[ 記事作成日時 : 2016年3月29日 ]
[ 最終更新日 : 2020年6月9日 ]

看護師が大学病院へ転職するために知っておきたいこと!

大学病院の看護師

「最先端の医療にたずさわりたい」「看護師としてスキルアップしたい」と思ったとき、まず思い浮かべるのは、大学病院への転職でしょう。「でも、勤務がハードかも」「お給料は?」「そもそも応募資格があるのかな?」といくつもの疑問がわいてきます。そこで、大学病院勤務の看護師や看護師転職サイトのキャリアアドバイザーにインタビューをして、大学病院の採用情報や大学病院の看護師の勤務実態などを調べました。わかったことは、「大学病院は数が少ないので採用枠は狭いけれど、向上心がある人に門戸は広く開かれている」ということです。では、詳しい情報をお伝えしましょう。

大学病院での看護師の採用状況

全国には国立大学病院は45、公立大学病院は14、私立大学病院は本院や分院をあわせると、全部で112の施設があります(※1、※2)。「東北大学病院」「東京大学医学部附属病院」「東邦大学医療センター大森病院」など名称はさまざまですが、大学に付属している病院を大学病院と呼んでいます。本院のほか、いくつかの分院を持つ大学病院もあります。では、このような大学病院では、中途採用の看護師を、どのくらい採用しているのでしょうか?

出典:医療施設動態調査(令和2年1月末概数)(※1)

出典:大学病院医療ネットワーク「医学部附属病院・研究所附属病院」(※2)

大学病院の求人数や倍率は?

大学病院は、簡単にいうと、患者への医療行為とともに、「医師などの育成のための教育機関」「新しい医療技術の研究・開発を行う研究機関」でもあります。(詳しい特徴は、記事の後半にあります)つまり、基本的には

  • 「育成」するので、新卒あるいは若年層の看護師の採用が多い傾向がある
  • 「研究」するところなので、学習意欲がある看護師を採用する

といえます。

さらに、大学病院の3/4は500床以上の大規模病院ですが、すべてあわせても病院数は170ほどしかありません。ですから、もともとの採用数が少なく、中途採用も少ないことがあります。
看護師サイトのキャリアアドバイザーによると、

  • 大学病院への転職を希望する看護師は、転職希望者の2~3割程度
  • 大学病院を希望する看護師で、大学病院への転職ができなくても、大規模病院で転職した人も割合は、6割以上。

その理由は

  • 大学病院の数は民間病院より少ないため、採用枠は少ない
  • 大学病院は転職者の割合より、新卒入職の割合が多いため、民間病院より中途採用は少ない
  • 民間病院は、1年中の採用をしているのに対して、大学病院は採用時期が短い

といったことがあげられます。

出典:厚生労働省大学医学部・附属病院の状況2008年

中途採用状況は?子育てママは?新卒は?

大学病院は、転職者より新卒入職の割合が多いため、中途採用は少なめです。大学病院の多くは福利厚生がしっかりしているので、子育て中のママも多くいます。中途採用をめざすなら、夜勤や残業も対応できる体制を整えておき、それを採用担当者にしっかり伝えることは必要でしょう。新卒は採用されやすいですが、大学病院の本体の大学の看護学部や併設の看護学校からの採用が多くなっています。

年齢・経験・学歴は関係あるの?

雇用対策法によって年齢制限の禁止は義務化されているので、エントリーに年齢制限はありません。ただ、大学病院は「教育機関」で看護師育成も含まれるため、採用されやすい年齢は30代くらいまでといわれています。

ただし、40代以降でも、大学病院が求めているキャリアを経験していれば、採用されやすくなります。実際に大学病院へ転職する看護師も、新卒の病院で3年以上勤務し、次のキャリアステップとして大学病院を希望する人が多く、30歳前後が多くなっているようです。看護師の経験年数や学歴はそれほど重視されず、それよりも看護経験(職歴)のほうが重要視されます。

職歴の内容では、施設経験より総合病院経験のほうが有利です。医療行為が少ない職場にいた場合、即戦力としてみなされないためです。職歴はあっても、転職回数が多いと書類選考で不合格になるケースが多くなっています。例えば「30歳で転職回数4~5回」という看護師では、書類選考を通過するのは厳しいでしょう。ただし、やる気と実力をアピールできればこの限りではありません。

求人の募集時期・応募方法は?

