看護師の働き方改革!看護師のワークライフバランスに関する取り組みを解説

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看護師のワークライフバランスを考え、働きやすい環境づくりを整える取り組みが始まっています。これまで看護師は国家資格をもった専門職として、業務を遂行することだけが重視されてきました。

その結果、心身が擦り切れるまで働き、医療の現場を離れることを余儀なくされる看護師が後をたちませんでした。看護職が厳しい仕事であることは知られていながら、新しく看護師として旅立つ数は減少していません。

志をもった看護師がひとりの人としての生活を守りながら看護職を継続していくためには、これまでのような個人任せでは立ちいかない時代です。看護師が幸せに働ける病院は、患者も幸せであるはずです。

社会を上げて始まっている、看護師のワークライフバランへの取り組みについて見ていきましょう。

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ワークライフバランスとは

昨今ニュースなどでもよく耳にするようになったワークライフバランスは、政府が提唱する「働き方改革」によって浸透してきた新しい考え方です。

ワークライフバランスに関するこれまでの動きとその背景を見ていきましょう。

2007年内閣府が策定した「仕事と生活の調和憲章」

政府広報によると、ワークバランスとは“働くすべての方々が、「仕事」と育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動といった「仕事以外の生活」との調和をとり、その両方を充実させる働き方・生き方のこと”としています。

看護師は女性が約96%を占める、社会の中でも特殊といえる業界です。

女性は男性と比較して結婚、出産や育児、さらに介護といったライフイベントに影響を受けやすく、看護師の場合には特に専門職として両立していくためには重い負担がかかります。

ワークライフバランスは1980年代のアメリカで、より豊かな生き方を実現するために考え出されました。日本では2007年に内閣府が「仕事と生活の調和憲章」を策定し、推奨したことで広く認知されるようになりました。

多くの企業がワークライフバランスへの取り組みを開始する中、日本看護協会では2008年にいちはやく看護師におけるワークライフバランスの概念図を作成し、ワークライフバランスがもたらす効果を強く訴えています。

ワークライフバランスが看護師を雇用する病院、看護師として働き続けたい看護師双方にとって有効な考え方であることは、間違いありません。

しかし看護師が多く働く現場で、迅速な取り組みが見られたかというと現実はなかなか難しいようです。

看護師のワークライフバランスが注目される背景

看護師の離職率は毎年10%前後で推移してきました。人数でいうと、毎年約2.5万人が看護師を辞めていることになります。看護師資格を新規取得するのはこれまでは、毎年約5万人程度なので、単純に考えれば順調に増員できると思われます。

一方、団塊の世代がすべて高齢者となる2025年までに必要とされる看護師は約196~206万人とされています。

現在のペースで増加が上回ったとしても、2025年には約193万人しか確保できない試算結果となり、約3万人から13万人が不足するとされています。

ワークライフバランスを看護師の職場で実現することで、離職者を減らし、また現在約71万人にも上るといわれている「潜在看護師」の復職にも期待できます。

ワークライフバランスということば自体の導入はまだ日が浅く、一般企業以上に医療現場では浸透しているといえません。

しかし近未来で現在を上回る看護師の不足が確実視されている今、根本的な解決方法としてワークライフバランスへの取り組みが急務とされているのです。

日本看護協会のワークライフバランスへの取り組み

日本看護協会では、看護師のより良い働き方を実現するために、ワークライフバランスへの取り組みを実施しています。その概要と提案されている具体的な施策内容を紹介していきます。

日本看護協会のワークライフバランス取り組みの概要

2008年のワークライフバランスの概念図の作成に先立ち、日本看護協会では2007年から厚生労働省補助金による「看護職の多様な勤務形態による就業促進事業」を3か年事業として実施しました。

