[ 記事作成日時 : 2019年9月14日 ]
[ 最終更新日 : 2022年4月20日 ]

チーム医療で求められる看護職と多職種との連携や協働と看護師の役割

多職種連携が必要なチーム医療

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近年、医療現場では、医師や看護師、薬剤師などの多職種が連携する「チーム医療」が実践され、医療の主流となるといわれています。 そして、看護師は、その連携の中心的な役割を求められるようになっています。 多職種の連携が必要とされる理由や、看護師の役割を解説します。

      
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多職種連携とは?

多職種連携とはその名称のとおり、さまざまな職種の人が一つの目的のために連携をとりながら各自の役割を果たしていくことを指します。 そして、多職種(複数)のメディカルスタッフ(医療専門職)が連携して、治療やケアに当たることを「チーム医療」といいます。 多職種には、医師や看護師、薬剤師、理学療法士や医療ソーシャルワーカー、医療事務職員など、幅広い専門職種が含まれます。

さらに多職種連携は、医療施設内だけではなく、要介護高齢者の地域・在宅医療への取り組みにおいても必要不可欠となっています。 ですから、基本的には多職種連携は、「専門職が共有した目標に向けて共に働くこと」と定義されていますが、最近では、専門職には限りません。

例えば、高齢者の在宅医療の場合、医師や看護師、ケアマネジャーの他にも、民生委員、NPO法人の職員、地元の自治会などの地域支援者、ボランティア、社会福祉施設の職員なども挙げられます。

厚生労働省では平成21年から「チーム医療の推進に関する検討会」を開催し、 さらに平成22年には「チーム医療推進会議」を立ち上げていて、チーム医療を推進するための方策について取りまとめています。

出典:厚生労働省「チーム医療の推進について」

出典:厚生労働省「チーム医療推進会議」

さまざまなチーム医療とチームメンバー

チーム医療の種類

患者に対する適切な治療や、早期社会復帰への手助けを目的として、患者に合わせたチーム医療が行われます。実際に現場で行われているチーム医療を紹介します。

栄養サポートチーム

入院中の栄養不良の患者の栄養状態を観察し、食べられない原因を調べ、患者に合った食事や栄養を検討します。 医師、看護師、管理栄養士、薬剤師のほか、食事の嚥下機能の評価を行う言語聴覚士など各専門スタッフがチームを組みます。

緩和ケアチーム

がんの患者がその人らしく過ごせるように、鎮痛剤などの薬の使い方をはじめ、日常生活環境を整える工夫や支援を行います。

医師や看護師、薬剤師の他、患者やその家族の相談に対応する医療ソーシャルワーカーや、栄養を管理する管理栄養士、口腔衛生を管理をする歯科医師や歯科衛生士、患者の姿勢の調整やリラクゼーションに関わる作業療法士、心理面を支援する臨床心理士などが関わります。

褥瘡(じょくそう)管理チーム

寝たきりや車椅子の患者など、活動が少ない患者に、褥瘡の予防、改善、治療を行います。 医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師の他、本人や家族との情報共有を行う医療ソーシャルワーカー、車椅子などを提供する義肢装具士、車椅子やベッドの調整をする作業療法士、本人や家族に圧迫が少なくなるような体位変換の練習や指導を行う理学療法士などが加わります。

糖尿病チーム

糖尿病は合併症を引き起こす可能性があり、神経障害による壊疽(えそ)などのきっかけとなります。糖尿病の合併症と重症化の予防のためにチームで治療を行います。

医師や看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、作業療法士、理学療法士の他、糖尿病が歯周病を引き起こしたり、歯周病が糖尿病を悪化させたりすることがわかってきたために、歯科医師や歯科衛生士もスタッフに加わります。

感染症対策チーム

院内での感染予防に関する活動を行います。日常的な感染予防対策の評価をする他、職員への教育や指導を行ったり、感染症発生時の際のマニュアル作成を行ったりします。

医師や看護師、薬剤師の他に、間接的に感染を広げないように施設の感染対策マニュアルに従って、作業療法を実施する作業療法士や、医療機器の専門職として細菌感染に対する管理を行う臨床工学技士、薬剤耐性菌の検出状況をモニタリングする臨床検査技師も欠かせません。

呼吸ケアサポートチーム

人工呼吸器を装着している患者などの管理を行います。痰(たん)の除去、異物の吸入による誤嚥(ごえん)性肺炎の予防など、人工呼吸器による問題の発生を抑制し、対応に当たります。

医師や看護師、薬剤師の他、自宅での療養の相談に乗る医療ソーシャルワーカーや、食事・栄養などの提言をする管理栄養士、摂食や嚥下(えんげ)機能の訓練や指導を行う言語聴覚士、口腔状態の評価と口腔ケアを指導管理する歯科医師や歯科衛生士もメンバーとなります。

