[ 記事作成日時 : 2018年6月7日 ]
[ 最終更新日 : 2020年1月24日 ]

【看護師つらい...】新人の辛さの原因4種類と具体的な乗り越え方

看護師に向いていない

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辛さに追い詰められて今の仕事を辞めたい、逃れたいという密かに悩んでいる看護師はあなただけではありません。看護師という職種は人の命にかかわるという重責が大きく、また作業の種類も多岐にわたり常に多忙を極めます。余裕のなさから気持ちが落ち込みがちになるのも無理はないのです。辛さのあまり、ご自分を責めてしまってはいないでしょうか。
今は、「自分だけがきちんと仕事ができていない」、「こんな風に感じるのは甘えがあるから」、「辞めたいけれど先を考えると怖い」などさまざまな感情に苛まれている状態かもしれません。
そうした状況の中では、辛さが複合的に重なり合い、自分では何が原因なのかよくわからなくなってしまうこともしばしばです。しかし辛さには必ず大元となる原因があります。看護師の辛さの原因は、主に人間関係、スキル、責任、職場環境などがあげられます。
ひとつひとつを解き明かし、それぞれの対策を考えることで少しずつ辛さが軽くなることもあります。まずは自分の辛さの原因を、理解することから始めていましょう。

      
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人間関係が原因の辛さ

人間関係は全職種の離職理由でも、常に上位を占めています。
人間関係とは相手がいるからこそ発生する問題であり、誰かひとりの責任ではありません

それぞれに違う意見や視点があるからこそ、ぶつかり合ってしまうわけですが一方的に自分が悪いと思い詰めても、また相手のせいだけにしていても解決には結びつきません。

人間関係に悩んだ他の看護師の例を見ながら、解決策を探っていきましょう。

人間関係の体験談

たった1人のパート勤務で仕事が山積みに

常勤者の中でパートは1人、いつも下に見られ、スケジュールは自分だけいつもいっぱいという状態でした。

ナースコールが鳴っても常勤の看護師は対応せず、仕事を振り分けるようにお願いしても聞き入れてもらえません。多忙と精神的なストレスで体重が10kgも落ちました。

転職を決めてからは、気持ちが楽になり健康も取り戻しました。楽しく仕事ができないと、自分の健康を損ねることになります。

上司にもよりますが、対策をとってくれないようであれば仕事を変えて構わないと思います。

2年目で急に周囲の態度が変わり、孤立

新人のときにはプリセプターや師長に支えてもらい、大変感謝していました。ところが2年目になると、特に5年目以上の先輩たちから厳しく当たられるようになり、仕事や仕事以外のことまで非難されました。

やがて他の年次の先輩たちにも次第に影響が及び、いじめのような状態となって何をやっても嫌味しかいわれません。

精神的な苦痛から体重が落ち、仕事中に過換気を起こしてしまったため、限界を感じて師長に退職を申し出ましたが認めてもらえませんでした。

看護部長に直訴したところ、主任やその他の先輩たちは新病棟へ異動となりました。

人間関係が何をしてもうまくいかないときには、自分が動くしかありません。

退職もアリですが、上司にすべてを打ち明けてみるのも一つの方法だと思います。

先輩のいじめで転職 転職先では医師によるいじめ

最初は透析クリニックで2度いじめに遭いました。

2回とも男性の准看護師で無視をされたり、ミスをなすりつけられたり、病気で手術が必要といっても仮病呼ばわりされたりしました。

どちらも同じ系列のクリニックだったため、そちらを辞めて転職したのですが、今度は医師にさんざんケチをつけられ、辞めろと言われ続けました。

その医師のせいで看護師が次々と変わっていたようで、納得しました。

現在の職場に移ってからは、和気あいあいとした雰囲気で楽しく仕事ができています。あれだけ人間関係に振り回されたのがウソのようです。

あきらめずに探せばきっと自分に合った職場が見つかります。無理はしないで、自分を大事にした方が良いと思います。

威圧的な先輩の態度に委縮しミス連発

見習い時から組んでいた先輩看護師が威圧的で、すべてにダメ出しをされ続けていました。

委縮してしまい、なおさらミスを連発しては落ち込む毎日で、1ヶ月で10kgも体重が落ちました。

自分には向いていないのではないかと考えて、師長に相談しましたが、そのたびに思い直すよう諭されました。親にも退職を反対されており、また奨学金のこともあって辞めずになんとか乗り切りました。

精神的に不安定にはなりましたが、仕事を辞めるほどではなかったのだと思います。ひとりで悩まずに、いろいろな人に相談して頼ればかなり気が楽になり、頑張れることもあります。

