[ 記事作成日時 : 2016年2月3日 ]
[ 最終更新日 : 2020年2月6日 ]

看護師が東京で働くのは正解?メリットとデメリットや上京に関する注意点を解説

東京に引っ越して働く看護師

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地元で看護師になったけれど、一度は東京で働いてみたいと考える人もいるのではないでしょうか。その一方で一度も地元以外で働いたことがないと、大都会に出るのは大冒険のように感じるのも理解できます。

確かに何もかも規模が大きい東京では、戸惑うことも多いでしょう。しかし看護師の仕事には地域差が少なく、業務に入ってしまえばなじむのも早いものです。

上京を希望する看護師さんに役立つ関連情報や、後悔しないための注意点について解説していきます。

      
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看護師の上京について

東京に行けばたくさん仕事がある、それは確かです。一般的な職種でも地方にはない仕事がたくさんあり、看護師にとっても多様な働き方が可能となります。

看護師の上京に関する情報をまとめて見ていきましょう。

看護師の地元派と上京組の事情

看護学生の就職統計によると、看護師の県外派の人数がもっとも多いのは東京、また県外からの人数が前の年に比べて増えているのも東京という結果が見られます。

同時に東京は地元派でもトップとなっており、内外からの看護師が集中して就職していることがわかります。

ちなみに2016年3月時点での県外への就職率は、全国平均で27.1%。青森県や宮崎県では5割以上の卒業生が他県に就職しています。

県外へ就職した人のすべてが東京に向かうというわけではもちろんありませんが、一極化が進んでおり、労働者の需要の高い首都圏を働く先に選ぶ看護師も相当いると推測されます。

看護師は首都圏でも売り手市場

2019年1月時点での東京都の人口推計は約1,390万人です。これは東京都に在住している人の数なので、昼間東京で働く人はさらに多いと考えられます。

これほどの人口を抱えている東京ですが、看護師不足は深刻です。意外なことに東京は、看護師の数がほかの地域にも増して足りません。理由は、看護師の9割が女性を占めていることにあります。

女性の場合、その多くが地元で就職してしまうため、地方からの流入が男性よりも少なくなります。特に結婚後は家族を置いて単身赴任をすることが難しくなり、自分の意志だけでは移動ができなくなります。

先の就職統計でも、他県への就職が5割を超えている県は非常に珍しく、平均的には2~3割までにとどまっています。

マイナビが調査した「大学生の地元就職希望率」では、全国平均が50.8%となっており、他県、特に首都圏への就職希望者が目立ちます。これに比べると、看護師が上京する割合はかなり低いといえるでしょう。

東京の看護師不足の背景には、さらに看護師養成の地域的な状況にも関係があります。看護師の養成数は、西と東で大きな格差があります。

2012年の統計によると、人口10万人あたりの看護師の養成数は西日本が80人、関東は40人と半数となっています。この延長上に看護師数の事情があり、配置の人数には2倍近い開きが見られるといいます。

看護師の事情は、「西高東低」です。看護師養成の歴史などがからみ、未だにその傾向が続いています。

比較的看護師数の多いとされる九州や四国の有効求人倍率は1~2倍程度、関西より東では2~5倍です。日本中から人が集まる東京にあって、看護師はさらに売り手市場となっています。

看護師の技術は全国共通

東京の看護師不足事情により、地方から上京しても看護師が仕事に困ることはなさそうです。それでは技術面についてはどうなのでしょうか。

基本的に看護師の技術は全国、さらに世界共通といえます。もちろん最先端の技術については、東京などの大都市ほど導入されるのが早いのは当然ですが、すべての看護師がそうした現場に立つわけではありません。

看護師に求められる行為は、それほど大きな差がないと考えて良いでしょう。

逆に地方では医師不足が深刻なため、例えば留置針の刺入や男性患者のバルンカテーテル挿入などの医療行為を、医師の指示のもとに看護師が行うことも珍しくありません。

しかし都会の大規模な病院では、研修医も多く、業務が細分化されているため看護師の業務もある程度決まっています。

そうした意味では看護手技やさまざまな処置などは、地方の小規模な病院の方が身につくといえるかもしれません。上京して逆に技術面で重宝されるということも考えられます。

いずれにしても、看護師の基本技術については上京後の心配はしなくても良さそうです。

一方で人の流動が激しい東京では、新人や中途採用者に対しての教育制度が整備されていることが多く、研修もしっかりと受けられます。初めての場所に戸惑うことがあっても、短期のうちに慣れていける環境が提供されます。

