[ 記事作成日時 : 2015年6月30日 ]
[ 最終更新日 : 2023年6月30日 ]

訪問看護のメリット・デメリットとは?訪問看護師の特徴と給料事情

訪問看護師

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病院で働くのではなく、病気や障害を抱えた人の自宅に訪問して看護を行う訪問看護師。

特に近年は国の方針により在宅での介護を推進する動きがあるため、訪問看護師の需要が高まっています。

訪問看護師とは具体的に、どのような仕事内容なのでしょうか。ケアマネージャーや介護ヘルパーとの違いは?

また、勤務形態や年収も気になるところです。

訪問看護師の仕事について、詳しく説明していきましょう。

      
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訪問看護師の現状、今後の展望

近年、在宅で医療や介護を必要とする人の人数が急増しています。なかでも人工呼吸器を使ったり、チューブ類を扱う持続点滴、胃ろう、バルーンカテーテルの処置が必要など、医療ニーズの高い利用者が増えています。さらに、障がいのある子どもや精神障がいのある在宅生活者、認知症患者など、患者の種類も多様化しています。

そのような中で、訪問看護のニーズは高まる一方です。2012年ごろからは訪問看護ステーションの数も増加傾向にあります。ただ、どうしても訪問看護ステーションのある地域には偏りがあり、訪問看護師の数も十分とはいえません。

また、訪問看護ステーションの規模も看護師が5人以下の小規模な事業所が多いようです。そのような小さな事業所では職員1人当たりの訪問件数が少なく、24時間対応が可能なところも少なく、重症患者はあまり診ていないという傾向もあります。

こういった現状から、日本全国どこでも24時間365日、いつでも質の高い訪問看護サービスを患者のもとに届ける必要性が叫ばれています。そこで、訪問看護に関連する3つの団体(日本看護協会、日本訪問看護財団、全国訪問看護事業協会)は「訪問看護アクションプラン2025」を策定し、訪問看護師を2025年までに約15万人(2016年時点の訪問看護師数の約3倍)に増やそうしています。

参考サイト:
厚生労働省「訪問看護の現状」
日本看護協会出版会編集「平成29年 看護関係統計資料集」

訪問看護師の役割とは

訪問看護師は、いったいどのような仕事をするのでしょうか。具体的に説明していきましょう。

訪問看護師の役割

訪問看護師は患者の居宅に訪問し、主治医の指示を受けて連携しながら看護を行います。その患者の住み慣れた地域でその人らしい療養生活を送れるように手助けします。

参考サイト:
日本訪問看護財団「訪問看護とは(医療・福祉関係者むけ)」
全国訪問看護事業協会「訪問看護で働きたい方」

病棟看護師との違い

病院には看護師はたくさんいますが、訪問看護は多くの場合、ひとりで患者の自宅に訪問することになります。また、病院では、医師が近くで指示を出してくれるのに対し、訪問看護では主治医からの指示書に書かれた指示に基づいて患者の体を管理していきます。

主治医と連絡を頻繁に取るのが難しいこともありますから、先のリスクを予想してあらかじめ医師の指示を仰いでおく、急変対応が必要になりそうな場合は事前に連絡しておくなど、患者の“一歩先の容体”を推測する力が求められます。

病院では夜勤がありますが、訪問看護では夜勤はなく、朝から夕方までの決められた勤務時間で働くことになります。ただし、夜勤はないものの、オンコール対応をしなければいけないところが多いです。

しかし、病院では患者に質問しないとわからなかった患者の生活環境が、訪問介護ではすぐに目に入ってくるので、どういう方法で患者の力になれるのかを考えて看護できるというやりがいがあります。

病院と訪問看護では看護の目的も違います。病院は治療のための施設なので、患者に対してどうしても制限が多くなります。しかし、訪問看護の目的は患者やその家族の希望にいかに寄り添えるかです。患者自身だけではなく、その家族の心身両面からサポートを行うのも、訪問看護師ならではの役割です。

ケアマネジャーとの違い

ケアマネジャーはケアプランを立て、訪問看護師はケアプランに添って訪問し看護を提供します。そのため、ケアマネージャーは訪問看護師のように看護を行うことはなく、利用者やその家族と、介護保険サービスをつなぐ仕事をしています。

