[ 記事作成日時 : 2015年1月21日 ]
[ 最終更新日 : 2020年3月9日 ]

骨髄穿刺の目的・必要物品・介助時の観察項目と注意点

看護師のスキルアップ

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血液疾患の診断や治療のための骨髄穿刺は、病棟や診療科によっては頻度が高くないため、経験がない場合でも突然介助に入らなければならないことがあります。

いざという場面で慌てずスムーズに対応できるよう、骨髄穿刺の目的や方法、検査前後の看護のポイントをご紹介します。患者の恐怖や不安を緩和して安全に検査を受けることができるよう理解を深めましょう。

      
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骨髄穿刺とは

骨髄穿刺(略語でマルク: ドイツ語のKnochenmarkが由来)は、骨髄を穿刺して骨髄液と細胞を採取し、骨髄中の有核細胞を検査することです。

ガイドラインでは、穿刺部位は造血組織が豊富な腸骨(後腸骨稜)が推奨されています。肥満や腸骨へ放射線照射しているなど特別な場合は胸骨が選ばれますが、気胸や動脈損傷などの合併症を起こしやすいので慎重な操作が求められます。

骨髄穿刺では、骨髄の造血機能や白血病などの血液疾患、がんの骨髄転移の診断や治療効果を調べることができます。

≪補足≫

骨髄検査には、骨髄穿刺と骨髄生検があります。骨髄生検は、骨髄の線維化や白血病細胞の充満によって骨髄穿刺では骨髄液が吸引不能な場合(ドライタップ)に行われます。

骨髄穿刺の主な適応疾患

骨髄穿刺の主な適応疾患は、以下になります。血友病、無フィブリノゲン症などの凝固因子異常の場合は禁忌です。

  1. 白血病
  2. 悪性リンパ腫
  3. 骨髄繊維症
  4. 再生不良性貧血
  5. 顆粒球減少症
  6. 多発性骨髄腫
  7. 悪性腫瘍の骨髄転移
  8. 不明熱

新人看護師が間違いやすい「骨髄穿刺」「腰椎穿刺」の違い

新人看護師など経験が浅い場合は、どちらも腰部で穿刺部位が近いため「骨髄穿刺」と「腰椎穿刺」を混同しやすいかもしれません。

簡単に説明すると、骨髄穿刺は腸骨に穿刺し骨の中にある骨髄液を採取、腰椎穿刺は腰の脊椎を穿刺し脳脊髄液(髄液)を採取して行う検査です。

腰椎穿刺は一般的な髄液検査の一種で、別名ルンバールとも呼ばれています。

脳脊髄液は、髄膜炎や脳炎などの脳の感染症やくも膜下出血、ギランバレー症候群、がんの転移などの診断や治療で用いられます。

骨髄穿刺
(マルク)
腰椎穿刺
(ルンバール)
穿刺部位 腸骨または胸骨 腰椎
検体 骨髄液 脳脊髄液
疾患 白血病
悪性リンパ腫
骨髄繊維症
再生不良性貧血
顆粒球減少症
多発性骨髄腫
悪性腫瘍の骨髄転移
不明熱
髄膜炎
脳炎
くも膜下出血
ギランバレー症候群
がんの転移

検査前オリエンテーションと確認項目

まず、検査前の患者へのオリエンテーションと確認項目についておさえておきましょう。

検査前オリエンテーション

  1. 検査の目的と実施方法などを説明し同意を得ます。
    • 検査の目的
    • 検査の手順や所要時間
    • どのように行うのか、圧迫止血の方法
    • 痛みを伴うこと
    • 検査後の経過や安静が必要なこと
    • 検査後は安静のため、トイレを済ませておくよう説明
  2. 患者からの疑問や不安などをしっかり受け止め、不安の軽減に努めましょう。

患者は、「質問はありませんか?」と聞かれても何を聞けばよいかわからず質問できない場合があります。不安そうな顔をしていたらゆっくり話を聞くようにしましょう。

オリエンテーション用の資料がある場合は、資料を見せながら順を追って説明します。

検査前の確認項目

骨髄穿刺を行う前に、患者の血液検査の結果や感染症の有無、既往歴、アレルギーの有無など基本情報を確認します。

抗凝固系の内服薬は、種類によって事前に中止になるものがあります。必ず医師に確認しましょう。

  • 血液検査の結果
  • 感染症の有無
  • 既往歴
  • アレルギーの有無
  • 抗凝固系の内服薬の服用の有無、種類

骨髄穿刺の必要物品

  • 骨髄穿刺針
  • 骨髄生検針
  • シリンジ5ml、10ml数本
  • 局所麻酔薬(1%キシロカインなど)
  • 滅菌ガーゼ
  • ドレッシング(止血用)
  • 固定用テープ
  • 滅菌穴あきドレープ
  • 滅菌手袋
  • サージカルマスク
  • 処置用シーツ
  • 滅菌鑷子
  • イソジン
  • ハイポアルコール
  • 膿盆
  • 滅菌スピッツ
  • 注射針(18G,23G)

