[ 記事作成日時 : 2016年3月31日 ]
[ 最終更新日 : 2020年1月24日 ]

社会人看護師が辞めたいと思うのはなぜ?悩みの解決方法と転職の可能性を探る

社会人看護師の悩み

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一度社会人としてほかの職業を経験したあと、念願の資格に挑戦し、晴れて看護師になったという人は意外と多いようです。

社会的な看護師不足を受け、厚生労働省でも社会人看護師の育成に支援体制の整備を打ち出しています。

しかし実際に働き始めた後で、「辞めたい」と悩んでしまう看護師も少なくありません。

社会人看護師が抱える悩みとは、いったいどのようなものなのでしょうか。

ここでは社会人経験を持ちながら看護師となった人を対象に、特有の悩みとその解決、新たな人生の選択について考えていきます。

      
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社会人看護師の特徴

社会人経験を経て看護師になったからといって誰もが同じであるわけはありませんが、それでもある一定の傾向は考えられます。

最初に社会人看護師の特徴について見てみましょう。

頑張り屋さんである

社会人として働きながら、あるいは一度会社を辞めてまで看護師になるというのは、並大抵のことではありません。

看護師国家資格の新卒者合格率は毎年96~97%と高い水準で推移していますが、既卒の場合は大学・短期大学・養成所・専門学校のすべてを合わせても45%程度とかなりの差があります。

一度、学習が習慣づいた生活から離れた後、再び勉強漬けの毎日で数年間を送るのは非常に辛いことです。年齢的な部分も含めて、周囲からの視線が気になることもあります。

実際に社会人から看護師になった経験者からは、「楽しかったけれど、もう二度と戻りたくない学生体験だった」という声が多く聞かれます。

数字には表れないものの、途中で挫折した人もかなりいるのではないでしょうか。

それでも幾多の困難を乗り越え、最終的に国家試験に合格して看護師資格を取得できたということは、間違いなく「頑張り屋」さんです。

目標を自分で決め、それに挑戦する勇気と意志の持ち主であるといえます。

社会的な意義や理想が明確

社会人となってから看護師になろうとした背景には、看護師という職業でなければ果たせない社会的な意義や、自分の人生についての理想があったからだと考えられます。

祖父母や親の死に遭遇した、また自身が病気になった経験から看護師に強い思いを抱いたという話はよく耳にします。

看護師の仕事は一般的な常識から考えても、決して楽な職業ではありません。確かに女性の職種の中では高給取りという印象はありますが、それだけで目指す人はまずいないはずです。

人間の命にかかわり、また生物的な部分を直視しながら、直接的にたずさわる仕事です。相当の覚悟がなければ、目指せるものではありません。

社会について何も知らない年齢であればまだしも、看護師がどのような業務に従事しているのかおよそ見当がついている年代の社会人が、自らその世界に入ると決めるからには明確な意志があります。

