准看護師の資格取得と准看護師から正看護師にステップアップする方法

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看護師には、正看護師と准看護師があることはよく知られていますが、資格に関する違いとはどのようなものなのでしょうか。
すでに准看護師として働いている場合、正看護師になるためには何をすべきなのでしょう。近年は社会人から看護師を目指す人も増えていますが、その難易度も気になります。
ここでは准看護師の資格の取り方や試験内容、准看護師が正看護師としてステップアップするための方法について紹介していきましょう。
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准看護師になる方法
准看護師とは
准看護師免許は正看護師免許とは違い、国家資格ではなく都道府県知事免許となります。そのため戸籍の変更などがあった場合の更新手続きは、資格を取得した都道府県で届出を行います。
ただし看護業務に関して、正看護師との違いは何もありません。准看護師でも、看護師としての医療行為がすべて可能です。
仕事内容としては正看護師と同じと考えて間違いありませんが、看護師は医師(歯科医師)の指示に従って診療の補助や療養上の世話を行う、准看護師は医師(歯科医師)、看護師の指示に従って業務を行うとなっています。
また准看護師免許は全国どこでも有効であるため、免許を取得した都道府県に限らず、好きなところに就職できます。正看護師と同じく、准看護師の資格も一生消滅することはありません。
新卒で准看護師になる方法
准看護師の場合は中学校を卒業すれば養成所に入学できます。正看護師を目指すよりも3年早くスタートを切ることができ、最短では17歳で准看護師として働き始められます。
厳密には新卒で准看護師になるコースは次の2つです。
- 中学校卒業後、准看護師養成所(2年制)で学習する
- 中学校卒業後、高等学校衛生看護科(3年制・定時制4年)で学習する
これらの看護学校や養成所等などを卒業、あるいは卒業見込みであれば准看護師資格の受験が可能となります。
准看護師養成所では、1年目が履修、2年目は実習というカリキュラムが一般的です。即戦力としての看護術を学び、若いうちから一人前の看護師として職場で活躍できます。
社会人が准看護師を目指すときは
2015年、厚生労働省から看護師養成所に向けて、「看護師養成所における社会人経験者の受け入れ準備・支援のための指針」というガイドラインが発表されました。
同省の発表ではすでに看護師養成校の入学者の約16%は25歳以上とされ、特に准看護師養成課程では半数を占めているとのことです。
准看護師資格を受験する若年層が減る一方、子育てを終えた40代以上の受験が増加しているという傾向も見られます。国の指示により看護師養成所では社会人の受け入れに対して一層積極的になると思われ、准看護師を目指す人たちの追い風となっています。
社会人から准看護師になる場合も、基本的な流れは同じです。准看護師になるためには、必ず該当の教育施設への通学が必要です。通信教育などでは受験資格が得られないため、学習する期間を確保しなければなりません。
准看護師になるための学習とその費用
准看護師になるための教育機関
准看護師を目指す場合には最初に准看護師養成所、看護学校を受験することになりますが、国語・作文・数学・社会・理科・英語といった中からの学科試験があります。准看護師は中学卒業が条件となっているため、中卒レベルの受験内容と考えて良いでしょう。
全日制でも普通の学校と違い、週3日の8:30~17:00だけ通えば良いコースと週5日で13:00~17:00の半日制といったコースなどが存在します。仕事をしながらでも通うことができるスタイルがあるのも、准看護師養成所の特徴といえます。
カリキュラムは平成14年から1,890時間に増えましたが、3,000時間は必要な正看護師に比べると社会人でも決して実現不可能ではありません。
准看護師の勉強にかかる費用
准看護師になるための学習費用は、選ぶ学校によっても異なりますがおよそ100万円から200万円前後です。正看護師では国公立の専門学校で200万円前後、私立看護大学では500万円以上といわれるので、費用的にも准看護師資格は手が届きやすい金額といえます。