人間関係の解説

人間関係は看護師としての職務を正しく務めるための大きなポイントとなります。

精神的に疲れてしまい、大切な患者さんに対しての対応がうまくできなかったり、大きなミスにつながったりするようではプロとしての役目が果たせなくなります。

そうなる前に何としても、問題を改善しなければなりません。

徒党を組んで子どものいじめのような態度をとるような先輩や同僚がいる場合には、上司に相談するのが近道です。

業務に支障があるようであれば、部署替えをしてもらうなどの対策が必要です。

悪口やお小言程度で実害がないのであれば、気にすることはありません。

人に対して意味のない悪口雑言を吐く人は、自分自身が満たされていないだけです。

「可哀そうな人がまた八つ当たりしてる」くらいに受け止めておけば良いのです。

要は「意地悪と指導の切り分け」を冷静に行っていくことが大切です。

厳しいことばでも、看護師としての成長につながるのであればそれは辛いことではなく、ありがたいことです。

注意したり叱ったりするということは、相手の成長に対して期待があるからです。

ただし一方的な暴言であれば、我慢することはありません。

人間性を否定されたり、前述の医師のように辞めろといったりするのはパワハラの範疇になります。

上司や経営側に直接訴えてみて改善がされなければ、転職するという手段もあります。仕事でミスをするのは誰でもあることです。そのミスが次のステップにつながるようにするのが、上に立つものの役割です。

委縮させて恐怖心を与えるままでは、上司や先輩を名乗る資格はありません。

そうしたことがくり返される職場ならば、退職を考えても仕方がないと割り切りましょう。

人間関係の解決策

自分の努力なしには、人間関係の改善はあり得ません。現状を少しでも変えるために、今すぐできることはないでしょうか。
  • 出来事を書き留める
  • 意味を考える習慣をつける
  • 相談者をもつ
  • 相手を認める
  • ことばの表面よりも内容を見る

人間関係に悩んだら、日々の出来事を書き留めることをおすすめします。

まとまった時間が取れないならば、その場で小さなメモにでも書きつけておくようにします。

ただし後で必ず日時を入れるなど、整理をしてください。

書くことで事実について冷静に判断できるようになり、意地悪やいじめなのか、厳しい指導なのかがわかるようになります。

何かいわれたことについて、それがどのように作用するのか、まったく意味ないことなのか考える習慣もつきます。

また万が一のときには、パワハラを訴えるための証拠にもなります。

人間関係の辛さを回復させるのは、同じ人間です。温かく見守り、アドバイスがもらえる相談者を確保しておきましょう。ただ同調するだけの人よりも、違った角度から見方を教えてくれる人が最適です。

どれほどイヤな相手であっても、先輩や上司にはそれなりの知識と経験があります。

性格や人間性はともかく、尊敬できる点、自分よりも優れている点を認める努力をしていきましょう。

人間的には嫌いでも、看護師としてはスゴイと思えれば、きつい言われ方をしても納得できるようになるかもしれません。

無理に好きになる必要はなく、相手の一部分を認めるだけで良いのです。

厳しいことばで叱責されると、その厳しさばかりが心に残ります。しかしそれだけ強く言われたということは、看護師にとってよほど重要なポイントなのかもしれません。

ことばの強烈さや感情的な部分にとらわれず、その内容に注目していきましょう。相手があなたに怒ったのではなく、あなたの「行動に対して」憤りを感じたのだとすれば、以後の自分の行動を変えるチャンスとなります。

スキルが原因の辛さ

看護師の資格を得て、前途洋々、理想をかかげて仕事を始めたはずなのに…自分の仕事のできなさに焦りばかりが募る毎日。

それでは辛くなってしまうのもわかります。看護師は知識も重要ですが、もっとも頼りになるのは自身の経験です。

どんな素晴らしい看護師も必ず新人の時代があり、失敗を重ねてきているはずです。

時が経てば解決できることは多いのですが、それでも今の辛さを解消しなければ、この先仕事を続けていける自信がもてないのかもしれません。

スキル不足で自分を責め、辛くなっているときには、どのような解決手段があるのでしょうか。

看護師として成長していくための、勉強方法について探っていきましょう。

スキルが原因の辛さ

ノートを埋めれば良いわけではない

同期に負けないくらい自己学習をしていたつもりでしたが、プリセプターに言葉の意味を問われて初めて理解せずにノートを埋めていたことに気づかされました。

難しい言葉や新しい言葉を真に理解せずにノートに書き写しても、それは学んだことにはなりません。

それからはひとつひとつのテーマに時間をかけて向き合うようにしました。元々要領の良い方ではなかったのですが、理解できない勉強で時間をムダにするよりはずっと意味のあることだと考えています。

