[ 記事作成日時 : 2013年8月5日 ]
[ 最終更新日 : 2020年6月22日 ]

看護師がUターン・Iターンで転職を考えるとき知っておきたいポイント

看護師のUターン・Iターン転職

看護師は、全国で看護師として働くことができ、しかも日本各地のどこでも需要があり、募集もあります。看護師の資格は最強ですね!

もし、「この先の人生、どうしようかな」と迷っているなら、どこでも仕事ができる「看護師の強み」を活かして、働く場所を変えてみてはどうでしょうか。

ここでは「出身地以外の場所で働くIターン」「出身地に戻って働くUターン」を成功させる方法について解説します。

看護師の転職でIターン!知らない土地で働く

Iターンとは、出身地とは異なる地方などに移住すること。例えば長野県で生まれ育ち、長野県で看護師として働いていた人が大阪へ移住したり、東京出身で東京で働いていた人が沖縄へ移住して働いたりすることです。

看護師には都会も地方も変わらないほどの需要があります。収入に関しては首都圏と地方では大きな差がありますが、その土地の平均的な収入と比較すれば生活ができないほどの給与となることは少ないでしょう。

ですから、IターンでもUターンでも仕事探しに悩むことはなく、収入に関しての心配もあまりなくて、他の職種と比べれば看護師の移住のハードルはかなり低いといえるでしょう。

平成29年度 国土交通白書(※)で公表された国民意識調査(アンケート調査)の結果でも、三大都市圏に住む20代は、4人に1人が「地方移住に関心がある」と回答していて、10年前の約5倍にまで増えています。

平成29年度 国土交通白書「三大都市圏の若者は地方移住に強い関心 ~平成29年度国土交通白書を公表~」

看護師のIターン転職のメリット

故郷ではない場所で働くIターンにはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。まずメリットを挙げてみましょう。

環境を大きく変えて、望む土地で働ける

Iターンのもっとも大きな魅力は、働く場所・生活する場所の環境を変えられることです。Iターンで向かう先は自分の望む場所です。海辺での暮らしをして、休日にはサーフィンをしたい人もいれば、都会でコンサートや買い物を楽しみたい人もいるでしょう。

働きたい場所で働ける

例えば過疎地域での医療に貢献したい、最先端治療を行っている病院で看護技術を磨きたい、学習会で学びたいなど、自分の看護師としてのあり方を見直したりもできます。

人間関係を一から構築できる

これまでの人間関係を一新したいなら、Iターンの職場が最適です。これまでのしがらみから解放され、新しい仕事に集中できます。

自治体の優遇制度が使える

IターンやUターンなどの移住者に支度金を支給するなど、優遇する制度を設けている自治体は数多くあります(※)。Iターンでは、Uターンのように仕事や住む場所を紹介してくれる知人がいませんから、自治体の職業紹介や空き家紹介などを活用してみることもできます。

※内閣官房・内閣府 総合サイト
?地方創生移住支援事業・マッチング支援事業を活用してマッチングサイトを開設している都道府県の一覧

看護師のIターン転職のデメリット

Iターンのデメリットについて考えてみましょう。

旅行や仕事で訪れたときにはとても素敵な土地だと感じたけれど、いざ実際に住んでみると思っていたのとは違った、ということはよくあります。どうしても、文化や風土になじめないこともありますし、家族や友人・知人が近くにいないことは煩わしさがない反面、やはり話し相手がいないこともつらいようです。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査(※)でも、移住当初の苦労したこととして、「休日に遊べる場所が乏しかった」「買い物が不便だった」「困ったことを相談する人がいなかった」「近所づきあいがわずらわしかった」「生活習慣をめぐる近隣トラブル」といったことなどが挙がっています。

しかし「特に困ったことはなかった」という人も35・4%と多くいるので、心配しすぎることはないかもしれません。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構
UIJ ターンの促進・支援と地方の活性化 ―若年期の地域移動に関する調査結果―『JILPT調査シリーズNo.152』(2016年5月)

Iターン転職希望の看護師に多い働き方

都会で働く

Iターンで働くときの選択肢の一つに、都会に移住して看護師として働くパターンがあります。東京をはじめとする都会には、専門の診療科や専門分野、医療機関も数多くあります。看護師のためのセミナーや勉強会、医療関係者の集まりなど、学習の場を探そうとすればいくらでも見つかるのが都会の良さです。海外の著名な医学者の講演なども、こまめにチェックしていれば情報が入ります。

地方でも学習はできますが、講習会や試験を受けるために上京することも多いでしょう。職種や仕事の方向性が豊富だということは、それだけ自分自身の可能性も広げられるということになります。

仕事の面以外でも、例えばコンサートや絵画展など趣味で楽しめることも多くあります。

デメリットは物価が高いことがありますが、これは看護師専用のアパートや家賃補助がある職場を選べば大きな問題ではないかもしれません。

ただ、節約をしても学習会や試験などにはやはりお金がかかります。また食事や洋服など、高いお金をかけて楽しむものがそろっていることも、節約しにくい要因になるでしょう。