大学病院の募集と採用試験は、1年間を通してではなく、年に3~4回、まとめて行われるところが多いようです。説明会やインターンシップ・病院見学会も開かれているので、ぜひ参加してください。応募方法や参加方法については、大学病院のホームページにあります。

募集をしている大学病院の主な探し方には3つあります。

大学病院のホームページ

大学病院のホームページには、看護師の採用情報があります。教育体制や勤務条件が詳しく掲載されています。職場環境や人間関係といった内部情報は把握できませんが、看護部のサイトには先輩看護師のメッセージや動画などをみることができます。

実際に働いている知人から話を聞く

知人・友人がいれば、内部事情や採用されやすい人の傾向について教えてもらえます。あくまでその人個人の主観ともいえます。公式の募集内容は、大学病院のホームページで確認しましょう。例外的に専門看護師や認定看護師の実習先の大学病院でスカウトされることもあります。

看護師専門の転職サイトに登録する

専用のエージェントは、公式の情報から内部事情までをつかんでいるので、効率的な方法といえます。

選考プロセスとポイント

大学病院のほとんどが、応募書類送付後、面接という流れです。小論文が必要な場合もあります。応募書類は、看護学校の卒業証明書や成績証明書、看護師免許証などが必要になります。取り寄せる場合は1週間~10日程度かかるため、余裕をもって取り寄せるようにしましょう。書類審査がありますから、願書の「志望動機」はしっかり時間をかけて書いてください。面接でも、志望動機やスキルアップの展望を質問されます。願書に書いた志望動機について深く聞かれることも多くあります。自己分析など事前準備はしっかり行いましょう。

職場見学・インターンシップは?

新卒採用では、職場見学やインターンシップが行われています。日程はあらかじめ決まっているので、ホームページで日時を確認し、申し込みます。説明会や職場見学では、福利厚生などの説明や、施設や看護師寮の見学をします。インターンシップは実際に病棟に入っての就業体験なので、現場の雰囲気を感じることができます。病院によって半日または1日の体験となります。ただ、インターンシップがあるのは新卒のみです。まれに中途インターン(社会人インターン)もありますが、中途採用ではほとんどが職場見学だけです。

大学病院への転職に必要なスキルは?

大学病院だからといって、特別に必要なスキルはありません。新しいことやわからないことを一生懸命吸収しようとする前向きな姿勢や、自分から進んで学び、技術を身につけようとする姿勢があれば問題ありません。いわば、必要なのは「ガッツ」。大学病院でやっていこうという「気合」です。

採用試験に合格するためのスキルというなら、「大学病院で働いて、どのような看護師になりたいのか」というストーリーをしっかり作っておくことです。大学病院を志望するということは、スキルアップへの情熱は強いはずです。その内容を、具体的に言葉にすることが願書でも面接でも大事になってきます。漠然と「スキルアップがしたいから」ではなく、「どんなスキルを得たいのか」です。また、「得たスキルを活かして今後どのような看護師になっていきたいのか」、さらに、「そのスキルを得るにはここで働く必要がある」というストーリーをしっかりつくっておきましょう。

大学病院のメリット

大学病院で働くメリットについて改めて考えてみましょう。

大学病院で働く看護師のやりがい

常に最先端医療にかかわっているというプライドは、大きなやりがいでしょう。また、大学病院には、他の病院では対応できない重症患者が多く来院しますから、そのような患者のケア、大学病院ならではの周術期管理やQoL(Quality of life)の向上にもやりがいはあります。

診療科目が多く専門的

大学病院は多くの診療科があり、それぞれに専門の医師もそろっています。たとえば、整形外科でも手だけ、足だけという専門があったり、外科といってもいくつもの科目に分かれていたりします。症例が少ない疾患や、専門的な治療が必要な患者が多いため、専門性の高い知識を身につける機会が増えます。

研修・教育と資格取得支援

大学病院は教育機関でもあるため、看護師教育にも力を入れていて、スキルアップできる環境、教育制度がしっかりしています。民間病院に比べて研修や勉強会の機会が多く、質の高い教育が受けられます。ですから、専門看護師や認定看護師などの資格をもっている看護師も多く、取得のための、支援制度が整っています。たとえば就学中には基本給が支給されたり、授業料などの支援があったりします。ただ、大学病院はスキルアップを目指す看護師が多いために、だれでも認定看護師取得などのための支援制度が認められるわけでもないようです。