社会人看護師になった人は、その意志を貫き、実現できた人です。

将来設計がしっかりしている

看護師という一生なくならない国家資格を身に付けたいという希望が、きっかけとなっていても当然です。

社会人看護師になった人の中には、ある程度の給料をもらう仕事をしていながら「誰にでもできる仕事ではないか」と悩みぬき、看護師の道を選んだというケースもあります。

収入の安定はもちろんですが、看護師という職業に働き続けるモチベーションを求める人もいます。

そうした場合はどう生きるのかをいう問いに対する答えが、看護師だったということなのでしょう。

いずれにしてもわざわざ現職を辞めてまで看護師を選択する際には、自分の将来を見すえた上での綿密な将来設計があるはずです。

社会人看護師の抱える悩み

「社会人経験を有する新人看護師」についてのいくつかの研究の中で、社会人看護師が直面する悩みについて、具体的に述べられています。

そこには、社会人経験があるからこその低い自己評価能力不足や年齢的なことから、一層複雑化する「人間関係」に困惑している姿が見えてきます。

社会人看護師の感じる主な悩みを見ていきます。

能力不足

社会人経験があっても、看護師としての経験に自信がないと能力の未熟さを痛感してしまいます。

若い看護師たちが苦もなく行っている注射や採血など、技術への不安から、さらに能力不足を感じるようです。

思う以上に技術を体得するのに時間がかかったり1人でできないことが多かったりすると、自分の能力の限界に落ち込んでしまう看護師も少なくありません。

一般的な職種とは異なる特殊な環境で、業務の優先順位が見極められずに困ってしまうという声もあります。

先輩との人間関係

社会人看護師に限らず、また看護師という職業に限らず悩みの上位となるのが、先輩や上司との人間関係です。

しかし「遅れてきた新人」である社会人看護師は、特にそれを感じてしまいがちです。

「怒られるのが怖い」「苦手な先輩がいる」といった点は、新卒の看護師たちと同じです。

社会人看護師の場合には一度ほかの職場を経験しているだけに、つい比較をしてしまい、必要以上に怒られているという感覚が強くなります。

ほかの仕事での実績があればあるほど、看護師としての働きが認められないことに不安が募ります。

先輩との人間関係が原因で、「向いていないのではないか」「才能がないのではないか」と自己否定につながっていくケースも見られます。

自己評価が低い

先の「能力不足」「人間関係」から、看護師としての自信がもてないと、いつまでたっても自分を認めることができなくなります。

仕事上の自己評価が低いと、毎日が楽しくないのは当然です。一度自己評価が下がってしまうと、何をやっても「やっぱりダメなのだ」と考えてしまいがちです。

真面目なタイプほど自分の理想とのギャップに苦しみ、自己評価が低くなる傾向があります。

仕事の負担が重い

看護師の仕事が忙しいということを、頭では理解していたつもりでも、いざ実践となると話は違います。

日勤と夜勤を初めて経験すると、誰もがそう感じることでしょう。他の職場を経験したことがない看護師よりも、仕事がきついと感じる場合が多いようです。

加えてどの現場でも看護師不足であるのは変わりありません。そうした社会的な現状も、過重労働を感じさせる大きな原因となっています。

心身への負担が重い

看護師は人の生死や健康に大きく関わる職業です。これまでに感じたことのない緊張を強いられる場面に、立ち会うこともしばしばです。

加えて睡眠不足や疲労の蓄積、職場の人間関係、患者との対応などでストレスが増大します。

仕事に対して恐怖感をもってしまい、精神的に追い詰められることもあり得ます。

新人として見てもらえない

社会人看護師特有の悩みとして、新卒とベースは同じであっても新人として見てもらえていないのではないかという不安があるようです。

特に上司や先輩が自分よりも年下である場合に、双方に違和感が生じてしまいます。

新人としては知らなくて当然でも、それができないことで非難をされていると感じ、不満をもつ場合もあるようです。

実習とのギャップ・理想と現実のギャップ

新人看護師の退職の原因となるのが、リアリティショック看護基礎教育とのギャップです。

社会人看護師であっても、やはり同じように大きなギャップを感じてしまうようです。

高い学費を払って看護学校を卒業し、休職までして看護師資格取得しても、思った通りの給与ややりがいを得られない、ということも起こり得ます。

病院の運営について自分が思っていたような人間性にあふれたものでなく、失望するというケースもあります。

実社会を十分に経験していても、看護師や医療業界の現実が大きく理想と違っている場合には衝撃を受けてしまうようです。