看護師が上京する理由

ある転職サイトの調査によると、転職に成功した看護師全体の約2割が地方から首都圏であるという結果となっています。

新卒看護師のように若い世代が大都会に憧れるということはよく理解できますが、すでにある程度の経験を積んだ看護師も東京を目指す傾向が多く見られます。その主な理由について見ていきましょう。

スキルの向上

地方にもそれなりに大規模な病院はありますが、先鋭的な技術を実施しているところはごく限られます。看護師の働く場所はあっても、そこが自身の求めているような仕事や学びを得るのは難しい場合が多いようです。

東京には他のエリアと比較して、5倍以上の医療機関があると言われます。

より専門性の高い分野を極めていきたいと考える看護師ならば、やはり東京という選択肢が頭に浮かぶのではないでしょうか。

また、医療関係者向けのセミナーも各種開催されています。働きながら学びを深めていきたいと思っている場合でも、多彩な知識に触れられる機会がたくさんあります。

同じような環境で暮らしている看護師が多い地方と比較して、東京にはさまざまな人材が集結します。刺激を受けながら自分を高めていける場所を職場に、と考えて状況を決意する人もいそうです。

働く場所の多様性

職場の幅広い選択肢を望むのであれば、東京にかなう場所はありません。あらゆるサービスが提供される首都圏では、看護師という資格を活かせる職場が多数見つかります。

同じ病院やクリニック、訪問看護を始めとする介護関連であっても、その種類の多さは地方都市の比ではありません。病院の種類や規模、診療科目も豊富です。田舎ではあまり聞いたことのないような分野に出会うこともあります。

地方ではせっかく取得した認定看護師の資格や助産師、保健師などを仕事に活かせる場所が見つからないこともあります。

東京であれば、資格取得の支援制度がある医療機関も多く、資格に対しての待遇も地方より充実してます。

採用枠が少ない資格を活かせる職場についても、東京であれば多数探すことができるでしょう。自分の頑張り次第で看護師としての可能性を大きく広げられます。

医療関連施設以外でも、働く場所はいくらでもあります。

保育施設などの教育関係もあれば、一般企業の医療業務も東京であれば見つけるのは地方ほど難しくありません。大手製薬会社や医療関連の開発企業も集まっているため、治験など幅広い職種からの需要もあります。

地方にいてはとても想像できなかった場所で、働く自分が見つけられるかもしれません。

自身の視野を広げたい

看護師だけの話ではありませんが、地元にいれば考え方やモノの見方が固まってしまう傾向があります。同じ環境に暮らし続けると、多様性についての理解力が低下してしまい、視野が狭くなりがちです。

「上京して視野を広げたい」「一度はもっと広い世界を見たい」そう考えて東京で働き始めるという人も多いのではないでしょうか。

人の経験はいくつになってもムダということはありません。新しいことを知れば、それだけ自分がアップデートされます。

見知らぬ土地、それも東京という世界トップクラスの洗練された都市で生きるのは、これまでとはまったく違う意識をもつきっかけにもなります。

視野の広がりとともに、看護師としても人間としても成長できる大きな可能性が芽生えます。外の世界から地元を見つめ直すことで、故郷を新鮮にとらえ、その良さに気付ける機会ともなるでしょう。

将来を考える上では、ある程度の年齢で地元以外での経験をもつことはとても意義深いといえます。

収入のアップ

上京する切実な理由としては、収入アップがあります。首都圏と地方との賃金格差は、一般的には高給といわれる看護師であっても歴然としています。

平成30年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)を元にしたデータによると、看護師の年収の平均は約480万円となっています。

