[ 記事作成日時 : 2015年6月30日 ]
[ 最終更新日 : 2020年6月21日 ]

中途採用看護師の4つの悩みの解決策と失敗しない転職の秘訣

中途採用の看護師の悩み

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仕事は好きだけれど、人間関係がつらい

仕事内容には不満がある

看護師という仕事にやりがいを感じながらも、転職を考えている人は決して珍しくありません。出産や家族の転勤などを機に、今までの職場を離れざるをえない人もいることでしょう。

実際に、日本看護協会の「2018年 病院看護実態調査 」によると、正規雇用の看護師の離職率は10.9%、つまり1割以上が辞めています。

しかし、看護師として中途採用で転職できたとしても、新しい職場のルールになじめなかったり、人間関係でうまくいかなかったりしたらどうしよう…と不安になるかもしれませんね。自分に合った転職を実現するためには、どのような点に気をつければよいのでしょうか?

      
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いじめ、ストレス、きつい…「中途採用看護師の悩み」

転職したら、今までの悩みが全部解消されるかというと、必ずしもそうではありません。中途採用で勤め始めると、どのような悩みがあるのでしょうか。ココナスに寄せられた先輩看護師の声をいくつか紹介します。

「院内の人間関係について面接で深く聞いておくべきでした。職場では派閥がわかれていて余計な気遣いが増えました」
(大学病院神経内科より個人眼科クリニックへ転職/2019年実施アンケートより)

「子どもに合わせた働き方をしていて夜勤、残業なしという契約で働いていました。周りの看護師たちはほとんどが独身で、私の勤務内容を理解してもらえませんでした。直接話し合いをしましたがやはり理解してもらえず、私が転職することになりました」
(外科5年、整形外科2年、小児科5年経験。現在は総合病院外科勤務/2018年実施アンケートより)

「新しい職場では点滴の更新をするタイミングが独特だったので理解できずにいました。そのせいで一緒に組んでいた人が定時で帰ることができず、イライラさせてしまいました」
(循環器科5年、内科3年経験/2018年実施アンケートより)

中途採用の看護師「どうしてつらい?」5つの理由

同じ看護師という仕事で転職したはずなのに、なぜ中途採用は大変なのでしょうか。おもな5つの理由をご紹介します。

理由1.中途採用への教育体制がととのっていない

新卒の看護師には先輩が後輩に手取り足取り教える「プリセプター制度」がありますが、中途採用の場合はそれが適用されないところが多いようです。新人に仕事を教えるのは先輩看護師の負担になりますし、看護師としてある程度の経験があるのなら、わざわざ手取り足取り教えなくても「口で説明すればわかる」と思われてしまうからです。

ただ、違う科や病院からやってくれば、仕事のやり方は違います。また、しばらくブランクがあっての再就職の場合も、昔の仕事の知識を忘れてしまったり、知識がアップデートされていなかったりします。そんな状況で十分に教えてもらえないのは心細いものです。

「救急病院から救急病院へ転職したとき、ICUでの経験があるということでICUに配属されました。その職場にはプリセプターがいたのですが、『前の病院でも経験があるから大丈夫だよね』と細かく指導してもらえませんでした。
しかし、新しい病院は前の病院とはやり方が違うためどうしたらいいかわからず悩みました。上司に相談しても、『ICU経験があるから同じだ』と言われ…。転職後1週間で夜勤が始まりましたが、夜勤中も特に指導はなく見て覚えるスタイルだったので大変でした」
(救急病院勤務/2018年実施アンケートより)

「離職率が高い職場に転職しました。人がすぐに辞めるので教える人もおらず、みんな自分のやり方で動き、仕事内容がかなり流動的でした。わからないことを聞くと、人によって違うことを指摘されるのがつらかったです」
(総合病院混合病棟勤務/2019年実施アンケートより)

理由2.即戦力として期待値が高い

新卒の看護師は「これから育てるもの」と認識されますが、中途採用の看護師は「すでにあるスキルを発揮してもらう」という即戦力としての資質を求められます。また、これまでの経験を活かし、新卒の看護師の育成にも早く携わってほしいと思われたり、リーダーシップを期待されたりします。