働きやすさ

勉強が好きだったり、向上心があったり、大学病院の看護師であることにプライドを持っている人にとって、大学病院は働きやすい職場でしょう。大学病院はスタッフが多いので、雑務に煩わされず、看護師は本来の看護業務に集中できるという働きやすさはあります。また、部署にもよりますが、看護師が多く、勤務態勢もととのっているので、きちんと休みがとりやすいということもあります。

看護師の数も多いということは、ロールモデルとなる先輩看護師をみつけやすいといういいところもあります。自分の看護師としてのありかたや働き方に目標をもったり、シミュレーションしたりできることも、働きやすさのひとつでしょう。

大学病院勤務は箔がつく

大学病院勤務は、これからの看護師としての「職歴に箔が付く」ことは間違いないでしょう。大規模病院への転職でも、プラスになるでしょう。大学病院で働いていたということは、看護師としてしっかり働いていたという信頼感を得ることができます。また、最先端の医療の知識や技術は、転職先の病院では役にたちますし、他の看護師にとって刺激になります。ただ、次の「デメリット」の項目で詳しく書きましたが、クリニックなどでは「求められる技術が大学病院とは違う」などのデメリットもあります。

大学病院のデメリット

大学病院の勤務には、デメリットも多くあります。それぞれの病院によっても、部署によってもデメリットは違いますし、大学病院での勤務になれてしまえば、気にならならないかもしれません。ただ、転職をする前にあらかじめ知っておいたほうがいいデメリットをあげておきましょう。

激務と残業の多さ

大学病院は忙しく、残業が多いといわれます。平均的にみても激務で残業も多いのですが、病院によっても違いますし、部署によってもそれぞれです。看護師長の方針にも左右されるので、いちがいにはいえないかもしれません。

また、人によっては、勤務時間の長さより、精神的な負担が多いことで疲れてしまうようです。他の病院での治療が困難な症例や重症度が高い患者が多く、緊急入院する人が多いため、緊張感があります。医師の人数も多いので、それぞれの医師にあわせた対応も難しさにも神経を使います。さらに、大学病院では重症患者が多く、亡くなる方も多いという現実があります。死と向き合うことに疲れ、無力感に襲われてしまう看護師も多くいます。

研究や勉強会が多い

大学病院は教育機関でもあり、教育には熱心なので、研究や勉強会には時間をとられることが多いでしょう。勉強会は、勤務時間内に組み込まれていることがほとんどですが、時間外の勉強会も多くあります。自宅に持ち帰っての仕事や資料作成などもあり、勤務中は休むヒマがないので体力的にきついと感じる人が多いようです。大学病院に転職してから時間の使い方がこれまでと変わってしまうということもあります。ですから、もちろん、「適当に楽に看護師をやっていこう」という人には向かない職場です。

採血・ルート確保の機会が少ない

大学病院には医師・研修医が大勢いるのが特徴です。大学病院では、民間病院では看護師が行っている採血や点滴ルート確保などの処置を、研修医がやることになってことが多いようです。また、スタッフが多く、チーム医療となるので、チーム医療は身につきますし、それぞれの専門家の高度な知識や技術をみることができますが、一般の病院で働いている看護師のような処置ができず、医療機器の使い方を忘れてしまったりします。技術が身につかない、または今まで身につけた技術や能力が衰えてしまうと不安になる看護師もいます。

レベルが高くついていくのが大変

大学病院は最新医療機関ですから、次々と新しい治療法が取り入れられています。看護技術も看護研究も日々新しくなっていますし、新しい医療機器や治療薬もどんどん取り入れられています。看護師はどこで働いていても、日々新しい知識や技術を取り入れていかなければなりませんが、大学病院ではその量とスピードが一段と速いのです。また、医師の数も多いので、それぞれの医師の治療法にも理解が必要です。高いレベルを要求され続けるので、ついていくのが大変だと感じる看護師も多くいます。

転職で不利になることがある

大学病院で働くと、「職歴に箔がつく」といわれます。最先端の医療現場で働いた経験と知識は、「優秀な看護師」と思われます。ただ、実は転職時には採用担当者から「即戦力として働けず、基礎から教えないといけない」と判断され、採用に不利になるケースもあります。専門的すぎて、雑務ができないので敬遠されてしまい、実際に大学病院出身者だからというだけで、書類選考で落としてしまう病院もあります。

大学病院の待遇や残業の実態

では、実際に大学病院で働くとしたら、どのようになるでしょう?

