看護師の退職手続きと退職マナー|有給休暇や退職金まで徹底解説!
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「看護師が退職する際に気を付けた方がいいことってあるのかな。」「退職までの具体的な流れはどうなるの?」
2017年度調査によると、正規雇用の看護師の離職率は10.9%、10人に1人以上が退職していることになります。個人的な事情、あるいは職業的な事情により現職場を去ることなったとき、過去に何があったとしても最後くらいは気持ち良く終わりたいものです。
知っておいてムダにならない、看護師の退職時のマナーと基礎知識を紹介していきます。
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この記事に書いてあること
退職の知識
退職の種類
退職は労働契約が解除される状態を指し、定年退職、自己都合退職、会社都合退職の3種類があります。
退職の種類の違いによってもっとも大きな影響が出るのは、失業給付の受給です。
定年退職は各会社の就業規則で明記されており、雇用契約を結ぶ際に双方の同意が取り付けられているものです。
看護師から病院側に願い出て退職するのは自己都合退職にあたり、依願退職とも呼ばれます。「退職願」や「退職届」、あるいは「辞表」などの提出によって、退職の意志を表します。
会社都合(病院都合)退職は、人員整理など雇用側の何らかの原因により退職することです。
病院側から勧奨退職や早期優遇退職を受けた場合、本来は会社都合退職にあたりますが、退職金の上乗せなどの合意を経て書類上の処理を自己都合とすることもあります。
退職の種類による失業給付の違い
自己都合でも会社都合退職でも失業保険の給付は可能ですが、支給開始と給付対象となる日数が大きく異なります。
支給開始のタイミング
会社都合による退職の場合、受給資格決定日から7日間が待機期間となり、待機期間終了した翌日から失業保険の支給対象となります。自己都合による退職の場合には3ヶ月間の給付制限があり、この支給制限期間が過ぎないと支給対象とはなりません。
支給日数期間
支給日数期間については自己都合による退職の場合、被保険者であった期間10年未満で90日、10年以上20年未満120日、20年以上150日となっています。これは年齢に関係なく保険期間で決定されます。
会社都合による退職・解雇の場合は、年齢による違いがあります。例えば年齢30歳以上35歳未満では、被保険者期間5年未満で90日、5年以上10年未満180日、10年以上20年未満210日、20年以上240日となります。
年齢によっては最長330日の給付期間があり、会社都合は単純に考えて自己都合の1.5~2倍の失業給付となる可能性があります。
看護師の退職までの流れ
退職の流れ
実際に看護師が退職を迎えるまでの流れを追ってみましょう。- 退職の意思を明らかにする
- 雇用者側の同意を得る
- 退職日を決める
- 退職願の提出
- 業務の引継ぎ
- 退職の準備から退職日
1.退職の意思を伝える
自分の中で退職を決めたら、できるだけ早く直属の上司に対してその意思を明らかにしなければなりません。仲間うちで「辞めるらしい」と噂になってしまった後での報告では、心象が悪くなります。
退職表明の時期ですが、一般的に言われる1ヶ月前は社会的な取り決めに近く、法的には14日前までとされています。
しかし、現実的に引き継ぎや後始末を考えれば、やはり1ヶ月は見ておくのが妥当といえるでしょう。現場を混乱させず、円満に退職するためには立場に合わせた相当の時間が必要です。
看護師に辞めるといわれて、引き止めない病院はまずありません。それなりの引き止めは覚悟の上で、退職に臨むようでなければなりません。
もちろん条件や待遇の変更、問題の解決次第では留まるという選択もあります。自分のキャリアは自分でしか決められません。
焦らずに今後の自分にとって退職が最善の策であるかどうか、退職して後悔することのないよう今一度考える機会にしてください。
2.退職に向けての準備
意思をひるがえすことなく、病院側からの同意も得られたら、あとは淡々と退職に向け準備を行います。上司と相談をして、双方に都合の良い退職日を決めましょう。
特に転職先が決まっている場合には、手続きなどの関係も考慮しなければなりません。
退職願を作成し直属の上司に提出することで、正式な退職の表明となります。退職願の書き方は、一般的な企業と同じです。ネット上にフォーマットが多数提供されているので、アレンジして活用しましょう。
引継ぎのやり方はさまざまですが、自分自身が次の引継ぎ者になった場合を想定すると何を必要とするかが浮かんできます。まずは一覧に書き出し、ひとつずつチェックしていきましょう。
受け持ち制の場合は患者様の情報をデータにまとめ、特に注意が必要な点を備考欄に付記します。
引継ぎに関する質問や確認の時のために、退職後でも連絡がつけられるようにしておくと後任者が助かります。
3.退職数日前~当日
退職日の2日くらい前までに、ロッカーの中の荷物や私物の整理をしておきます。社会保険や年金・所得税の手続きについては、1週間程度前までに担当者に依頼しておきましょう。
退職当日は、今まで一緒に働いてきた方々、お世話になった方々に最後の挨拶をします。その後に職員証、IDやユニフォームなどの返却物を病院に渡します。
