[ 記事作成日時 : 2017年3月6日 ]
[ 最終更新日 : 2024年6月10日 ]

認定看護師「新しい認定看護師制度」の特徴や改正ポイントを見てみよう!

看護師のキャリアアップ

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認定看護師制度が2019年に改正され、2020年から新たな認定看護師教育が始まりました。認定看護師制度は1995年に発足し、今では認定看護師の総数は23,608人(※2022年12月末時点)となり、幅広く医療現場で活躍しています。では、今回改正された新たな認定看護師制度について紹介します。(引用:公益社団法人 日本看護協会

      
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認定看護師制度の改正点の特徴は

認定看護師は、日本看護協会が専門分野に特化した知識と技能をもつと認定した看護師に与えられる資格です。

看護師認定制度の発足から20年を経過し、より求められる看護を提供できる認定看護師を目指して教育内容の検討が続けられてきました。新しい認定看護師教育は2020年度から始まるため、認定看護師の教育機関の認定審査はすでに2019年度から開始されています。新たな認定看護師が誕生するのは2021年度からになります。

認定看護師制度の変更のポイント

これからの期待される看護師とは、「急性期医療に加えて在宅医療まで支えられる人材」そして、「地域・施設間の連携に参画できる人材」であることから、次のような変更がされています。

変更ポイント

特定行為研修が組み込まれた

「特定行為研修」が教育課程に組み込まれました。この研修を修了すると、医師の診療の補助として、手順書に基づき「特定行為」を行うことができるようになります(下記に詳述)。

特定認定看護師を名乗ることができる

資格の名称は改訂後も「認定看護師」とされますが、特定行為を修了したという意味で、「特定認定看護師」を名乗ることもできます。

21分野から19分野になる

認定看護分野が再編成されて、21分野から19分野になりました。ただ、現行の認定看護師も更新が継続されるので、認定分野は、あわせて31分野となります(統合や名称変更された12分野の認定看護師は、取得した資格の名称をそのまま継続して使うことができるため)。

学習時間が増えた

これまで、認定看護師教育は600時間以上とされていましたが、800時間程度になりました。開講期間としては6ヵ月以上1年以内でしたが、1年以内になっています。

現行の認定看護師からの移行処置

現行の認定看護師は、所定の特定行為研修を終了すれば、新たな認定看護師に移行できます。新たな認定看護師へ移行しない場合には、現行資格を継続することができます(更新審査などは必要。下記に詳述)。

役割の追加項目

新たな認定看護師の役割は、従来どおり「実践」「指導」「相談」と変わりませんが、認定看護分野の専門性を維持・向上するために、新たに追加された項目があります。

簡潔にいえば、認定看護師は、看護実践を通して職場の看護師のロールモデルとなること、エビデンスに基づいた指導ができること、専門分野において多職種のコンサルテーションを行えること、という役割が期待されるようになっています。

  • 実践
    特定の看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践できる知識・技術。
  • 指導
    特定の看護分野において、看護実践を通して看護職に対し指導を行う知識・技術。
  • 相談
    特定の看護分野において、看護職等に対しコンサルテーションを行う知識・技術。

期待される能力も増えた

新たな認定看護師には、新たに以下のような能力も期待されるようになりました。

  • 多職種協働
    より質の高い医療を推進するため、多職種と協働し、チーム医療のキーパーソンとして役割を果たすことができる。
  • 役割モデル
    特定の看護分野において役割モデルを示し、看護職者へ指導、看護職等へのコンサルテーション(または相談)を行うことができる。
  • 高い臨床推論力・病態判断力
    特定の看護分野において高い臨床推論・病態判断に基づき看護が実践できる。
  • 倫理
    特定の看護分野の対象にある患者・家族の権利を擁護し、自己決定を尊重した看護を実践できる。

認定看護師制度の教育課程の改正点

認定看護師制度の新たな教育課程について説明しましょう。

認定看護師資格取得の条件

「5年以上の看護師経験」がある看護師が、「教育課程で学び、審査に合格」すれば認定看護師の資格を得られます。具体的には次のような項目となります。

  • 日本国の看護師免許を有すること
  • 看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること
    (うち3年以上は認定看護分野の実務研修)
  • 「認定看護師教育課程」で学び、「認定看護師認定審査」の受験資格を手に入れる
  • 「認定看護師認定審査」に合格する

この資格取得の条件は変わりませんが、2020年以降は移行期のため、教育課程での学習・研修や認定審査、認定証交付・登録は、それぞれA課程とB課程の2つに分かれます。

①教育機関で学習・研修
  • A課程認定看護師教育機関
    特定行為研修を組み込んでいない認定看護師教育機関
    (2026年度をもって教育を終了)
  • B課程認定看護師教育機関
    特定行為研修を組み込んでいる認定看護師教育機関
    (2020年度から教育を開始)
②認定看護師認定審査
  • A課程認定看護師教育機関を修了した者に対する認定審査は2029年度をもって終了
  • B課程認定看護師教育機関を修了した者に対する認定審査は2021年度から開始
③認定看護師認定証交付・登録
  • A課程認定看護師名簿に登録
    (2019年7月14日までに資格を取得した認定看護師は、2019年7月15日付でA課程認定看護師名簿に登録される)
  • B課程認定看護師名簿に登録
    (特定認定看護師と名乗ることが可能)

★認定看護師は終身資格ではなく、5年ごとに更新が必要です。(看護実践と自己研さんの実績について書類審査)

特定行為教育の開始

今回の改正の一番のポイントが、この「特定行為研修が教育課程に組み込まれた」ことです。特定行為研修は、看護師が医師の手順書によって特定行為を行うことができるようになるための研修です。