勤務時間や残業時間は?

大学病院に興味があるけれど、「夜勤ができないと採用されないのでは?」と心配な看護師もいるでしょう。しかし、大学病院には日勤のみの外来もあります。また、救急搬送や他院からの転院も毎日のようにあるため、日勤の看護師を多めに配置しているようです。

シフトも大学病院と一般病院では大きな違いはなく、2交代制のところも3交代制のところもあります。病棟の1日の業務の流れも、一般病院とほぼ同じで、「申し送り→バイタルチェック→清潔ケア→カンファレンス→配薬→患者ケア→記録→申し送り」となっています。夜勤については、夜勤専従の看護師がいたり、交代で夜勤のみの勤務を行ったりするなど、病院によって働きやすいように、それぞれ工夫されています。

休日と休暇

大学病院は運営体制が整備されているため、有給休暇などもきちんととることができます。日本看護協会「2019年病院看護実態調査」によると、下記のようになっています。

「2019年病院看護実態調査」
○年間休日総数の平均値は、118.0日
○国立大学病院(国立病院機構などを含む)125.5日
○公立大学病院(公立病院を含む)127.0日
○私立大学病院(私立学校法人)116.0日

私立大学病院は少なめとなっていますが、病院による差は大きく、中には130日以上というところもあるようです。

福利厚生は整っている?

大学病院の大きなメリットは福利厚生がしっかりしていることです。福利厚生については、それぞれの大学病院の採用ホームページで確認できます。保育施設や看護師寮が整っていたり、大学の図書室などが利用できたりもします。

看護師寮に入寮できるの?

中途採用でも、ほとんどの大学病院は看護師寮に入寮できます。ただし、年齢制限があったり、入居年数が決まっていたりすることもあります。

何歳まで働ける?定年は?

定年は60歳ですが、再雇用などで65歳まで働ける大学病院がほとんどです。

国公立大学病院でも、公務員?

国公立大学病院でも、公務員ではありません。国立大学は現在、国立大学法人の設置する大学であり、公立大学は公立大学法人が設置する大学なので、付属する病院も法人経営になっています。ですから国公立大学勤務といっても公務員ではありませんが、準公務員(みなし公務員)といわれ、公務員との待遇の差はないといわれています。国立大学病院の間での人事交流は盛んで、希望をすれば他の大学病院で勤務して、新たな看護技術を学び、ふたたび元の大学病院に戻ることもできます。

大学病院の人間関係

大学病院は、看護師、医師のほか、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師、臨床工学技士、理学療法士など多岐にわたる職種が勤務しており、必要に応じて連携をしながら日々治療、看護を提供します。

元大学病院看護師の口コミ

「大学病院では、看護の専門性やスキルを高められるだけでなく、他の職種の専門性を知ることもできます。さらに、褥瘡回診チームや精神科リエゾン回診など多職種でチームを形成し、病棟を回診している場合もあります。これほど多くの職種と協働できるのは大学病院ならではです。より患者の個に合わせたケアを検討、提供することができますし、職種によって考えが違うこともあるので、多職種と意見交換をすることは自分自身の勉強にもなります。チームで医療を提供している、ということを経験でき、楽しいというのが正直な感想です」(元大学病院看護師)

大学病院での人間関係のポイント

大学病院はその大学の看護学部・看護学科や、附属の看護学校の卒業生がそのままエスカレーターで入職することが多く、人間関係が濃密だったりします。その大学病院特有の組織風土のようなものがあり、転職組はそれに適応しながら人間関係を構築することになります。

さらに大学病院は、新卒看護師が多く入職するため、20代の看護師が多くいます。そして教育体制も整っていて、若くしてキャリアアップする看護師も多いため年齢が若い管理職もいることも知っているといいでしょう。一般病院の管理職と同じイメージを持っているとギャップを感じます。とはいっても、大学病院はスタッフが多く、同期入職者も多いことは、心強いでしょう。

なぜ大学病院に転職すべき?