とはいえ、決して小さな金額ではありません。学習費用が都合できず、悩んでいる人のためには、各種の奨学金制度があります。
- 都道府県・自治体による奨学金や生活扶助
- 資格取得後に指定の病院で指定された期間就労すれば、返済免除ができます。各自治体によっても内容は異なりますが、一般的には毎月の授業料分に合わせた金額が支給されます。
- 病院付属学校の奨学金や生活扶助
- 病院で働きながら同系列の学校で学ぶと奨学金がもらえる制度です。条件は病院ごとに異なり、資格取得後の一定期間の勤務を義務付ける場合や、特にそうした規定を設けていない場合もあります。返済免除の有無など、利用前の確認が大切です。
- 日本学生支援機構の奨学金
- 一般の学生全般が利用している奨学金です。准看護学校は専修学校区分での申請となります。准看護師に対する優遇はないため、返済の免除はありません。就職後に返済の義務が発生します。少額からの融資制度もあるので、不足分のみを借りる方法もあります。
社会人であっても准看護師の学習に対しては、さまざまな奨学金制度が整備されています。場合によっては複数の奨学金の同時利用が可能となるケースもあるので、事前に調べておくと良いでしょう。
准看護師資格取得試験について
准看護師試験の内容
准看護師の資格試験は各エリアによっても違いがありますが、試験日は毎年2月中旬から下旬にかけて、合格発表日は毎年3月中旬から下旬にかけて行われることが多いようです。
准看護師資格の試験は都道府県の知事による免許取得試験ですが、2003年からは厚生労働省により准看護試験基準が制定されています。全国8つのブロックで分けられ、実施されます。
試験問題は150問出題され、6割以上の正解が合格ラインとなっています。問題の解答は4問1択形式で行われます。問題ごとに配点が違うことも考えられますが、単純に1問1点とすれば150問中90問で合格できます。
内容としては、「人体の仕組みと働き、食生活と栄養、薬物と看護、疾病の成り立ち、感染と予防、看護と倫理、患者の心理、保健医療福祉の仕組み、看護と法律、基礎看護、成人看護、老年看護、母子看護及び精神看護」となっており、看護師として幅広い知識を身につけなければなりません。看護職に従事するにあたり、会得するべき知識を網羅しています。
試験時間は一般的には午後の3時間程度で行われることが多く、回答時間は1問につき1分ほどしかありません。選択問題とはいえ、十分な試験対策をしておかなければ、合格水準に達するのは難しくなります。
准看護師試験の難易度
准看護師の合格率はその年によって多少の上下がありますがおよそ98~99%となっており、かなり高い水準です。看護師学校養成所では毎年99%以上合格しているので、きちんと学んでさえいれば、難関というほどではありません。
現在、准看護師の75%近くは40歳以上で、30代以下は約25%となっています。先にもあったように、准看護師を目指す人の年齢層は毎年高い傾向にあり、社会人の受験は増え続けています。
看護師の道を目指したいけれど年齢的に不安があるという人でも、しっかりと学習を積めば、必ず合格ラインに手が届きます。全国で通用する一生ものの資格を取得したいのであれば、准看護師は比較的容易で現実的な職種であるといえます。
正看護師資格取得について
准看護師から正看護師になるために
正看護師は准看護師と違い、国家資格です。そのため正看護師になるためには、看護師国家試験に合格する必要があります。
准看護師が正看護師を目指すときには、国家試験の受験資格を取得しなければなりません。具体的な流れとしては看護師学校養成所2年課程を修了し、看護師国家試験に臨みます。
教育課程には全日制と定時制、通信制があり、定時制は3年となります。全日制と定時制の条件は准看護師資格を保有しており、中学校卒業の場合は実務経験3年以上が必要です。
通信制では准看護師資格と7年以上の実務経験がなければなりません。定時制にも昼間定時制と夜間定時制があるので、働きながらシフトに合わせて学ぶことができるようになっています。
実務年数については准看護師として勤務した年数で、就業場所や就業形態は問われません。非常勤やパートで働いていた期間も含め、通年で換算されます。