また実習ではうまくいったことでも、現場で患者を前にするとその通りにはいかないなどで挫折感を味わいます。

実習と臨床とのギャップは、本当の業務に就いてからでなければわからないものです。

一般的な職業ではそこまで大きなギャップをなかなか経験しません。

看護師という職業に対する認識の甘さを、突き付けられた思いになる社会人看護師も少なくないようです。

愚痴を言える相手がいない

若年の看護師であれば学生感覚が残っているため、お互いに愚痴を言い合い、慰め合える仲間も得られます。

社会人看護師は、一度社会人としての経験があることがネックになる場合もあります。「大人」になると愚痴を言い合える存在が少なくなります。

ましてや社会人から看護師へと大転換を遂げている場合には、なかなか理解をしてくれる相手をもつのが難しくなります。

周囲を見回しても簡単には弱音を吐ける場所がないことに、悩む社会人看護師が多いようです。

悩みに対する考え方と解決策

社会人看護師が持つ悩みについて、どのように考え、どのような解決をしていけば良いのでしょうか。

まず、大きな前提となっているのが「社会人経験があることへの意識」です。看護師として社会人経験があることは、決して不利な点ばかりではありません

患者と向き合うために必要とされる多くの能力が、社会人経験を通して培われているはずです。一方で社会人経験のあることを、本人自身が「足かせ」にしている場合もあります。

それぞれの悩みについて、角度を変えてみていきましょう。

能力不足

どのような職業であっても、最初から能力が足りている人はまずいません。看護師は技術職ですが、それは相手があってこそのものです。

臨床の経験が浅いのであれば、いくら社会人経験があっても能力不足であるのが当然です。まずはそこをしっかりと理解し、能力不足であるのを認めてしまいます。

その上で、今この時点で何をすべきか、どうすれば能力向上ができるのかに目を向けていきます。

例えば若い看護師でも注射などの処置が上手なのであれば、その技を盗めるように注意深く観察をします。

看護師の技術に、年齢は関係ありません。体得するのに時間がかかるのであれば、原因を突き止めていきましょう。

看護師について、高い理想を掲げてそれを目指すのは素晴らしいことです。しかし、現実的には手元の作業を確実にこなせなければ、そこには到達できません。

社会人経験があるがゆえに、「仕事とはこういうもの」「こうすればうまくいくはず」といった固まった意識はなかったでしょうか。

能力不足で落ち込むのは、「できるはずの自分」に期待をかけすぎるからです。能力不足は、練習と学習で補うほか解決策はありません。

先輩との人間関係

看護師にもさまざまなタイプがいるのは当然ですが、比較的テキパキとした性格の人が目立つのも事実です。

特に教える側の立場となっていれば、ことばが厳しくなるのも当たり前です。

先輩との人間関係においては、まず「個人」としての自分は脇に置き「指導される新人」であることに徹します

「自分だから」ではなく、「ミスの多い看護師だから」叱られるのです。考え方を変えれば、厳しい指導をしてもらえるのはありがたいことです。

そこで叱責を受けて注意できれば、後で大きなミスを犯す可能性がそれだけ減ります。

必要以上に怒られていると感じるのであれば、それだけ目を引いている、逆にいえば目をかけられているということにもなります。

少しでも早く一人前にしたいという思いがなければ、厳しく指導したりはしません。

新人看護師は怒られて注意を受けるのが基本、と考えられれば辛さも軽減できます。

自己評価が低い

自己評価とは、自身で下すものです。自分の見方を変えれば、抜け出すことのできる悩みといえます。

そもそも自己評価をする基準は、どこにあるのでしょうか。恐らくは「素晴らしい先輩」「同じ時期に入った同僚」「理想とする看護師像」といったところでしょう。

しかし本当の自己評価の基点は、昨日の自分自身でなければなりません。昨日よりも少しでも向上したこと、進歩しなかったこと、昨日できたことが今日できなくなっていた、そうしたところを評価軸にしてみてください。

看護師学校を卒業したときよりも、少しでも看護師らしくなっていると感じるのであれば、そこを素直に評価すべきです。

取り違えていけないのは、自己評価の基準と目標の基準です。そこを同じにしてしまうと、自己評価が低くなるのも当然です。

例えば評価の仕方が「ダメだった」では、先が見えません。評価ではなく日々振り返りを行い、良かった点(どこが)・悪かった点(なぜ)・改善できる点(どうやって)を整理していくことが大切です。

