【バルーンカテーテル管理とトラブル対処法】

看護技術情報
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カテーテル留置中の日常的ケア・観察

バルーンカテーテル留置中は、合併症が生じるリスクが大きい。その予防のために、日常的なケア、合併症の早期発見などの観察も重要となる。特に、免疫低下がみられる患者さんは、長期留置することでそのリスクは高くなるため注意が必要である。

日常のケア

1.陰部を清潔に保つ

毎日、陰部洗浄を行う。(刺激が少ない泡洗剤などが良い)

便による陰部汚染がみられたときも陰部洗浄を行う。

2.体位変換

同一体位により、尿の流出が滞ることがある。それにより、つまりや閉塞、感染症などを引き起こすことがある。体位変換が必要な患者さんは、尿量と体位・カテーテル位置なども併せてアセスメントすることで正常・異常の判断に役立つ。

3.水分摂取を促す(飲水制限がない場合)

尿量が少なくなると膀胱・尿道などに尿が停滞し、感染症のリスクが生じる。水分摂取し、尿量を増やすことで予防することができる。

4.カテーテル交換

長期留置する場合、通常2~4週間ごとに交換を行う。(医療機関によって様々)

尿混濁・異物などがみられる場合、つまりや閉塞しやすい。カテーテル状況を観察しながら、交換時期を見極めることが必要となる。

5.ウロバック内の尿破棄

排尿口が容器に触れて不潔にならないように、定期的にバック内の尿を破棄する。その際に、尿の観察しながら行うと良い。

※細菌侵入経路

  • 外尿道口(陰部の汚染)
  • 蓄尿バックの排水口(尿破棄時)
  • カテーテルとウロバックの接続部周辺(接続部の開放、不潔操作)

観察

1.尿アセスメント

正常
尿量800~1500ml/日程度
色、性状淡黄色~黄色、混濁なし
臭いなし
異常
無尿100ml/日以下(腎機能障害、尿路閉塞など)
乏尿400ml/日以下(腎機能障害、脱水、心不全など)
多尿2500ml/以上(糖尿病など)
無色透明希釈尿
黄褐色脱水などによる濃縮尿
赤~赤褐色尿路結石・尿路感染症などによる血尿
緑色緑膿菌による尿路感染症
乳白色尿路感染症による膿尿、尿中の結晶成分増加など
臭い悪臭・腐敗臭(尿路感染症)
甘酸っぱいアセトン臭(重症糖尿病)

2.全身状態(バイタルサイン)

  • 発熱や心拍数増加などがみられた場合、尿アセスメントと併せて尿路感染症のリスクを考える。
  • 膀胱刺激症状(下腹部痛、腹部膨満、尿意)
  • 3.陰部の観察

    毎日の陰部洗浄の際、陰部の発赤、出血、潰瘍、疼痛、膿などの有無を観察する。

    4.カテーテルの観察

    • 屈曲の有無、身体の下に敷かれていないか
    • 混濁、浮遊物の有無
    • 閉塞を予防するために、カテーテルのミルキングを行う。(ローラーを使用することもある)指で行う場合は、上から下に押しながら行う。

      ミルキングの際、カテーテルを引っ張らないように患者さんに近い方を片手で持ちながら行うと良い。

    • 閉塞の有無
    • 尿量が少ない、カテーテル留置しているのに尿漏れがあるときは、閉塞を考える。

      混濁や浮遊物があると閉塞しやすい。カテーテル交換を検討する。

    • バルーン固定
    • バルーン内の滅菌蒸留水が少なくなることがある。(膀胱内へ移動してしまう)

      自然抜去や尿漏れのリスクとなるため、挿入時と同量であるかをシリンジで確認する。減少している場合は、追加する。

      ※バルーン容量は、滅菌水注入ルートに記載されている

    5.尿漏れの有無

    カテーテル閉塞、バルーン内の滅菌蒸留水減少が考えられる。カテーテルの観察を行う。

    6.カテーテル固定部の観察

    • 皮膚の状態、カテーテル圧迫による潰瘍などの有無を観察し、陰部洗浄時に固定位置を変える。
    • カテーテルが引っ張られないようなゆとりがあるかを確認
    • 自己抜去などのリスクがある患者さんは、手が届かない位置に固定をしたり、ズボンの裾を通すなどの工夫をする。

カテーテル留置による合併症

1.カテーテル関連尿路感染(CAUTI)

