[ 記事作成日時 : 2016年6月26日 ]
[ 最終更新日 : 2020年4月3日 ]

ICUで働く看護師の役割と業務の特徴や適性、ストレス回避法

ICU(集中治療部)は、生命の危険性の高い患者を24時間体制で治療する部署です。ICUにはすべての診療科の重症患者が入院します。つまり、内科、外科系を問わず、重篤で急性的な症状の患者を集中的に治療することになるので、そこで働く看護師には、高い判断能力と幅広い知識が必要とされます。

常に緊張を強いられる現場ですが、ICUを経験すれば、多様な疾患の知識が得られ、どのような現場からも重宝される看護師に成長できるのは間違いありません。

ICU看護師の役割

ICUはIntensive Care Unit(集中治療部)の略で、日本の病院では集中治療室と呼ばれます。日本集中治療医学会ではICUについて、

集中治療のために濃密な診療体制とモニタリング用機器、ならびに生命維持装置などの高度の診療機器を整備した診療単位
と定義しています。

厚生労働省によると、特定集中治療室(ICU)がある一般病院は712 施設あり、ほかに重症患者を集中的に治療する部門を設置しているところもあります(厚生労働省 「平成 29 年(2017) 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況)。

ICUのもっとも特徴的な部分は、診療科の枠を超えて、命の危険性の高い患者をすべて診ることです。 最近ではCCU(冠疾患集中治療室)・HCU(高度治療室)・SCU(脳卒中集中治療室)・NICU(新生児集中治療室)といった、専門性に特化した部署も多く見られますが、その基点となっているICUは疾患を区別しない最前線の治療部署です。

ICUの患者のベッドの周囲には、人工呼吸器や補助心臓、持続血液浄化などの人工臓器といった高度な医療機器が配され、患者は常時、血圧や心電図により生体モニターがなされます。 ICU看護師は、わずかな変化に対しても見落としがなく、患者に的確な処置がされるよう、看護師が監視を行っています。さらに、モニターだけに頼らず、モニターに反映されない変化を敏感に察知することが要求されています。

ICU看護師の仕事内容

集中治療室には、さまざまな病気によって重篤に陥った患者や、大手術後に予断を許さない患者が集められ、24時間体制で医師も常駐しています。緊急オペになるケースも少なくないので、常に念頭において準備をしておく必要があります。

ICU看護師の仕事には、おもに次のようなものがあります。

観察と機器類のモニタリング

ICU内部には一般病室には見られない、たくさんの医療機器があります。いつ容態が変化するか予測できない患者に対して、呼吸や脈拍、心電図、また輸液ポンプの状態などをモニターしながら観察します。

看護師はこれらの機器類のデータから、異常や変化を瞬時に見出す必要があります。またデータには現れない患者の表情や顔色などを、つぶさに観察し、看護師ならではの体感によってわずかな変化にも対応していく必要があります。

こうした機器類については、基本的に臨床工学技士が操作、管理を行いますが、看護師と違って臨床工学技士は24時間待機しているとは限らないので、基本的な操作や管理法を習得しておく必要があります。

日常の医療処置・看護 身の回りのケア

採血や点滴、手術後の消毒などの医療処置を行います。また、一般病棟と同じように、食事や清拭などの日常生活の看護も行います。たとえ意識のない患者だとしても、快適な状態を保つことで、早期離床につながることもあります。

医療スタッフとの連携

重篤な患者が多いため、ICUは医師を中心とした、専門職による高度な医療チームを形成していますから、他の病棟より、臨床工学士、薬剤師といった医療スタッフの数が多くなり、看護師は医師や医療スタッフのつなぎ役として働きます。

定期的なカンファレンス以外でも、こまめに情報を交換する体制ができていれば、状況判断がより正確になります。

患者の家族の精神的なケア

患者の病状は重篤であり、家族は動揺しているものです。また、面会は時間や人数が決められていることも多いので、適切に患者の状態を伝えつつ、家族への精神的なケアもします。

ICU看護師のやりがい

厳しい状況に置かれることが多いICUの看護師ですが、そのやりがいとはどのようなものなのでしょうか。

患者の回復に対する喜び

患者の回復がまさに「目に見える」だけに、満足度が高まる部署ともいえるでしょう使用している機器が少しずつ外され、意識が戻り、会話ができまでになったとき、ベテランになってもうれしいものです。