離職票など当日以降の受け取りとなる書類もあるため、最後に忘れずに総務担当者に確認をしておきましょう。
試用期間の退職
新しい職場に入職し、試用期間として雇用されている場合の退職はどうすれば良いでしょうか。正式採用の前でも、普通の退職と同じく自分から辞める意思を表すことが可能です。
看護師は、求人募集が多く、就職先に困ることのない職業といわれていますが、はじめの数ヶ月は試用期間として雇用されるのが一般的となっているようです。
試用期間とは、雇用する側が労働者の勤務態度や能力を観察し、正式採用するに相応しい人材であるかどうかを判断するために設けられた期間を指します。
試用期間の長さについての規程は事業所によって異なるものとなっていますが、3ヶ月~6ヶ月にわたる期間は通常、仮契約という形での採用となります。
当然、この期間の勤務態度が思わしくないと判断されれば、試用期間終了後の正式採用を見送られる場合もあります。
試用期間中の看護師にとっては、常に解雇される不安がつきまとう期間となりますが、同時に、自分の勤務先として相応しい職場かどうかを見極めるための期間であるともいえます。
実際に働いてみて、何かが違うと感じたらその職場を退職しても問題ありません。
ただし、雇用側は経歴詐称や長期無断欠勤など正当な理由がある場合に限り、試用期間2週間以内であれば即日解雇を言い渡すことができますが、労働者側の即日退職は認められていません。
正式採用後と同じく、14日前に退職の意思を伝え、同意を得るようにしてください。
退職の手続き
退職にあたっては日々の業務や引継ぎとともに、退職にともなう各種手続きを進めていく必要があります。保険関連や年金については、担当部署に依頼し、退職日を伝えておきます。
手続きが必要なものについて、抜けがないようにリストアップしておくと、処理のし忘れを防げます。
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退職日までに返却するもの
- 保険証(健康保険被保険者証)
- 貸与されている白衣
- ローカーのキー
- 書類・文献・資料・各種データなど
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退職日に受け取るもの
- 雇用保険被保険者証や雇用保険被保険者離職票
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- 退職証明書
退職後は社会保険の受給資格を失うことになりますが、もし転職先が決まっていれば新しい職場で社会保険の再加入手続きをしてくれますので心配はありません。
年金についても同様に、年金手帳を提出して厚生年金の加入手続きをしてもらいます。
転職先が決まっていない場合は個人で国民健康保険への加入手続きをすることになります。最寄りの役場窓口で、国民健康保険と国民年金の加入申し込みをします。
特に健康保険については退職と同時に無保険状態になるため、早めの手続きが必要です。万が一、加入前に病院にかかった場合には、後日さかのぼっての保険適用が可能です。
またすぐに就職をしない場合には、離職票を持参の上、ハローワークで失業給付の手続きを行います。退職理由によって給付開始の時期が異なるため、注意が必要です。
退職のマナー
何はともあれ上司に報告
仕事を自由に選ぶのは憲法で守られた個人の権利ですが、病院にとって熟練した看護師の退職が大きな損失となることに間違いありません。
でき得る限りの礼儀を尽くして、周囲に嫌な思いを残さないようにするのが、去る側のマナーです。
そのためにも退職の意思は、真っ先に上司に伝えなければなりません。同僚や他部署から退職のうわさが伝わるような事態だけは、避けたいものです。
就業規則で報告から退職までの期間が決められている場合には、日数を考慮し、余裕をもたせて伝えます。
通常業務は手を抜かない
退職することが周囲に伝わると、微妙な空気になることもあります。自分の意思で決めた以上は、誰かが何か言ったとしても平常心で通常通りの業務を行うことが大切です。
どうせ辞めるからといって、手を抜くのは社会人として恥ずべき態度です。周囲からも「辞める人」という目で見られていることを忘れず、役務を果たすようにしてください。
退職の手続きや引継ぎ業務で何かと忙しい日々ですが、これまでの感謝を込めて看護師として最後まで職務を全うしましょう。
担当患者さんにもごあいさつを
病院中を回って退職を告げるわけにはいきませんが、担当患者さんには早めに伝えて、引継ぎと顔合わせをしておくなどの配慮をします。
ただし、病院によっては独自のやり方がある場合も少なくありません。引継ぎについては、病院の体制に従ってください。
滞りなく業務の引き継ぎも済ませて退職の日を迎えることができた際には、同僚や先輩看護師、主任や師長、看護部長、院長に感謝の言葉を添えて挨拶をすることも忘れないようにしたいものです。
忙しい看護部長や院長へ挨拶する際には、事前に直属の上司に伺う時間を確認するようにします。
自分がお世話になった部署には、お菓子を持ってお礼の挨拶をするのがおすすめです。また、特にお世話になった上司には感謝の思いを込めたプレゼントを贈っても良いでしょう。
どうしても時間がなくて会えない人がいた場合には、メールよりもあいさつのハガキや手紙を出しておく方が、気持ちがより伝わります。
退職金の相場と有給消化
退職金は出る出ない?