特定行為研修は、2015年10月に厚生労働省が施行した「特定行為に係る看護師の研修制度」によって始まっています。特定行為研修を修了した看護師のことを、特定認定看護師と呼びますが、資格名ではありません。

38の特定行為があり、特定行為ごとに研修を受ける必要があります。特定行為研修を修了し、高度な知識や判断力があると評価されると、医師の判断を待たずに診療補助を行うことができます。

特定認定看護師は、医師から手順書を受け取っていれば、手順書の指示に従って「経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整」などの、38の特定行為ができるので、リアルタイムで患者に処置や早期対応をすることが可能です。つまり、自分の判断で特定行為を行えるようになるため、看護師自身の判断で、対処できることが多くなります。

特定認定看護師として、手順書に基づいて「特定行為」を行うためには、実践的な理解力・思考力・判断力と、高度かつ専門的な知識と技能の向上が必要とされています。

医療資源が限られた地域などでは、住民・利用者の療養生活を支えるために、看護師がさらに新たな裁量権をもって看護を行う役割を担うことが期待されていることなどから、このような特定行為研修が組み込まれるようになっています。

公益社団法人 日本看護協会「特定行為研修」

厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度」

基準カリキュラム

基準カリキュラムの構成は次のようになっています。

教育時間数について
  • 合計教育時間数は原則800時間程度とする。
    (共通科目380時間、認定看護分野専門科目の上限225時間、下限180時間、統合演習15時間以上、臨地実習150時間以上)ただし、800時間を超える分野は、その理由を明確にする。
  • 800時間に満たない分野は、特定行為研修区分別科目の追加を検討する。
  • 複数の特定行為区分を組み込んでも合計教育時間数を超えない範囲とする。
  • 認定看護分野共通科目として、指導15時間、相談15時間、看護管理15時間を設定する。
  • 認定看護分野専門科目の1教科目の時間数は15時間、30時間、45時間のいずれかとし、45時間を上限とする。(共通科目は、みなし時間に読み替えるにあたり、細かい時間調整を行っていること、単位制ではないことから15の倍数以外の時間も認める)

2021年4月 新たな認定看護師教育基準カリキュラムの遵守開始

移行措置

認定看護師からの新たな認定看護師への移行も、研修などによって可能となっています。

  • 現行の認定看護師は、所定の特定行為研修を修了することで、新たな認定看護師に移行できます。
  • 特定行為研修を修了した現行の認定看護師は、一定の事務手続きを経たうえで、新たな認定看護師へ移行できます。
  • 新たな認定看護師へ移行しない場合には、更新審査等必要な審査を受け合格することで、現行資格を継続することができます。

現行の認定看護師からの移行措置として、資格の名称は改定後も「認定看護師」とされます。 新たな認定看護師には、特定行為研修を修了した認定看護師という意味において、「特定認定看護師」を名乗ることができるようになります。

新たな認定看護師の分野

認定看護師の分野について、名称の変更や統合によって、改正されています。

  • 【名称変更】がん化学療法看護→がん薬物療法看護
  • 【名称変更】不妊症看護→生殖看護
  • 【名称変更】訪問看護→在宅ケア
  • 【名称変更】慢性呼吸器疾患看護→呼吸器疾患看護
  • 【名称変更】慢性心不全看護→心不全看護
  • 【名称変更】脳卒中リハビリテーション看護→脳卒中看護
  • 【名称変更】透析看護→腎不全看護
  • 【名称変更】摂食・嚥下障害看護→摂食嚥下障害看護
  • 【名称変更】小児救急看護→小児プライマリケア
  • 【統合】「緩和ケア」と「がん性疼痛看護」→「緩和ケア」
  • 【統合】「救急看護」と「集中ケア」→「クリティカルケア」

認定看護師制度のこれからの課題

認定看護師の多くは自らの専門能力を高めることを目指し、職場の期待や支援も受けて、資格を取得しています。認定看護師などに対する社会的評価も年々高まっていて、認定看護師がいることで病院全体の「看護師のレベルが高い」「看護師教育に力を入れている」と評価されたり、院内看護師のモチベーションが高くなったりします。

しかし、資格を取得した看護師に対する待遇はあまり芳しくなく、日本看護協会の「2012年認定看護師の活動及び成果に関する調査報告書」によれば、認定看護師としての手当を受けていない人が66.3%、月額支給額があっても平均約5,000円でした。資格を取得した看護師に対する待遇面はあまり良くないのが現状です。

診療報酬上でも、認定看護師の配置が算定要件に加えられている分野も増えてはいますが、認定看護師の仕事に見合った診療報酬の整備は遅れています。
このように認定看護師の社会的ニーズが高まっているのに対して、認定看護師自身への手当支給や診療報酬の整備など、今後に解決されるべき問題は残っています。

まとめ

新たな認定看護師制度は、特定行為研修が取り入れられ、看護師がより独自に判断して動けるような内容になっています。認定看護師の資格取得でネックとなるのは、時間もお金もかかることでしょう。それでも、認定看護師の教育課程で勉強することは、専門性や指導力も高めることができ、グループワークなどにより他の施設の状況もわかり、見聞を広めることになります。看護師として仕事を続けるうえではプラスの面はかなり大きいといえます。

認定看護師の資格取得の支援は広がっていて、資格勉強中にも「出張」や「研修」扱いとし、基本給が支払われる医療機関も増えています。
多くの病院の看護部サイトでは、認定看護師の働き方が紹介されていますから、少しでも資格取得に心を動かされたなら、「思い立ったが吉日」。ぜひ挑戦してみてください。

公益社団法人 日本看護協会「専門看護師・認定看護師・認定看護管理者」
公益社団法人 日本看護協会「認定看護師」

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※ページ内の求人数は職種別に集計しています。