チーム医療での達成感

ICUで急変が起きると、すべてのスタッフが現場に駆け付け、全員ができることを行います。危機を脱したとき、「みんなで乗り越えた」という共通の充実感に満たされます。

スキルアップを実感する

ICUを経験した看護師の誰もが口にするのは、自分自身の成長です。実際にICUを経験した看護師が、別の職場に移ったとき、知らず知らず身についていた自身の知識に驚いたという話もあります。つらいプレッシャーに耐え、勝ち得た知識は、簡単に失われることはありません。

ICU看護師になるには

新卒の看護師を受け入れている病院もあれば、救急や急性期である程度経験を積んだ看護師を配属する病院もあります。新卒の看護師を受け入れるのは、ICUは多忙ではありますが、一般病棟よりも受け持つ患者数が少なかったり、先輩看護師からも比較的サポートを受けやすいとされているためです。

ただ、ICUの過酷さに新人看護師が耐え切れないのではないかともいわれています。死に遭遇する頻度が高く、また激烈な症状を呈する患者も多数収容されるICUは、あまりに刺激が強すぎるのではないかという考え方です。また現場では患者の命が最優先されるため、計画的な教育ができず、指導のタイミングが失われる可能性も高いともいわれます。

ICUの看護師を目指す場合には、どのような人材をICUに配属するのか、病院の方針について事前のリサーチが必要といえるでしょう。

ICU看護師が持っていると役に立つ資格

ICUへの転職や異動を希望するなら次のような資格を得ておくといいでしょう。

  • BLS(一次救命処置)
  • ACLS(二次心肺蘇生法)
  • JPTEC(病院前外傷教育プログラム)

スキルアップのためにおすすめの資格には次のようなものがあります。

  • 呼吸療法認定士
  • 医療環境管理士
  • 学会認定・自己血輸血看護師
  • 周術期管理チーム看護師
  • 呼吸ケア指導士
  • 学会認定・臨床輸血看護師

熟練したICU看護師になるために、次のような認定看護師や専門看護師を目指すこともできます。

集中ケア認定看護師 集中治療が必要な患者の病態変化の予測や、重篤化を予防する方法を学びます。
救急看護認定看護師 救急医療現場における病態に応じた迅速な救命技術などを学びます。
急性・重症患者看護専門看護師 緊急性が高い重症の患者の専門的な看護と、患者の家族のケアについても学びます。専門看護師になるには、大学院に2年間通う必要があります。

ICU看護師の適正

ICU看護師は、重症の患者が急変する可能性も高く、高度な医療機器も扱うので、勉強し続けることが必要です。また、患者の命を救うという大きなやりがいがあるとともに、患者の死にも多く出会う覚悟も必要です。

ICU看護師には、どのような性格や資質が求められているのかについて解説します。経験値によって、ICUのさまざまなプレッシャーなどを克服していく看護師も少なくありませんから一概にはいえないことではありますが、基本的にICUで働くために必要なあり方について、考えていきます。

メンタルが強く、精神的なプレッシャーに耐えられる

生死に直結する現場なので、医療スタッフもピリピリします。ささいなことにくよくよせず、何があっても気持ちをすぐに切り替えて立ち直れるメンタルの強さが必要です。

スキルと磨きたいという向上心が強い。

ICUの看護師はとにかく覚えていくことが多く、一般的な看護師以上の向学心が求められるといえます。そのため、必要に応じて学ぶことが苦にならないタイプの看護師に向いているといえます。病気に関する知識も、日々進歩している医療機器についても、興味を持ちながら操作を学んでいくような性格であればICUの看護師として伸びていけるはずです。

協調性の重要さを理解している

どのような医療現場であっても、チームとしての協調性が必要とされます。ICUの現場では、さらに強いチーム力が求められます。チームに貢献するために動くことができる性格であれば、ICUでも十分な働きができます。

精神的に不安定になりにくい

患者が急変したり、亡くなってしまうことも多く、重症の患者も多く、社会の日常とは全く違うできごとに日々向き合わなければなりません。目の前のやるべきことに集中できるタイプは向いています。