評価ではなく、常に自身の「振り返り」をすること。これが看護師として成長していくコツとも言えます。

仕事の負担が重い

看護師の仕事の割り当てについては、自分でどうにかなる問題ではありません。

どうしても過重であると感じたのであれば、具体的に業務について書き出してみてください。その上で上司に相談するなどして、改善策を探ります。

漫然と「仕事がきつい」というだけでは、解決策につながりません。何がどうきついのか、どうなれば負担が減るのかを考えます。

原因をよく考えていけば、時間の経過にともなう「慣れ」が解決してくれるものと、そうではないものに分類されます。

もしも現状の職場環境が原因の多くを占めているのであれば、そのときには転職という手段もあります。

心身への負担が重い

心身の負担も、何がどうつながっているのかを客観的に考えていきましょう。

心への負担は、先輩看護師との関係が重荷となっているかもしれません。また患者の対応についての悩みが原因のこともあります。

夜勤シフトのサイクルがもとになり、寝不足・疲労感の増大から精神状態に影響が出るのはよくある話です。

初めて人間の生死を目の当たりにし、動揺がおさまらないという場合もあります。

「負担が重い」すべてを看護師の職業というひとくくりにしてしまうと、何も見えないまま、離職することになりかねません。

しかし、そうした辞め方をしてしまうと、将来的に必ず後悔します。ひとつひとつの「負担」の原因を解き明かせば、解決できる課題もあります。

新人として見てもらえない

「新人として見てもらえていないのではないか」そう考えるときには「新卒でないから」「社会人経験があり年齢的に不利」などの自身の意識がもとになっている可能性もあります。

