[ 記事作成日時 : 2016年8月7日 ]
[ 最終更新日 : 2020年4月3日 ]

救命救急センターの看護師として働きたい!救急看護師の業務内容や収入は?

救急の現場といえば、ドラマや映画で緊迫したシーンが思いつきます。

救急スタッフがてきぱきと医師の指示に従って動き、命を救うために最大限の努力を払うイメージが定着していますが、看護師にとっての救急外来や救命救急センターは実際にはどのような職場なのでしょうか。

ここでは救急医療の種類やそこで働く看護師の役割、収入、スキルなどについて解説していきます。

救急看護師とは?

救急看護とは、救急処置が必要な患者への看護活動です。救急看護は、主に救急外来や救命救急センターなどの救命医療施設で行われていますが、災害現場やドクターヘリでも行われていますし、病棟での患者の急変もありますし、学校の保健室でも在宅医療でも救急看護は実践されています。いわば、看護師はすべて救急看護師であるともいえます。

とはいっても、主に救急看護師と呼ばれる看護師が働くのは、救命医療施設の中でも、三次救急医療施設と呼ばれている救命救急センターです。ですから、ここでは、救命救急センターで働く救急看護師の仕事内容や仕事場について、解説します。

救命救急センターで働く看護師の仕事内容

救命救急看護師の重要な役割は、救命処置の実施です。仕事内容には、下記のようなものがあります。

  • 救急蘇生処置(心臓や呼吸が止まってしまった患者への処置)
  • 応急処置(出血を止める止血や包帯法、骨折時などの処置)
  • 処置介助(医師が行うさまざまな救急治療の治療場面での介助)
  • 生活行動援助(体を清潔に保つ。体位を整える。トイレの介助)
  • 心のケア(患者や家族に対しての精神的なケア)
  • 調整(医師や薬剤師などとの救急医療チームが円滑に機能するように調整する)
  • 救急医療物品を整える

重症度や緊急度によって対応は異なりますが、救急車で緊急搬送されてきた患者の看護を行います。重篤な患者の緊急搬送の連絡がはいると、救急車から伝達された情報をもとに必要な医療器具を準備し、患者が到着したら、救急搬送を担当した「救急救命士」から情報共有を受け、緊急搬送されてきた患者のバイタル(血圧、呼吸数、脈拍)などをチェックして、患者の状態を把握し、処置を施します。

ひととおりの処置が終わると、患者の容体が安定したことを確認してICUなどの病棟に移します。医師の指示と患者の状態を的確に把握することが大切です。

患者が重篤な症状の場合は、家族のケアも重要です。手術や検査の終了時間や、その後の対応などについて密にコミュニケーションをとります。

また、救急看護師がトリアージも行います。トリアージは、患者の容体や緊急性を確認し、診療や処置の優先順位を決めるものです。知識と経験が必要とされる業務です。

救命救急センターの中には、特に高度な診療を提供する「高度救命救急センター」があり、重症急性中毒症や重症熱傷症など特殊疾病の患者に対して高度な医療を提供しています。

救命救急センターで働く看護師の給料は?

厳しいながらも働きがいのある救命救急センターですが、そこで働く看護師のお給料はどうでしょうか。

救急看護師の年収

施設によってさまざまなではありますが、救急看護師は一般的にはやや高めの収入を得ているケースが多いようです。諸手当を含めて、年収は450~600万円といわれていて、2018年度の看護師の収入平均は478万円(税込み)ですから、高めの職種でしょう。(※1)

なぜ高めの収入を得ることができるのかというと、ひとつは、救命救急には、特殊業務手当といって集中力や体力を必要とされる特定の病棟で勤務する際に支給される手当があります。もうひとつは、やはり救命救急は24時間365日の仕事なので、夜勤の回数が多く、オンコール勤務・待機手当(緊急の呼び出しに備えて自宅待機している場合に支給される手当)も多いのです。

しかし、特殊業務手当の金額は施設によって金額はそれぞれで、手当がつかない病院もあります。夜勤や待機の手当も施設によって金額は違います。

ですから転職などで給与を確認するときは、内容を確認することが大切です。例えば待遇例として、月額の給与が40万円と提示されていても、その内訳をしっかり確認しましょう。

もし基本給も特殊業務手当も高額なら、安定した高めの給与になるでしょう。でも、基本給も特殊業務手当も低く、夜勤を8回もこなさないと、その待遇例の金額にならないこともあります。基本給が低ければ、ボーナスも少なくなってしまいます。

基本給が低くても夜勤手当が高めで、バリバリ夜勤もこなして高めの収入をのぞむなら、そのような給与体系の施設があっているといえます。転職するときは、夜勤の平均回数も確認しておきましょう。

※1社団法人日本看護師協会「看護職の賃金・給与」

救命救急センターで働く看護師の待遇例

救命救急センターは、非常にハードで精神的にも肉体的にもタフな看護師でなければ務まりません。そのハードさゆえに待遇面で色々と配慮している医療機関も多く、それが給与に反映されています。例えば東京都板橋区の救命救急センターで30歳の救命救急勤務看護師の場合、年収は500万円です。