さらに2010年からは、「看護職のワークライフバランス推進ワークショップ」事業を開始しています。

この事業により、地方にある都道府県看護協会と日本看護協会が協働して各地域において、看護職で働き続けられる職場づくりのための活動が全国的に展開されています。

スタート時は8都府県29施設であったこの事業は、3年で43都道府県363施設にまで拡大しています。

ワークライフバランスの実現は、働く人だけではなく雇用側の意識改革がなされなければ成しえません。

日本看護協会では労働環境が改善された病院の増加を目指し、ワークライフバランスへの継続的な取り組みを行っています。

ワークライフバランスの具体的な施策

日本看護協会が掲げる、ワークライフバランスの具体的な施策について見ていきましょう。

多様な勤務形態

一般的な企業でもフレックスタイムの導入やテレワークなど、多様な勤務形態が見られるようになってきました。

ただ看護師の場合には、ほかの職種とは異なる労働事情があります。そうした中でも可能な範囲で、自分に合った勤務形態が選べれば、より働きやすくなると考えられます。

厚生労働省の調査によると、5人の看護師に1人の割合で非正規雇用という働き方をしている現状が見えてきます。

看護師の資格があれば、正規雇用を選ぶこともほかの職種よりは難しくないと思われますが、あえて自分のライフスタイルに合わせて非正規雇用を選んでいる看護師は少なくないようです。

その理由としては、働く時間の長さが選べるという融通性にあると考えられます。ワークライフバランスの施策を具体化する上でも、働く時間数を選べることは大きなポイントとなります。

フルタイムよりも労働時間が短い「短時間正職員」や定期間を通じて法定の労働時間を超えない範囲で、特定の日または週に時間を決めて働く「変形労働時間」といった形もあります。

また、複数の人がひとり分の勤務時間をわけあって働く「ワークシェアリング」も、新しい働き方として注目されています。

働く日や時間帯の多様性化

勤務形態の多様性とともに、働く時間帯や曜日が選べるといった考え方もあります。

複数の勤務時間帯から、個人の希望で選べるようにするシステムに「時差出勤」や「フレックスタイム」などがあります。

これらは、1ヶ月以内の一定期間における総労働時間があらかじめ定められており、その枠内で各日の始業・終業の時刻を働く側が選ぶという制度です。

看護師の場合にはシフトがあり、調整は難しくなりますが、新しい技術を導入しプログラム化すれば不可能とはいえません。

実現できれば保育園のお迎えなどに、融通が利かせられるようになります。

夜勤担当への柔軟性

現行でも看護師のシフトには、ある程度の希望が入れられていますが、さらに柔軟性のある働き方の選択ができるようにしていきます。

現状では同一の病棟内で2交代、3交代の選択ができたり、夜勤をする時間帯や回数の選択ができたりというところまでは対応されていません。画一的になっているのは、管理側の事情でもあります。

シフトを作成する方法について、工夫を重ねていければ少しずつでも改善は難しくありません。

また日勤のみ・夜勤のみ・交代制勤務などの選択が、随時できれば、助かる看護師は多いのではないでしょうか。

勤務地の選択に自由

非正規雇用をあえて選ぶ理由として、曜日や時間の選択のほかに勤務地が関係している場合もあるようです。

例えばグループや系列施設が多い医療法人で正規雇用された場合、遠隔地への異動も考えられます。そうした事情がネックとなり、誘われても正社員になるのをためらってしまう看護師もいます。

働く場所が選べる「勤務地限定制度」といったしくみが確立されれば、自分が希望する場所に立地する勤務先を選ぶことができます。

業務の多様性

働く日、時間、場所といった条件のほかに、業務自体にバリエーションをもたせるという考え方もあります。

例としては実際の勤務時間に関係なく「みなし時間」を採用して、出退勤の自由化を図る「裁量労働制」などがあります。ただこちらについては、労働者の自由裁量がある一方で、ルールがしっかりと整備されていないと働く側が不利になる可能性も指摘されています。

看護師の業務の多様性としては、ほかに病院に勤務しながら学校などで講義や技術演習の講師をする、病院に勤務しながら専門看護師として地域などに出向き、対外的な活動を行うといった働き方があります。

