[ 記事作成日時 : 2015年1月24日 ]
[ 最終更新日 : 2020年2月6日 ]

水分出納チェックが重要な理由と水分出納チェックからわかること

看護師のスキルアップ

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人間の体内は、70%が水分と言われています。丁度いい人体の水分量であり、これが大きく狂うと、身体、臓器の活動が上手くいかず、諸症状や疾患の原因となります。

      
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IN‐OUTのチェックとは

IN‐OUTのチェックを行うとは水分出納バランスを観察することです。

患者さんの身体に入る水分量と、排泄、排出される量のバランスの事を言います。

入った量より、出る量が多すぎると「脱水」を引き起こし、入る量より出る量が少なすぎると「体内に水分が溜まりすぎる」という状況に陥ります。その様なアンバランスは、身体にとって不都合を生じ、様々な悪影響が出現します。

水分出納のバランスを観察する目的

バランスの均等性を確認し、バランスに傾きを生じた場合は、医師の指示により点滴や薬物療法などで水分バランスの是正処置を行い、異常を正常化させます。 また、水分出納は、一度の観察のみではなく、経時的、継続的に行いそのバランスの変化や、薬物療法などの効果の観察が必要になります。

観察方法

IN 入った量と観察点

  • 輸液量、食事量と内容、食事以外の飲水量、輸液以外の注射や内服水分量

OUT 出た量と観察点

  • 尿量、便の量と性状(下痢や水分の含んだ便性状など)
  • ドレーンやドレーンバック内の各種排液量、ガーゼ等の浸出液の量や性状

血性、膿性、浸出液様など

  • 嘔吐がある場合の吐物の量
  • 汗や皮膚呼吸による代謝から発される水分(平均800ml~1000ml/日)

アセスメント方法

IN

  • 指示通り輸液が入っているかどうか確認し、入っていない場合は点滴ルートの確認を行い、屈曲、閉塞、漏れが無いか確認します。
  • 食事量の低下により水分摂取出来ていない場合は、食事内容変更、輸液量の調整が必要となります。
  • ドレーン排液や浸出液、ガーゼ汚染等が多い場合は、量や性状、バイタルサイン等とともに医師へ報告し、指示を仰ぎます。

OUT

  • 入った量に対して、出る量が少ない場合(プラスバランス)の場合は、腹部膨満の有無や膀胱留置カテーテルの閉塞や屈曲の確認を行い、併せて呼吸状態や、呼吸困難感、全身の浮腫の有無や全身の症状の確認を行います。

考えられる症状(随伴症状)

  • 脱水:発熱、頻脈、口渇、めまい、倦怠感、脱力感、意識混濁
  •      ・・・排泄量の減少(マイナスバランス)
  • 浮腫:四肢のむくみや顔面のむくみ、輸液量が多すぎることも考えられる
  •      ・・・排泄量の減少や輸液量の蓄積
  • 心不全:浮腫、呼吸困難感、喘鳴、肺ラ音、ピンク色の痰、息苦しさ、起座呼吸、胸水
  •      ・・・水分貯留(プラスバランス)

病歴と水分出納の関係

心疾患の観察点 利尿剤による効果で尿の出すぎ、効果不足で貯留傾向にないか
腎疾患の観察点 尿の生成困難となり、腎不全から尿量減少、浮腫がないか

心疾患

心不全でプラスバランス(排出不足)となると、皮下組織に体液貯留による浮腫、胸水貯留による呼吸器症状等を呈し、心不全悪化を来たします。よって、IN-OUTバランスをチェックし、利尿剤の追加や、食事内容の変更や塩分制限食、水分摂取制限を行います。

心不全で、マイナスバランス(排泄しすぎや、IN量の制限過多)となると、循環血液量の低下から、心拍出量の低下、各臓器への循環血不足による各臓器の機能不全、末梢循環不全等を起こしたり、脱水状態となることもあります。また、血管透過性の亢進による輸液や摂取水分の吸収困難により皮下組織に浸出液として貯留(浮腫)することもあり、その場合は、アルブミン不足を考慮します。

腎疾患

腎不全時のプラスバランスは、尿の生成困難状態にあるため、浮腫や心負荷がかかり、心不全状態を呈します。利尿剤の活用や、酷い場合は透析治療を行います。

腎不全時のマイナスバランスは、腎臓への循環血液が低下し、より腎臓機能を低下させることとなります。腎血流量が低下するということは、老廃物の貯留を意味し、各臓器の老廃物貯留、機能低下を来たします。よって、輸液補正、電解質の補正を行います。

糖尿病がある場合は症状として口渇・多飲があるため、口渇を訴えていないか、多飲傾向に無いかどうかを観察する必要があります。

電解質のバランスの狂いによる症状

  • 皮膚の紅潮、乾燥、皮膚の弾力低下、浮腫、眼窩の陥没や浮腫
  • 意識レベルの低下、不穏、錯乱、傾眠、痙攣
  • 食欲不振、嘔気、嘔吐、口渇
  • 脱力、筋緊張の低下

データから見る異常

ナトリウム 高い 糖尿病性昏睡、脱水など
低い 急性腎炎、慢性腎不全、心不全、甲状腺機能低下症、糖尿病性アシドーシスなど
カリウム 高い 急性腎不全、慢性腎不全など
低い 呼吸不全症候群、アルドステロン症、クッシング病など
カルシウム 高い 悪性腫瘍、多発性骨髄腫、副甲状腺機能亢進症など
低い 腎不全、副甲状腺機能低下症、ビタミンD欠乏症
クロール 高い 脱水症、腎不全、過換気症候群など
低い アジソン病、慢性腎炎、肺気腫など

水分出納バランスは、手術前後の身体管理、人工透析や腎不全、心不全治療の薬物療法、熱中症や脱水症状の鑑別などに大きく関与する重要な観察項目です。水分出納の狂いは、全身状態の悪化のみではなく、精神状態や意識状態の変化も表します。入る量と出る量のみに着目するのでは無く、その他の随伴症状にも注意が必要です。何を持って異常と判断するか併せて情報収集し、報告することで早期対処、患者さんの苦痛を早期に解放できることにもつながります。

この記事を監修した人
はる
地方の公立大学病院小児科病棟で2年勤務したのち看護師をやめ都内のIT企業に転職。結婚を機にUターンし専業主婦となる。10年のブランクを経て訪問看護師として復職。その後、急性期病院の外来・救急外来勤務を経て、療養型病院の病棟師長として勤務。家族の都合により上京後は回復期リハビリ病棟に勤務。看護師として通算15年以上の臨床経験がある。現在はココナスにて記事の企画、監修をはじめメディア運営を行う。
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