[ 記事作成日時 : 2017年10月2日 ]
[ 最終更新日 : 2020年6月21日 ]

看護師が学士を取得するメリットと取得方法を教えます!

看護師の学位取得

医療現場で実際に働いているときには、学歴を意識する機会は少ないかもしれません。大卒じゃなくても素晴らしい働きをしている看護師はたくさんいます。

しかし、収入や待遇面での格差、キャリアパスについては、学歴が関係することもあるようです。

看護師として働いているから無理だろうな

今さらどうすることもできない

そうあきらめるのは、早すぎます。実は看護専門学校を卒業した看護師でも、学士を取る方法があります。もちろん簡単なことではありませんが、それでも学士を取得するのは今後の看護師人生にとって大きなメリットとなるかもしれません。

ここでは「学士(看護学)」を取得することの意味と取得に向けた具体的な方法、通信による学習をメインとして解説していきます。

看護師の学士とは?

学士があれば有利になる、とは何となくわかっていても、具体的には今ひとつピンとこない人が多いのではないでしょうか。そもそも学士とは何か、学士取得でどんなメリットがあるのでしょうか。

学士とは

学士とは、大学を卒業するともらえる「学位」です。学位は決められた単位を取得し、その称号に値する知識や能力があると認められた証明となります。

さらに大学院の課程を修了すると修士・博士の称号が与えられます。学位には他に短期大学士、専門職学位などがあります。

学士は一般的には卒業した大学から授与されますが、大学評価・学位授与機構での取得という方法もあります。

出典:独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構

出典:日本私立学校振興・共済事業団

学士取得のメリット

すでに社会人になってから学士を取得するのは、簡単なことではありません。学士を取得するメリットとは何でしょうか。

知識の学び

学士を取得するための履修科目には、基礎看護学の他、成人看護学、精神看護学、地域看護学など看護師が学びを深めておきたい分野が多数あります。

さらに一般心理学、看護心理学、死生学、生命倫理など専門性の高い学びを得る機会が与えられます。

大学での学習は、看護の専門知識の習得というよりも、看護過程をいかに理論的に学ぶかという点に特徴があります。看護技術ももちろん学びますが、それ以上に、看護学に基づいた看護師としてのアセスメント能力を高めることや、患者それぞれに合った看護診断ができることを目標に、どの分野でも学びを深めます。

各大学の所定の教育課程を修了することで、看護師の他に保健師や助産師の国家試験の受験資格が得られ、選択科目によっては養護教諭1種の免許も与えられます。

しかし、大学にもよりますが、保健師課程と助産師課程はそれぞれ人数制限があり、選抜である大学も多くあります。特に助産師課程は狭き門です。

保健師や助産師の資格取得をするためには、大学で看護師教育課程のみの修了の場合は、その後大学院もしくは保健師学校・助産師学校への進学が必要になります。

給料

学士を取得すると、給料は上がるのでしょうか。

日本看護協会が公表している「2018年 病院看護実態調査」のデータによると高卒+3年課程卒の新卒看護師の基本給与額は平均で199,894円、大卒の新卒看護師では206,608円と6,714円の違いがあります。

日本看護協会の調査によると、「看護系大学卒と3年課程卒で初任給額に差をつけている」医療機関や施設は84.0%もあり、平均7,792円もの差があることがわかります。

さらに、病院によっては2万円以上の違いがあるところも見られます。

例えば月額1万円程度の金額差がある場合には、年間で12万円の差が出ます。ボーナスは基本給を基準として計算されるため、賞与をあわせれば20万円近くになります。

しかもこの差は継続年数に従って大きくなる傾向があります。

将来的に転職を考える場合でも、学士を取得している方がずっと良い待遇が望めます。産業看護師やCRC、CRAなどの求人では、学士の保有を条件とする場合があり、学士の取得によって、キャリアアップの可能性や職業選びの際の選択の幅は広がります。

出典:日本看護協会『2012 年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査』

出典:日本看護協会『看護職の給与データ(2018年版)』

看護師の学士取得の方法

すでに看護師として働いている人が、学士取得を目指すときには具体的にどのような方法があるのでしょうか。おもな3つの方法について紹介していきます。

4年制大学

通常、学士を取るためには4年制の大学で、所定の教科を履修し単位を取得します。

しかし、そのためには受験勉強が必要となり、合格しなければ大学へ進めません。実際に仕事と並行して通学するのは難しいといえます。

大学にもよりますが、学士の取得方法としてはもっとも費用がかかると考えてよいでしょう。

一般的な看護学科の学費は私立の場合、入学金が30~50万円程度、授業料・実習費などに年間150~180万円程度かかります。国立では入学金が約28万円、年間授業料は約54万円となります。(「看護系大学案内」2019年11月調査時点)