ICU看護師が抱えるストレス

ICU看護師は覚えなければならないことが多く、しかも患者の命と向き合っている日々のため、ストレスも多くあります。ICUで働く以上は避けられない問題ではありますが、上手にリフレッシュできないタイプには相当つらい職場であり、離職率も高いといわれています。

ICUの看護師のストレスとその原因について見ていきましょう。

重症度・緊急度の高い患者を扱う

ICUに収容されているのは、重症度・緊急度の高い患者ばかりで、回復が見られればほかの病棟へと移されていきます。生命の危険に近い現場なので、スタッフも自分自身の緊張感が強く、精神的なプレッシャーがあります。

覚えなければいけないことが多い

一般の診療科でも看護師は学び続けることが大切ですが、あらゆる疾患の患者を診る可能性があるICUでは、いくら勉強しても終わりはなく、次から次へと新しい分野の知識を吸収しなければなりません。

医療機器の操作が多い

ICUでは一般病棟以上に使用する機器類は多くなります。臨床工学技士が常駐しているとは限らず、看護師に任されることも多くあります。

医療スタッフのとの関わりが多い

一般的な病棟では、医師と看護師が固定されている分、関係性が築きやすいといえます。ICUには担当医師のほか、患者の主治医であるさまざまな科の医師も出入りします。また、ICUはチームで動くため、薬剤師などの他職種との関わりも深くなりますから、人間関係の多様さにはとまどってしまいます。

患者とその家族との関係がきつい

スタッフ同士の関わりに増して、ストレスの元になりやすいのが、患者やその家族との関係です。厳しい状況に置かれている患者やその家族と、向き合うのは負担が大きいものです。

患者の今後の経過や治療ついての説明や質問への回答には工夫が必要で、ときとして納得しない家族の相手をひとりでこなさなければならないこともあり、強いストレスとなることも多いようです。

精神的な負担が大きい

患者の死に立ち会う機会も多くなります。だんだんと、心にふたをすることを覚えて心が揺さぶられないようになるのですが、それはそれでまた、「死を感じない自分」に違和感を持ってストレスになる人もいます。

夜勤が多い

ICUは重篤な患者が多く、夜間に配置されている看護師の数が多いため、一般病棟と比べて、夜勤日数が多くなる傾向があります。

調査(日本労働組合連合会「夜勤実態調査」)では、ICU・CCUなどにおける看護師の夜勤は、月平均で「3交替」では、「9日以上」が24.4%で、約4割が「9日以上」の夜勤を行い、2交代では、約6割が「4.5回以上」の夜勤を行っています。

調査結果においても「医療の高度化・IT化が進む中、働き続けられる環境整備のためにも、命に直結し緊張を強いられる職場での夜勤回数の改善は必要」と指摘されています。

ストレス回避法

緊迫した現場では、医療スタッフはいらだちやすい

緊迫した現場では、医師など医療スタッフの言葉や態度が厳しくなるかもしれません。たとえミスをして、きつく怒られたとしても、それはスタッフが緊張しているためです。これからミスをしないようにすればいいだけのことだと割り切りましょう。

患者や家族の感情に巻き込まれない

患者は心配やストレスをICU看護師にぶつけてくることもあります。家族から意見などを求められたときは、自分の価値観をいれずに、家族の価値観を支援するような方向で話すとうまくいくことが多いようです。

勉強会に積極的に参加する

ひとりで勉強するのもいいですが、勉強会などに参加してみましょう。知識を得られるだけでなく、気分転換になりますし、知り合いが増えたり、刺激をうけることでモチベーションが上がります。

自分を追い詰めない

医師でもベテラン看護師でも、医療のすべてを知ることは無理です。わからないことは聞き、不確かなことは確認しましょう。ひとりではできないから医療チームがあるのです。

休みをとる

休日は、しっかり休養を取るようにし疲れをためないようにしましょう。それでも心身ともに疲れてきってしまったときは、長期に休みを取り、ICUからの異動や辞職を考えていることも伝えます。

