[ 記事作成日時 : 2019年8月20日 ]
[ 最終更新日 : 2021年4月30日 ]

看護師の申し送りに必要な5つのポイント!スムーズに伝えるコツ

看護師の申し送り

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「申し送りは苦手」

「申し送りのポイントがわからない」

申し送りを苦手と感じている看護師もいるようですが、大事なポイントさえつかめば大丈夫。スムーズに申し送りを行うためのポイントを例文付きで紹介します。また、申し送りを廃止にする動きも出ていることから、その理由についても解説します。

      
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申し送りの目的は?

申し送りは、安全な看護を行うための職員間のコミュニケーション業務です。ですから、仕事内容や患者の様子を次の担当者へ正確に伝えなくてはなりません。申し送りの大切さを知っているからこそ、苦手と感じてしまうのかもしれませんが、内容次第で看護の安全性や質が違ってくることはご存知のとおりです。

申し送りは情報伝達

申し送りは、患者の正確な情報に対して責任をもって次の勤務帯や病棟担当者へ移行させることを目的としています。求められるのは迅速で正確な情報の伝達です。ちょっと身が引き締まる話ですが、救急の医療過誤の要因の約30%は申し送りの不備から発生しているという調査データもあります。

出典:厚生労働省『安全で納得できる医療の確立をめざして』平成16年版厚生労働白書

あいまいな申し送りから下記のようなトラブルに発展したケースも報告されています。

  • 不正確な診断
  • 診断、検査指示の遅れや重複
  • 誤薬
  • 入院期間の延長
  • 院内合併症
  • 患者満足の低下

責任のある申し送りができれば、救急の医療過誤の約1/3は回避できるということになります。このようなトラブルが起きないために、申し送りをする際は、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか?

申し送り項目

的確に申し送りをするためにつくられた「I-PASS」をご存知ですか?

これは米国のマサチューセッツ総合病院でも使われている申し送りのフォーマットです。「I-PASS」を使用したことで、回避可能な医療過誤の約30%を削減したという調査データもあります。米国でも交代制のチームで看護する病棟では申し送りをとても重視していて、患者情報を共通認識するためにつくられました。

「I-PASS」の伝えるべきポイントは4項目プラス1項目です。この5つのポイントさえ押さえれば申し送りが苦手じゃなくなるかもしれません。次の担当者へ情報を迅速に正確に送るために、1~5のポイントを覚えましょう。

申し送りの項目
  1. 状態の目安:「安定」「要注意」「不安定」の3段階で評価
  2. 患者の概要:病状や経過状態
  3. To do:お願いしたい処置
  4. 状況、気づき、緊急時対応:本日の状況、予測できる変化と対応
  5. 次の担当者の復唱と質問

まずは、現状を即座に伝えるために、1.患者の状態を「安定」「要注意」「不安定」の3段階で表します。次に2.病状や経過状態についての説明をします。そのうえで3.で次の担当者にお願いしたい処置や観察のポイント、4.で本日の状況と予測できる変化と対応を伝えます。そして最後に次の担当者に復唱してもらい、わからないことを質問してもらいます。

復唱と質問で解釈の相違いも減り、より安全な看護を目指せるようになります。ある程度繰り返すことで慣れますから、繰り返し実践してみてください。

効果的な申し送りができない理由

申し送りの内容でもっとも重要なことは、3.To do(お願いしたい処置)と、4.状況、気づき、緊急時対応を具体的にすることです。次の担当者の視点に立つと、抜けている情報や不足している説明も浮かび上がってきます。それでもできない場合は、次のような実践を阻害する要因があるのかもしれません。

考える時間がない

作業に追われて勤務時間内に申し送りを考える余裕がないという場合。つい前回と同じ内容で伝えてしまうことありますよね。でも、きちんと変化を伝えないと新たなトラブルが発生し、ますます仕事が増える原因になる場合もあります。

決まったフォーマットがない場合は、下記のようなポイントを踏まえたメモなどをあらかじめつくっておけば、業務の合間に書き込むことができますね。

申し送りをスムーズにするコツ

ここまで報告項目について説明してきました。ここでは、もっと相手に伝わりやすくなるポイントを説明します。ちょっとしたコツで申し送りの内容がぐんとよくなります。

ハプニング順ではなく、項目ごとに話す

治療内容によっては、時系列での報告が必要な場合もありますが、通常は、「血圧」「浮腫」「サクション」などと項目ごとに説明した方が伝わりやすくなります。さらに重要度が高い事柄から伝えるとよいでしょう。

具体的な数字を使って伝えよう!

患者の様子を伝える場合、熱や血圧など具体的な数値で説明できる場合は数値を入れて説明します。例えば「午前は36.5度の平熱でしたが、夕方から発熱し、夕食前の検温では40度まで上がっていました」という具合にすると伝わりやすくなります。

エピソードは結論から言う

長い話をするときは結論を先に言います。その後に詳しい状態を説明します。こうすることで、引継ぎ者が情報を理解しやすくなります。また、1つの話にエピソードを2つも3つも入れがちですが、これもわかりにくくなる原因の一つとなります。

引用:永井涼子研究室サイト 研究『申し送り教材1』

申し送りは廃止の方向?

これまで、申し送り業務は看護ケアを継続的に行うため、また各シフトの看護師が情報を共有する手段として不可欠なことと考えられてきました。

しかし、昨今、申し送りの時間を短縮する医療機関が増えています。これはワークライフバランス推進の一環で、看護師の労働環境改善のための取り組みともいえそうです。

実際に、申し送り業務を廃止した病院の報告があります。それによると、申し送りを廃止しミニカンファレンスにしたことで、ベッドサイド業務の時間が増えて、看護師の時間外勤務時間が削減し、離職率が下がったという調査結果が出ました。

申し送り実施中の平成25年では平均33.1分の口頭での申し送りを実施していました。申し送り廃止後の平成29年には、平均9.2分のミニチームカンファレンスに変更しました。平均23.9分の時間短縮がありました。

引用:第57回全国国保地域医療学会研究発表『当院でのワークライフバランスの取り組み』矢掛町国民健康保険病院(平成29年9月20~21日)

では、申し送り業務を廃止した医療機関は、どのように情報の共有化を図っているのでしょうか。

その答えは電子カルテや、申し送りのフォーマット化です。電子カルテでは、特記事項を設けて必要な情報を入力し情報を共有。これにショートカンファレンスを併用して、申し送り業務がなくても情報の共有が可能になりつつあります。

平成29年度の厚生労働省調べでは、一般病棟の電子カルテの普及率は約45%、400床以上の大病院に至っては85%を超えています。クリニックなどの一般診療所でも約42%となっており、平成20年の調査と比較すると約3倍になっています。

電子カルテの普及で、今後ますます申し送りのあり方が変化していくのかもしれません。

出典:厚生労働省『医療施設調査・病院報告』 

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