[ 記事作成日時 : 2017年3月6日 ]
[ 最終更新日 : 2020年2月6日 ]

認定看護師廃止?キャリアアップを考えたら知っておきたい認定看護師のあれこれ

看護師のキャリアアップ

看護師の資格といえば知られているのが、認定看護師です。

しかしここにきて、現行の認定看護師制度の見直しの動きが話題となっています。そもそも認定看護師とはどのような目的で作られた制度なのでしょうか。

認定看護師の資格がもつ価値やその有効性と、認定看護師再構築の動きを合わせて解説していきます。

認定看護師制度の再構築

1995年に発足した認定看護師制度ですが、日本看護協会では現行制度について2026年度に終了とすることを発表しました。今のところ、新制度は2020年度開始予定とのことです。

日本看護協会では、2015年度から認定看護師を対象とした特定行為研修を実施し、臨床実践者および特定行為研修指導者となる人材の育成を行ってきました。

今回の制度改正により、この特定行為研修を組み込んだ新たな制度が、再構築されます。

混乱を避けるために、2020年以降も現在の制度が平行して実施され、2026年度で廃止となります。

一部で言われているように、認定看護師制度そのものが廃止となるわけではなく、もちろん現在の認定が取り消されるわけではありません。

ただ現在分類されている21分野の扱いや、更新審査に関しては明らかにされていません。

認定看護師制度が再構築されることにより、その資格の価値がさらに高まり、認知度が向上することが期待されます。

2017年度~2019年度の認定看護師教育は休講となっています。

認定看護師とは

認定看護師の役割

認定看護師は日本看護協会が、専門分野に特化した知識と技能を持つと認定した看護師に与えられる資格です。

患者・家族によりよい看護を提供できるよう、認定看護分野ごとの専門性を高度化し専門分化が進む医療の現場において幅広い活動を行います。

日本看護協会では認定看護師について、以下のように定義しています。

「認定看護師は、特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護実践のできる認定看護師を社会に送り出すことにより、看護現場における看護ケアの広がりと質の向上をはかることを目的としています。

認定看護師とは、本会認定看護師認定審査に合格し、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することが認められた者をいいます。」

一般的な看護師の業務は医療現場における医師の補助および患者への看護の実践ですが、認定看護師はさらに「時代に適合する看護ケア技術の広がりと質の向上」を目指していきます。

認定看護師の具体的な役割としては、以下の3つを定義しています。

  • 実践:個人、家族及び集団に対して、重要熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する。
  • 指導:看護実践を通して看護職に対し指導をおこなう。
  • 相談:看護職に対しコンサルテーションをおこなう。

認定看護師には正看護師の業務や役割に加え、ほかの看護職スタッフに対する指導や看護ケアに関する知識を広める役割を期待されています。

認定看護師の必要性について

医師は免許取得後に研修を経てそれぞれの診療科を選ぶことができますが、看護師の場合は専門の診療科を選ぶことは原則できません。

しかし、日々発展する医療現場において、特定の看護分野に精通した看護師の存在が必要とされています。

現代医療のおかれている環境の中で、認定看護師制度が生み出されたのは必然とも言えるでしょう。

認定看護師と専門看護師の違い

同じ日本看護協会が認定する看護師資格には、専門看護師があります。

認定看護師と専門看護師のもっとも大きな違いは、資格取得のために通う学校と必要とされる学習期間です。

認定看護師取得では認定学校で、約半年間の受講後に審査を受けます。専門看護師は日本看護協会から認定を受けている看護系大学院へ進学し、2年間学ぶ必要があります。

そうした面では、認定看護師は専門看護師よりもハードルが低く、資格保有者の数の違いがそれを裏付けています。

認定看護師は2018年時点で約19,894人、それに対して専門看護師は2,104人です。

このように認定看護師は専門看護師に比べると、資格取得の難易度はやや下がるといえます。

しかし認定学校は分野によって全国でも数校しかない場合もあり、自分の希望する分野が近隣にないときには半年の間いずれかに寄宿することになるため、簡単にとれるとは言い難いのが現状です。

認定看護師と専門看護師には、「がん看護」や「在宅看護」など、同じ分野の種類があります。

分野が同じであっても認定看護師と専門看護師では、それぞれ担っている役割が違うため、活躍する場面は異なります。

認定看護師の場合、元々熟練した看護技術のある看護師が、より専門的な看護を提供できるよう作られた資格です。

例えばがん看護では、「化学療法」「疼痛」「放射線」「乳がん」など、より詳細に分類されており、熟練した看護技術と知識を兼ね備えた看護の提供が行われます。

一方、専門看護師は「卓越した看護を提供」という一文が表しているように、熟練というよりも、優れた看護の提供を目的としています。

また、自身が看護を提供する以外に、看護職に対してより良い看護が提供できるよう指導を行うことで、看護全体の質を向上させます。

このように、よりよい看護を提供するというベースは同じなのですが、認定看護師は自身が看護を提供することを目的としているのに対し、専門看護師は看護全体の質の向上を目的としています。