時間をかけてでも確認を

一番の新人だったので、とにかく準備を早くしなければ、といつも焦って業務をしていました。

しかしマニュアルを見ていたはずなのに、最終確認ができておらずミスを指摘されることもありました。

その時、新人のうちは時間をかけても許されるのだから、しっかり確認をしながら行うようにと先輩から言われ、肩の力が抜けました。

それからは落ち着いてマニュアルに従い、手早くすることを心がけつつも確認を忘れずに業務に取り組むようになりました。

事前準備の大切さ

クリニックから総合病院に転職しました。クリニックでは始業ギリギリに出勤していましたが、新しい職場の先輩たちは皆30分前に来ていました。

夜勤の邪魔になるのではないかと考えて、自分は時間通りに出勤していましたが、あるとき先輩たちが早く来ているのはカルテを事前に確認し、病棟の患者さんたちとコミュニケーションを取るためだということに気づきました。

それからは自分も同じように30分早く出て、夜勤帯の看護内容を確認したり患者さんから体調を聞いたりするようになりました。すると始業前に状況把握ができているため、業務がスムーズに行えるようになりました。

全体像から計画を立てる

自分なりに次に受け持つ患者さんの看護観察についてのノートをつくり、タイムスケジュールの作成などもしていました。

ある日先輩に「なぜ事前に患者さんのことを伝えているのかわかっているか」と聞かれ、自分の勉強が間違っているのではないかと気づきました。

ただ観察項目を調べていただけで、患者さんの生活や全体像をとらえていなかったのです。それからは患者さん自身を見るようにしながら、その人に合わせて看護計画を立てるようにしました。

調べても理解できなかったことを先輩に質問するようにしたことで、学習姿勢も認めてもらえるようになりました。

目的と意味の重要性

看護師になりたてのときは、とにかく手順や器具について覚えることに必死で、先輩に教えてもらったことを覚えることに集中していました。

2年目になって独り立ちした頃に、先輩から作業の意味を聞かれ答えられないことに愕然としました。

手順や器具の扱いを覚えるだけで、目的や意味が理解できていなかったのです。

それからは業務ひとつひとつの意義について都度考えるようになり、それまで機械的に行っていた作業の目的やつながりが理解できるようになりました。

。併せて患者さんに合った方法での看護を考えながら、日々の業務に向き合えるようになりました。

スキルの解説

体験談を見ると、誰しも新人の頃は目の前の業務に慣れ、こなすのに精一杯であることが良くわかります。

最初からすべてを理解し、把握できる人はいません。失敗からステップアップしようとする姿勢こそが、成長を促します。

スキルを向上させられる看護師に共通しているのは、先輩からのことばを素直に受け止め、その意味を深く考えようとする姿勢です。

自分のやり方に固執せず、何が違っているのか、自分に求められているものは何かを、必死で考えています。

そこから見つけ出した答えを基にして、次にやるべき具体的な行動に移しています。

真面目な看護師ほど、自分なりの勉強が成果に結びつかないことで思い悩みます。

しかしそれは本人が悪いのではなく、方向がずれているだけです。才能や適性の問題ではなく、まだ「知らないだけ」なのです。

その部分に気づき、うまく受け止められれば、先輩や上司の言葉が大きな転機となり、状況を好転させられるはずです。

人は誰も自分が間違っているとは考えたくありません。しかし、うまくいかないのであれば、それはどこかが違っているということです。

自分は一所懸命でも、力の入れ方が違えば空回りしたり、とんでもない方向に進んだりしてしまいます。

必死でいるときに誰かに何か言われると落ち込んだり、腹を立てたりするかもしれません。ひと呼吸おいて冷静になったとき、その腹立たしい一言に大きなヒントが隠されているのに気づかされることもあります。

看護師として一人前になっていく過程においては、自分の勉強法に疑いをもって見られる柔軟性も大切です。焦らず、自分を責めず、他者の意見を参考にしながら、自分なりのスキルアップを日々重ねていきたいものです。

スキルの解決策

スキルの高い看護師は、限られた時間を効率よく利用する習慣が身に付いています。就業時間後は待ったなしで押し寄せる業務をさばくのに手いっぱいとなり、ゆっくりと考えている暇もなくなります。