ランキング第1位の神奈川県は約532万円、東京は第2位で約517万円に付けています。

そのほか千葉県などの首都圏でも軒並み510万円以上となっていますが、一方でかろうじて400万円台となった地域もあります。

最下位は宮崎県の約403万円で、1位とは130万円もの差があります。

先にもあったように、看護師の業務については全国的に同じと考えても間違いはありません。どの地域でも夜勤があり、看護技術を必要とされます。

しかし、収入面ではこれほどの違いがあることも事実です。

東京の生活は確かに物価が高く、交通費などの出費があります。ただ生鮮食品などは割高であっても、一般に流通している物品についてはさほどの違いはありません。

東京でお金がかかるのは第一に家賃、次に外食費です。寮のある病院であれば生活にかかる費用は押さえられ、地方にいるよりも高い給与を得ることができます。

働くモチベーションとして、労働対価となる給与額は重要なポイントです。看護師として働く以上、より高い収入を目指すのは当然のことと言えるでしょう。

家族の事情

家族や夫の転勤に伴い、上京するというケースも見られます。看護師資格があれば、首都圏に引っ越ししても仕事は必ず見つかります。

地元でのキャリアはそこで途切れてしまいますが、さらに看護師としての経験を積むことは可能です。

東京であれば派遣などで、家庭と両立しやすい働き方をすることも容易です。上京を機会にライフワークバランスを見直し、より生活しやすい職場を選択の条件に加えるという方法もあります。

看護師が東京で働くメリット

東京で働こうとする理由は人それぞれですが、上京するデメリットはないのでしょうか。メリットを整理するとともに、デメリットについても触れていきます。

看護師が上京するメリットとしては、主に以下のようなものがあります。

  • キャリアアップできる環境
  • 高い収入
  • 生活の利便性
  • 仕事への集中
  • 多彩なチームワークの経験
  • 整った設備・医療技術

キャリアップできる環境

上京の理由でも聞かれたように、東京は地方と比較して非常にキャリアアップがしやすい環境と言えます。

その理由として、東京には最先端医療を行う大規模な病院が多数存在し、情報の交換も盛んです。著名な医師が在籍する病院の多くが東京に集まっており、全体のレベルが高い傾向にあります。

新しい技術の流入や研究開発の話題に、日常的に触れられ、また間近で目にする機会も多くなるでしょう。

看護技術に優れた先輩看護師に刺激を受けながら、目標を見出していくことができます。慣習にとらわれる地方とは違い、自分の実力次第では短期間でステップアップできる可能性があります。

メディアなどに登場するような医師たちや最先端の技術や最新機器といった環境下にあって、向上心をさらに養っていけるでしょう。

看護協会や大規模な医療法人の本部などがある東京では、地方ではなかなか受けられない講習会やセミナー、勉強会などに参加する機会が得られやすくなります。

自分さえその気になれば、学習の場に困ることはありません。医療の書籍を多数所有する大図書館、専門書の本屋にも恵まれています。東京では病院の内外に、ステップアップしていける環境が身近にあるのです。

高い収入

先にも見てきたように、首都圏の看護師の収入は他県と比較して安定的に高水準にあります。東京23区の看護師の収入を調査したデータでは、何と平均年収が600万円を超えるという結果も見られました。

形態別に見た場合の収入は以下の通りです。

  • 病院:683万円
  • 訪問看護:626万円
  • 介護関連:577万円
  • クリニック:557万円
  • 企業:547万円

先の都道府県調査とかなりの差がありますが、これは例えば美容系のクリニックなど幅広く対象にしていることも考えられます。

ちなみにこちらのデータでは、東京都の助産師の平均年収は690万円となっています。いずれにしても、地方では考えられないほどの高給で働くことも夢ではなさそうです。

高い利便性

東京は日本の中でもかなり特殊な街であり、同じ大都市でも大阪や名古屋や福岡といった街とは規模も人の暮らしもかなり違うと言えるでしょう。

地方では車がないと生活が成り立たないという土地が多く見られますが、東京では個人の交通手段はほぼ必要ありません。

網の目のように張り巡らされた線路と、その間を埋めるバスにより、移動手段が確保されています。3分おきに到着する満員電車に最初は驚く人が多いようですが、生活すればすぐに慣れてしまいます。

