[ 記事作成日時 : 2015年1月24日 ]
[ 最終更新日 : 2020年2月6日 ]

【輸血時の手順と観察のポイント】

看護師のスキルアップ

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1.目的

血液成分の欠乏・機能不全により臨床上問題となる症状が出現したとき、血液を補充することで不足した成分・機能を補う。

2.血液製剤の種類

全血製剤
血液成分をすべて含んだもの
成分製剤
血液を遠心分離して成分ごとに分けたもの
血症分画製剤
血症から特定の血漿タンパクを分離・精製したもの

※現在では成分製剤・血漿分画製剤により、目的の成分のみを輸血することが推奨されている。それにより目的以外の成分による副作用を防ぐことができる。

3.成分製剤の種類

1.赤血球製剤(赤血球濃厚液:RCC-LR)

目的 末梢循環系へ不足している酸素供給、循環血液量の維持
適応 急性出血、貧血
保存 2~6℃、採血後21日間有効
注意点 赤血球輸血セットを使用
加温せずそのまま使用するが、急速大量輸血時には体温低下を予防するため専用加温器(37℃)を使用

2.血小板製剤(照射濃厚血小板:PC-LR)

目的 止血、出血予防
適応 血小板減少・機能異常
保存 20~24℃にて振とうさせながら保存、採血後4日間有効
注意点 血小板輸血セットを使用、受け取り後、すぐに使用
バッグを通して酸素を取り込んでいるため、全体に行き渡らせるために振とうさせる

3.血漿製剤(新鮮凍結血漿:FFP-LR)

目的 血漿成分・凝固因子を補充し、出血傾向を是正する
適応 凝固因子異常を伴う疾患
保存 -20℃以下で保存、採血後1年間有効
注意点 赤血球輸血セットを使用
30~37℃で急速に融解し、3時間以内に使用

4.輸血の準備・必要物品(医療機関により異なる)

血液製剤のオーダー

  • 輸血オーダー書類
  • 輸血に関する説明文書、同意書などの書類(患者さん用・カルテ保存用)

    法的書類であり、5年間の保存が義務づけられている

  • 採血用物品

血液製剤の払い出し

  • オーダー書類の控え
  • クロスマッチの検査結果
  • 血液型検査結果
  • 血液製剤を運搬するケース(保存温度によって保冷剤を入れていく)
  • カルテ

輸血セットの接続

  • 血液製剤
  • オーダー書類、クロスマッチ・血液型検査結果
  • カルテ
  • 手袋
  • 輸血セット

    赤血球輸血セットと血小板輸血セットがあるので、適したものを使用する。

    赤血球輸血セットには、濾過筒があり血液製剤の凝集塊を濾過している。

    血小板輸血セットには、末端のゴム管に濾過機能がついている。

    ※血小板輸血セットのほうが、濾過に用いるメッシュの目が細かく内径が小さい

  • トレイ

5.輸血準備の手順

輸血の必要性の説明
医師が患者さん・家族に輸血の必要性やリスクの説明をする
同意書
説明を聞いたうえで、同意書に患者さんのサインをもらう
輸血オーダーを行う
医師が患者さんの血液型を確認。
血液型が分からない場合は、採血を行い血液型判定することが必要
交差適合試験(クロスマッチ)用採血
本人確認後、交差適合試験(クロスマッチ)用採血を行い検体を提出する
クロスマッチ
  • 患者血と輸血用血液製剤の適合性(輸血が可能かどうか)を調べる
  • 主試験:患者血清×輸血製剤の血球
  • 副試験:患者血球×輸血製剤の血清
  • 両試験の反応が陰性ではじめて輸血可能となる
クロスマッチ終了
輸血部からクロスマッチ終了・準備完了の連絡がくる
※クロスマッチ結果報告書が送られてくる場合もある
受け取りに行く
必要物品を持ち、受け取りに行く
ダブルチェック
輸血部スタッフと、ダブルチェックを行う
不適合輸血を防ぐために徹底したダブルチェックが行われる