そこで重要となるのが、就業前の情報収集の時間です。ここをうまく使いこなせるかどうかが、看護師としてのレベル向上のポイントのひとつといえます。

優秀な看護師は1回のラウンドで読み取る情報の量が多いものです。単に規定のバイタルチェックと観察項目だけで、済ませてはいません。

ラウンドを有効に活用するためには、事前に患者さんの状態を把握し、次にどのような情報が必要となるのかを頭に入れておきます。

例えば退院が近い患者については在宅療養に関する情報を確認する、いつもと違う薬が投与されている患者は副作用についての観察を強化するなど、担当する病棟について就業前にチェックすることで以後の治療や看護につなげられます。

忙しい看護師にとっては、段取りが何よりも重要です。ラウンドについての時間配分、優先順位、回る順番を決定することはもちろん、入院患者の受け入れなども考慮したタイムスケジュールを組んでおかなければなりません。

突発的な出来事の発生に備え、優先順位を決めておくことを就業前の情報収集時に習慣づけると、冷静な対処に結びつきます。

ラウンドの順番決めでは、患者の検査や外来診療スケジュールを確認し、予定とかぶらないように配慮していきます。

同じ業務でも漠然と行えばミスや二度手間など、不具合が発生しやすくなります。就業前の時間を有効に使い、綿密な情報収集を行うことで業務の進め方に大きな違いが出てきます。

責任が原因の辛さ

看護師がほかの職業とまったく異なるのは、人間のもっとも決定的な瞬間に立ち会う場面が日常的にあることでしょう。

現代社会の中で人の死に頻繁に触れるという仕事は、医療関連以外にはありません。そうした意味で、看護師はひとつの職業でありながら、非常に特殊です。

数多くの死と向き合う中で自信を失ったり、自らを責めてしまったりする看護師も少なくありません。死を扱う重圧に耐えきれず、看護師という仕事から離れようと思い悩む人もいるでしょう。

看護師が感じる重い責任について、どのように対処していけば良いのかを考えます。

命を扱う責任の体験談

耐え難い重圧は責任の証

緊急性の高い急性期医療施設で働いていました。重症度の高い患者さんを担当するたびに、少しの観察ミスや異変を見逃すことで命を落とされるのではないかと重圧に苦しんでいました。

同期や先輩と話すことで自分だけが苦しいのではなく、誰もが通る道であることに気づきました。

また人の命を預かる以上は、重圧や責任がなければ守れないと思うようになりました。

誰もが看られるものではなく自分だからこそできるというように考えることで、患者さん1人1人、またそのご家族に出会えた意味を感じながら働けるように変わってきました。

重圧を感じるということは、それだけ看護師という仕事に責任を持って働いてるからだと思います。辛いときには少し視点を変え、誇りをもって働いてください。

緩和医療科で多くの死と向き合う

緩和医療で患者さんの死を何度も体験しているうちに、自分の看護・ケアは正しかったのか、自分の看護・ケアのせいで死期が早まったのではないか、という思いが多くありました。

また、さまざまなご家族事情を間の当たりにし、自分の仕事の意味を問い直すこともありました。

旅立たれた患者さんのことを思うとつらい気持ちになる場面もありましたが、色々な事情があっても最後にはご家族から「いつもよくしていただいてありがとうございました」と感謝されると、自分のケアは良かったのかもしれないと思えたりしました。

ポジティブな思考ではありますが、ご家族の温かい言葉で「こうして感謝してくださる方がいる。もう少し頑張ってみよう」と思い、乗り越えていられるように感じます。

先輩の叱咤で目が覚めた

急性期の病棟だったので、毎日のように患者さんがお亡くなりになりました。

自分の受け持ちの患者さんや、夜勤帯で患者さんが急変し亡くなったりすると、自分が看護師として未熟者だからではないだろうか、他の看護師が担当だったらこの患者さんは死なずに済んだんじゃないだろうかと悩むようになりました。

そんなとき先輩が「そんな事で悩んでいたらこの先看護師として働いていけないよ。自分のせいなんて、思い上がりもいいとこだよ!患者さんに失礼だからね。」と叱咤してくれました。

そこから意識が少しずつ変わりました。人の死を悼むのは人間として当たり前のことです。そして、看護師として最後まで何をしてあげられるのかを優先できるようになりました。

自分のせいで亡くなったと考えるより、自分にはどこまでしてあげられるのかと考えるようにしています。

命を扱う責任の解説

死に接することが多い現場では、どんな看護師でも重い責任を感じています。その重圧に負けそうになっても、人間としては当たり前です。責任を重く感じれば感じるだけ、真摯に仕事に向き合っている証ともいえます。

