[ 記事作成日時 : 2015年1月21日 ]
[ 最終更新日 : 2020年2月6日 ]

【バルーンカテーテル管理とトラブル対処法】

看護師のスキルアップ

バルーンカテーテル留置中のケア

バルーンカテーテル留置中は、合併症が生じるリスクが大きい。その予防のために、日常的なケア、合併症の早期発見などの観察も重要となる。特に、免疫低下がみられる患者さんは、長期留置することでそのリスクは高くなるため注意が必要である。

陰部を清潔に保つ

毎日、陰部洗浄を行う。(刺激が少ない泡洗剤などが良い)

便による陰部汚染がみられたときも陰部洗浄を行う。

体位変換

同一体位により、尿の流出が滞ることがある。それにより、つまりや閉塞、感染症などを引き起こすことがある。体位変換が必要な患者さんは、尿量と体位・カテーテル位置なども併せてアセスメントすることで正常・異常の判断に役立つ。

水分摂取を促す(飲水制限がない場合)

尿量が少なくなると膀胱・尿道などに尿が停滞し、感染症のリスクが生じる。水分摂取し、尿量を増やすことで予防することができる。

カテーテル交換

長期留置する場合、通常2~4週間ごとに交換を行う。(医療機関によって様々)

尿混濁・異物などがみられる場合、つまりや閉塞しやすい。カテーテル状況を観察しながら、交換時期を見極めることが必要となる。

ウロバック内の尿破棄

排尿口が容器に触れて不潔にならないように、定期的にバック内の尿を破棄する。その際に、尿の観察しながら行うと良い。

細菌侵入経路
  • 外尿道口(陰部の汚染)
  • 蓄尿バックの排水口(尿破棄時)
  • カテーテルとウロバックの接続部周辺(接続部の開放、不潔操作)

バルーンカテーテル留置中の観察

尿アセスメント:正常

尿量 800~1500ml/日程度
色、性状 淡黄色~黄色、混濁なし
臭い なし

尿アセスメント:異常

無尿 100ml/日以下(腎機能障害、尿路閉塞など)
乏尿 400ml/日以下(腎機能障害、脱水、心不全など)
多尿 2500ml/以上(糖尿病など)
無色透明 希釈尿
黄褐色 脱水などによる濃縮尿
赤~赤褐色 尿路結石・尿路感染症などによる血尿
緑色 緑膿菌による尿路感染症
乳白色 尿路感染症による膿尿、尿中の結晶成分増加など
臭い 悪臭・腐敗臭(尿路感染症)
甘酸っぱいアセトン臭(重症糖尿病)

全身状態(バイタルサイン)

  • 発熱や心拍数増加などがみられた場合、尿アセスメントと併せて尿路感染症のリスクを考える。
  • 膀胱刺激症状(下腹部痛、腹部膨満、尿意)

毎日の陰部洗浄の際、陰部の発赤、出血、潰瘍、疼痛、膿などの有無を観察する。

カテーテルの観察

  • 屈曲の有無、身体の下に敷かれていないか
  • 混濁、浮遊物の有無
  • 閉塞を予防するために、カテーテルのミルキングを行う。(ローラーを使用することもある)指で行う場合は、上から下に押しながら行う。

    ミルキングの際、カテーテルを引っ張らないように患者さんに近い方を片手で持ちながら行うと良い。

  • 閉塞の有無
  • 尿量が少ない、カテーテル留置しているのに尿漏れがあるときは、閉塞を考える。

    混濁や浮遊物があると閉塞しやすい。カテーテル交換を検討する。

  • バルーン固定
  • バルーン内の滅菌蒸留水が少なくなることがある。(膀胱内へ移動してしまう)

    自然抜去や尿漏れのリスクとなるため、挿入時と同量であるかをシリンジで確認する。減少している場合は、追加する。

    ※バルーン容量は、滅菌水注入ルートに記載されている

尿漏れの有無

カテーテル閉塞、バルーン内の滅菌蒸留水減少が考えられる。カテーテルの観察を行う。

カテーテル固定部の観察

  • 皮膚の状態、カテーテル圧迫による潰瘍などの有無を観察し、陰部洗浄時に固定位置を変える。
  • カテーテルが引っ張られないようなゆとりがあるかを確認
  • 自己抜去などのリスクがある患者さんは、手が届かない位置に固定をしたり、ズボンの裾を通すなどの工夫をする。

カテーテル留置による合併症

1.カテーテル関連尿路感染(CAUTI)

症状 ・膀胱刺激症状(下腹部痛、尿意、出血)→細菌による膀胱壁の刺激によるもの  
・尿漏れ→膀胱収縮、膿によるカテーテル閉塞のため  
・膿尿、血尿、尿量減少  
・発熱  
※さらに上行感染すると、腎盂腎炎が生じることがある。背部(第12肋骨下)叩打痛を確認すると良い。
対応 ・医師の指示により抗菌剤治療開始
・カテーテル抜去

