[ 記事作成日時 : 2015年8月20日 ]
[ 最終更新日 : 2020年4月3日 ]

看護師の72時間ルールって何?夜勤の勤務時間や働き方の変化は?

夜勤の72時間ルール

看護師にとって、1カ月の夜勤時間のひとつの目安となっているのが、72時間。これは、看護師の夜勤時間を制限するために設けられた「72時間ルール」に基づいています。

そもそも、この「72時間ルール」はどうして生まれたのでしょうか? なぜ72時間なのでしょうか? このルールによって、看護師の夜間長時間労働は改善されたのでしょうか?  ここでは、「72時間ルール」について詳しく説明しましょう。

看護師の72時間ルールとは?

以前は、看護師の夜勤回数に制限は設けられていませんでしたが、負担軽減と安全な医療の提供を目的に2006年、「72時間ルール」が導入されました。

これは、「夜勤を行う看護師1人当たりの月平均夜勤時間数はを72時間未満とすること」というもので、これに違反した病院は、診療報酬の入院基本料が減算されるという処分が下されます。

夜勤に関する労働法制の整備が未だ不十分のため、2年に1回改訂される診療報酬によって、病院側にペナルティーが科されるようになったのです。しかし、その後、慢性的な看護師不足により夜勤ができる看護師の確保に苦しむ病院団体からの強い訴えにより、2016年の診療報酬改定でさらに変更しています。

変更前 変更後
看護師1人当たり1カ月 72時間以下の夜勤 72時間未満の夜勤
月平均の夜勤時間を算出 月当たり夜勤16時間以下の看護師は含まない 月当たり夜勤16時間未満の看護師は含まない
回復期・慢性期の病棟の場合 月平均の夜勤時間を算出する際は夜勤8時間以上の看護師も含む

夜勤が増えることで看護師が疲弊し、離職者の増加、さらなる人材不足の悪循環を懸念する日本看護協会の、強い求めもあり、72時間ルールは上記のような折衷案となりました。

看護師の夜勤「72時間ルール」はどう計算する?

1カ月の夜勤を72時間以内に収めようとすると、以下の計算となります。

3交代勤務の場合 72時間÷8時間=夜勤9回
2交代勤務の場合 72時間÷16時間=夜勤4.5回

病院によって、2交代だけ、3交代だけ、両方を織り交ぜてとシフトの組み方はさまざまなので一概に言えませんが、大体、上記の回数が1カ月の夜勤の目安となるでしょう。

しかし、この72時間ルールで問題なのが、夜勤時間の算出方法。「病院内で夜勤16時間以上の看護師(回復期・慢性期の病棟なら夜勤8時間以上の看護師も含む)」全員を対象とした夜勤の平均が72時間未満であれば、病院はペナルティーを受けないという点でしょう。

つまり、平均値で判断されるので、看護師によって夜勤時間・回数の偏りが生じてもわからないわけです。

看護師の夜勤「72時間ルール」2つの問題点

2016年の診療報酬改定により、回復期・慢性期の病棟(看護師1人につき患者が13人以上の場合など)なら、3交代制の準夜勤もしくは深夜勤を行った回数が月に1回(夜勤8時間以上)という看護師も夜勤要員に加えられることになりました。

少ない回数であれ夜勤要員が増えることで、看護師一人ひとりの負担軽減が期待されるはずですが、これには思わぬ落とし穴があります。場合によっては、夜勤負担が増加するかもしれません。

というのも、改定要件のなかに、看護師一人ひとりの夜勤時間数に上限を定める項目がないからです。

問題点1:夜勤時間・回数の偏りが生じる

例えば、それまで10人の看護師が毎月72時間の夜勤を行っていた病棟に、8時間夜勤を月に1回だけ行える看護師が2人加わったとします。

すると、増員されたことで1人当たりの平均夜勤時間数は約60時間に抑えられ、わずかながら夜勤回数を少なくすることができます。

しかし、新たに加わった看護師2人は、月に1回8時間の夜勤しかできないため、余った夜勤時間(72時間―8時間)×2人分=128時間分を病院は、ほかの看護師に夜勤回数を増やすよう依頼できるのです。