看護師だからこそそうした患者や家族によりそい、精一杯最後まで生きる手助けができるはずです。

一方で、死に対しての感覚が次第に麻痺してくることに、罪悪感をもつ看護師もいます。職業的な観点からいえば、死に遭遇するたびに精神的に疲弊していたのでは、適切な業務ができなくなります。

患者の死に対峙するのは、看護師の宿命であり、看護師という職業の根源的な部分でもあります。

人の死はどのような手を尽くしても、誰かによって止められるものではありません。看護師はひとつの人生を最終的な局面でサポートする役割を担います。

体験談の中でもそれぞれの看護師は人の死を目の当たりにしてその責任を自分で引き受けようとし、悩み、苦しんだ経験を語っています。

しかしやがて自分のせいと考えること自体が誤りであることに気づき、患者のために何ができるかという視点へと変わっていきました。

看護師は自分の業務についての責任を負いますが、それは患者の死への責任ということではありません。為すべきことを行い、尊厳をもって患者を扱うことこそ、看護師の責任であるといえます。

命を扱う責任の解決策

責任の辛さを克服した看護師は皆、「ひとりで悩まないこと」をアドバイスしています。

責任感がある人ほど、辛さも強く感じます。ひとりで悩みを抱えていると出口のない状態に陥り、看護師として続けていくことをあきらめてしまいかねません。

しかしそうして看護師を辞めてしまっても、今後は解決できずに逃げ出してしまったという思いに苛まれる可能性もあります。

責任が原因の辛さを抱える看護師は、それだけ看護師としての在り方を真面目にとらえているということです。

重責を感じるのは、命に対しての責任を真正面から引き受けてしまっているからでしょう。

この辛さを知るのは、同じ看護師以外にいません。

同僚や先輩看護師に心の思いを打ち明けてみるのが、もっとも状況改善の近道です。

話をしたからといって即、すべての辛さが解消されるわけではありませんが、気持ちを理解してくれる相手がいるだけで心が軽くなります。

気持ちが落ち着いたら、視点を変える努力をしてみてください。看護師といっても、一人の人間に過ぎません。神ではない自分にできることは限られています。それを十分に理解した上で、それではやるべきこと、できることは何かを最初から考えていきます。

例え非力であっても、プロの看護師としてできることはたくさんあります。患者ひとりひとりの人生が違うように、看護師もまたひとりの個人です。

看護のプロとして、また一個人として患者とどう関わるかを真剣に考えて業務に向き合えば、辛さは和らいでいきます。

やり切れなさが原因の辛さ

避けられない死を前にした患者に対して、偽りのことばをかけなければならない。

日に日に弱っていく患者に対して回復の見込みがないにも関わらず、辛い処置をしなければならない。

そうした看護師の仕事をやり切れなく感じ、辛さを抱えるケースも多く聞かれます。

仕方のないことと割り切ってしまおうとすることも辛く、そうかといって何もできない自分が悔しいなど、気持ちの板挟みになっている看護師もいます。

いつも笑顔を心がけ表面上の平常を保っている裏で、葛藤を抱え、やり切れなさでいっぱいになってしまう。

そんなときには、どうやって切り抜けていけば良いのでしょうか。

やり切れない思いをした看護師の体験談から、ヒントを考えていきます。

体験談

終末期の患者に自分だからこそできること

受け持ちの70代のがん患者さんは術後の経過もよく、もう少しで退院というところでがんが再発し、既往の糖尿病も悪化して終末期の緩和病棟に移されることになりました。

家族に頼まれ、本人には治療後戻って来られると伝えましたがやり切れなさでいっぱいでした。

自分では何一つしてあげられないことに落ち込んでいた時、先輩から「担当看護師である以上、患者さんの看護に責任を持ちなさい」と言葉をかけられました。

それからは終末期の患者さんだからこそ、精神面のケアや身体面のケアなど、担当看護師だからこそ出来ることはたくさんあると考えられるようになりました。

ひきずらない工夫を

急性期であったため、患者様の病気も重症度が高く、頻繁に急変が起こり、亡くなる方も多い環境でした。

当たり前のように、昨日生きていた方が亡くなる世界で、頭では理解しつつも心が追い付かず、やるせない思いを抱えながら、他の患者様には笑顔で対応する日々に戸惑っていました。