他に認知症ケアチームや、口腔ケアチーム、がん治療サポートチーム、医療機器安全管理チーム、救急医療チームなどがあります。

チーム医療の必要性と重要性

チーム医療が注目されてきたことには、おもに次の4つの理由があるといわれています。

医療が高度になって専門化が進み、それぞれの専門職が必要であること。

例えば医用工学の発展によって、さまざまな医療機器が使用されるようになったために、臨床工学技士(ME)が必要になったり、栄養学が発達したために専門的な知識や判断力が必要となり、管理栄養士が欠かせなくなったりしています。

高齢者が増えて、併存疾患が増えていること。

例えば糖尿病と肺疾患、乳ガンと大腿骨骨折など、1人の患者がいくつもの疾患を抱えているため、それぞれの治療とケアを連携して行う必要性が増しています。

入院期間が短くなっていること。

より短い期間で患者や家族と連絡を取りながら治療を進めていく必要があるため、スペシャリストが必要となっています。

要介護高齢者の地域・在宅医療への取り組みにおいて、医師や看護師だけでなく、地域との連携が重要となっています。

多職種連携の必要性については、世界保健機関(WHO)も1980年代から多職種連携やその教育に関する報告書を出しています。しかし当時はまだ注目されませんでした。

必要性が見直され始めたのは2000年代になってからのことで、WHOによる2010年の報告書では、多職種の連携の要員はおもに医療に携わる各専門職に加え、事業所の事務管理者から地域コミュニティーのリーダーやボランティアなどの支援者も含まれるとされています。

出典:松岡千代(2013)「多職種連携の新時代に向けて:実践・研究・教育の課題と展望」『リハビリテーション連携科学』14(2)、181-194. WHO(2010) Framework for action on interprofessional education and collaborative practice.

多職種連携での看護師の役割

チーム医療は、それぞれが専門職ですから、それぞれに見解の相違や専門があり、連携が難しいこともあります。そのような中で、看護師の役割を考えてみます。

看護師の立ち位置

なぜ、看護師がチーム医療の中心的存在なのかというと、それは最初から最後まで常に患者に関わるのは看護師だけ、ということでしょう。 医師も最初から最後まで関わっていますが、医師が関わるのは、診療だけです。

看護師の仕事は診療補助と療養の世話が中心であり、療養の世話は看護師がメインとなって行います。 いわば、医師も他のメンバーも、点でしか関わらないのです。 だからこそ、情報共有が大切であり、常に関わっている看護師が中心的役割を担うことになります。

そして患者と関わりが深い看護師は、患者にもっとも近い位置にある存在であり、さらに看護師は患者の権利を守る人でもあるともいわれます。(看護アドボカシー(権利擁護や弁護をすること)の概念)

出典:公益社団法人日本看護協会「臨床倫理のアプローチ」

看護師に必要とされるスキル

多職種連携で看護師に必要とされるのは、基本的にはこの2つです。

  • 看護師としての専門の知識
  • 基本的なコミュニケーション能力

1つ目は専門職としてのテクニカルスキルです。 2つ目は、コミュニケーションスキルです。社会人として必要なスキルと同じともいえます。 チーム医療で大切なのは情報共有です。 とにかく「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」といわれる基本をしっかり行いましょう。 挨拶を欠かさず、日頃から、良好なコミュニケーションをとっておくことも大切です。

そして、それぞれの専門職のメンバーがしていることの目的や内容を知ること。「どのような薬なのか」「どのような効果があってやっていることなのか」を理解するようにします。 そして、相手は専門家なのですから、わからないことは聞きましょう。 患者の治療を進めていくうえで必要ですし、自分のこれからのスキルアップにも役立ちます。

めったにありませんが、メディカルスタッフでも職種や施設によって、同じ言葉や略語でも、違う意味で使われることがあります。略語に関しては、医療事故につながるリスクもあるため疑問に感じたら言葉や略語の意味を確かめ、自分も略語やわかりにくい言葉を使わないようにします。 メディカルスタッフ以外との多職種連携では、同じ言葉が違う意味で使われることがあるので、気をつけたいものです。

問題点や課題

日本看護協会のHP「多職種連携と倫理」の中でも、「日々の現場で看護職が思い悩むこととして、多職種の間で意見が一致せず、何をするべきかわからなくなることも多い」と指摘があるように、看護師が多職種連携の中で、思い悩むことも多くあります。

出典:日本看護協会「多職種連携と倫理」

チーム医療といっても、医師以外の専門職が「医師と同等の立場で連携する」ことは、なかなか難しいといえます。これは看護師の立場では、解決しづらい問題だといえるでしょう。

