看護師の現場でのミスや失敗 インシデントとアクシデント

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医療の現場では、少しのミスが大きな医療ミスや医療事故につながることがあります。重大事故を防ぐためにも、看護師として理解しておくべき、インシデントとアクシデントの関連と意味について見ていきましょう。

インシデントとアクシデントの違い

インシデント(incident)は、日本語では「偶発事象」と訳されています。思いがけない理由により起こる事象で、適切に対処しなければ、重大な過失につながることを意味します。

一方、アクシデント(accident)は、「事故、医療事故」と訳されます。インシデントを見逃したり、対処法を誤ったりすることで、明らかな事故になったものを意味します。

日本の医療の現場では、重大事故にならなかったものを「インシデント」、事故になってしまったものを「アクシデント」と区別しますので、インシデントを見逃すことでアクシデントが起こると言えます。アクシデント発生時には、何か見逃したことはないか、つまりインシデントを探すことで、今後の医療ミスや医療事故を防ぐことにつながります。

看護師のミス、インシデントとアクシデント

看護師のインシデントやアクシデントで一番多いのが注射・点滴で、2番目が与薬です。この2つで全体の6割以上を占めており、次に体位・姿勢の保持・移動と続きます。注射・点滴で一番多いのが指示内容・量の誤りで、次に注入速度の間違い、与薬では配薬忘れ、重複投与、時間間違いとなっています。療養型病棟や介護施設では転倒の割合が多くなります。

看護の現場でのミス・失敗はいろいろなケースが考えられます。例えば点滴ですが、点滴液の取り違えや動脈の輸液ルートと静脈の輸液ルートの勘違い、点滴計算間違いなどが考えられます。最近増えているのは経管栄養と点滴のルートを間違って経管栄養を輸液のルートに入れてしまうことです。この場合は、患者の生死にかかわる重篤な事態を引き起こしかねません。

点滴がもれ腕がはれ上がってしまったり、固定や接続が不十分で出血していたりするような事例もよくおこります。与薬では渡す量や時間を間違えたり、他の患者の薬を渡していたりするようなミスが多発しています。

他には患者の取り違えがあります。1日の新規入院患者が多いところでは同じ日に入院した患者や同じ疾患の患者を間違えてしうことがあります。プライバシー保護のためベッドネームを出さない医療機関もあり、患者の取り違えを起こさないよう十分な対策が必要となっています。

看護の現場では、ミスを起こす前に気が付いたり、間違ってしまっても重大な事態に至らないインシデントレベルで留まることが多いです。しかし、些細なミスであっても、最悪の場合は患者の様態が急変するなどのアクシデント(医療事故)にまで発展してしまう可能性は十分にあります。そのため、特に新人看護師は、ミスを起こさないよう、事前にミスを防げるように手技や手順から指示の受け方やチェック方法まで厳しく指導されます。

ヒヤリハットは医療事故の前兆

医療現場では、重大な医療ミスにつながらなかったけれども、一歩間違えれば大きなミスになっていたかもしれない事柄を発見することを「ヒヤリハット」といいます。このヒヤリハットとは、発生する可能性が非常に高い状況で発見できた、事故を起こす一歩手前の状況のことです。

文字通り、「危なかった(ヒヤリ)!」と思うことに「(ハット)気付く」ことを指しますが、その時は、「ヒヤリハット」しても、他の業務などで忙しく、すぐに忘れてしまうことがあります。

「重大なミスの陰には、その29倍の軽い事故と、300倍の小さなミス(ヒヤリハット)がある」ことを、ハインリッヒの法則と言います。ヒヤリハットを繰り返しているなら、いつかは患者に影響を与える重大な事故につながってしまうのです。

ヒヤリハットは、周囲への確認不足や夜勤など多忙な業務で仕事への集中力が切れていた時に起こりやすくなります。新人看護師だけでなく、中堅看護師や看護師経験豊富なベテラン看護師も起こす可能性はあるのです。どんなヒヤリハットのケースも見逃さず報告し、要因を分析し、対策を考えることが、アクシデント回避のポイントと言えます。

「アクシデントにならなくて良かった」と思うのではなく、ヒヤリハットが起こった時点で有効な対策・処置ができるかが医療事故防止につながります。インシデントを、体験した当事者が書きとめて報告書を作っておくなら、看護師だけでなくスタッフ全体のためにもなります。

日々の業務の中で起こったインシデントレポートの提出を義務付けているところは多いのですが、すぐに有効な対策を立てられるところはまだまだ少ないのが現状です。

インシデントやアクシデントが多発する職場

インシデントやアクシデントが起こった時の対応は、職場によって違います。同じようなインシデントを繰り返しているにもかかわらず、全く対策を行わない職場や、スタッフの医療安全に対する意識が低い職場も中にはあります。そのような職場では医療事故が多く、処置や対応をした当事者である看護師の法的責任が問われることも少なくありません。

もし、今働いている職場が人手不足や業務多忙などを理由に、医療事故防止に積極的に取り組んでいないのであれば、重大なアクシデントを起こしてしまう前に転職を検討するといいでしょう。

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