勤務形態は3交替勤務、休日は4週8休制で昇給は年1回、賞与(ボーナス)が年2回支給され、年末年始、創立記念日、夏季、慶弔、育児・産前産後などの有給休暇があります。この他にも東京都文京区の救命救急センターでも500万円、岐阜県の救命救急センターでは600万円を超える年収が見られます。

 

救急看護師が働く救命救急の現場

さきほども説明したように、主に救命救急センターで働く看護師のことを救命看護師と呼びます。しかし救命救急センター以外にも救急医療施設はあり、患者の重症度に応じて、入院や手術が必要な一次救急(初期救急)、入院や手術が必要な二次救急、一次・二次救急では対応できない重篤な患者に対応する三次救急に分かれているので、説明します。

一次・二次救急医療施設

一次救急医療施設(初期救急衣装施設)は、帰宅可能な軽症患者に対する救急医療。休日夜間急患センターや休日外来診療を行っている施設です。二次救急医療施設は、入院治療を必要とする重症患者に対する救急医療施設。初期救急医療施設の機能に加えて、中等症、重症の患者にも対応します。

三次救急医療施設

高度処置が必要な重症患者に対する救急医療。初期と二次救急施設では対応困難な重症の患者を受け入れている施設で、ここを救命救急センターと呼んでいます。心肺停止や脳卒中、重度外傷、広範囲熱傷などです。現在、救命救急センター(三次救急指定病院)は全国に250ヵ所あまり。2016年8月時点)設置されています。

現在は人口50万人あたり、およそ1ヵ所整備され、人口比に合わせ全国各地に救命救急センターが置かれています。大学病院の多くには、救命救急センターが併設されています。

救命救急センターのうち特に高度な診療機能を提供するものとして高度救命救急センターがあります。広範囲熱傷や四肢切断、急性中毒等の特殊疾病患者に対する救急医療が提供される施設です。

高度救命救急センターは42施設(2019年7月時点)あります。

ドクターヘリや災害支援

医療施設以外にも、医師とともにドクターヘリに同乗するフライトナースや、災害時や海外に派遣される看護師も救急看護師です。ドクターヘリ基地施設は全国に58施設あります(2019年7月時点)

災害時に現場に急行して被災者の救急活動を行ったり、海外現場に派遣されたりする救命看護師もいます。

救命救急センターで役立つスキル

看護師資格を取得後、すぐに救急医療施設に入職して救急看護師になることもできますし、救急以外の看護経験を積んでから、救急医療施設に異動して救急看護師になる人もいます。救急センターで働こうとするとき、どのようなスキルと資格が役に立つでしょうか。

幅広い知識が必要となる

急性期の重症患者が対象となるため、様々な疾患の患者を診なければならず、現場で働く看護師には幅広い医療知識と経験が求められます。搬送されてくる患者には、循環器内科や脳神経外科の患者は多いため、専門の診療科での経験が役に立つといえます。

心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの搬送は一刻も早い処置が必要となり、それらの処置に慣れていたり経験が豊富であったりすると即戦力として活躍することができます。脳神経外科ではさまざまな神経兆候の観察や勉強をすることができ、循環器でも心電図の読み取りを訓練することができます。

そして、外科での経験は、緊急処置やオペ室以外での簡易オペ時の清潔操作ができるようになります。またICUは、救急科や脳神経外科、循環器内科、消化器外科、心臓血管外科などあらゆる診療科の患者が入院しているため、救急で働くときに有利になります。

緊急搬送された患者がいくつかの持参薬がある場合に、より多くの薬の知識をもっていることも重要になってきます。

医療機器の使いこなしも重要

技術面では心肺蘇生術であるBLS(一次救命処置)やACLS(二次救命処置)、頭部外傷であれば意識レベルの確認や止血、包帯法、骨折時の応急処置があります。

また、救急カートや心電図は使いこなせるのはもちろんのこと、組成の解除技術は必須となります。救急対応ではまず「気道が確保できているか」「呼吸に異常はないか」を脈や顔色、意識レベルを確認して即時に評価を出せるスキルも重要です。

精神力と体力も必要なスキルといえる

救命救急センターで働く看護師には、強い精神力と体力も必要です。生命の危機にある患者が搬送されてくることが多く、一刻を争う事態の中で正確かつスピーディーな医療処置ができることが求められます。患者に寄り添いながら不安を取り除くことはもちろん、患者の家族の精神的なケアも救命救急センターで働く看護師の重要な役割です。

また、看護師業務は一般的に激務といわれますが、救急医療の現場ではさらに体力勝負となります。夜勤も多いので、体調管理ができることも大切なスキルです。

働きながらマルチなスキルを身につけられる

救急看護師として入職する前に、ある程度のスキルはあったほうが有利です。しかし、救急看護師は、常に学ぶ姿勢があれば、毎日さまざまな症例と接するたびにフィジカルアセスメントが深まり、自然に質の高い看護ができるようになる、ともいえます。