看護師のキャリアを広げる試みとしての現実味が感じられます。

勤務形態を選択できる

これまでは同じ職場で働き続けることを希望していても、ライフイベントによって生活の事情が変化し、やむなく退職を選ぶといったケースが大半でした。

常勤と非常勤といった勤務形態が、都度選べるようになれば、退職と求職をくり返さずに済むようになります。

働き続けながら雇用形態や勤務形態の変更が容易になれば、離職率の低下につながっていくはずです。

看護協会が提示するこれらのワークライフバランスへの施策は、いずれも有効性が感じられる一方で、導入にはさまざまな課題があります。

すべてを同時にというのは到底不可能と思われますが、雇用側の意識が変化しなければいつまでたっても働く環境は改善されず、看護師に関する問題は解消されないでしょう。

看護協会ではこうしたさまざまな施策を具体的に示すことで、各施設が導入可能な方策について検討するよう強く促しています。

看護師の働く現場の現状

看護師が働く過酷な現状は、社会的にもよく知られるところですが、人材の不足を根本的に解消するための施策はなかなか見つからないようです。

看護師の働く現場にある課題について、考えていきます。

画一的な交替勤務による仕事継続の困難さ

社会は急速な少子高齢化が進み、日本は前例として世界から注目をあびています。国をあげて課題の解決に取り組んではいますが、依然として出口が見えません。

高齢化に伴って介護および看護ケアを必要とする人の数は日々増大しているのに、労働人口は減少しつつあります。今のところは微増を続けている新卒看護師も、必ず減少に転じていくでしょう。

実際に看護師不足を大量養成で補うという方法は限界とみられています。

しかもせっかく看護師資格を取得した看護師は、数年経つと離職してしまい、絶対数が十分な数まで満たされることがありません。

看護師の年齢階層別の就業率では、20代後半から30代にかけて急激に低下しています。

ライフイベントで仕事を離れたとしても、再度戻れる環境にあれば良いのですが、看護師の離職率に対する復職率は決して高くはないのです。

24時間医療サービスの提供が必要とされる医療現場において、女性が個人の生活を充足させながら働くことは簡単ではありません。

特にこれまでの画一的な交替勤務制では、私生活を優先させられる要素がなく、仕事を続けたいと願いながらも結果的には辞めてしまう看護師が多いことは事実です。

望まないのに辞めざるを得ない環境、そこから引き起こされる看護師の不足が、最終的には医療サービスを受ける患者や利用者への対応の質の低下を招いています。

看護師不足は世界的な課題

実は看護師不足は、時代を通していつも現場を悩ませてきた慢性的な課題です。看護師求人が消えた時代は、ほぼないといわれています。

しかもこの傾向は日本だけのものではありません。世界の主要国では多少の程度の違いがあっても、潜在看護師問題を含め、共通した課題を抱えています。

各医療施設がどれだけ看護師の確保に力を入れながらも苦労をしているのかは、日本病院会による「病院の人材確保・養成に関するアンケート調査結果報告」が公表している内容にも現れています。

この調査によると対象となった病院の6割が「人材斡旋業者」を利用しており、斡旋手数料は看護師1人当たりの年収相当額の20%程度を負担しているという結果が出ています。

高額の手数料を支払ってでも、看護師の雇用につなげたいという医療施設が圧倒的な数を占め、特に正規雇用の看護師の需要が多くなっています。

注目したいのは、この調査が比較的大規模の国公立病院などを含めた調査であるところです。全日本病院協会が行った民間病院を中心とした別の調査では、1人当たりの募集費用はさらに高額になっているといいます。

それだけ多くのお金をかけても、看護師が集まらない。これが雇用側の現状のようです。

看護師不足の理由に明確な理論がない

看護師の確保が難しい理由については、世界的な課題として議論が続けられてきました。

一般論としてはこれまでも挙げてきたように、看護師は大部分が女性を占めているため、ライフイベントの影響を受けるためとされています。

日本の文化として、男女間では仕事と家事の明確な役割分担があること。主に男性が「家庭の大黒柱」として家計の費用負担をするのが通念となっていること。

そのため、看護師である女性は、結婚や子育てという変化により離職率が高いのだと説明されます。実際にもそうした経験を経て看護師を辞めた人は多く、もっともな説だと考えられてきました。