そんなとき先輩から患者に対して「可哀そう」「気の毒」といった憐みの感情を持っては平等な看護はできないと教えられました。

重症度は異なっても、闘病していることは同じなので、差をつけず、気持ちを入れこまないようにすることも看護師として大事なことだと思います。

仕事の時は120パーセント患者様に集中しますが、勤務が終えたときは、一切考えず、引きずらないことを大切にしました。

流れ作業にならないように心を込めた看護を

大学病院の産科で仕事をしていました。経過が良くない妊婦さんや障害のある赤ちゃんが多く、死産も月に何件かあり、それに慣れてしまった自分が恐ろしかったです。

自分より後輩が影で涙しているのを見ると、とても心苦しく感じました。

人員不足で看護師長もフルで看護していた時に、ある死産の妊婦さんの部屋で看護師長が夜中に手を握り背中をさすってあげてるのを見ました。

そのときに、仕事に追われ時間がないのは自分であって患者さんには全く無関係であることに気づきました。

看護をミスなくするだけではなく、患者と寄り添わなければ看護師ではありません。

流れ作業で処置をせず、声掛けをしながら患者さんの目線に立つように心がけるようになりました。

寄り添うだけでも看護

化学療法で入院してきた患者さんが副作用でどんどん体力が失くなり、弱っていく姿や最期はモルヒネ鎮痛剤で亡くなっていく様子に、何もできない自分にやるせない気持ちでいっぱいでした。

何人もの患者さんが同じような経過を辿り、本当にこの治療でいいのかと疑問を感じたこともあります。

先輩看護師に相談したり、医師に治療方針を確認したりしながら、ご家族から患者さんの元気だった頃の生活や性格、嗜好を聞いて看護に活かそうと考えるようになりました。

残りの時間をどのように過ごすかを支えるのも、看護師の仕事です。

何かをすることだけが看護ではなく、話を傾聴して今患者さんが何を望んでいるのか察知していく。

寄り添うだけでも看護なんだと分かったら少し肩の力が抜けた気がします。

やり切れなさの解説

自分が何もできないという無力感が、やり切れなさを肥大させていきます。

看護師である以上、「何かをしてあげなければならない」と考えるのは当然です。

しかし、特に末期医療にたずさわる看護師の場合、有効な治療や処置を施せる可能性はあまり残されていません。

静かに見守り、ときに励ますというような精神的な役割が大きくなります。

だまって見ていることほど、強さを求められる場面はありません。

先のない患者とその家族にとっては、近くに寄り添いことばをかけてくれる看護師の存在こそが何よりも救いとなります。

何もできない、ではなく何をしてあげられるのかを必死に考えることが、自分のやり切れなさを和らげる随一の方法なのかもしれません。

体験談の中の看護師たちも、何もできないという嘆きを乗り越え、今なにができるかに視点を切り替えることで辛さを脱却しています。

やり切れなさの解決策

やり切れなさからの辛さを軽減するためには、誰かに気持ちを聞いてもらうことが最も有効です。

どんなときにもっとも辛く感じるのか、具体的に言葉にするだけでも楽になります。

同じ境遇にある看護師や先輩に、どのように辛さを乗り越えてきたのか尋ねてみると良いでしょう。

担当の患者に対しては「可哀そうな人」ではなく、それまで元気に人生を歩んできた一個人として尊重することを心がけます。家族に生活や性格、人となり、エピソードを聞き、患者の人間性を理解していきます。