大学病院に転職できるかどうか、チェックポイントをあげてみます。

大学病院に採用される人されない人

大学病院に採用されやすい人は、

  • 30代まで:転職歴も少なく、大規模病院を経験している人
  • 30代以降:「職歴」が魅力的で転職回数が少なく、募集科目の認定資格を所有している人

採用されにくい人は、40代以上で転職が多く、大規模病院の経験がなく、認定資格などがない人です。

大学病院に向いている人いない人

大学病院に向いている人は、

  • 学びたい分野が明確で、最先端医療に携わりたい人
  • 残務勤務、通常業務以外の勉強会への出席もいとわない人

向いていない人は、

  • 向上心がない人
  • 人間関係の構築が苦手と感じる人

中途採用の場合、できあがった組織風土の中で、人間関係を構築していくことが必要です。大学病院は離職率が低く、中途採用者が少ない傾向があります。人間関係の構築が苦手と感じている人は、中途採用者が多い職場が向いています。

大学病院以外でも専門知識は身につく

上記の項目で、大学病院への転職がきびしいとなると、ちょっと落ち込むかもしれません。でも民間病院でも、大学病院以上に専門領域を学べる職場があります。たとえば心臓外科なら心臓病センター榊原病院や心臓血管研究所付属病院、甲状腺疾患なら伊藤病院など、大学病院以外でも研究熱心な病院はあります。その分野の研修会などに出席することで、学べる職場がわかりますから、情報を得たら看護師サイトのキャリアアドバイザーに相談するとよいでしょう。

大学病院の関連医療機関なら難易度は下がる

大学病院には本院のほかに分院があったり、関連の医療機関もあります。最先端医療は本院が一番行われていますが、分院や関連の医療機関にも本院から医師が派遣されたりするので、最新の医療を行っていたりもします。本院よりも分院、分院よりも関連の医療機関のほうが難易度は下がります。

なぜ大学病院を退職する?

大学病院で働けることになったら、できるだけ長く働きたいものです。でも大学病院の看護師でも退職する人はいます。ここでは、大学病院で実際に働く看護師たちの気になる勤務年数や離職理由について見ていきます。退職するまでの年数は以下の3パターンといわれています。

パターン1:3年
奨学金の返済が終わるタイミングだったり、基礎教育が終わって他の職場に行ってみたいという理由で、退職するケースが多いようです。
パターン2:1年未満
予想以上に多忙だったり、看取りがつらかったりという理由で退職するケースがよく見られます。
パターン3:5~10年
長年働いてきて、他の病院も見てみたいという希望や、結婚や妊娠など家庭の事情が主となっています。

もし、大学病院で働きづらくなり、退職したいと思ったときは、「退職する前に、部署の異動」を希望しましょう。外科から内科、病棟から外来など、部署を異動したら働きやすくなることもあります。同じ病院ならシステムが同じですし、知り合いも多くいますから、全く違う病院で働くより楽でしょう。心機一転で全く別の病院で働くのも悪くありませんが、同じ病院内での異動も検討してみましょう。

大学病院の特徴

では、最後に改めて大学病院の特徴を説明しましょう。

教育・研究機関

大学病院には「診療」のほかに、「研究」「教育・研修」という3つの役割があります。多くの症例を扱うことで医療の研究を行い、さらに医師や歯科医師の養成という役割も担っています。そのため、学生が医療に参加することがあり、付属の看護科がある大学では、看護学生も大学病院で研修を行っています。看護師を教育する制度が整っている大学病院が多いので、新卒や経験が浅い看護師でも学びながらスキルアップが可能です。

診療科目が豊富

診療科が細分化しているので、特化した領域を学ぶことができます。そしてその分野の、最先端の医療を学び、実践することが可能です。

地域医療

大学病院は、先端医療を推進すると同時に、地域医療に貢献する役割ももっています。診療所などの診察で、専門的な治療が必要とされた患者を受け入れたり、逆に大学病院の治療によって症状が軽快・安定した患者については、診療所などを紹介したりするなど、地域医療の中心となります。