このように、夜勤看護師が増えることは、必ずしも夜勤時間や回数が減るとは限らないのです。

問題点2:夜勤を断りにくくなる

先程の例で、逆のケースを考えてみましょう。あなたは、月に1回8時間の夜勤しかしない条件で転職してきた看護師だとします。しかし、72時間の夜勤が可能な看護師10人のうち2人が他の病棟に異動や退職となった場合、その2人の夜勤分72時間×2人=144時間を、残りの108人でカバーしなければならない事態に陥ります。

すると、夜勤8時間のみが条件で転職したとしても、夜勤要員として配置されている以上、夜勤時間や回数の増加を断りにくくなるのではないでしょうか。

看護師1人当たりの夜勤上限時間が定められていないことで、病院側は、平均夜勤時間数が72時間を超えない限り、こういった人員配置を行うことが可能であり、夜勤時間の偏りとともに看護師の負担はさらに増す結果となります。

看護師の夜勤「72時間ルール」不公平な勤務の実態

日本看護協会「入院基本料の通則『看護職員の月平均夜勤時間72時間要件』について(2015年)」によると、全国2601病院を対象に調査したところ、看護師の夜勤時間の月平均は67.6時間。そのうち、64時間以下が37.2%、64時間~72時間以下が19.8%、72時間~80時間以下が16.7%、80時間超えが26.2%という結果になったそうです。

つまり、夜勤時間が少ない看護師が一番多い一方で、80時間超え、二交代制の夜勤を月に5回以上担当している看護師が4人に1人いるというわけです。72時間ルールで一定の制限を設けたものの、夜勤時間の二極化、偏りや不公平感は改善されていないようです。

また、中央社会保険医療協議会の「診療報酬改定結果検証部会の報告(2017年5月)」によると、看護師1人当たりの月平均夜勤回数を2015年10月と2016年10月で比較した場合、常勤看護師は、22交代・33交代ともに夜勤回数の変化は見られませんでした。

一方、非常勤看護師は、2交代夜勤が0.7~0.8回に増え、3交代の深夜勤が0.8~1.1回に増えている事実が明らかになっています。

この結果から、72時間ルールの変更に伴う対応策として、病院側が非常勤看護師の雇用に努めている様子がうかがえます。実際には、常勤看護師の負担は減っておらず、非常勤看護師の夜勤負担が増えているため、看護師全体の負担は減っていないと言わざるを得ません。

夜勤回数の増大に歯止めをかけることで、過重労働から看護師を守り、離職や医療事故を防ぐのが72時間ルールの最大の目的ですが、必ずしもその目的を果たせる内容ではないというのが現状です。

日本看護協会「2016年病院看護実態調査結果速報(2017年)」によると、夜勤が72時間を超えている看護師の割合が大きい病院ほど、離職率が高いという結果が出ています。

離職率の高さがさらなる離職者を生む悪循環を断ち切るためには、72時間ルールだけではなく、待遇改善などさまざまな角度からきめ細かな解決策を講じることが急務であるといえるでしょう。

3月は内定辞退や急な退職で追加募集が増える時期

4月入職予定者の内定辞退や家族の転勤や進学による引っ越し、転職を決めかねていたスタッフの退職の申し出などが多くなります。その為、予定人員が確保できなくなり急遽、追加募集をする医療機関が増える時期です。

また、3月末退職予定者が有給消化のため出勤しなくなり、実働スタッフ数が減るため3月中に入職できる看護師を探す職場も出てきます。「3月からでは、もう4月入職に間に合わない」「いい求人はもう残っていない」と考えるのは早計です。

まだまだ、新しい求人が看護師の転職サイトで非公開求人として紹介されます。転職サイトによって扱う求人情報が異なりますし情報が入る時期も違います。条件がいい求人を探している方は、複数の看護師転職サイトに登録して非公開求人情報が手に入りやすい状態にしておくといいですね。今すぐ登録しておけば、まだ4月入職にも十分間に合います。