退職金は法律で定められた義務ではありません。従って支払う金額、計算方法も雇用側である病院がそれぞれ独自の方法で決めています。
小規模なクリニックや個人病院では、退職金制度がないところも珍しくありません。支払い対象となる勤続年数も病院ごとにまちまちで、数ヶ月の差で何ももらえなかったという話もあります。
退職金の計算方法には、基本給連動方式や別テーブル方式、ポイント方式など様々な計算方法がありますが、計算方法やその基準に関する規定もそれぞれの病院で選択することになります。
看護師の退職金の平均的な相場については、病院の規模や勤務形態、それぞれの病院の就業規則によって大きく異なりますので一概には言えません。
しかし、大まかな目安として参考になるのは、国立病院機構の病院に勤務する看護師の退職金です。
国立病院機構に勤務する看護師の退職金は勤続35年以上の看護師(定年退職)で約2000万円、勤続35年以上の看護部長(定年退職)が約2800万円とされています。
有給休暇は消化しても良い?
退職に際して、残っている有給休暇の消化はできるのでしょうか。基本的には、看護師が有給休暇届を提出すれば、有給休暇の取得を拒否することは雇用側の病院にはできません。
労働基準法(39条)では、「使用者は、その雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」と定められています。
勤続年数が長いほど有給休暇の日数が多くなり、消化できずに溜まっているという看護師は多いはずです。
労働者にとって当然の権利である有給休暇を退職前に消化すること自体には何の問題もありませんし、雇用側がそれを阻止することもできません。
ただ、引き継ぎもせずに有給休暇を取得してそのまま退職するのはやはり道義的に問題があります。
退職有給休暇を取得するのであれば、できるだけ早い時期に有給休暇届けを提出し、他のスタッフに迷惑をかけたり業務に悪影響を与えたりしないよう配慮することは社会人として当然です。
自分の都合だけを優先せずに、後に残る人たちのことも考えてトラブルのないように行動することが、円満退社のためのポイントとなります。
退職届(退職願)の書き方
封筒の書き方
看護師が退職する場合、退職願の提出が必要になります。指定のフォーマットがない場合は白無地の縦書き用の便箋に書き、縦長封筒に入れ提出します。
封筒は郵便番号が記されていないものを選びましょう。履歴書や職務経歴書同様、黒いボールペンまたは万年筆で必ず手書きで作成しましょう。
封筒の表に縦書きで「退職願」と書き、裏には所属部署と氏名を書きます。まちがって「退職届」と書いてしまう事がないようにしましょう。
退職願の書き方
白無地の縦書き用の便箋の一行目の中央に「退職願」と書きます。その次の行の一番下に「私事、」と記します。次は本文です。
本文には理由と退職希望日を書いていきます。退職予定年月日は一ヶ月以上先を目安としましょう。理由は「一身上の都合により~」で大丈夫です。
紙の後半部分に提出する日付と所属部署名・名前を記入し、最後に宛名を記したら完成です。
提出するのは直属の上司ですが、宛名は院長になります。病院名を正式に明記するのも忘れないようにしましょう。
※ランキング評価の詳細は看護師転職サイトおすすめランキングの記事で紹介しています。
※ページ内の求人数は職種別に集計しています。