※チェック項目

  • 患者氏名、IDNO.
  • 血液型
  • クロスマッチ検査結果、不規則抗体の有無
  • 血液製剤名
  • 血液製造番号
  • 単位数(数量)
  • 有効期限
病棟に持ち帰る
血液製剤は、種類によって保存方法が異なる

※チェック項目

  • 赤血球製剤:2~6℃、保冷剤を入れて運搬し、製剤が直接触れないようにする
  • 血小板製剤:20~24℃、常温で運搬
  • 血漿製剤:-20℃、保冷剤を入れて運搬、衝撃を与えないようにする
ダブルチェック(2回目)
医師とダブルチェックを行う(2回目)
チェック項目は上記参照
※輸血を受け取りに行く際に、医師に連絡しておき病棟で待機してもらうとスムーズ
※輸血をどのくらいの時間で投与するかを確認しておくと良い
ダブルチェック(3回目)
看護師とダブルチェックを行う
※ダブルチェック体制は、医療機関によって多少異なるため勤務先の手順を確認しておく。
血液製剤を混和
手袋を装着し、血液製剤を混和する
目詰まりを防ぐためにバッグの口をもみほぐし、静かに上下左右に振って混和させる
※血液製剤の外観に破損、色調の変化がないかなど確認する
輸血セットを準備
輸血セットを準備する
輸血セットを開封しクレンメを閉じる
※クレンメを開いておくと血液バッグを接続した際に流れ出てしまう
血液製剤(バッグ)を開封
2つある口のどちらか一方を開封する
※切り取るタイプ、ねじ切るタイプの2つがある
血液バッグと輸血セットを接続
輸血セットのキャップを外し、まわしながら輸血口にまっすぐ根元まで刺す
※斜めに差し込むとバッグが破損することがある
※点滴スタンドにかけて行わず、平らにして行うと血液が漏れ出ることがない
ルート内を血液で満たす
漏れがなく接続できたことを確認し、点滴スタンドに吊り下げる
クレンメを閉じた状態で、ポンピングを行い濾過筒内を十分に満たす
点滴筒内を半分程度満たし、クレンメを開きルートの先端まで満たす
※膿盆やトレーなどの上で行うと良い

6.輸血実施の必要物品

  • 準備した血液製剤
  • ダブルチェック用の書類、カルテ
  • 手袋
  • 駆血帯
  • アルコール綿
  • 留置針(18~20G)
  • 生食を満たした延長チューブ(シリンジ接続したまま)
  • ドレッシング材
  • 固定用テープ
  • 点滴スタンド
  • ダブルチェックに必要な書類
  • バイタルチェックに必要な物品

7.輸血実施の手順

輸血開始の説明
患者さんに輸血を開始することを説明する
所要時間、使用する血液製剤などを説明する
ダブルチェック(4回目)
看護師とダブルチェックを行う(4回目)
ダブルチェックに必要な書類を用いて、患者さんの血液型バンド(ネームバンド)を確認する
※血液型検査結果で血液型ネームバンドをつけおく
バイタルサイン測定
輸血後の副作用の早期発見のために、輸血前の患者さんの状態を把握する
ルート確保・輸液セット接続
輸血時は溶血を防ぐため太めの留置針を選択する
延長ルートに三方活栓を接続しておくと副作用が出現したときなどに、側管から輸液投与ができる。
  • 留置針穿刺を行い延長ルートを接続する
  • シリンジで生食を流し痛み・腫れ・抵抗がないこと確認する
  • テープ固定する
  • 血液で満たした輸血セットと延長ルートを接続する
  • ※輸血ルートは基本的に単独ルートで使用する