また地方に比べると、やはり自然が少なく人が多いことは、疲れがたまりやすい環境といえるかもしれません。

看護師としての仕事を探す際にも、病院やクリニックも多く、多様な働き方を選ぶことができます。お試しで働いてみようと思うなら、短期間の契約で働く応援ナースの募集もあります。応援ナースは、看護師不足の病院などで数ヶ月から半年単位で働くという即戦力が求められる働き方です。

経験のある看護師が人手不足の医療機関で働くもので、ボーナスや退職金がない分給料の設定が高くなっていますし、家財道具がそろった寮などが用意されている職場も多くあります。

リゾートで働く

Iターンの場合、「気候や自然環境に恵まれた良い場所で働きたい」という理由で、移住先を選ぶ看護師は少なくありません。大都市圏での生活に疲れ、働き方や生き方を見直したいと思ったとき、海や山に囲まれた土地で休日はアウトドアを楽しむような生活をしたくなり、思い切ってそうした土地を選べるのも仕事に困らない看護師だからこそできる選択です。

ただ、住んでみたら人間関係が煩わしい、買い物や移動が大変で利便性が低い、刺激がなくて退屈、思い描いていたイメージと違っていた、ということもあります。ですから上記の「都会で働く」と同じように、応援ナースとして働いてみるのもいいでしょう。半年ほど応援ナースとして働き、リフレッシュできたら元の場所に戻ってもいいですし、そのまま働き続けるのもいいでしょう。

ただ応援ナースの募集は人手不足の病院・クリニックです。違う環境で短期間、バリバリ働いて稼ぎたいというならいいのですが、ゆっくりリゾート地で生活を楽しみたいなら、労働条件をしっかり話し合ってから職場を決めましょう。

看護師の転職でUターン!地元で働く

国立社会保障・人口問題研究所が2018年に公表した「第8回人口移動調査」(※1)結果によると、”出生都道府県から県外に移動したのち、再び出生都道府県に戻ったUターン者は全体の20.4%”となっています。

同研究所の調査概要によると、地元志向の傾向は年々高まっているとされています。また、大手広告代理店が2018年に発表した調査(※2)でも、東京を中心とする1都3県から流出した人の平均年齢は36.7歳、しかも独身者が多いという結果となっています。

※1 国立社会保障・人口問題研究所「第8回人口移動調査」結果の概要~人口高齢化により移動実績・見通し共に鈍化の傾向~(2016年実施)

※2 電通「全国Uターン移住実態調査」(2017年実施)

看護師のUターン転職のメリット

まずUターンのメリットを考えましょう。

土地勘がある

まず自分が生まれ育った土地ですから、土地柄や文化に親しみがあり違和感をもつことがありません。

知り合いが多い

親をはじめとして知人が多いのも大きなメリットです。引っ越しやさまざまな手続きについても、何かとサポートをしてもらえるでしょう。新しい職場を探すときも、故郷に戻ればどこかしらで人脈がつながっているものです。

通勤がラク

東京では1時間2時間かけて通勤する人も珍しくはありませんが、地方ではずっと短くなります。自動車通勤が許可されている勤め先も多く、満員電車で背中を押されて乗り込むということはまずないでしょう。通勤ラッシュが精神的な重荷になっている場合には、それだけでもUターンに魅力を感じるでしょう。

自治体の優遇制度が使える

自治体によってはUターンを歓迎する施策として、サポートを提供していることがあります。Uターンにかかる移住費用を一部負担したり、地元の企業とのマッチングを図ったりしてくれることもありますから、あらかじめ自治体の優遇制度について調べておくとよいでしょう。
(Iターンで紹介した「内閣官房・内閣府 総合サイト」も参照してください)

看護師のUターン転職のデメリット

Uターンのデメリットには次のようなことがあります。

働く場所の種類が乏しい

基本的には、看護師で働く場所に困ることは日本全国どこにいってもあまりないでしょう。過疎地域の小さな診療所でも、看護師の資格は歓迎されるはずです。ただ、最先端の設備をそろえ、最先端の治療を行うような大規模病院は少なくなります。また、首都圏のように看護師資格で働ける職場の種類も少なく、企業系の仕事や、保育所や看護学校など教育施設の数も都会と比較すると限られています。

収入が減る可能性が高い

病院の規模や公立・私立、業態の違いで給与額は変わりますが、基本的には首都圏や大都市ほど収入が高いのは事実です。ただ、暮らしやすさと収入を見比べたときに、何を判断基準とするのかはそれぞれです。

人付き合いが煩わしい

地方暮らしを嫌う人のもっとも多い理由が、「人付き合いの煩わしさ」です。「どこの誰が何をした」という他愛のないうわさ話もよく聞かれます。親戚や同級生の集まりに出ることが、しだいに負担になってしまう可能性もあります。地方に戻れば、多かれ少なかれそうした人間関係の密度は高まることは覚悟しておきましょう。

車購入と維持の負担

首都圏や大都市圏のように交通網が発達していない地方では、自動車による移動が必要となります。場合によっては、通勤のため新しく車を購入しなければならないこともありますし、訪問看護などの場合、自動車免許が必須とされる職場もあります。自動車を所持することの必要性を感じなかった人でも、免許取得を考えなければならないところもあります。