正看護師資格取得の難易度
正看護師資格の取得状況を見ると、国家試験の合格率は全体で90%と高い数字になっています。しかし内訳を見ると新卒が95%近いのに対し、既卒の合格率は35%台となっており、やはり難関であると言わざるを得ません。
既卒の場合、働きながら正看護師資格にチャレンジしている人が多いと考えられるため、学習時間が制限されるというハンディがあります。仕事のとの両立で、なかなか学習内容が頭に入らないというのは想像できます。
既卒に絞って見た場合の合格率は、通信制と2年課程の養成所が33~34%前後なのに対して、3年制の養成所では45~50%前後と高くなっています。仕事をしながら准看護師から正看護師を目指すのであれば、無理をせずに時間をかけて学んでいくのもひとつの考え方といえるでしょう。
准看護師から正看護師を目指す人のために
日本看護協会ではすでに准看護師として活躍している人が、さらに看護職として力を発揮できるよう、正看護師の資格取得への支援を強化しています。
看護師不足が叫ばれる中、看護職全体の質を底上げしていくためには、チャレンジ精神をもった准看護師の意欲が歓迎されます。
「准看護師のための進学特設サイト」を開設し、正看護師資格取得に向けたさまざまな情報を提供しているほか、都道府県看護協会が主催している研修・進学支援など、具体的な対策も紹介しています。
通信制で学べる教育機関と利用できる奨学金の案内など、現在働いている病院に支援制度がない場合でも、正看護師への道が見えてくるかもしれません。
働きながら正看護師を目指すために
資格取得支援制度を活用しよう
准看護師として働きながら正看護師へのステップアップを目指すのであれば、正看護師になるための奨学金制度など支援体制の活用をおすすめします。
先にもさまざまな形の支援制度を紹介しましたが、ある程度の規模の病院では准看護師が正看護師の資格を取得するための支援を積極的に行っているところも増えています。
看護学校への進学を手助けするために奨学金制度を設け、休職扱いにしたり業務シフトへの配慮をしたりするなどバックアップ体制を整えています。
准看護師として長期の経験がある場合、放送大学で単位を取得すれば正看護師国家試験受験資格を取得できる制度もあります。こちらに関しても、国家試験受験前の勤務時間や実習期間のシフト変更など柔軟に対処してくれるところが多いようです。
奨学金制度のある病院のなかには正看護師資格取得後、一定年数の勤務で返済不要の条件を設けているところがありますが、期間としては3~5年が一般的です。
奨学金制度の例として、独立行政法人国立病院機構では、国立病院機構付属看護学校や看護系大学、看護専門学校在学中または入学予定者で、卒業後に奨学金の貸与を受ける国立病院機構の病院に常勤職員として働く方を対象にした奨学金制度があります。
奨学金の金額は各病院によって異なり、年額40万円~86万円です。貸与された奨学金は貸与された病院で一定期間勤務することで返済が免除されますが、勤務期間は貸与期間に応じて決まります。
転職サイトで有利な職場探し
准看護師として働く現在の病院がそうした支援制度を持っていない場合、思い切って転職をするという選択もあります。転職先を探す際に正看護師資格取得の意思を明確にし、目的をもった職場探しをしていきます。
ただ資格取得支援制度を謳っていても、実際の利用状況や詳細な条件などはなかなかわかりづらいものです。その場合には、看護師専門の転職サイトへの登録が役立ちます。准看護師の職探しは正看護師と比較して、求職条件の折り合いがつきにくいこともあります。
准看護師として雇用を受け入れ、しかも在職しながら正看護師資格に挑戦できる環境を提供してくれる病院を探すのであれば、個人的に動くよりもプロに任せた方が確実です。
返済免除の有無や支援の最長期間など、自分からは聞きづらい点についても、しっかりと確認してもらえます。条件に適合し、最小限の負担で正看護師資格取得に臨めるような職場環境があれば、目的が達成される可能性はぐんと高まります。
本気で正看護師資格取得を目指すのならば、条件の良い転職を実行し、夢の実現に踏み出していきましょう。
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