最後までひとりの人間として向き合うことが、看護師としての役目であることに気づけば、人生の終わりに何をしてあげられるのかに集中できます。

人が死に向かう過程を見つめ続けるのは、やり切れなく辛いことです。

その感情を持つことは、決して看護師としてマイナスではありません。

その辛さがあるからこそ、ひとりひとりの患者が与えてくれた経験を活かし、看護師として成長していけるはずです。

病院体制が原因の辛さ

どのような職種でも職場に対して、多少の不満はあるものです。看護師だからといって、それに変わりはありません。

環境が原因で辛さを感じているときには、看護師個人ではなく病院の在り方に問題があることも考えられます。

場合によっては致命的な問題ともいえるかもしれません。健康と命を預かる病院で、ずさんな体制をそのままにしているようでは、医療機関としての存在が危ぶまれます。

病院の体制で問題点がある場合、次の3つの要因のいずれかに関連することが多いようです。

  • 教育体制
  • 倫理観の欠如
  • 安全管理

教育体制の整備は現場で働く看護師にとって、職場選びのポイントとなるほど重要な問題です。

役割がはっきりしていないことにより、新人の教育に対する1人1人の当事者意識が弱いと、新人看護師はいつまでたっても戦力となるほどまでに成長できません。

看護師としてしっかり育て上げる体制をもった病院では、看護師のチームワークが良く、技術面でも安定した看護が期待できます。

適切な看護を行う上でのガイドラインである看護師網領にしたがって看護師教育がなされているかが、病院の在り方を大きく左右します。

現代の医療施設の質を問うときに、信頼性の要となるのが倫理観です。

「医は仁術なり」という言葉があるように、人を救うのが本来の医療です。

金儲けや効率性が先にあり、患者さん優先の看護が行われていない病院も少なくありません。

体面や評判を落としたくないために、自分たちの都合を押し付けてしまっている例も多く見られます。

ひとりの看護師としては先輩の理不尽な言葉よりも、看護者の倫理網領に載っている倫理観を行動の軸とする気概が求められます。

規模の大小に関わらず、安全管理は医療施設の基本です。

インシデントレポートが適切に利用されておらず、患者さんに危険な処置をし得る要因を排除する努力がされていない施設には常に医療事故の危険性が潜みます。

安全管理部門が設置され、日常的に機能している病院であれば安全性への意識が高いといえるでしょう。

病院側の体制が原因で辛さを感じるときに、看護師個人としての対処は難しいといえます。

労働組合などを通じて改善点を要求したり、協会など外部の大きな圧力によって解決できる場合もありますが、いずれも団体の力が必要となります。

精神的な負担が大きく、仕事に支障がでるほどであれば、転職や異動を検討するのが現実的といえます。

事実に対する解釈の仕方

辛さの原因は人それぞれです。当人にとっては大きな悩みであっても、ほかの人からは理解されない場合もあり得ます。

仕事上の辛さを考える上で、事実に対する解釈の仕方を再確認することも大切です。

視点を変えることで解決の糸口になる例が見られましたが、辛さの原因そのものについても同じことがいえます。

辛いという思い込みによって、事実を誤って受け止めていることもあります。

あるいは事実を認めることで、逆に前向きになれるかもしれません。

辛さを克服するための、事実に対する解釈の仕方を考えていきます。

優秀な同期と比較される。私、才能ないの?

誰かと比較されて、自分が劣ると認めるのは辛いことです。それを外から指摘されるのは、さらに辛さを倍増させます。

優秀な看護師と比較されて、自分には才能がないのかもしれないと思ったら、比較されている対象について考えてみてください。

看護師は常に高いスキルを求められて当然です。

例えば同期と比較されている場合、相手はすでに求められているレベルをこなせているということになります。しかし本当にその相手は、看護全般すべてについて勝っているのでしょうか。

まずはその相手には何ができていて、何が自分に不足しているのかを見極めることです。

問題をカタマリで捉えると先には進めません。比較は才能の問題ではなく、現時点での技量の問題ととらえるべきです。

自分の現スキルを事実として把握し、不足部分を一つずつ解消していけば、いつか必ず追いつくことができます。

自分の辛さは普通なの?

生きて働いている以上、誰にでもそれなりの辛さがあります。

自分の辛さを人と比べても仕方がありません。同じ看護師でも時間がないことを辛いと思う人もいれば、他人の死と向き合うのが辛いと感じる人もいます。

そういう意味では辛さは普通である一方、普通の辛さなどというものはないと言えます。

一見辛くなさそうに見えている人は、解消をするのが上手なだけかもしれません。

辛さの正体を知り、向き合ってうまく軽減させる方法を工夫したり、感じないようにしたりしているだけなのでしょう。

今こんなに辛い自分は看護師としてダメなのだ、と考える必要はありません。

辛さをやり過ごす方法を、まだ知らないというだけなのです。看護師という仕事は他の職業と比べても、辛さを感じる要素がたくさんあります。

看護師が辛いといっても、誰からも非難されることはありません。

辛さから逃げるのは甘え?

人間は誰しも辛い状態が続けば、参ってしまいます。ときには辛さから逃げることも、自分を守るためには必要です。

しかし逃げ続けても、結局それを知っているのが自分である以上は、別の辛さが追ってくるかもしれません。

看護師の辛さは、人間の根源に関わる問題が多く、完全に解消するのは難しいといえます。

しかしもっとも自分を苦しめるものの正体を知れば、対応策も生まれます。先輩や上司のアドバイスを聞き入れ、自分なりの考え方を見つけることで辛さを軽減してきた例はたくさんあります。

辛さから逃げるのは甘えではなく、防御のひとつです。辛さを感じるのは自分のせいなどではない、と理解できれば、辛さに立ち向かう方法を探せるかもしれません。

どんな環境でも最低3年は続けなきゃいけない?