Uターン転職希望の看護師に多い働き方

地元に転職

総務省「田園回帰に関する調査研究報告書」(※)によると、Uターンをした人の理由の第1位は「ふるさと(出身地)で暮らしたいと思ったから 」の71.1%となっています。看護師もやはり、「出身地で暮らしたい、親や兄弟がいる土地に戻りたい」ということが、Uターンの大きな理由になっています。

他に、Uターンを働き方や生き方の転機とする人もいます。毎日膨大な数の患者を扱う大病院で最新の医療現場にいることは、看護師としての一つのステイタスなのかもしれませんが、そこで何か満たされない気持ちを抱えている看護師もいます。生まれ育った場所に貢献したい、という前向きな気持ちもあるでしょう。

また、経済面でのメリットからUターンする人もいます。親の土地や家があるため、家賃の心配がなく暮らせるといったことは生活するうえでの大きなポイントとなります。物価の安い地方であれば多少給与が低くなっても、今よりもゆとりのある生活ができるかもしれません。

働き方や生活を変えるために転職を考えたとき、選択肢として首都圏を離れて故郷で再出発を検討するのも悪くないものです。

総務省 地域力創造グループ 過疎対策室「田園回帰に関する調査研究報告書」(平成30年3月)

地元で応援ナース

Uターンして地元で働こうとするとき、地元なら土地勘もあり知り合いも多いので職場を探しやすいかもしれません。しかし、紹介やつてで入職すると辞めにくいということもあります。Uターンして地元でやっていけるかどうか不安だったり、決心がつかないときはまずは応援ナースとして働くのもよいでしょう。気に入れば延長することもできますし、正社員として契約し直す交渉もできます。

Iターン・Uターンの転職が成功するポイントは?

看護師は全国どこでも仕事があるとはいっても、決心してIターン・Uターンをするのですからきっちり準備して成功させましょう。 まず転職に成功した2人を紹介して、ここから成功のポイントを考えてみます。

「首都圏の大規模な急性期病院に勤めていてやりがいはありましたが、業務の合間にも看護研究や委員会活動などがあり、生活の大半が仕事にとられていました。
生き方を見直したとき、今はキャリアを考えるよりも親と過ごす時間や自分の趣味に充てる時間を大事にしていきたいと考え、Uターンを決意しました。
新しい職場は自分の年齢と帰郷する目的を考慮し、夜勤がないことや定時に帰りやすくワークライフバランスが実現できることを第一の条件と決めました。これまで一度も転職経験がないこともあり不安が大きかったですが、エージェントのサポートを受けて満足のいく転職ができました」(首都圏から広島県福山市にUターン)

「離婚をきっかけにUターン転職しました。孫のためにも地元に戻ってほしいという親の希望と、自分自身も親元近くに暮らして安心したいという理由からUターンに踏み切りました。東京と実家のある青森との給料格差が心配でしたが、これまでの経験を給与に加算してくれることや24時間の託児施設があること、病児保育にも対応していることなどシングルマザーに手厚い環境が決め手となり、無事に転職できました」(東京の病院から青森の介護施設へUターン)

転職理由が明らかであること

「親と過ごしたい」「子育てを優先した働き方がしたい」「休日はサーフィンをしたい」「都会で暮らしてみたい」などの転職理由をはっきりさせましょう。もちろん、看護師としてスキルアップしたいので、「緩和ケアについて学びたい」「心臓オペをたくさん経験したい」などもIターンの大きな転職理由です。

優先したい条件が明確

転職理由がはっきりすれば、優先する条件の明確化ができます。どのような生き方や働き方を望むのか、移住を伴う転職の場合には未来に向けた生活設計までを視野に入れ、よく考えて答えを出していきましょう。でも、「とにかく疲れてしまったから、少しの間は、違う場所でのんびり働きたい」というのもアリなので、短期間の応援ナースなどとして、のんびり働けるところを探すのもいいでしょう。

志望動機をハッキリ

IターンやUターンで仕事を探すときは、紹介やつてを頼って探したり、看護師転職サイトに登録して探すことになります。そのときには優先したい条件をはっきり伝えます。

そして病院やクリニックなどでの面接では、「どのように働きたいと思ってこの病院を選んだのか」「この病院に自分はどのように貢献できるのか」などの志望動機をはっきり伝えましょう。そのうえで、労働時間や夜勤などについて相談します。実際に転職した人たちのインタビューを読むのも参考になります。

新潟県 看護のお仕事ステーション「U・Iターン職員インタビュー」

岩手県立病院看護科「Uターン・Iターン」

まとめ

看護師としてのスキルアップや、結婚や子育てなどのライフスタイルの変化など、これからの人生を考えたとき、思い切ってIターンやUターンで移住して仕事をするのも一つの方法です。
それができるのが、看護師資格の強みです。自分らしい生き方をするためにIターンやUターンをするのですから、移住先では自分の希望する働き方をしっかり整理して、病院・クリニック・介護施設などさまざまな仕事を探しましょう。