看護師の資格として並び称される2つですが、異なる方向性からのアプローチによって、日本の看護ケアの質を全体的に底上げしていく働きをしています。

認定看護師の分野

およそ20年前の設立以来、認定看護師の分野は少しずつ追加されてきました。現行では以下の21分野が設定されています。

認定看護師の分野を詳しく見ていきましょう。

救急看護
救急医療現場における病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
災害時における急性期の医療ニーズに対するケア
危機状況にある患者・家族への早期的介入および支援
皮膚・排泄ケア
褥瘡などの創傷管理およびストーマ、失禁等の排泄管理
患者・家族の自己管理およびセルフケア支援
集中ケア
生命の危機状態にある患者の病態変化を予測した重篤化の予防
廃用症候群などの二次的合併症の予防および回復のための早期リハビリテーションの実施
緩和ケア
疼痛、呼吸困難、全身倦怠感、浮腫などの苦痛症状の緩和
患者・家族への喪失と悲嘆のケア
がん化学療法看護
がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理
副作用症状の緩和およびセルフケア支援
がん性疼痛看護
痛みの総合的な評価と個別的ケア
薬剤の適切な使用および疼痛緩和
訪問看護
在宅療養者の主体性を尊重したセルフケア支援およびケースマネジメント看護技術の提供と管理
感染管理
医療関連感染サーベイランスの実践
各施設の状況の評価と感染予防・管理システムの構築
糖尿病看護
血糖パターンマネジメント、フットケア等の疾病管理および療養生活支援
不妊症看護
生殖医療を受けるカップルへの必要な情報提供および自己決定の支援
新生児集中ケア
ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防
生理学的安定と発育促進のためのケアおよび親子関係形成のための支援
透析看護
安全かつ安楽な透析治療の管理 長期療養生活におけるセルフケア支援および自己決定の支援
手術看護
手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を予防するための安全管理(体温・体位管理、手術機材・機器の適切な管理等)
周手術期(術前・中・後)における継続看護の実践
乳がん看護
集学的治療を受ける患者のセルフケアおよび自己決定の支援
ボディイメージの変容による心理・社会的問題に対する支援
摂食・嚥下障害看護
摂食・嚥下機能の評価および誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の予防
適切かつ安全な摂食・嚥下訓練の選択および実施
小児救急看護
救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
育児不安、虐待への対応と子どもと親の権利擁護
認知症看護
認知症の各期に応じた療養環境の調整およびケア体制の構築
行動心理症状の緩和・予防
脳卒中リハビリテーション看護
脳卒中患者の重篤化を予防するためのモニタリングとケア
活動性維持・促進のための早期リハビリテーション
急性期・回復期・維持期における生活再構築のための機能回復支援
がん放射線療法看護
がん放射線治療に伴う副作用症状の予防、緩和およびセルフケア支援
安全・安楽な治療環境の提供
慢性呼吸器疾患看護
安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた呼吸器機能の評価及び呼吸管理
呼吸機能維持・向上のための呼吸リハビリテーションの実施
急性増悪予防のためのセルフケア支援
慢性心不全看護
安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた生活調整及びセルフケア支援
心不全増悪因子の評価およびモニタリング

上記で規定されている内容を見てわかる通り、看護師が医療現場で遭遇するあらゆる場面で必要となる専門的な知識を網羅しています。

また単に治療を行うことだけを目的とせず、疾患に向き合う患者や家族の精神面にも目を向けた、きめ細やかな対応を目的としていることが見えてきます。

認定看護師の活躍の場

認定看護師約2万人のうち、病院に勤務している看護師がもっと多く、約9割が全国2,557の医療施設に所属しています。

病院の規模で見ると「300~500床規模」の大規模病院が圧倒的ですが、「100~199床」規模の病院が5年前と比べると2倍近くとなっており、最近では100床未満の病院で働く認定看護師も増えてきています。

病院以外では在宅医療の推進の流れの中で、訪問看護ステーションに所属する認定看護師も600人以上となっています。

その分野別の内訳は、「訪問看護」が365人、緩和ケアが145人、皮膚・排泄ケアが41人と、在宅介護に特化した専門知識の需要の高さが伺えます。

認定看護師資格は、臨床の実践的な知識と技術を保証するものです。プロ中のプロという証である資格は、病院以外の場でも信頼性の根拠として歓迎されることは間違いありません。