自分が密かに引け目と感じている気持ちが、若い看護師と同等に扱ってもらえていないという不満を引き寄せます。

もしも新人扱いしてもらえていないと思うのであれば、自分からアピールしても構いません。

「自分もよくわからないのでご指導いただいても良いでしょうか」といった伝え方であれば、指導する側も拒否はしないはずです。

また「新人扱いしてもらえない」原因には、社会経験があるからという自負心が潜んでいることもあります。

知らず知らずに「そんなことはわかっている」といった態度が出ていないかを、一度かえりみる必要があります。

実習とのギャップ・理想と現実のギャップ

現実と予想の隔たりは、どの社会でも多少は経験するものです。

また社会人看護師の場合には、ほかの職業に就いているときに抱いていた看護師への思いが大きいほど、現実とのギャップを広く感じてしまうかもしれません。

実習で学んだこととのギャップについては、いずれ時がくれば自然に解決していきます。

これは能力不足や低い自己評価といった、ほかの悩みとも深く関連しています。臨床経験を積んで実力がつき、自信をもてるようになれば、次第に感じなくなっていきます。

職場の運営体制や倫理観にもつギャップについては、勤め先選びに関するミスマッチも考えられます。

現場の在り方に強い嫌悪感を覚えるなど、修正がきかないときには、思い切って働く場所を変えることも必要です。

愚痴を言える相手がいない

仕事上の辛さや悩みを話せる相手の存在は、働き続ける上でとても重要です。

だまって聞いてもらうだけでも、気持ちが晴れ晴れとして、また新たな気持ちで仕事に向き合うことができます。

社会人看護師だからといって、身構える必要はありません。どのような過去があろうと、看護師として働くのが「大変」で「辛い」と言っても構わないはずです。

そこで「自分から進んでわざわざ選んだから」などと考えることはありません。素直に心情を吐き出せば、聞いてくれる人はいるはずです。

怖いと思っていた先輩看護師、年齢が違いすぎると感じていた同僚看護師に思い切って打ち明けてみるという方法もあります。

うまくいけばぐんと距離が縮められ、今後は働きやすくなるかもしません。

家族や友人など看護師の仕事に関わらなくても、何も言わずに聞いてくれる人がいるのであれば、話してみると良いでしょう。

雇用側にとっての社会人看護師のメリットとデメリット

看護師教育施設への社会人入学者の数は全体の約2割を占めるようになり、近年は増加傾向にあります。

エリアや施設の業態を問わず看護師不足が深刻な中で、社会人看護師が就職に困るということはないようです。

もちろん病院によっては新卒をメインに採用しているところもありますが、社会人経験者だからこその強みもあります。

雇用側が注目する社会人看護師のメリット、デメリットについて考えていきましょう。

メリット

社会人経験のある看護師を雇用するメリットとしては、以下のようなものがあります。

  • ビジネスマナー
  • コミュニケーション力の高さ
  • 看護職への高い志
  • 協調性

社会人として一般的な企業などで働いた経験がある場合、ビジネスマナーの面について期待がもたれます。

サービス業に従事していた経験や、多数の取引先との交渉などは、看護師になっても活かせる能力です。

挨拶の仕方、電話対応など、新卒者に対するようなトレーニングが不要となるため、特に接遇に力を入れている医療施設では重宝されます。

看護師だけでなく、新卒者全般について雇用側を悩ませるのが、コミュニケーション能力の低さです。

最近の学生には「大人との会話が苦手」という声も多く、初対面の患者とうまくコミュニケーションが取れなかったり、いきなりタメ口をきいて怒りを買ったりするケースもあります。

社会人看護師であれば、そうした心配をもたれることもありません。

勤めていた仕事を辞めて学校に入り直し、試験に挑んできた志の高さは、看護師としての姿勢に通じます。

自分の意志に従って困難を克服してきた姿を、高く評価してくれる施設は多いようです。

新卒の看護師の場合は、どうしても学生という立場を抜け切れていない傾向がみられます。

チーム医療が主流となっている現代の医療業界では、協調性の高さは貴重な資質です。企業の一員として働いた経験から、社会のしくみや組織の在り方への理解が得られていると考えられます。

デメリット

  • スキル不足
  • 医療業界への適性の不安
  • 体力面での不安

社会人看護師はスタートの遅れから、同年代の看護師と比較するとどうしてもスキルが不足していると見られます。

「この年代であればこの程度のスキルが欲しい」という見方をするタイプの医療機関では、採用が難しいと考えられます。

例えば前職での活躍が目覚ましく、非常に良いポジションであった場合などには、逆に看護師としての適性に不安をもたれることもあります。

看護師の仕事にうまく切り替えができるのだろうか、医療業界になじめないのではないかといった懸念をもたれがちです。

一般的な職業では、看護師のようにハードなシフト体制はあまり見かけません。社会人看護師のスタートが遅ければ遅いほど、体力面が不安視されます。

社会人看護師のキャリアについて

社会人看護師といっても、国家資格を取得し立派な正規の看護師となったことには変わりありません。

マイナスとなるのはほんの少し開始時期が遅れただけであって、それもキャリアを重ねるほどに、いつか気にならなくなります。

実際に社会人から看護師になる数は年々増えていますが、経験者のほとんどは「看護師への転職から数年経てば、あまり区別されなくなる」と話します。

もし今、社会人看護師として何らか肩身が狭いという人でも、数年後には気にせずに働けると考えて間違いありません。

問題がそれだけであれば、時間が解決してくれます。

これまで見てきた悩みの中で時間では解決できないこと、例えば体力面での不安や職場とのミスマッチなどがあれば、ほかの手段での解決が必要となります。

現状では悩みが解消できない場合や、自分では改善のしようがない場合には転職を視野に入れなければなりません。

社会人看護師の転職

社会人看護師の転職としては、いくつかの考え方があります。

ひとつは医療業界から完全に撤退する道ですが、それではせっかく苦労して手に入れた看護師の資格がムダになります。

ここでは看護師資格を活かしたまま、現在ある悩みを解決するための転職について考えていきます。

理想と現実のギャップに悩む場合

理想と現実のギャップに悩むケースは多く見られます。

実習や勉強も大変ですが、いざ看護師として病院で働き始めると、実習以上に大変だと痛感し、さらに未経験の医療現場に適応できず夢をあきらめようとするケースは少なくありません。

