[ 記事作成日時 : 2017年5月11日 ]
[ 最終更新日 : 2020年1月29日 ]

看護師の手取りが少ないのはなぜ?看護師の給与から控除される項目

看護師の給料

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世間一般では高給といわれる看護師の給与ですが、夜勤などの特殊な手当を除けばそこまで高いわけではないようです。

毎月の給与明細を見て、額面上と手取りの差に愕然としている看護師も多いのではないでしょうか。そもそも給与の額はどのようにして決まるのでしょうか。

ここでは看護師の給与の、額面から引かれる控除の内容について解説していきます。

      
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看護師の給与

看護師の給与明細の基本的知識

勤務先の施設によって多少の違いはありますが、給与明細の内容は大きく「支給」「控除」「勤怠」という3つの項目に分かれています。

このうち「支給」が渡される給与額の詳細、「控除」が引かれるお金です。

「支給」される給与はさらに所定内給与と所定外給与に分かれており、基本給と就業規則に従った基本的な手当と、夜勤や超過勤務など所定労働時間外の勤務を行ったことに対する給与がそれぞれ記載されています。

看護師の基本給は若年層では高めですがその後上昇率が鈍くなり、年齢を経るごとに一般企業との差がなくなります。

看護師の給与を高くしているのは、夜勤や時間外手当の部分で、所定外給与が大きく貢献しています。

看護師の基本給の決め方

看護師の基本給はどのようにして決められているのでしょうか。

給与に関しては、各施設や病院ごとに就業規則、給与規程、給与表などによって規定されています。

基本給の決め方も、その中に明記されています。意外なことに基本給の基準もまた、各施設によって異なります。基本給規定の違いは、昇給などに大きな関わりをもちます。

自分の勤め先の基本給のしくみを知っておかないと、将来的なライフプランを具体的に立てるのが難しくなります。

おもな基本給の基準としては、年齢や勤続年数・学歴などを用いる属人給、業績・役割などから判断される仕事給があります。

多くの施設では、この2つを組み合わせて給与額を決定するのが一般的です。もう少し詳しく見ておきましょう。

属人給

属人給のおもなものとしては、年功給があります。これは学歴や勤続によって得られた知識や経験が、労働の価値の向上とリンクするという考え方で、典型的な年功序列型です。

したがって、勤続年数が長いほど給与の額が増えていきます。

看護師側から見ればライフステージの変化にともなって生活費が増加しても、長く勤めるほど生活の保障も上がります。

長期に勤務するほど有利なため、離職の歯止めとなり、将来にわたる安心感が得られます。

反面、実力本位で見て欲しいというタイプには、仕事の成果に関係なく給与が支給されるため、やりがいのない体制とも言えます。

経営側から見れば、年齢の高い看護師が多くなるとそれだけ経営管理上の負担が大きくなるため、採用のバランスをうまく取る必要があります。

仕事給

  • 職務給(役割給)
  • 職務給は与えられた仕事に対しての、遂行力を給与の基準とします。労働の対価として給与を支払う欧米的な方法ともいえます。

    仕事そのものの難易度と、職務における責任の負担割合によって給与額が決定されます。

    職務給の中でも特に役割によって支給額が決められる方法として、役割給があります。

    看護師側のメリットとしては、任される仕事の重要度が高いほど給与額に反映されるため、やりがいがあります。

    一方で仕事内容が変われば、給与の額も変動します。場合によってはそれまでよりも、低い給与になる可能性もあります。

  • 職能給
  • 職能給は、職務を遂行する能力に対して給与を支払う方法で職務給と似ていますが、多くの場合には施設独自の職能資格などの基準を設けています。

    職能資格の基準に合わせて、個々の看護師の給与が決められます。これを職能資格制度と呼びます。

    職能給はおもに人材育成を重視する方針の中で採用されます。基準が明確なので、段階的に向上を目指すことができます。

  • 業績給
  • 業績給は与えられた役割の大きさとその達成度の大きさについて評価を行い、基本給に反映させる方法です。

    職務給や役割給と混同しがちですが、こちらは目標管理制度などを用いて、達成度評価を行います。

    この評価制度では長中期、近々と自分でも目標設定をしやすく、その成果が給与額となって表れるのでモチベーションをもって働きやすくなります。

実際の現場では、単一の方法を採用しているところは少なく、「年功給と職能給」「年功給と職務給」など、いくつかの組み合わせによって基本給を算定しているケースが多く見られます。

総支給額から引かれる控除って何?