ただ、医師が他の専門職の意見を聞くことがチーム医療の本来のあり方です。問題があると考えたときは、看護師の立場としてはっきり伝えたいものです。もし直接医師に言いにくいときは、リーダーの看護師などに伝えてもらいましょう。

職業別のコミュニケーションのポイントとは

多職種連携のメンバーの仕事の内容と、コミュニケーションの取り方のポイントを紹介します。

薬剤師

薬物を「処方」するのは医師で、「調剤」するのが薬剤師です。医師や看護師との協働で継続的に患者のモニタリングをします。薬剤師には患者の状態を細かく報告するとともに、投与後の変化についてはしっかり情報共有します。また、患者に投与している薬については、内容をしっかり確認しておくことも大切です。

管理栄養士

患者の食事に関しての適切な栄養管理を行います。 食べることは患者にとって非常に重要なことなので、早期からチームに管理栄養士が加わることは、患者の病状改善に大いに役立ちます。

また、退院後の自宅などでの食事や栄養の摂取についての指導を行います。管理栄養士には、患者の食事のようすなどを詳しく伝え、手術などの治療の予定なども伝えて、治療や病態に合わせた食形態や必要な栄養素が充足する食事メニューをつくってもらいます。

臨床工学技士

人工呼吸器や PCPS、CHDF、シリンジポンプなど生命維持の管理装置の安全な利用管理を実施します。常時使用できるためのメンテナンスや事前準備など機器管理全般や安全手順の作成をします。また看護師や患者本人、家族など使用者に対して教育などを行います。

医療現場には次々と新しい機器が入ってきます。機器の扱いについては臨床工学技士にしっかり確認し、わからないことは臨床工学技士に確かめます。中小の病院では看護師が扱わなければならない機器も多くなるので、臨床工学技士とは日頃からコミュニケーションはしっかりとっておきたいものです。

理学療法士

活動性の低下に伴う廃用症候群の予防や運動機能の改善を目指し、障害の集中的改善を図ります。整形外科だけでなく、全ての患者にとってリハビリは重要です。患者の体の動かし方については、しっかり確認しておきます。

言語聴覚士

集中治療管理に付随する嚥下困難に対し、摂食・嚥下の評価・訓練を行います。看護にも役立つスキルです。患者の呼吸や食事のようすを詳しく伝えます。

臨床心理士

臨床心理学など心理学の知識や諸技法を活かし、専門的に心理支援を行う心理専門職者。患者のつらい気持ちに寄り添い、これからのことを患者や家族とともに考えていきます。 臨床心理士には、患者の気持ちの変化や家族とのやりとりなどを詳しく伝え、患者の気持ちへの接し方について心理専門職者ならではのアドバイスの方法も聞きましょう。

医療ソーシャルワーカー

病院や診療所、老人保健施設など保健医療機関において、社会福祉の立場から患者やその家族が抱える経済的・心理的・社会的問題の解決や調整を援助して、社会復帰の促進を図る業務を行います。

医療ソーシャルワーカーは、おもに患者が退院後に社会的な生活が送れるようにサポートを行うので、患者の心身の状況のみならず、サポート体制について情報を共有する必要があります。家族背景や回復状況、心理状況の詳細を伝えます。

まとめ

医療が高度化し、在宅医療も増えた昨今は、チーム医療は欠かせないものとなっています。 看護師はチーム医療の中心的な存在の役割を任されますが、看護師としてのスキルを磨きながら、多職種との連絡調整を行うのは大変なことでしょう。

日本人は対立が苦手であり、対立や考えの違いが表面化しそうになると、自分の意見を飲み込んでしまいがちです。また、意見を言うと、空気が読めないと言われることもありますから、権威のある人や声の大きい人には黙ってしまう傾向があります。しかし、問題が起こって不利益を被るのは患者であることを心に留めておきたいものです。

参考資料

看護師職能委員会「『看護職と他職種との連携・協働、役割分担』『外来看護職の在宅療養支援の取組み』についてのアンケート結果」平成29年11月20日

公益社団法人全日本病院協会「チーム医療」

 チーム医療推進方策検討ワーキンググループ (チーム医療推進会議)
「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集」
平成23年6月

横浜市立大学 勝山 貴美子「看護職のチーム医療における協働と自律性 ―歴史的背景と調査結果からの考察― Nurses’ Attitudes toward Collaboration and Autonomy in Interdisciplinary Care: From the History of Nursing and Interviews with Medical Staff」

公益社団法人日本看護協会 看護実践情報「多職種連携と倫理」

チーム医療推進協議会「チーム医療とは」

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