しかし、昭和までの時代であればともかく、現代は女性が家庭を持ちながら普通に働く時代です。ライフイベントで仕事を辞めるというのは、理屈に合いません。

またすでに男性が「大黒柱」という考えも、前時代のものです。看護師である妻の給与が高く、主に家計を支えているという家庭もあるはずです。

女性が多い職種には、看護師以外にも数多くあります。例えば学校の先生も男性教師と変わらずに働く仕事です。同じ医療業界の薬剤師も、女性が多数活躍しています。

看護師の収入はそうした職種と比較しても、極端に見劣りするわけではありません。

ライフイベントと経済面から語るとき、看護師だけがなぜこれほど不足しているのかという理由にはならないのです。

「仕事がきつい」という根本原因の改善

看護師が離職するのは、女性の人生におけるライフイベントにより継続が難しくなるような業務内容にあるという説もよく聞かれます。

夜勤が多く、勤務時間も長くなりがちであるという業務の特殊性が、仕事の継続を困難にしているという説明です。

しかしそこにも、やはり矛盾点があります。

夜勤を必要とする仕事は、医療現場だけではありません。社会には「夜通し働く」仕事はほかにもたくさんあります。男女雇用機会均等法の幾度かの改正により、かつては男性だけであった現場にも女性が進出するようになりました。

それでも看護師ほど人員の不足が深刻になっているという話は、あまり聞かれません。

社会全体で労働人口が減っている現状で、人集めに苦労しているところは多いようですが、現時点で看護師業界ほど明確に数万人規模の不足が予測される職種は稀です。

夜勤のある仕事は基本的には、賃金を大幅に高く設定することで、人員の確保をしています。

看護師の雇用に高額の費用をかける病院が多い中で、離職の原因の本質を解決しようとする努力が果たしてなされているのかは疑問です。

シフトや夜勤など仕事のきつさによって看護師の不足が引き起こされているのであれば、雇用する側の病院には、そうした辛さを何とか薄める工夫をする必要が求められます。

先にも出ていたように看護師の正規雇用が減少する中で、非正規で働く看護師が増えているという現象には、こうした離職原因の根本的な解決となるヒントが隠されていそうです。

看護師が働き方の多様化を求めて、非正規という勤務形態を自ら選んでいるのだとすれば、ワークライフバランス施策の導入が何らかの成果を上げる可能性は大きいと考えられます。

ワークライフバランスの効果

それではすでにワークライフバランスを導入した病院では、看護師の満足度が高まっているのでしょうか。

2012年の日本看護管理学会誌に、ワークライフバランスに取り組んだ病院で働く看護師についての満足度を調査した報告が掲載されています。

この調査の対象には、夜勤専従者はいませんでしたが、短時間勤務や日勤専従勤務、2交代と3交代勤務の選択、平日のみの勤務、フレックス導入勤務などがありました。

調査が行われた2012年当時は、まだ日本看護協会が取り組みを開始して間もなく、また現在ほどワークライフバランスという言葉自体が社会に認知されていませんでした。

実際に調査の中でもワークライフバランスを実施している病院に勤めていても、多様な勤務形態を導入していることを知らない看護師が多く存在していることが報告されています。

またことばの意味についても、すべての看護師が良く理解していたとはいえなかったようです。

調査結果では多様な勤務形態を選択している看護師は、既婚の人が多く、また子どもの有無では「いる」と答えた人が多く見られました。

日本看護協会の別の調査では特に30代と40代の5割の看護師が、家庭生活と両立できるのを、職場を選ぶ上で重視していると報告しています。このことから、看護師、妻、母親などひとりで複数の役割をもつ人が、多様な勤務形態を選択していると推測されます。

雇用形態に関しても、家庭を持つ看護師の復職の条件のひとつに「日勤のみ」、あるいは「パート」を入れている看護師が多く見られます。

仕事と家庭生活の両立をさせるために、残業が少ない非常勤を選択する傾向があると考えられます。

調査では、仕事に対するやりがいや生きがい感といったところまで言及していますが、結果的には多様な勤務形態を選択している・いないによる明確な違いは見られなかったと報告されています。