比較的利用者が限られる私鉄の駅前であっても生活利便施設が立ち並び、深夜でも早朝でも買い物ができます。

不規則な生活を送る看護師にとっては、この上なく便利に感じられるでしょう。

仕事への集中

実際に状況して働いている看護師からは、診療科目が細分化されていることで自分の仕事に集中できるという声が聞かれます。

専門的な知識や技術、処置を身に付けられ、雑事に振り回されることが少ないという利点があります。

オールラウンドを期待される地方の病院とは違い、自分の学びたい分野が明確な看護師には最高の学びの場所となります。

また教育体制がしっかりと整備されており、ムダな時間を過ごさずに業務に入れたという意見もありました。特化した業務のエキスパートとして働く大勢の先輩看護師の背中を見ながら、看護師として成長が促進されていくようです。

多彩なチームワークの経験

看護師の役割分担が決められているため、自分の業務に集中できるのはもちろんですが、医師を中心としたチーム医療がしっかりと固められている体制も上京後に経験した看護師が多いようです。

チーム医療は地方でも主流となっていますが、東京の大病院では豊富な人材が集結しているため、関わるチームスタッフの職種も多彩です。

データの共有化が進められているため、患者についての各専門分野の意見の集約もスムーズに行われます。

タブレットなど電子機器の利用もごく当たり前となっており、チーム内の誰もが手元で最新の情報を確認できるなど、チーム医療の在り方自体も進んでいます。

整った設備・医療技術

看護師は患者の立場に立って考えることも大切ですが、地方の病院から状況した看護師は、設備面や専門スタッフがそろう環境が安心感を与えるのではないかと感じたといいます。

検査などでも同じ病院内で済ませることができ、診察後のオピニオンも各科の医師からその場で聞くことができます。

最近はかかりつけ医から紹介状で大病院へ行くことが増えていますが、地域によっては県境を越えて診察を受けに行くこともあります。

診察を受け、別の病院で検査をし、いくつかの病院で診断、さらに大きな病院で治療というケースも起こります。

東京であれば同じ病院内か、少なくとも都内で済ませられるという手軽さがあります。病気や症状にもよりますが、専門医や設備が整った病院は看護師から見ても頼もしく思えるのかもしれません。

看護師が東京で働くデメリット

病院の規模や看護師としての技術向上、収入面など東京で働くメリットは数多くありますが、一方でデメリットはないのでしょうか。

一般的に考えられるデメリットには、以下のようなものがあります。

  • 物価や家賃が高い
  • 地方とのテンポの違い
  • あまりに規模が大きすぎる

物価や家賃が高い

東京生活はお金がかかると言われますが、実際の生活費についてはそこまで違いはないと考えられます。

例えば光熱費は東京も地方もほとんど違いはありません。東京のワンルームではオール電化になっているところが多いのですが、夜間電力によって給湯を賄うなど、比較的光熱費が抑えられるしくみになっています。

夏のエアコン代は大きな出費となりますが、これはどの地方に暮らしていても、冷暖房費のいずれかが増えるのは仕方のないことです。

地方と違い車の維持費はかからず、バス代が一律など、交通費も東京の方が安いくらいです。

となると、問題はやはり家賃です。東京の中でも人気のエリアは家賃相場が高く、駅に近く築年数が少なければさらに金額が上がります。

以下は賃貸サイトに掲載された、2019年時点での23区にあるワンルームの家賃相場です。

東京23区 家賃相場
千代田区 10.80万円
中央区 11.70万円
港区 11.80万円
新宿区 7.30万円
文京区 7.90万円
台東区 7.90万円
墨田区 7.20万円
江東区 8.50万円
品川区 7.90万円
目黒区 8.30万円
大田区 6.80万円
世田谷区 6.90万円
渋谷区 8.90万円
中野区 5.90万円
杉並区 5.90万円
豊島区 6.60万円
北区 6.00万円
荒川区 6.28万円
板橋区 6.35万円
練馬区 5.30万円
足立区 5.60万円
葛飾区 5.50万円
江戸川区 5.50万円