救急外来、救命救急センターに運び込まれたり訪れたりする患者の症状は、当然ながらひとつの診療科に定まっていません。たとえば交通事故による多発外傷では整形外科、脳卒中・脳出血であれば脳神経外科、急性心筋梗塞なら循環器というように、あらゆる診療科の患者を扱い、その緊急対応が必要なのです。

ですから人工呼吸器など医療機器の扱いはもちろん気道確保、呼吸管理など、命に関わるさまざまなスキルを現場で得ることができます。

転職にも有利

救急看護師は、短期間で多くの知識・技術を身に付けることができるため、救急外来での経験は、間違いなく看護師としてのキャリアアップにつながります。

たとえば、「救急看護師から、手術室看護師」へ転属するときも、救命救急センターでは、外科治療に関する知識や、医療機器の扱い方など幅広い知識が身についているので、有利です。

「救急看護師から、訪問看護師」になるにしても、救急では小児から高齢者まであらゆる年代の人がいますし、疾患も外傷から脳や内臓まであらゆる疾患の人がいて、幅広く診てきたことが、訪問看護でも役にたちます。

救命救急センターで役立つ資格

救命救急では他の診療科以上に研修が充実しており、救命救急の看護師は経験が浅くても早期のうちに救命看護の基礎技術を体得できます。

日本救急看護学会では救急看護クリニカルラダーというシステムを作り、(ラダーとはハシゴという意味)、エキスパートな救急看護師として専門知識や技術を段階的に身につけるために、下記のようなさまざまなセミナーを開いています。

  • フィジカルアセスメントセミナー_救急初療看護コース
    初療で必要とされるフィジカルアセスメントの知識を学ぶセミナーです。
  • 基礎病態セミナー
    基礎病態をふまえた上で、救急看護師の役割、必要とする看護実践は何かを考える機会になるセミナーです。
  • ファーストエイドコース
    救急・急変時に、看護職として適切な緊急・応急処置ができる人材を育成するコース。研修や実技を修了すると「ファーストエイドナース」として学会より認定証が発行されます。
  • ICLSインストラクター
    ICLSとは「Immediate Cardiac Life Support」の略で、突然の心肺停止に対する最初の10分間の対応と適切なチーム蘇生を習得することを目標としたコースがあります。その一定の基準に満たしたコースに対して「コース認定」が行われています。

そのほかに下記のようなセミナーもあります。

  • 災害看護初期対応セミナー
  • JNTEC(外傷初期看護セミナー)プロバイダーコース
  • トリアージナースコース(仮)
  • JNTECインストラクターコース

また、学会以外のプログラムもあります。

  • AHA-BLSヘルスケアプロバイダーコース(AHAとはAmerican Heart Association アメリカ心臓協会)
  • AHA-ACLSプロバイダーコース
  • AHA-PALSプロバイダーコース
  • ISLS(脳卒中初期診療)コース

さらにスペシャリストレベルとして、認定看護師と専門看護師があります。

  • クリティカルケア認定看護師
    2020年度より、特定行為研修を組み込んだ新たな認定看護師教育を開始され、現行の「救急看護」と「集中ケア」を統合したクリティカルケア認定看護師の育成が行われています。
  • 専門看護師(急性・重症患者看護)
    緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な看護を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるよう支援する看護師で、大学院で学びます。

まとめ

救急外来や救命救急センターは、毎日が異なる患者の対応となり、緊張感あふれる現場です。自分が必要とされる現場であり、やりがいもあり、充実感のある毎日を送ることができるでしょう。

また、救急看護師のための研修セミナーも多く開かれ、さまざまな資格の取得もでき、スキルアップもできます。

ですから、かつて救急看護師をめざして看護師になった人は、ぜひ一度は、救急看護師に挑戦してみてください。もし体力が続かなかったり、夜勤が苦手だったり、家庭の事情などもいろいろあって、他の診療科へ異動したとしても、救急看護師として働いた経験やスキルは、その後の人生において大いに役に立つはずです。

参考資料

救急看護クリニカルラダー

一般社団法人日本救急看護学会

東京ベイ・浦安市川医療センター 看護部 救急外来看護師24時 ~救急外来は24時間診療だから休憩がない!?~

社団法人日本看護師協会「看護職の働き方モデルの構築」

3月は内定辞退や急な退職で追加募集が増える時期

4月入職予定者の内定辞退や家族の転勤や進学による引っ越し、転職を決めかねていたスタッフの退職の申し出などが多くなります。その為、予定人員が確保できなくなり急遽、追加募集をする医療機関が増える時期です。

また、3月末退職予定者が有給消化のため出勤しなくなり、実働スタッフ数が減るため3月中に入職できる看護師を探す職場も出てきます。「3月からでは、もう4月入職に間に合わない」「いい求人はもう残っていない」と考えるのは早計です。

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