ワークライフバランスの実施といっても、勤務形態が選べるだけでは、満足度を高くするというところには至っていないと結論づけられています。

そこに今後のワークライフバランス施策を考える上での、課題が見えているといえるのではないでしょうか。

看護師のワークライフバランスの課題

時短や変則勤務など、多様性のある勤務形態がある程度、仕事と生活のゆとりをもたらす可能性はおおいにあります。しかし、それだけでは看護師が幸せに働ける職場ができるとはいえないようです。

看護師のワークライフバランスの課題とは、どのようなものなのでしょうか。

看護師としてのやりがいと時短勤務

先に記した調査の結果で、単に勤務形態や勤務時間の多様化だけでは、満足度が確実に上げられるとはいえないことがわかりました。

ここに看護師という職業の難しさがあります。一般的に、働く女性については仕事にかけるエネルギーを軽減すれば、ワークライフバランスが向上し、私生活が充足されると考えられています。

しかし看護師の場合には、仕事の比重を減らすことがイコール満足感ではないようです。

調査の中では、多様性のある働き方を選んで早退や時短をし、ある程度自由に休みが取れている人が、看護師としてのキャリア形成について不安をもち、仕事と私生活の時間の配分についてジレンマを感じているという声を取り上げています。

担当の患者の容態を気にしながら、肩身の狭い思いで定時に帰宅するということは、看護師であれば容易に想像できる場面なのかもしれません。

非常勤をあえて選択し、定時に終業するなどして家族との時間を多くしている看護師の中にも、複雑な思いを抱える人が一定数いるということなのでしょう。

ワークライフバランスの目的は、仕事と生活のバランスを整え、より良い生き方をすることにあります。生きがいをもち、満足度の高い人生にするためには、勤務形態の多様化は重要な要素です。

しかし、それだけでは満たされないものがあることに着目していかなければ、本当のワークライフバランスは得られないといえるのではないでしょうか。

実際に働く現場の声が置き去りに?

ワークライフバランスは国の声かけにより、動きが加速してきました。働き方の多様性や、業務の効率化など、さまざまな手法が考えられるようになってきています。

しかし看護師業界に限っていうと、ワークライフバランスの施策によって看護師不足が改善されるという、目に見えた成果が出ているとはいえません。

経営重視の施設運営の在り方や、ワークライフバランスの重要性への理解不足など、原因はそれぞれです。

しかし何よりも大きな理由は、実際に働く看護師の声が施策に反映されていないからではないでしょうか。病院の規模や病床数、診療内容などにより、看護師が期待する施策には違いがあるはずです。

先の調査にあった短時間勤務や日勤専従勤務、夜勤専従勤務、2交代と3交代勤務の選択、平日のみの勤務、フレックス導入勤務がひとつの病院ですべて一度に導入されるのは現実的とはいえません。

多様性のある勤務形態ひとつにしても、自院や施設に合う施策が何なのか、それによってどの程度の看護師が楽に働けるようになるのかは、現場の声を丁寧にすくいあげて初めてわかることです。

例えばテレワークのような一般企業で可能な施策でも、医療現場では困難なものがあります。一方で医療現場だからこそ、ワークライフバランスに有効な策も必ず見つけられるはずです。

現場の声を置き去りにしたトップダウン型の施策から、得るものがあるとは思われません。

形ばかりのワークライフバランス施策としないためには、実際に働く看護師たちの率直な声に耳を傾ける必要がありそうです。

看護師に関わるワークライフバランスの取り組み事例

看護師のワークライフバランスへの取り組みについては、未だ模索中の病院や施設が多いようです。その一方でさまざまな施策の導入に踏み切り、成果を上げているところも見られます。