給与明細の「控除」項目には、社会保険料、税金、その他の3つがあります。それぞれの内容を見ていきましょう。

社会保険料

健康保険料

看護師が加入している健康保険制度には、勤務先の種類によって組合健康保険全国健康保険協会健康保険(協会けんぽ)の2種類があります。

健康保険料の額は4~6月の給与の平均額を標準報酬月額として、各時点での保険料率を掛けて計算したものを、勤務先と看護師個人が折半して負担しています。

介護保険料

介護保険料は40歳以上で保険料負担が発生します。介護が必要な65歳以上の方の医療・福祉サービスの費用を負担するしくみです。

介護が必要な状態であることが認定されたときに、介護サービスを利用できるようになります。ただし介護サービスを受ける際には、原則としてサービス料の10%を負担します。

介護保険料についても、勤務先と看護師個人が折半しています。

厚生年金保険料

厚生年金制度に加入する勤務先に勤めている場合、従業員は国民年金厚生年金の2つの制度に加入している状態となります。厚生年金が2階建てと呼ばれるのはこのためです。

退職後、再就職をしない場合には、国民年金のみの加入となります。

厚生年金の保険料は、標準報酬月額に18.3%の料率を掛けて計算します。厚生年金保険料は勤務先と看護師個人が折半して負担しています。

内容は国民年金と厚生年金の2重となりますが、給与明細では厚生年金保険料という名称で表記されます。

厚生年金基金

厚生年金基金は、企業年金制度の1つです。厚生年金の一部を国に代わって病院・施設が上乗せするしくみで、将来的に受け取る年金額が増額されます。

就業規則などで詳細を確認してみましょう。

雇用保険料

いわゆる失業保険の掛け金です。労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進を目的とし、制定されています。

職を失った場合には、在職時の給与額に従った給付金が支給されます。保険料の約6割を勤務先施設が負担し、残りの約4割を看護師個人が負担します。

雇用保険では、3年以上の加入で教育訓練給付制度が利用でき、対象となる学習や資格取得に対して補助が受けられます。

これらの保険料は賞与(ボーナス)からも、ほぼ同様に差し引かれます。

税金

所得税

看護師の給与所得に対してかけられる税金です。税金の額は、課税対象とされる金額に規定の税率を適用して計算されます。

所得税は雇用保険料、社会保険料、非課税通勤手当は対象外となるため、これらを引いた金額と扶養家族の人数によって算出します。

毎月の給与や賞与から源泉徴収され、年末または年始の給与で過不足額の精算をする年末調整が行われます。

住民税

住民税には都道府県民税と市区町村住民税があります。前年度の所得に応じた税額が徴収されるため、退職後は注意が必要です。

その他

財形貯蓄

労働者の蓄財を促進するための制度で、天引きで貯蓄できます。

財形貯蓄とひと口にいってもさまざまな財形制度があり、特に財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は非課税で有利に資産形成ができます。

勤務先によっては、財形貯蓄制度がない場合もあります。

結局実際の手取りはいくら?

給与明細を見ても、毎月多くの税金や年金などが引かれていることがわかります。実際に自分が引かれているものについて、確かめる方法を紹介しておきましょう。

厚生年金の計算方法

厚生年金の税率は時節によって変更がありました。

しかし平成16年から段階的に引き上げられてきた税率は平成29年9月で引上げが終了し、以降の厚生年金保険料率は18.3%で固定されます。

これにより、個人で支払うのは勤務先と折半した半分の9.15%が負担額です。たとえば月給が30万円の場合では、27,450円が厚生年金額として天引きされます。

健康保険料は都道府県で税率が変わる

健康保険料は勤めている場合には、社会保険料と呼ばれます。社会保険料には介護保険も含まれており、各都道府県によって決められている税率が異なります。

2018年時点で東京都では納める保険料率は9.90%です。会社と半分にするので、4.95%を個人で支払います。

そのため、月収30万円の場合月に14,865円が天引きされる計算になります。40歳以降ではこれに介護保険料が加えられます。

雇用保険と所得税は収入によって変わる

雇用保険については、支払われた給料の1.1%を支払う必要があります。その中で、被保険者は0.4%、病院側は0.7%を負担します。

月収30万円の人が負担する雇用保険料は1,200円です。所得税額も自分の収入金額から算出することができます。詳細は以下の通りです。

  • 195万円以下:税率5%:控除額0円
  • 195万円超から330万円以下:税率10%:控除額9万7500円
  • 330万円超から695万円以下:税率20%:控除額42万7500円
  • 695万円超から900万円以下:税率23%:控除額63万6000円