4年制大学へ編入

短大や専門学校卒の場合には、4年制大学の2年次もしくは3年次に編入して学士取得を目指すことができます。編入できる資格がある場合には、最速2年で所定の単位の取得が可能です。大学のカリキュラムによっては、働きながら学ぶこともできます。

講義のない日や大学が休みのときに、派遣看護師として働く社会人学生もいます。

気になる費用ですが、聖路加国際大学の場合、第3年次編入では前期は入学金込みで1,377,500円、後期が977,500円(2020年度学費)となっています。奨学金を利用することができる場合もありますので、調べてみることをおすすめします。

学士が取得できる通信制大学

看護師が働きながら学士取得のために学べる通信制大学は、意外とたくさんあります。受講費用を含めていくつか紹介していきましょう。

放送大学

放送大学は、社会人の学び直しや新しい分野を深く学習したいというニーズに応え、生涯学習を提供している大学です。入学月は4月、10月の年2回。選考に学力試験はなく、書類審査のみです。

千葉県千葉市に本部を置き、放送によって学習できる通信制大学・大学院です。スマートフォンやタブレットでも視聴ができるなど、場所を選ばずに時間を活用することが可能なため、在学者は全国に約9万人(2019年度1学期放送大学調べ)もいます。

放送授業と面接授業で所定の単位を修得し、全科履修生の場合は4年以上在学することで卒業することができます。短大や専門学校を卒業している場合は編入学となり、最短2年での卒業も可能です。

放送大学の学費は、放送授業は1科目(2単位)11,000円、面接授業は1科目(1単位)5,500円(放送授業の授業料にはテキスト、通信指導、単位認定試験料が含まれます)。この他の費用としては、入学金が7,000~24,000円。4年間で卒業する場合、1年あたり176,500円、4年間で約70万円の費用が必要となります。

出典:放送大学

武蔵野大学

2006年(平成18年)に新設された武蔵野大学の看護学部。2019年より東京都江東区有明にキャンパスが移っています。

武蔵野大学で学士を取得する方法としては通学制と通信制の二通りあり、通学制では社会人入試枠が設けられています。選考は学力試験(英語や数学など)、面接の実施です。

学士の学位授与申請は4月、10月の年2回。学力試験はなく書類審査のみです。学習は通学不要のオンラインで、試験もレポート提出も大学へ出向く必要がありません。働きながらでも、最短1年で学位申請に必要な単位が修得可能です。

通信制の入学金は一律30,000円。学費は3年次編入の場合2年間で39万円〜(テキスト代込み)。科目履修の場合は1単位7,000円です。

出典:武蔵野大学 通信教育部看護学コース

京都橘大学

京都橘大学の看護学部の創設は2005年、京都初の4年制私立大学看護学部です。ここでも通学制と通信制の二通りの方法があります。通信制の選考は書類審査のみです。

通信制の看護学コースでは、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の学位授与制度を利用し、最短1年での学位取得が可能です。大学改革支援・学位授与機構に学位申請をする際に必要となる学修成果レポートの作成を支援する講座も開設しています。

学習はeラーニングで行い、試験やレポート提出も大学へ出向く必要はありません。

学費は3年次編入の場合、入学検定料10,000円、入学金30,000円、授業料は年額280,000円となっています。

出典:京都橘大学 たちばなエクール

日本福祉大学

日本福祉大学は愛知県知多郡に本部を置く、福祉系の4年制大学です。看護学部は通学制と通信制があります。障害者への理解が進んでいる大学で、障害の有無にかかわらず、多くの学生を受け入れ、誰もが学べる環境を整えています。

選考は書類審査のみ行われます。通信制の入学金は30,000円。年間の基本授業料(31,500円)プラス履修科目の総単位数×1単位分が学費となります。1単位は5,500円。

4年次に編入学した場合、入学金、授業料、テキスト代、保険料などすべて込みで年間総額が約200,000円です。

受講についてはインターネットで24時間学習ができ、添削課題もオンラインで実施可能です。スクーリング単位も在宅学習で修得できるので、就労しながら修得した卒業生もいます。オンデマンド授業は、仕事の空き時間にも利用できるので、効率良く学ぶことが可能です。

出典:日本福祉大学 通信教育部