多職種で連携しチーム医療

大学病院は医師も研修医も多いため、民間病院とは違ったかたちで、ドクターと関わることが増えます。たとえば、大学病院は研修医を育てる機関でもあるので、ベテラン看護師には研修医を育てるという役割があったり、一般病院では看護師が行っている採血や点滴をはじめ患者の処置のほとんどを研修医が行ったりします。

また、医療ソーシャルワーカーや臨床工学技師、臨床検査技師や薬剤師、PT・OT・STのほか、看護助手や病棟クラークなど他職種のスタッフがそれぞれの役割を理解し、チームで医療を行うという意識を強くもっています。

国公立病院との違い

国公立病院も大規模病院ですが、大学の附属ではないので、違いがあります。

  1. 大学病院ほど診療が細分化されていないため、担当範囲が広くなる
  2. 教育機関ではないため、教育制度に違いがある。
  3. 処置は看護師行うため、大学病院勤務よりも経験を積むことができる。

民間病院との違い

一般の民間病院は転職経験のある看護師が多いので、人間関係が構築しやすいのですが、大学病院は転職が少ないために、その大学病院の特有の組織風土のようなものがあります。

看護師の平均年齢(年齢層)

大学病院の看護師の平均年齢は32~34歳といわれています。他の医療機関に比べるとかなり若い年齢となりますが、理由としては新卒採用が多いことや、勤務もハードで、さらに常に学び続けなければならない環境のため、30歳ほどで離職する看護師が多いことにあります。国立大学病院の看護師だけの調査ですが、大学病院の離職率は全国平均よりも離職率が低くなっています。

出典:国立大学病院看護部長会議「看護職員の離職率の推移」

参考:北里大学病院看護部

参考:昭和大学統括看護部

参考:慶応義塾大学病院看護部

大学病院の給料

では大学病院の看護師の給与をみてみましょう。日本看護協会の「2019年病院看護実態調査」(※1)と「看護職の給与の調査・データ」(※2)をもとに、勤続10年(31~32歳)、非管理職の看護師の月額の給与を比べてみます。

大学病院の看護師の給与

  • 平均税込給与総額は、320,773円
  • 国立大学病院(国立病院機構などを含む)は、333,408円
  • 公立大学病院(公立病院を含む)は338,116円
  • 私立大学病院(私立学校法人)は、356,465円

※税込給与総額には、通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当等を含む(時間外勤務の手当は除く)夜勤をした場合には、当該の月に三交代で夜勤8回(二交代で夜勤4回)をしたものと想定。

大学病院といっても、国公立の大学病院は、看護師の平均給与とそれほど変わりませんが、私立大学病院は月額で3万円ほど高くなっています。また、地域や規模によって給与はそれぞれなので、看護師採用のホームページなどで確認してみましょう。

出典:公益社団法人日本看護協会「2019年病院看護実態調査」(※1)

出典:公益社団法人日本看護協会「看護職の給与の調査・データ」(※2)

転職活動

大学病院に転職活動をするときは、まず大学病院の看護部のサイトで、大学病院看護師の概要をつかむといいでしょう。大学病院の看護部は、それぞれホームページが充実しているので、その大学病院の状況がよくわかります。

また、国立大学病院の情報だけですが、国立大学病院看護部長会議という組織のホームページには、国立大学病院の看護専門外来の開設状況や、看護職員の離職率などのデータもあり、参考になります。また、専門分野の資格を取得したり、研修会に参加して、向上心があることを証明できる何かを、少しずつ用意しておきましょう。ネット講習でとれる資格もありますから、大学病院をめざすなら、願書に記入できるものを積み上げておくことも大切です。

出典:国立大学病院看護部長会議

「最先端の医療を学びたい」「教育体制のしっかりした組織で働きたい」と思ったら、大学病院で働いてみてください。ただ、記事の中でも説明したように、大学病院の看護師の募集時期が限られています。タイミングよく応募するためには、まず看護師専門の転職サイトに登録することをおすすめします。看護師転職サイトのアドバイザーには、それぞれの大学病院の実態について質問したり、転職時期についても相談したりもできます。自分が希望する大学病院を見つけて、転職を成功させてください。

参考

公益社団法人日本看護協会

国立大学病院看護部長会議

厚生労働省医療施設動態調査(令和2年1月末概数)

厚生労働省大学医学部・附属病院の状況2008年