とはいえ新しい環境は、経験のある看護師であってもわからないことだらけですよね。右往左往している様子を見て周囲に「即戦力だと思ったのに頼りなさそう」とがっかりされるのはつらいものがあります。

「看護師経験が浅いので、未経験な技術も求められて大変でした。元の職場でもう少しがんばった方がよかったのではと後悔しました」
(市立病院内科から派遣看護師へ転職/2019年実施アンケートより)

「出産を機に仕事を辞めたのですが、子どもが2歳になったので総合病院の外来に勤めました。今まで民間病院の病棟に勤務していたのですが、新しく働き始めた総合病院の外来とはまったくシステムや診察の流れなどが違い、覚えることが多く、かなり苦労しました。電話対応が多いこともストレスでした」
(精神科4年、内科外科など混合病棟10年、整形外科2年、外来1年勤務後、現在は専業主婦/2018年実施アンケートより)

理由3.立場は新人看護師と同じ

たとえ即戦力を期待されて採用されたとしても、職場ごとにルールや人間関係はさまざまです。まだ周囲となじまないうちにむやみに経験値を振りかざして自己主張をしすぎると、周囲とトラブルになりやすいもの。あくまで気持ちは新人と一緒で一から覚えていくことを心がけましょう。

「新しく入職してすぐの段階で自分を主張しすぎて、あれこれダメ出しをしていた同期がいました。そんな態度だったので早い段階でもともといるスタッフたちに疎まれるような存在になってしまいました。結局その人は3ヶ月くらいで職場が合わないとの理由で、退職しました」
(ICUにトータル8年勤務後、病院の小児科に転職/2018年実施アンケートより)

「前の職場での経験があると自分のやり方を通したいものですが、そうするともともとの職場の人間関係もおかしくなるので、主張せずなじめるように努力する必要があると思います」
(小児科1年、消化器内科7年、救命センター1年勤務経験あり。現在は公立総合病院消化器内科勤務/2018年実施アンケートより)

理由4.病院によって変わる「ローカルルール」

病院を変わったときはもちろん、病院内の異動でもそれぞれにローカルルールがあり、慣れるまでひと苦労です。マニュアルがあっても、その職場独自の明文化されていないルールに従わなければいけないなど、働いて初めてわかってくることもたくさんあり、そこに戸惑う人は多いようです。

「長く勤めている職員のマイルールがたくさんあるのですが、それを知らずに失敗するまで教えてもらえませんでした」
(大学病院神経内科から個人眼科クリニックへ転職/2019年実施アンケートより)

「点滴の取り扱い方や感染管理は、病院によってローカルルールが目立つように思いました。輸液ポンプやCSII(インスリンポンプ)などの医療機器はどんどん最新型に更新されるため、できていたことができず、焦りを感じました。
点滴の静脈留置針は、前の職場では1~2年目でIVナース(静脈注射が行えると認められた看護師)を取得し、CV(皮下埋め込み型中心静脈アクセスポート)管理すらしていたのに、新しい病院では4年目以降しか許されず、管理できなかったことは衝撃でした」
(大学病院内科から大学病院産科へ転職/2019年実施アンケートより)

「転職ではなく異動になったときの話です。同じ病院内であるにもかかわらず、まったくやり方が違うので戸惑いました。マニュアルがあるのに、そのとおりにしようとすると『マニュアルのやり方とは違うことが正しい』という理由でしかられました」
(整形外科・リウマチ科4年、外科・婦人科1年半、内科・肝臓内科1年半の勤務経験あり。現在、中規模総合病院勤務/2018年実施アンケートより)

理由5.不満解消? でも…働きにくいし収入激減!