症状・膀胱刺激症状(下腹部痛、尿意、出血)→細菌による膀胱壁の刺激によるもの  
・尿漏れ→膀胱収縮、膿によるカテーテル閉塞のため  
・膿尿、血尿、尿量減少  
・発熱  
※さらに上行感染すると、腎盂腎炎が生じることがある。背部(第12肋骨下)叩打痛を確認すると良い。
対応・医師の指示により抗菌剤治療開始
・カテーテル抜去

2.膀胱結石

※カテーテル留置によって尿中の物質が結晶化しやすく、膀胱結石の原因となる。

症状・膀胱刺激症状(下腹部痛、尿意、出血)
・膿尿、血尿、尿漏れ
対応・医師の指示を仰ぐ

3.膀胱の廃用性委縮

通常の排尿機能は、膀胱に尿が溜まることで膀胱壁が伸展し、尿意を感じる。しかし、長期にカテーテル留置することで自然に尿が排泄されるため、膀胱壁進展という機能が低下する。

症状・カテーテル抜去後の頻尿、または尿閉
対応・カテーテル抜去する前に、膀胱訓練を実施すると良い。
膀胱訓練:カテーテルをコッヘルなどでクランプし、自然に尿が排出されないような状況にする。尿意を感じたらクランプ解除をするという訓練を数日間行い、本来の膀胱機能の回復を確認後にカテーテル抜去を行う。

4.陰部潰瘍

同一部位でカテーテル固定すると、尿道への圧力により潰瘍が生じる。

症状陰部の発赤、出血、疼痛
対応医師の指示を仰ぐ

5.紫色蓄尿バック症候群(PUBS)

 

カテーテル留置中に尿路感染症・便秘を併発すると、カテーテル・ウロバックが紫色に着色することがある。食事由来のトリプトファン(必須アミノ酸)が腸内細菌や細菌により、青・赤色の色素に変化したもので、これらが混ざり紫色となることが原因。

対応尿路感染症と同様に行い、便秘の予防を行う。

カテーテル抜去

方法

1.必要物品

手袋 ビニール袋 シリンジ(10cc) 処置用シーツ バスタオルなど ティッシュ、トイレットペーパー 陰部洗浄、清拭物品

2.患者さんに説明し、環境を整える

※できれば、全身清拭・陰部洗浄を行う際に同時に施行すると良い

3.手指消毒・手袋を装着する

※カテーテル内の尿をウロバック内に流しておくと、抜去時に尿が飛び散らない

4.体位を整え、寝衣・下着をおろし、バスタオルなどをかける

患者さんの臀部に処置用シーツを敷く

5.物品を配置する

外尿道口の近くにビニール袋を置く

6.シリンジを、滅菌水注入口に接続する

滅菌水が自然にシリンジ内に流れてくるので止まるまで待つ シリンジが止まったら、軽くシリンジを引いて全ての滅菌水が抜けたことを確認する ※バルーン容量は、滅菌水注入口に記載されている

7.陰部にティッシュなどを当て、カテーテルをつまみながらゆっくりと抜く

掌でカテーテルをまとめ、手袋を裏返して包むようにする ※患者さんに口呼吸を促すと良い。途中で抜けない場合は、無理せず医師に報告する ※男性患者の場合は、挿入時と同様に陰茎を90°に立てて行う

8.陰部を清拭する

9.患者さんの衣類・環境を整える

10.ウロバック内の尿破棄を行う(抜去前に破棄しても良い)

※尿量、性状を観察

11.手洗い、手指消毒を行う

12.記録(抜去時間、尿量、性状など)

※抜去後の排尿間隔、尿量、疼痛、出血などを観察して記録することが重要

抜去後のトラブル

  • 排尿時痛
  • 尿路感染症、カテーテル抜去時の尿道損傷を疑う。経過観察を行い、医師へ報告する。

  • 排尿がない、尿量が少ない
  • 抜去後4時間程度を目安にし、排尿の有無・量を確認する。

    排尿がみられないときは、インとして経口摂取・輸液量がどのくらい入ったのか、また尿意の有無、腹部膨満の有無、下腹部痛の有無などを観察する。

    インが少なければ、水分摂取を促し、様子を見ることも必要。しかし、全身状態をみながら導尿を検討する。

  • 頻尿、失禁など
  • カテーテル留置による膀胱萎縮によるもの

  • 陰部の違和感
  • カテーテル留置による違和感があるが、抜去により自然と消失する。

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