2.膀胱結石

※カテーテル留置によって尿中の物質が結晶化しやすく、膀胱結石の原因となる。

症状 ・膀胱刺激症状(下腹部痛、尿意、出血)
・膿尿、血尿、尿漏れ
対応 ・医師の指示を仰ぐ

3.膀胱の廃用性委縮

通常の排尿機能は、膀胱に尿が溜まることで膀胱壁が伸展し、尿意を感じる。しかし、長期にカテーテル留置することで自然に尿が排泄されるため、膀胱壁進展という機能が低下する。

症状 ・カテーテル抜去後の頻尿、または尿閉
対応 ・カテーテル抜去する前に、膀胱訓練を実施すると良い。
膀胱訓練:カテーテルをコッヘルなどでクランプし、自然に尿が排出されないような状況にする。尿意を感じたらクランプ解除をするという訓練を数日間行い、本来の膀胱機能の回復を確認後にカテーテル抜去を行う。

4.陰部潰瘍

同一部位でカテーテル固定すると、尿道への圧力により潰瘍が生じる。

症状 陰部の発赤、出血、疼痛
対応 医師の指示を仰ぐ

5.紫色蓄尿バック症候群(PUBS)

カテーテル留置中に尿路感染症・便秘を併発すると、カテーテル・ウロバックが紫色に着色することがある。食事由来のトリプトファン(必須アミノ酸)が腸内細菌や細菌により、青・赤色の色素に変化したもので、これらが混ざり紫色となることが原因。

対応 尿路感染症と同様に行い、便秘の予防を行う。

カテーテル抜去の手順

必要物品をそろえる
手袋、ビニール袋、シリンジ(10cc)、バスタオル、ティッシュ、トイレットペーパー、陰部洗浄、清拭物品
患者さんに説明し、環境を整える
患者さんの臀部に処置用シーツを敷く。体位を整え、寝衣・下着をおろし、バスタオルなどをかける。全身清拭・陰部洗浄を行う際に同時に施行すると良い
物品を配置
外尿道口の近くにビニール袋を置く<
手指消毒・手袋を装着
カテーテル内の尿をウロバック内に流しておくと、抜去時に尿が飛び散らない
シリンジを、滅菌水注入口に接続
滅菌水が自然にシリンジ内に流れてくるので止まるまで待つ。シリンジが止まったら、軽くシリンジを引いて全ての滅菌水が抜けたことを確認する。バルーン容量は、滅菌水注入口に記載されている
カテーテル抜去
陰部にティッシュなどを当て、カテーテルをつまみながらゆっくりと抜く掌でカテーテルをまとめ、手袋を裏返して包むようにする患者さんに口呼吸を促すと良い。途中で抜けない場合は、無理せず医師に報告する男性患者の場合は、挿入時と同様に陰茎を90°に立てて行う
ウロバック内の尿量、性状を観察
ウロバック内の尿を破棄する。抜去前に破棄しておいても良い。
記録
抜去時間、尿量、性状などを記録する。抜去後の排尿間隔、尿量、疼痛、出血などを観察して記録することが重要。

バルーン抜去と同時に陰部洗浄まで行っておくと感染予防にもなり、抜去後の管理もしやすくなります。

処置用シーツの片付けや衣類と寝具を整えることも忘れないようにしましょう。ベッド内に物品を忘れると汚染やけがの原因になりますから最後までしっかり確認しましょう。

抜去後のトラブル

バルーン抜去後も継続してトラブルの有無の観察が必要です。抜去後に多いトラブルについては把握しておきましょう。

排尿時痛
尿路感染症、カテーテル抜去時の尿道損傷を疑う。経過観察を行い、医師へ報告する。
排尿がない、尿量が少ない

抜去後4時間程度を目安にし、排尿の有無・量を確認する。

排尿がみられないときは、インとして経口摂取・輸液量がどのくらい入ったのか、また尿意の有無、腹部膨満の有無、下腹部痛の有無などを観察する。

インが少なければ、水分摂取を促し、様子を見ることも必要。しかし、全身状態をみながら導尿を検討する。

    
頻尿、失禁など
カテーテル留置による膀胱萎縮によるもの
陰部の違和感
カテーテル留置による違和感があるが、抜去により自然と消失する。
この記事を監修した人
はる
地方の公立大学病院小児科病棟で2年勤務したのち看護師をやめ都内のIT企業に転職。結婚を機にUターンし専業主婦となる。10年のブランクを経て訪問看護師として復職。その後、急性期病院の外来・救急外来勤務を経て、療養型病院の病棟師長として勤務。家族の都合により上京後は回復期リハビリ病棟に勤務。看護師として通算15年以上の臨床経験がある。現在はココナスにて記事の企画、監修をはじめメディア運営を行う。
監修者プロフィールはこちら
3月は内定辞退や急な退職で追加募集が増える時期

4月入職予定者の内定辞退や家族の転勤や進学による引っ越し、転職を決めかねていたスタッフの退職の申し出などが多くなります。その為、予定人員が確保できなくなり急遽、追加募集をする医療機関が増える時期です。

また、3月末退職予定者が有給消化のため出勤しなくなり、実働スタッフ数が減るため3月中に入職できる看護師を探す職場も出てきます。「3月からでは、もう4月入職に間に合わない」「いい求人はもう残っていない」と考えるのは早計です。

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