育児や介護などとの両立を考えて夜勤なしで働く、土日祝日が休みのクリニックで働く、時短で働くなど、転職を機に働き方を変える看護師は多いでしょう。しかし、その条件で転職したのに周囲からの風当たりが強かったり、収入が激減したりしたという声も多く聞かれます。

「『有給消化率100%』と紹介されたのに、その情報は他の病棟のデータで、実際に配属された病棟は、3年間で10日も有給を消化できませんでした」
(病棟で7年間正看護師として勤務。現在は専業主婦/2018年実施アンケートより)

「子どもがいたので、託児所があるかないかを優先してしまい転職を決めました。しかし、配属された職場は離職率が高く、パートタイムのスタッフで成り立っていたので常勤で働くのがきつかったです。また、基本給が安くなったのに、前の病院より業務量が多くなってしまいました」
(総合病院混合病棟から託児所のある総合病院混合病棟へ転職/2019年実施アンケートより)

「日勤だけの高齢者施設に転職し、体力的にゆとりはできましたが収入は減りました。自分の生活水準と収入が見合うか考えてから日勤のみの仕事を選ぶことをおすすめします」
(急性期病院の外科・内科などの混合病棟から高齢者施設に転職/2019年実施アンケートより)

転職に成功するための「中途採用看護師の心得」4つ

新しい職場で働くのは誰だってドキドキするもの。周りの人とうまく人間関係を築き、仕事ぶりを信頼してもらえるためには、どのようなところに気をつけたらよいのでしょうか。

心得1.報告・連絡・相談+挨拶は欠かさない

中途採用で入る人はその職場でもっとも年下というわけではありませんし、看護師としての経験も求められます。しかし、あくまでその職場では「新参者」。自分から進んで挨拶し、周囲と溶け込む努力をした方が働きやすくなります。

また、職場によってローカルルールがあるため、最初は意識してこまめに報告・連絡・相談を行うと、「そんなルール知らなかった!」というトラブルも減らすことができます。

「私の勤務する総合病院特殊疾患病棟に新しく入ってきた看護師の話です。報告・連絡・相談ができず、仕事の処理スピードも追いつかず、教えてもメモを取りません。なのに、与えられた環境に文句を言うこともあったようです。その状況は今でも解決しておらず、この人には何を言っても無駄だとあきれられてしまっています。
報告・連絡・相談や挨拶ができない、仕事が遅い、素直さがなくメモを取らない、無駄にプライドが高い、与えられた環境に文句を言う、人のせいにするという人は、新しい職場ではうまく周囲となじめないのではないでしょうか」
(呼吸器科3年、手術室1年半、救急外来1年の勤務経験あり。現在は総合病院混合病棟勤務/2018年実施アンケートより)

「初めて一緒に仕事をする際には、教えてくれる方に簡単な自己紹介をする、職場では『ありがとうございます』や『すみません』をちゃんと言う。それだけのことでもずいぶんと人間関係がスムーズになると思います」
(ICUに8年勤務後、小児科へ転職/2018年実施アンケートより)

心得2.最初は新しい職場のルールに従う

職務規定や業務の流れは、職場によってさまざまです。「前の職場ではこうだったし、そちらの方がよかったのに」と思うこともあるかもしれません。「郷に入っては郷に従え」を心にとめて、まずは新しい職場のルールに従うようにしてください。

「ここは改善した方がいいのでは?」と提案するのは、周囲と十分に信頼関係を築いてからにしましょう。

「入職してすぐの段階で自分の考えを主張する人や、自分のやり方が絶対正しいと思っている人は、周りの反感を買いやすく、職場になじめないことが多いです。また、一社会人としての礼儀や態度が伴っていない人も早い段階でイメージが悪くなってしまうと思います」
(ICUに8年勤務後、小児科へ転職/2018年実施アンケートより)

「前の病院での経験に過剰な自信をもちえらそうな態度をとる人や、転職後の病院を見下している人は周囲とうまくいかないと思います。逆に、いつも笑顔で親しみやすい人や、転職先の人と仲良くしようと話しかけてくれる人、経験があっても新人や年下にえらそうにしない人はすぐに新しい職場になじめる傾向にありますね」
(内科6年、CCU5年、外科2年勤務後、精神科病院精神科病棟勤務/2018年実施アンケートより)