転職するにしても最低3年の継続勤務が必要、というのは良く聞く言葉です。

しかし転職をしたいという場合、何らかの我慢できない「もうそこでは働きたくない」理由があるはずです。

それでも最低3年は絶対なのでしょうか。

ここでは3年間は看護師を続けた方が良い理由と、逆に辞めるべき状況、辞めて後悔をしないためには何を考えれば良いかを考えていきます。

3年続けた方がいい理由

新人看護師の場合は、3年が1人前となる目安とされます。

臨床経験が3年未満の看護師は、経験不足と見なされて転職では不利です。新人ともいえない宙ぶらりんのスキルでは、雇い入れる方でも扱いが厄介と考えます。

中途採用の看護師は、即戦力として期待がかかります。臨床経験3年未満では、スキル不足ととられても仕方ありません。

また病院によっては、募集要項に3年以上の臨床経験を入れるところもあります。

そうした傾向は大規模な病院に見られるため、就職先の幅が狭くなってしまう可能性があります。

また新人以外の看護師であっても、3年未満で転職すると短期で辞める可能性ありと思われがちです。

気に入らないことがあれば辞めてしまうような扱いにくい性格と思われれば、看護師としての資質にも疑問を持たれてしまいます。

辛さの限界なんだけど、まだ我慢しなきゃいけないの?

基本的には3年以上の勤務が望ましいのですが、精神的、肉体的に限界に来ているという場合は健康を優先しなければなりません。

スキルは後からでも回復できますが、健康は一度失ってしまうとなかなか元には戻せなくなります。

仕事は一時的な苦労で済みますが、健康は一生の問題です。心身ともにボロボロになるのと引き換えになるほど、無理して3年続けることにメリットはありません。

辞めたい理由にもよりますが、例えばグループ内での異動が可能であれば、まずはそちらの方向で希望を出してみるという手があります。

転職よりも低いリスクで、働く環境を変えることができます。

やめた方がいい場合

できれば続けた方が良い看護師の仕事ですが、辞めた方が良い場合もあります。主な状況としては、次のようなことが考えられます。

  • 仕事による肉体的・精神的なストレスから健康を害している
  • 夜勤やシフトにより体力を消耗して続けられない
  • 病院がブラック
  • いじめ、パワハラの被害に遭っている
  • 看護師という仕事になじめない

すでに業務の厳しさから健康障害が起きている場合には、一刻も早く退職をするべきです。先にもあったように、身体を壊してまで続ける必要のある仕事はありません。

身体を治してから、適正に合った職場で看護師として復帰することは可能です。

大きな病院では夜勤がつきものですが、どうしても昼夜逆転の生活や不規則なシフトに慣れない体質の人もいます。

夜勤明けでも十分に休養できないという生活が続けば、いずれは身体を壊します。

夜勤のないクリニックなどへの転職を検討する必要があります。

長時間勤務が続いたり殺人的なシフトを平気で実施するにも関わらず、残業代も支払われないというブラックな病院の場合、労働基準監督署に訴えるという手もありますが、即時改善は難しいと思われます。

ことを荒立てたくないのであれば、やはり転職するしかありません。いじめやパワハラといった問題にも、解決までには時間がかかります。

病院側に訴えても、上司や先輩の肩を持つ場合があります。異動などの希望が叶わなければ、職場を変えなければ解決できません。

いずれの場合にしても、辞める際には考えておかなければならないことがあります。

まずは現在の自分のスキルを把握し、今後どのような看護師になれるのか辞めた後の自分の姿をイメージすると覚悟を決めやすくなります。

転職にあたっての情報収集を行い、給与や待遇まで予測を立てます。

在職している間に、辞める理由をできるだけ詳細に書き出していきましょう。

転職先で同じ状況をくり返さないためには、現状をしっかりと記録しておくことが大切です。

職場に求めるポイントを絞り込む基準として、次の勤務先を決めるとき最優先する具体的な条件が提示できます。

まとめ

辛さはその只中にいる自分にしか、痛みはわかりません。

しかし、その辛さにとらわれてしまい、本当の原因や周囲の状況が見えなくなっているということもあります。辛さの解決方法はさまざまです。

自分から動けば、何とかなるものもあります。一方であまりに問題が重く、解決するまでには時間がかかり過ぎるものもあります。

もっとも怖いのは時間の過ぎるにまかせてしまい、身体や心を痛めてしまうことです。

ある程度の努力や工夫は大切ですが、どうやっても辛くてたまらないというのであれば、思い切って今の職場を辞めるのも、決して悪いことではありません。

人生には先があります。辛いまま我慢しながら過ごし、大事な人生の時間を失うことだけは避けなければなりません。

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