社会人看護師、復職、中途採用などを多数受け入れている病院であれば、指導体制が整備されており、現場になじむサポートをしてもらえます。

看護師への夢をあきらめたくない、と考えるのならば、そうした受け入れ態勢のしっかりした施設への転職が有効です。

看護師になった年齢にもよりますが、厳しい職場環境の急性期病院を避け、慢性期病院や介護施設を選ぶ方法もあります。

特に介護施設では家族対応など社会人経験を生かせる場面が多いので重宝され、本人もやりがいを持って取り組むことができます。

また病院の経営体制に不信感をもっているのであれば、転職によって自分の考えと近い運営を行っている施設を探すことは可能です。

一度でも看護師としての現場を踏んだのであれば、より具体的な観点をもって新たな職場を探すことができるようになっているはずです。

体力的に厳しい場合

現役看護師として働き続けるのは体力的に自信がない、また身体を壊してしまったという場合には、社会経験を活かせる職場として医事課や総務課の仕事があります。

また地域連携室や福祉施設の相談員(ソーシャルワーカー)として活躍している事例も見られます。

一般企業での経験と看護師資格の両方が活かすせる職場としては、企業の医務室やCRC、CRA、医療系コールセンターなどがあります。

また開業医向けのコンサルティング会社などでも、両方の経験が歓迎されるかもしれません。

少し変わったところでは看護師を退職して、看護師向けの人材紹介会社のコンサルタントに転職する例もあります。

いずれにしても、苦難を乗り越えて取得した看護師資格と現場での看護師経験は決してムダにはなりません。

たとえ看護の現場を離れることになっても、それはそのときの決断であって、次のステップアップだと考えれば良いのです。

転職コンサルタントに相談して最適な仕事を見つける

社会人看護師が看護師を継続する場合

社会人経験のある看護師は、その悩みも独特です。しかし、逆に考えれば新卒看護師にはない経験をしている「貴重な人材」とも言えます。

社会人看護師の悩みの多くは、社会経験があるからこその自分の中にあるイメージのズレが原因となっています。

それは経験や時間とともに、解消されるものが大半です。大切なのは、看護師として納得できるスキルが確立されるまでの間、どこで働くかということです。

自分が看護師として自信をもてるようになるまでは、適切にサポートしてもらえる職場であることが理想的です。

年齢に隔てなく新人教育を行い、育成に力を入れている病院が見つけられれば、社会人経験をフルに生かせる大きな戦力となっていけるでしょう。

両方の経験を活かしながら職種を変える場合

先に見てきたように社会人経験と看護師資格の両方を活かせる仕事は、必ず見つかります

体力的・精神的に看護師を続けるのが無理なのであれば、ここで方向性を変えることは間違いではありません。

看護師という道を選択したときと同じく、新たな仕事で何を目指すのか、どのような自分になりたいのかをもう一度検討しながら職種を選んでいきます。

どちらの方向を選ぶにしても、転職を決めたのであればひとりの力で活動をするのには限界があります。

病院の教育体制や運営体制、看護師資格が活かせる多彩な職種、それらに通じたプロの手助けがなければ、せっかく手にした資格を活かしきれず、看護師としても働くのが難しくなってしまうことにもなりかねません。

看護師の転職に精通した転職コンサルタントに相談できれば、非公開の求人情報も含め、希望に合わせた就職先を紹介してもらえます。

病院の内部情報は、なかなか外部からは伺い知ることはできません。

転職のきっかけとなった悩みを解消できる職場でなければ、転職の意味がなくなります。

社会人看護師が安心して看護師として働ける場所、あるいは看護師の資格を十分に活かせる職場を探し出し、自分が納得し、満足できる人生を目指していきましょう。

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