ただし同じエリア内であっても、沿線が違ったり駅の表側・裏側といった立地が違っていたりしても家賃相場は大きく異なります

しかし地方から見れば、ただ暮らすだけでもかなりの負担がかかることは間違いありません。

看護師が家賃を抑える方法としては、寮を完備しているところを就職先に選ぶという手があります。病院の寮であれば通勤にも便利な場所に立地しており、生活に必要な周辺環境も整っているのがほとんどです。

最近では医療施設側の危機管理意識も高くなり、トラブルが起きないようにオートロックや監視カメラが備え付けられているところが増えています。

また先にもあったように東京の病院は厳しい看護師不足の状況に悩まされているため、個室は十分な広さが確保され家具付きの上、共有部分のフロアがホテル並みにゴージャスな看護師寮もあるようです。

寮の場合には月の個人負担割合は多くても月2~3万円程度で、中には朝食付きといった快適なサービスを提供しているところも見られます。

また寮がない場合には、住宅手当や家賃補助などを支給し、福利厚生面を充実させている病院が多くなっています。

生活費の中でもっとも大きな部分を占める家賃の問題をクリアできれば、東京生活もかなり楽になります。

地方とのテンポの違い

東京で初めて暮らして、周囲の歩くスピードに戸惑ったという声は良く聞きます。確かに道路でも駅や建物の中でも、人々が歩くスピードは地方とはまったく違います。

中都市圏や西側の大都市圏に暮らしていた人でも、東京の人の歩く速さにはついていけないというほどなので、やはり特異ということなのでしょう。

慣れていないとただ歩くだけでも疲れそうですが、このスピード感を仕事の現場でも同様に感じてしまう可能性があります。

先輩や同僚の話す会話のスピードが速すぎて聞き取れない、また業務のスピードが前職とはまるで違うという悩みを抱えることもありそうです。

東京のあらゆる業界でいわれるのが「効率化」です。

病院でも、さすがに患者に対応する場合にはていねいに接するよう求められるはずですが、それ以外の部分では効率化が優先されているかもしれません。

のんびりした地方の空気が恋しくなり、ホームシックに陥る人もいそうです。

あまりに規模が大きすぎる

東京は勤め先の病院、通勤に使う駅、繁華街などの規模がすべて破格に大きく感じられるかもしれません。

例えば東京駅や新宿駅、池袋駅などは迷路のように複雑に入り組んでいることが知られていますが、人口が多い分、ひとつひとつの規模を大きくしないと人数を収容しきれないというのが現状です。

同時に病院についての情報量も非常に多く、正確な情報がつかみづらいという問題があります。

医療関連の施設の数が多すぎて、分類するのさえひと苦労しますが、本当に働きやすい職場はどこなのか、自分に合った病院が見つけられるのか不安になります。

当然、ネット上の口コミも膨大な量に上るため、さらに真実がわかりづらくなるでしょう。地方の口コミサイトであれば、比較的良心的な書き込みが多いものですが、東京となると口コミの規模も拡大します。

地元と違い、人づてに評判を探るという方法も東京ではあまり利用できません。

看護師の転職サイトを利用し、業界に精通したエージェントから正しい情報を得るなど、自分なりの工夫が必要になってきます。

東京は選択肢が多いというメリットがある一方で、取捨選択を上手にしなければ転職を失敗してしまう可能性も大きいというデメリットがあります。

上京した看護師の経験談にみるデメリット

東京の病院での経験を積むことはとても意義があり、看護師としての成長につながるのは間違いありません。

しかし最新の医療技術や方法の学習にのめり込むあまり、看護師の本分を見失いかねないということもあるようです。

東京で働く看護師が看護学校の同期と出会ったときに、次のようなことを言われたという話がありました。

「ケーススタディとかサマリーとかプライマリとか、都会の看護師ってちょっと頭でっかちに感じられる。机やPCに向かう時間があるなら、患者さんのところに伺う時間に当てればいいのではないか」そう言われて、著名講師のセミナーへの参加ばかり追いかけていた自分に、はっとしたと言います。