検査の担当医によってはマーカーやボールペンで、穿刺部位に印をつける場合があります。事前に確認して準備しておきましょう。

骨髄穿刺の介助

  1. 検査前に、患者の血液検査の結果や感染症の有無、既往歴、アレルギーの有無など基本情報を確認しておきます。
  2. フルネームで患者の本人確認と、検査の必要性を再度説明し協力を求め、バイタルサインを測定します。
  3. ベッドのリネン類の汚染防止のため、処置用シーツを敷きます。
  4. 必要物品やトレイを安定した台の上に並べます。
  5. 患者の体位(穿刺部位が腸骨の場合は側臥位、胸骨の場合は仰臥位)を整えます。枕を利用して安定した体位を作り、患者の希望に応じてタオルなどで目隠しをしましょう。
  6. 医師が穿刺部位を消毒します。必要であれば患者の体を支えて体位を固定します。
  7. 局所麻酔を行います。
    1. 医師が滅菌手袋を装着します。
    2. 滅菌穴あきドレープを開封し、医師へ渡して術野を覆います。
    3. 局所麻酔薬を医師の前に差し出し、医師にシリンジで吸引してもらいます。
    4. 医師が局所麻酔を行います。
    5. 局所麻酔の効果を確認します。
  8. 医師が骨髄穿刺を行います。(正常骨髄は紅色粘性で乳白色脂肪塊が混入)
  9. 医師が検体を採取します。
    1. 骨髄液採取時は強い痛みを伴うため、患者が動かないよう援助します。
    2. 必要に応じて滅菌スピッツや特殊な検査容器を使用します。
    3. 1回の吸引量は0.2~1mlですが、多い場合は数回に分けて採取します。
  10. 骨髄穿刺針を抜去後、すぐに圧迫止血します。
    1. 滅菌ガーゼを当てて、5~10分程度用手的圧迫止血をします。
    2. 止血を確認したら穿刺部位を消毒し、ドレッシング材やテープで圧迫固定します。
  11. 穿刺後約1時間は、仰臥位や側臥位になって穿刺部を下にして安静にします。

骨髄穿刺の観察項目と注意点

検査中の観察項目

骨髄穿刺を行っている間は、医師の介助をしながら、患者のバイタルサインや一般状態のほかにキシロカインのショック症状がないか観察する必要があります。

  • バイタルサインや一般状態のチェック
  • 局所麻酔薬キシロカインショック
主な症状
  • 呼吸困難(気道閉塞)や嗄声などの呼吸器症状
  • ショック症状
  • 麻疹や紅斑などの皮膚症状
  • 嘔気・嘔吐などの消化器症状
  • 動悸
  • 視覚異常など

骨髄穿刺後の注意点

骨髄穿刺中に異常がなくても、骨髄穿刺後も引き続き観察が必要です。

  • 穿刺部の発赤や腫脹、疼痛の有無などの感染兆候を観察します。
  • 止血が十分にされているか観察します。
  • 安楽な体位が保持できるよう工夫しましょう。
  • まれに臓器損傷を起こす可能性がありますので、患者の訴えに耳を傾けましょう。

骨髄穿刺の看護のポイント

何より大切なことは、患者が安心して検査を受けられること、そして安全かつスピーディに適切な検体を採取できることです。そのために必要な看護のポイントをおさえましょう。

声がけで患者に安心感を与える

骨髄穿刺は患者が見えないところで行われるので不安や恐怖を感じやすくなります。「これから麻酔をするのでチクっとします」「気分は悪くないですか」など、頻回に声をかけましょう。

特に骨髄液を吸引する際は骨膜を刺激するため痛みを生じます。「検体を採るので動かないでくださいね」と伝え、安全に検査が行えるように援助しましょう。

手を握ったり体に触れていたりするだけでも患者の安心感へとつながります。

無菌操作の徹底

無菌操作を徹底するには、看護の基本である「清潔と不潔の区別」をしっかり身につけておくことが重要です。物品準備の際に滅菌の期限が切れていないかも確認しておきます。

骨髄が感染すると重篤な状態に陥るため、骨髄穿刺は確実な無菌操作で行われなければなりません。検査前は環境整備をして必ず手を洗い、検査中は滅菌物の上で不用意に物品の受け渡しはしないようにしましょう。

抜針後に止血が確認できたら、素早くイソジン消毒してドレッシング材やテープなどで固定します。また、感染予防のため検査当日は入浴できないこと(シャワー浴は可)を患者に伝えます。

出血に要注意

止血が不十分なために、体内で出血すると血種を形成します。穿刺直後や用手的圧迫止血後などは、穿刺部やその周辺を観察し出血がないか確認しましょう。

まれに皮下出血を認める場合がありますが、広がらなければ自然に吸収されていきます。検査後、入院せずに帰宅する場合は、出血の有無を確認するよう患者に説明します。

事前の検査で出血傾向があった場合は、特に注意が必要です。

この記事を監修した人
はる
地方の公立大学病院小児科病棟で2年勤務したのち看護師をやめ都内のIT企業に転職。結婚を機にUターンし専業主婦となる。10年のブランクを経て訪問看護師として復職。その後、急性期病院の外来・救急外来勤務を経て、療養型病院の病棟師長として勤務。家族の都合により上京後は回復期リハビリ病棟に勤務。看護師として通算15年以上の臨床経験がある。現在はココナスにて記事の企画、監修をはじめメディア運営を行う。
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