たとえば年収が480万円の場合、年間で引かれる所得税は480万円×0.2%-42万7500円=53万2500円です。

この金額は年間分で算出された金額が、月ごとの給料から引かれていきます。実際の税額以上に引かれている場合には、超過分が年末調整によって返金されます。

住民税の計算方法

住民税は地方により多少の誤差がありますが、基本の計算方法があります。

ただし住民税の計算方法は複雑で、所得控除分などを差し引いた金額を算出したうえで、都道府県税率と市区町村税率を掛け合わせる必要があります。

住民税は1月1日時点の住所地をもとに課税されます。

たとえば1月1日に神奈川県相模原市にいて、3月1日に東京都世田谷区に引っ越してきた場合、その年に課税される住民税は神奈川県相模原市の住民税になります。

課税額の算出後、市区町村税は6%、都道府県税は4%の金額に均等割と言われる金額を足した額が住民税となります。

住民税は所得控除に影響される

住民税を算出する場合には、所得の控除についても把握しておく必要があります。

控除されるものは、「雑損控除」「医療費控除」「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「障害者控除」「寡婦(寡夫)控除」「勤労学生控除」「配偶者(特別)控除」「扶養控除」「基礎控除」などがあります。

それぞれの控除は自分の加入している保険や被った損害、また扶養者や配偶者の収入によって変わってくるため、計算サイトなどを利用して住民税を算出するのがおすすめです。

月収30万円で年収480万円の収入がある人(独身、保険などは未加入)の場合の住民税を計算してみましょう。

(480万円-所得税:53万2500円-基礎控除:33万円-社会保険料控除:17万8380円)×10%+均等割:5000円=38万912円です。

実際には、他にも控除を受けられる場合が多いので、住民税はその分少なくなります。

看護師の給与の実際

看護師の手取り額モデルケース

給与明細で見ているのと違い、実際に計算をすると手取り額までたどりつくのは、とても複雑な行程をたどります。

それでは大まかな目安で、どのくらいの月収でどの程度の手取りがもらえるのでしょうか。

実際に年収や手取りを公開している人の例を参照すると、年収340万円でボーナスが約40万円の人の手取りは23万円程度です。

その後、年収が540万円まであがった時点での手取り額は30万円とのことでした。

年収が540万円で夏冬のボーナスを80万円と想定すると、額面上の月額は約38.3万円です。さまざまな内容で控除されるのは、8万円ほどという計算になります。

手元の給与明細と比較すると、大体は合っているのではないでしょうか。

額面との差はマイナス20%

一般的な勤め人の場合、額面の金額と手取りの金額の差はマイナス20%、つまり手取り額は額面の8割程度と言われています。

額面の給与が30万円であれば手取り額は、24万円程度です。

看護師の給与は勤める施設の業態やエリアによって、大きく変わります。都市圏であれば年収500万円以上も珍しくありませんが、地方では300万円台で働く看護師も多くいます。

給与額ばかりが注目されがちですが、実質的にはそこから差し引かれる控除額も収入に大きな影響を与えます。

特に住民税はエリアによって差が激しく、住民税の減税に力を入れているところとそうでないところでは、年間2万円もの差が付く場合もあります。

隣合っている市なのに、支払う住民税がまったく違うというのも珍しくありません。

また適用可能な税金への控除を利用することで、所得税を大きく減らせる可能性もあります。

「控除されるものは仕方ない」と考えがちですが、知識があれば何かと有利に利用できるかもしれません。

まずは自分の給与明細をじっくりと見直し、何がどのように控除されているのかを確認して見ることが大切です。

給与から控除されるのは、公的なものから施設ごとの備品代などさまざまです。

給与から余分に差し引かれる負担金については、予め確認することもできるので、転職にあたってはこうした点にも着目し、応募先の選択材料にすると良いかもしれません。

※ランキング評価の詳細は看護師転職サイトおすすめランキングの記事で紹介しています。

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