認定看護師の給与事情

認定看護師の収入

認定看護師になれば収入に変化があるのでしょうか。

日本看護協会の調べでは、54.8%の看護師が認定看護師の「資格取得後も給与に変化がなかった」と回答しています。

「賃金表での昇格・昇給がないものの、手当がつく」と答えているのは22%で、金額としては3000~20000円程度、平均額は9,773円という結果になっています。

苦労して資格を取得した割には、給料に直ちに反映されるわけではないというのが実情のようです。

しかし病院によっては求人募集の際に、認定看護師の資格保有者の基本給を一般看護師よりも高く設定しているところも見られます。

認定看護師の資格の重要性を認識している病院ほど、優遇される可能性が高くなり、活動の場が与えられると考えられます。

認定看護師資格取得後の待遇

認定看護師の資格に対する手当は、金額としては数千円がほとんどで、多くても1万円代といったところです。

代わりに、認定看護師の資格を取得したことで、立場が上がり管理職手当がつくようになったという意見も多く聞かれました。

しかし日本看護協会のデータによると、2015年時点で6割前後の認定看護師が「資格を取得した後、待遇に変化はなかった」と回答しています。

まだ発足から20年程度の新しい資格であるため処遇が確立されておらず、給料面での評価は追い付いていないというのが理由として挙げられます。

ただ特定の分野に特化した診療を行う病院では、その分野の専門知識をもった看護師の需要も高く、好待遇が期待されます。

実際に国立病院機構や医療法人系の病院では、認定看護師に対する手当の支給率の高いところが多数見られます。

また取得分野によっても手当や基本給の違いが見られます。訪問看護認知症脳卒中など病状に関する知識を有する認定看護師の分野では、比較的高い手当の支給が行われています。

また病院の場合には、認定看護師の資格そのものに対する昇給というよりも、資格を保有することにより役職が付き、基本給が上がるという傾向も多く見られます。

認定看護師になるためには

認定看護師資格取得の条件

認定看護師になるための取得要件は、以下の4つです。

  • 看護師免許を取得していること(准看護師は除外)
  • 看護師免許取得後、実務経験が五年以上あること(うち三年以上は認定看護分野での勤務経験あり)
  • 認定看護師教育機関を修了している(6か月、615時間以上)
  • 認定試験に合格する

看護師として5年以上の経験および、専門分野で3年以上の経験がある場合、認定学校で規定数の講習を受ける必要があります。

認定学校は全国にありますが、取り扱っている分野がそれぞれ違うため、自分の希望する分野の学校がどこにあるのか確認し、受験手続きを行います。

認定学校受験にあたっては、分野毎に一定数以上の症例経験を必須としており、経験した症例をレポートとして提出を求めるケースがほとんどです。

各学校によって必要となる条件が異なるため、事前に受験する分野の症例数およびレポートについて確認し、準備期間を十分に取るようにしてください。

入学が許可されれば、約半年のスクーリングに入ります。

受講中は途中で行われる試験や実習において、基準に達する成績を得られなければ卒業できません。卒業資格が無事に手に入れられた看護師のみ、認定試験に臨むことができます。

認定看護師の審査合格率は、ほぼ9割以上と良好です。しかし、看護師の国家試験の合格率も9割前後であることを考えれば、決して簡単に取得できる資格であるとは言えません。

認定試験受験資格を得るまでには、5年以上の看護経験および分野での3年以上の経験に加えて、認定学校への入試・受講・試験・実習のすべての規定を満たすことが求められます。

合格率だけを見ると容易に取得できるイメージを持たれますが、現実的にそこに至るまでの道のりはかなり厳しいものであると言って間違いないでしょう。

この記事を監修した人
はる
地方の公立大学病院小児科病棟で2年勤務したのち看護師をやめ都内のIT企業に転職。結婚を機にUターンし専業主婦となる。10年のブランクを経て訪問看護師として復職。その後、急性期病院の外来・救急外来勤務を経て、療養型病院の病棟師長として勤務。家族の都合により上京後は回復期リハビリ病棟に勤務。看護師として通算15年以上の臨床経験がある。現在はココナスにて記事の企画、監修をはじめメディア運営を行う。
監修者プロフィールはこちら
3月は内定辞退や急な退職で追加募集が増える時期

4月入職予定者の内定辞退や家族の転勤や進学による引っ越し、転職を決めかねていたスタッフの退職の申し出などが多くなります。その為、予定人員が確保できなくなり急遽、追加募集をする医療機関が増える時期です。

また、3月末退職予定者が有給消化のため出勤しなくなり、実働スタッフ数が減るため3月中に入職できる看護師を探す職場も出てきます。「3月からでは、もう4月入職に間に合わない」「いい求人はもう残っていない」と考えるのは早計です。

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