、5年以上の実務経験とセミナーや実地修練などを修了すれば、認定試験を受けることができます。

これまで入院患者の栄養管理は、医師と管理栄養士がおもに行ってきましたが、近年は、高齢者のフレイル(加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態)が注目され、自治体も高齢者が低栄養にならないような予防に取り組み始めています。今後はNSTに対するニーズはますます高まり、病院でも高齢者施設でも求められる資格といえます。

日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士

摂食嚥下障害は、加齢による筋力低下や、脳卒中などの脳血管障害による麻痺や神経・筋疾患などで、咀嚼機能や嚥下機能が低下して起こります。こうした患者たちに安全で豊かな食事を取り戻す訓練が摂食嚥下リハビリテーションであり、このリハビリに必要な知識を幅広く修得できる資格が日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士です。

日本看護協会の摂食嚥下障害認定看護師とちがい、この資格は仕事を続けながら、eラーニングで勉強すれば、受験資格が得られることが特徴です。

近年は、口から食べることへの大切さが注目されるようになり、さらに高齢者や脳血管障害の患者が増えている中、リハビリテーションに必要な知識を幅広く修得しているこの資格の保有者を歓迎する病院や施設は増えています。

専門看護師資格や認定看護師資格

認定看護師の資格取得には看護師として実務研修が通算5年以上あり、そのうち3年以上は認定看護分野の実務研修があることが、条件として必要になります。この条件を満たす看護師が認定看護師教育機関で専門の教育を800時間程度受け、審査に合格することで、資格が付与されます。(認定看護師制度の改正に伴い、2020年度から特定行為研修を組み込んだ新たな認定看護師教育が開始されます。※注3)

がん看護専門看護師

日本看護協会が認定する「がん看護専門看護師」は、がん患者の身体的・精神的苦痛を理解し、患者とその家族の生活の質の視点に立った高度な看護を提供することを目的としています。

看護系の大学院において修士課程を修了し、日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定単位を取得し、看護師としての実務研修が5年以上あり、うちがん看護を扱う分野の実務研修が3年以上ある場合に受験資格が得られ、認定審査に合格することで資格が取得できます。

看護実践の報告も兼ねて、5年に一度の資格更新を行う必要があります。

がん薬物療法看護認定看護師

がん薬物療法看護認定看護師は、がん薬物療法を受ける患者とその家族を支え、安全を守っていくことを目的として認定されました。

緩和ケア認定看護師

緩和ケア認定看護師は、がんの進行とその治療に伴う激しい痛みを緩和するための知識と技術をもつ看護師養成を目的として認定された資格です。

がん放射線療法看護認定看護師

現在のがん治療に欠かすことのできない、がん放射線治療について高い知識をもった看護師養成を目的として定められた資格です。

皮膚・排泄ケア認定看護師

創傷・オストミー・失禁の看護分野において、熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護実践のできる看護師です。

摂食嚥下障害看護認定看護師

摂食嚥下障害のある患者に対し、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践するのが、摂食嚥下障害看護認定看護師です。

消化器外科の看護師は需要が高い

消化器外科は非常に需要の高い診療科であり、そこでの経験がある看護師はどこの病院でも重宝されます。食生活の欧米化とストレスの増加に伴い、日本人の消化器にかかる負担も年々増大しています。前述したように、がん疾患の中でも消化器に関わるものは上位クラスであり、消化器系の臓器における潰瘍やがんは、もはや国民病ともいうほどの罹患率の高さになっています。

消化器外科で幅広いスキルを習得

消化器外科で働くことで、看護師は幅広いスキルが習得できます。消化器外科は医療技術や医療機器の進歩を肌で感じる場でもあります。新しい技術や機器に対応していくことで、それらを学び使いこなすスキルが身につきます。

消化器の中には胆石症や胆のう炎など、初期の頃は自覚症状がない疾病もあります。そのためCTやレントゲン、内視鏡などを用いた検査は頻繁に行われます。準備や操作補助に関わるうちに、それらの医療機器のしくみやアセスメントについての知識も得られます。

人工肛門をもつ患者に対応するストーマケアなどは、まさに消化器外科看護師ならではのスキルといえるでしょう。また、周術期の患者への対応能力も身につきます。周術期の患者の管理は消化器外科看護師のメインとなる業務であり、合併症防止策や経腸栄養の手法など、専門性の高いスキルについても習得できます。

バイタルサインを含め、わずかな異常を察知できる能力を高めることもでき、重篤な症状の患者やその家族に対応できるコミュニケーションスキルを向上させることもできます。

がん治療の知識も豊富になる

消化器外科はがん治療が多く、がん患者を扱う場合は、診断から慢性期、急性期、終末期と全てのステージについての看護ケアを経験しますから、放射線療法や化学療法、そして「がんそのもの」についての知識も豊富になります。

看護師には、抗がん剤の調剤・投与・ルート漏れのチェックなどが任されるため、他の診療科ではなかなか得られないスキルを身につけることができます。

消化器外科での経験は、看護師としてのキャリアアップに有効につながっていくはずです。

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「2019年のがん統計予測」※注1  
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html

出典:厚生労働省「平成 29 年(2017) 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」※注2

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/17/dl/09gaikyo29.pdf

出典:日本看護協会 生涯学習支援 認定看護師教育※注3
https://www.nurse.or.jp/nursing/education/nintei/index.html

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