東京の環境に慣れるに従い、本当に取り組むべきものが見えなくなるという落とし穴があることも忘れてはなりません。

またあまりに院内・院外の研修会や勉強会などの勉強が多すぎ、プライベートな時間がなかなか取れなくなってしまった看護師もいます。東京に出ても、個人の時間を大切にしたいと考え、転職を検討しているとのことです。

上京看護師の受け入れ態勢

両完備・借り上げマンションの提供

先にも出てきたように、東京で暮らすネックとなるのは家賃の高さです。

受け入れ側の病院でも遠方から状況する看護師を想定し、福利厚生のひとつとして看護師寮を完備しているところが多くなっています。

中には母子寮のように家族で住める場所もあるので、条件に従って確認しておくと安心です。

個人でマンションなどの賃貸契約を結ぶ場合、給料の大半が家賃で消えることにもなりかねず、慣れない土地で働き始める看護師にとっては、更に経済的な不安も加わることになります。

その点、職場に設置されている看護師寮であれば、住宅補助によって格安の寮家賃で入居することが可能なうえ、光熱費を職場が負担するなどかなりの節約に期待ができます。

また病院によっては寮を運営するのではなく、マンションを借り上げて看護師用に提供しているところもあります。

いずれにしても不慣れな東京で暮らす場所から探すのは大変です。住居の提供があることを、転職先の条件として入れるのも賢い方法といえるでしょう。

支度金をもらうためには?

看護師不足の解消のため、東京の病院も積極的に地方に向けた看護師確保の動きを見せる傾向が大きくなってきています。

地方から都会への転職を果たすためには、当然引越しのための費用がかかりますが、なかには、引越費用の一部または全額を負担してくれる職場もあるようです。

引越費用とは別に、 支度金という制度を設けて、看護師の転職にかかるコストの軽減を図る病院も存在します。

病院側が、平均10~30万円という支度金を用意して看護師を得ようとしていることからも、人材の確保が如何に難しいかを物語っていますが、この支度金は、決して無条件で支給されるわけではありません。

採用時に支給された支度金は、半年から1年という一定の在籍期間を満たさず退職に至った場合、返還義務が発生することになります。

支度金によって、転職時の経済的負担が軽減されることには違いありませんが、その病院に対して、一定の拘束期間が生まれるという条件が付加されている場合があるので、問題がないかしっかりと確認しておく必要がありそうです。

看護師が上京する前に知っておきたいこと

看護師が東京で働くことを考えたとき、知っておきたいこと、意識すべきことをまとめておきましょう。

なりたい自分の姿を明確にしておく

働く場所がどこであれ、目指すべき姿を決めるのは自分自身です。ただ「東京で働きたいから」という転職は、成功する率が低くなります。

東京で得たいものが何なのか、例えば最先端の医療現場なのか、特化した診療科なのか、資格を有効に活用できる職場なのかによって、転職先の選択は変わってきます。

東京ならどこでも良い、とはまさか思っていないにしても、東京の職場にもいわば「ピンからキリ」まであることをしっかりと意識しておくべきです。

できる限り下調べを行い、就職したい病院の候補を見つけておくなり、進みたい方向性に強みをもつ施設の傾向を押さえておくようにすることが大切です。

環境の違いを十分にイメージしておく

「上京して働く」という華やかなイメージのみで動いてしまうと、挫折する結果となる可能性もあります。

これまで見てきたように東京の規模は大きく、時間の流れすら速くなったように感じます。地方と東京の違いを十分に理解しておかないと、生活するだけですっかり疲れてしまい、仕事を覚えるどころではないということになりかねません。

何度か遊びに行ったことがあるという人でも東京で働くということをイメージし、朝の通勤電車に乗ったり、時間通りに乗り換えてみたりする経験をしておくと良いかもしれません。

その場所で暮らし、働いていけるのか、果たして本当にやっていけるのか、何度も自答して決断をすることが重要です。

浮きたつ気持ちは理解できますが、「仕事をしに行く」「看護師としてひと回り大きくなる」といった決意を忘れてはなりません。

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※ページ内の求人数は職種別に集計しています。