しかし、ルート確保が難しい患者さんなどは、すでに輸液投与されているルートから血液製剤を流すことは可能。しかし、輸液製剤と血液製剤を混ぜることで、凝固や溶血などが生じることがある。そのため、輸液を中断し、三方活栓でオフにする。側管に生食をフラッシュし、輸血ルートを接続する。

滴下する
クレンメを開放し、1㎖/分の速度で開始する ※開始直後は重篤な副作用が起こりやすいため、慎重に行う
副作用出現の有無を観察
開始から5分間は、患者さんのそばを離れず副作用出現の有無を観察する
バイタルサインや全身状態の観察を行い、記録する
バイタルサイン測定(15分後)
副作用の有無を確認。医師の指示通りの所要時間に合わせ、滴下速度を調整する
バイタルサイン測定(30分間隔)
30分間隔で患者さんの状態を観察する

8.輸血中の副作用、観察ポイント

輸血直後から副作用が出現する可能性があるため、注意して観察を行う

血圧低下、変動の有無、呼吸困難、意識障害、赤褐色尿、発熱、悪寒、戦慄、熱感、ほてり、掻痒感、かゆみ、発赤、顔面紅潮、発疹、じんましん、嘔吐、嘔気、胸痛、腹痛、腰背部痛、頭痛、頭重感、血管痛、動悸、頻脈、血圧上昇

※これらの症状出現の際には、輸血を中止して医師へ連絡する
輸血セットを交換し、輸液を開始するなど医師に指示に従い処置を行う
また、ルート内の血液が輸液に押されて体内に入ってしまうので、血液を吸引してから開始すると良い

※使用した製剤は捨てずに冷蔵庫で保管しておく(原因追及のため)

1.ABO不適合輸血

血液製剤や患者取り違えなどの人為的ミスが原因である。患者さんの血液型を異なる赤血球が輸血されることで、血液中の抗体に反応して破壊される。

輸血直後から始まり、重篤になるとショック、DIC、腎不全に至ることもある。

副作用出現時には、すぐに輸血を中止し医師へ報告する。

急性 開始直後から
遅発性 輸血後24時間~数日経過
症状
  • 発熱、悪寒
  • 腹痛、胸痛
  • 穿刺部位の熱感、疼痛
  • ヘモグロビン尿
  • 体液貯留
  • 浮腫
  • 息切れなど

2.アナフィラキシーショック

アレルギー反応により、輸血後10分以内に発症

症状
  • チアノーゼ
  • 皮膚の高潮
  • 血管浮腫
  • 喘息様症状
  • 腹痛
  • 頻脈
  • 血圧低下など

3.細菌感染症

細菌汚染血による菌血症、エンドトキシンショック

4.輸血関連急性肺障害(TRALI)

輸血後6時間以内(多くは1~2時間以内)に出現する、非心原性の肺水腫を伴った呼吸困難を呈する障害。心不全との鑑別が必要で、利尿薬使用は症状を悪化させるので注意。

症状
  • 低酸素症
  • 両側肺水腫
  • 血圧低下など

5.輸血関連循環過負荷(TACO)

急速・大量輸血により、輸血後6時間以内を目安に心不全となり、頻脈・肺水腫を引き起こす。

6.輸血後移植片対宿主症

輸血後7~14日頃に発症する遅発性の副作用

症状
  • 発熱
  • 紅斑
  • 下痢
  • 肝機能障害
  • 汎血球減少症

7.輸血後ウイルス感染

数か月後に発症する副作用

  • B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIV、HTLVなどがある
この記事を監修した人
はる
地方の公立大学病院小児科病棟で2年勤務したのち看護師をやめ都内のIT企業に転職。結婚を機にUターンし専業主婦となる。10年のブランクを経て訪問看護師として復職。その後、急性期病院の外来・救急外来勤務を経て、療養型病院の病棟師長として勤務。家族の都合により上京後は回復期リハビリ病棟に勤務。看護師として通算15年以上の臨床経験がある。現在はココナスにて記事の企画、監修をはじめメディア運営を行う。
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