看護師に関わるワークライフバランスの取り組み事例を紹介していきましょう。

鳥取大学医学部付属病院看護部

シングルマザー・シングルファーザー支援」を表に打ち出して、積極的に常勤職員として採用しているのが鳥取大学医学部付属病院看護部です。

病院自体がさまざまな子育て援助を行うと同時に、保育所の確実な確保や、生活支援をする機関との連携など、きめ細やかな配慮が提供されています。

周囲にサポートのないひとり親のもっとも大きな悩みとなる、病児保育についても、病院が積極的に介入して確保をしています。

保育施設の提供や支援については多くの病院が行っていますが、特に注目される取り組みが勤務時間への柔軟な対応です。

ひとり親家庭についてのサポートは、母子寮のあっせんなど比較的幅広く実施されてきました。しかし勤務時間の「特別扱い」は、ほかの職員への影響や反発を招く恐れがあるため、表立って実施している医療施設はほとんどありませんでした。

こうした意味で、鳥取大学附属病院はかなり思い切った取り組みをしたといえます。

同病院が提供・紹介している家事支援には、以下のようなものがあります。

  • とりだい病院:電話注文で手軽に夕食の持ち帰りができるサービスを提供
  • 米子市:洗濯・掃除等、家事サービスを行う公益団体の紹介
  • 民間企業:家事代行サービス(掃除・買い物・調理・洗濯・子守など)を行う事業所を紹介

筑波学園病院看護部

筑波学園病院看護部では、働き続けられる職場づくりを目指し、院内ワークライフバランス事業を進めています。

超過勤務の減少のほか、長期有休休暇の取得を軸に仕事と生活の満足度向上を図っています。

特に周囲に遠慮せずに休みが取れるよう、長期休暇取得規定を制定し、さらに制度の適切な運用を実施するための周知をしています。

当院看護部が定める規定内の長期休暇は、「7日間程度の連続した休暇を1年間の希望する期間に取得できる」休暇となっています。

まとまった休暇が取れることは、働くモチベーションにもつながります。しかし多忙な業務を知る看護師は、周囲に遠慮してしまい、当たり前の権利であることすら実行できなくなります。

病院側が制度化すれば、お互いに気兼ねすることなく休めるようになります。そうした雇用側の配慮が、仕事を継続する意欲にもつながります。

福井県済生会病院

結婚や子育てを理由に退職する看護師が増える中、危機感を抱いた福井県済生会病院では職員たちの実情に合わせた極め細やかな勤務制度を検討しました。

きっかけとなったのは、育児を理由に退職を申し出た中堅看護師の存在です。

勤務時間を短くする制度(短時間勤務制度)、夜勤が免除される制度(夜勤免除制度)、夜勤のみを専門に勤務する制度(夜勤専従制度)など、でき得る限りの施策を講じた結果、そうした制度を利用して子育てと仕事を両立する職員が増加しました。

その効果は、離職率が以前の半分以下になっただけではありません。大学院進学や資格取得に励む職員も増えて看護ケアの質が高まり、また病院全体の雰囲気向上にもつながっています。

また1日の勤務時間を細分化し、働く時間を選べるという画期的なシステムも導入しました。

入院患者のいる病棟での看護師の勤務は24時間に及び、一般的には日勤と夜勤の時間帯に分かれます。

こちらの病院では、従来3交代制であった日勤を半日勤務(午前)、半日勤務(午後)などの区分で、勤務形態を6つに細分化したほか、夜勤でも、深夜、準夜などの区分で8つの勤務形態を設定しました。

そのほか、早出勤務、早出半日勤務などの区分を5つ設け、自分の働きやすい時間帯で勤務ができるように改善を進めました。

ここに至るまではいくども検討を重ね、運営側が実現可能なラインを探る努力をしてきました。当然こうした施策に、現場の意見をしっかりと取り入れたことは言うまでもありません。

また時間を細分化することにより、引継ぎ時間の増大が懸念されます。福井県済生会病院では、ルール作りを徹底し、こうした課題をクリアしています。

ワークライフバランスの施策が効果を上げている施設では、現状を把握し、それを改善するための明確な目標が設定されています。

単なる掛け声で終わらせないためには、見て見ぬふりをせず、あえて現場のマイナス面を洗い出すことから始めなければなりません。

働く側と雇用する側の両方が、ワークライフバランスの意味を十分に理解して取り組む必要があります。

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