「そこのやり方に順応する人は中途採用で入ってもうまくやっていけると思います。病院や病棟によって、やり方はさまざまです。そこにはそこのやり方がある。何か問題があって変えたいのなら、そのやり方でまず仕事をしていって、信頼を勝ち取ることを先にする。その後で前の病院ではこうしていたとか、こういう方がいいと言うと周囲もすんなり受け入れられるのではないでしょうか」
(整形外科・リウマチ科4年、外科・婦人科1年半、内科・肝臓内科1年半の勤務経験あり。現在、中規模総合病院勤務/2018年実施アンケートより)

心得3.わかったふりはせず「謙虚に質問」

職場によって求められる知識やルールは違います。また、中途採用ということで即戦力を期待され、十分に教育されることも少ないです。わからないことだらけで戸惑ってしまうかもしれませんが、知ったかぶりで仕事をしてミスをされるより、質問をしてもらった方が周囲もありがたいものです。

とはいえ、忙しい業務の中で何度も質問をすると「そんなことも知らないの?」とイライラされてしまうことも事実。ですから、「自分なりにこのように理解しているけれど、それで間違いはないか」と聞いたり、知りたいポイントをまとめておいて、相手が忙しくなさそうなときに聞いてみたりするなどの工夫が必要です。

質問するときも、「まだこちらの業務に慣れていなくて」「勉強不足で申し訳ありません」などひと言そえると、相手の心証も変わってくるはずです。また、ふだんから周囲とコミュニケーションを取っておき、質問しやすい雰囲気をつくっておくことも大切です。

「初めはわからないことだらけだと思うので、『仕事ができない』というレッテルを貼られる前に、理解できるまで何度でも聞いた方が今後自分のためになると思います。恥ずかしがらずに何でも質問できる看護師は、仕事内容を理解できていると思われ、人から慕われて頼られるのではないでしょうか」
(外科5年、整形外科2年、小児科5年経験。現在は総合病院外科勤務/2018年実施アンケートより)

心得4.新人看護師のような「やる気と学び」

たとえ経験豊かであっても、中途採用で入ってくればその職場では「新人」です。その職場のルールや求められる知識はまっさらの状態ですので、前の職場で得られた知識や経験をむやみにひけらかさず、新人として一から覚えていく姿勢でいきましょう。

ときには、自分より年下の上司や指導係の下で仕事をすることもあるかもしれません。しかし、そういった場合でも、相手には尊敬の念をもって対応し、たとえ未熟なところを感じてもそれを表に出さないような配慮が必要です。

「教えてあげたくなる、助けてあげたくなるような一生懸命な姿が大切だと思います。前の職場でバリバリ働いていても転職先ではやり方も違うと思うので、まずは教えてもらう姿勢で関わり、慣れてきたら自分の知識を転職先に役立てるとよいのではないでしょうか。初めから自分のやり方や知識の押しつけにならないように気をつけた方がいいですね。
新人でも年下でも転職先の経験は長いかもしれないので謙虚な姿が大事です。いつでも笑顔で話しかけやすい雰囲気で過ごし、前の病院に不満があっても文句ばかり言うのは悪印象だと思います。なじむまでは周りの反応を見ながら仕事をするのがよいと思います」
(内科6年、CCU5年、外科2年勤務後、精神科病院精神科病棟勤務/2018年実施アンケートより)

「新しい職場に入れば何年目だろうと新人です。指導を素直に受け止め、努力する姿勢が大切だと思います」
(小児科1年、消化器内科7年、救命センター1年勤務経験あり。現在は公立総合病院消化器内科勤務/2018年実施アンケートより)

まとめ

中途採用で新しい職場に行くと、人間関係や新しいルールに慣れず、大変な思いをする人が多いものです。しかし、多くの看護師が「環境が変わって自分の視野を広げることができた」「希望どおりの働き方ができた」「人間関係が良くなった」などメリットを感じています。

転職で成功するためには、即戦力としての力を期待されていたとしても、新人の気持ちで新しい環境に溶け込む努力をすることです。転職するには多くのエネルギーがいるため、気軽に考えられませんが、かといってずっと合わない環境で我慢するのも消耗します。

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