ストレス解消法

運動をする

ICU看護師は、勤務時間中はずっと立ちっぱなしになってしまうこともあり、常に体を動かしています。それでも緊張して体を動かしているので、ジョギングやウォーキング、ヨガなどで体を動かしましょう。夜勤明けで疲れているときも体を動かしてからのほうが熟睡できます。

セミナーに参加してみる。

医療機器のセミナーや心理セミナーなど、気軽なものを受講してみましょう。心に余裕がなくて、全く看護とは関係ないことはできなときも、気軽なセミナーなら参加でき、少し気分転換になるかもしれません。 

よく眠る

勉強をすることはとても大切です。しかし、寝不足で意識がもうろうとしていては、ミスも多くなります。勉強時間の確保と同じくらい、睡眠時間を確保することも大切です。

もし仕事のことが気になって眠れない日が続くようなら、長期の休みをとるか、他の部署への異動を考えましょう。ICU看護師として働いた経験は、他の診療科でも必ず役に立ちます。

好きなことをやる

ほかにも、一般的にストレス解消になるカラオケ、おいしい物を食べる、旅行に出かけるなど、好きなことをやりましょう。自分の好きなことを大事にするのは、自分を守ることになります。

ICU看護師調査データ

ICU看護師はやりがいもあり、スキルアップもできますが、日々の仕事で疲れてしまうこともあります。ICU看護師を目指すとき、下記のような論文&調査データも読んでみるといいでしょう。

千葉看会誌 VOL.19「ICU看護師が抱く看護実践に対する困難さと職務継続医師との関係」(山本伊都子)
199名のICU看護師の調査結果。自分の一つひとつの行為が患者の命を左右しているこわさを感じていることなどが、調査結果でわかっています。
千葉看会誌 VOL.19「経験の浅いICU看護師が看護実践で感じる困難」(田口智恵美、佐藤まゆみ他)
ICU看護師が、看護実践の中で感じる困難について分析したもの。
「受け持ち患者の病態を理解して看護を行う」「患者の今の状態を多角的に把握する」
病態を把握することが看護実践に感じる困難につながることなどが述べられています。
慈恵ICU勉強会『ICUスタッフのメンタルヘルス』(山口庸子)
アメリカのデータではありますが、ICUの離職率は13~20%/年で、看護師の全職種の離職率の10.4%/年より高くなっています。それは重症患者の医療を担うクリティカルケア看護師は、ストレスなどにより、職場環境に適応する能力を失いやすいということなどが、調査データなどにより分析されています。

まとめ

ICUは体力とともに精神力についての向き不向きが明確に出る場所です。厳しいことを言えば、看護師であれば誰もができるという職場ではありません。

でも、ICUにはすべての診療科の重症患者が入院してきますから、全身すべての疾患に対応できるようになります。最新の機械もどんどん導入されるので、それらの機械の扱いにも対応できるようになります。

重症患者が多いため、新人看護師にすぐにまかせきりにならず、ベテラン看護師について勉強し、スキルを高めることができます。

お給料については、都道府県や病院の規模や、夜勤の回数、特殊手当がつくかどうか、などで、ひとくくりにはいえませんが、一般病棟よりも高めのお給料で募集されています。お給料や勤務条件は転職サイトで確かめることができます。

ICU看護師の経験は、看護師としてのスキルアップに必ず役に立ちます。

3月は内定辞退や急な退職で追加募集が増える時期

4月入職予定者の内定辞退や家族の転勤や進学による引っ越し、転職を決めかねていたスタッフの退職の申し出などが多くなります。その為、予定人員が確保できなくなり急遽、追加募集をする医療機関が増える時期です。

また、3月末退職予定者が有給消化のため出勤しなくなり、実働スタッフ数が減るため3月中に入職できる看護師を探す職場も出てきます。「3月からでは、もう4月入職に間に合わない」「いい求人はもう残っていない」と考えるのは早計です。

まだまだ、新しい求人が看護師の転職サイトで非公開求人として紹介されます。転職サイトによって扱う求人情報が異なりますし情報が入る時期も違います。条件がいい求人を探している方は、複数の看護師転職サイトに登録して非公開求人情報が手に入りやすい状態にしておくといいですね。今すぐ登録しておけば、まだ4月入職にも十分間に合います。