ケアマネージャーは、利用者の状態をみて、自宅に派遣するのは看護師なのか理学療法士なのか、もしくは福祉用具を活用するのかどうかなどを判断して、その人に応じた支援や指導を行います。そして、利用者からの相談に乗り、利用者に合った支援計画を立てていきます。

また、利用者の訪問看護・介護に対するクレームなどをケアマネジャーが間に入って受けて事業所に伝え、利用者と事業所の関係が円滑になるように調整するのもケアマネジャーの仕事です。

訪問看護ステーションに在籍するケアマネジャーになるためには、「ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)」に合格する必要があります。看護師の資格を持つ人がケアマネジャーになることも多いのですが、そのためには看護師として通算5年以上かつ900日以上働くことが受験資格となります。

参考サイト:
東京都福祉保健財団「東京都介護支援専門員実務研修受講試験」

訪問介護員との違い

介護ヘルパー、ホームヘルパーとも呼ばれる訪問介護員。利用者の自宅に訪問介護員が訪れて行う「訪問介護」と、看護師が訪れて行う「訪問看護」とは何が違うのでしょうか。訪問介護員は、食事や排せつの介助を行ったり、掃除や調理、買い物や薬の受け取りなどを行ったりします。ほか、生活の不安や介護に関する相談に乗ったりもします。

その一方で、訪問看護師が行うのは医療行為です。食事や排せつ、入浴の介助も行いますが、医療者として行うという前提があります。例えば、人工呼吸器や酸素マスクをつけていたり、体位を間違えると脱臼したりするような医療的な配慮が必要な患者の入浴は、看護師が担当します。

ほか、訪問看護師は患者の健康状態をチェックしたり、褥瘡の処置をしたり、服薬管理を行ったりします。もちろん、利用者の療養生活や入退院に関する相談に乗ったり、精神的な支えになったりすることも訪問看護師の業務に含まれます。

参考サイト:
全国社会福祉協議会「訪問介護員(ホームヘルパー)」

訪問看護師の仕事内容

訪問看護師の具体的な仕事内容について、現役訪問看護師や訪問看護師経験者にココナスが独自に取材。
1日のスケジュールや気になる夜間・休日対応など、現場の声をお伝えしましょう。

訪問看護師「1日の流れ」

代表的な1日の流れは以下のようなスケジュールとなります。

09:00~9:30 出勤 訪問看護ステーションに出社。申し送りなど、スタッフ間で情報共有を行います。そして訪問の準備をします。
09:30~12:00 午前の訪問 車や原付バイク、自転車などで利用者の自宅に移動します。訪問先では、利用者の全身状態を観察し、排便援助や利用者の家族とのやりとりなどを行います。訪問看護は30分もしくは1時間を1回とし、午前中の訪問件数はだいたい1~2件です。
12:00~13:00 昼食 基本的にお昼には一度ステーションに戻り、休憩を取りますが、スケジュールによっては訪問先近くで昼食をすませることもあります。
13:00~16:30 午後の訪問 午後の訪問はだいたい2~3件です。重労働となる入浴の介助は、午前と午後それぞれ1件ずつなど利用者のスケジュールを調整します。
16:30~17:00 訪問終了後の対応 ステーションに戻り、その日行った処置などを記録して主治医やケアマネジャーなどと情報を共有します。また、遅番やオンコール当番に申し送りもします。
17:00~17:30 退勤 翌日のスケジュール確認と準備などを行って1日の業務は終了です。ただ、正規職員になると、通常は1日2~3時間程度の残業をすることが多いようです。ケアマネージャーを兼任している場合は、さらに残業が増える傾向にあります。

夜間・休日の「オンコール対応」

訪問看護師は基本、夜勤はありませんが、採用に当たってはオンコール対応が条件になることが多いようです。オンコールの頻度は事業所によって違いますが、多くは数人で1週間ずつ担当して交代し、1カ月~1カ月半で順番が回ってくるように設定されています。

オンコール当番には1番と2番があります。1番電話の当番は、営業時間外はいつでも電話を取れる状態でスタンバイする当番です。たとえば平日なら18時から翌朝9時、土日祝日は24時間オンタイムの状態になります。寝ていても入浴中でも電話が取れるように準備します。

2番電話は、1番電話の当番の人が万が一、電話を取れなかった場合、代わりにフォローする役割。そのため、電話は頻繁ではなく、年に1~2回程度という訪問看護師の声もあります。

オンコール対応はあるものの、訪問看護師は、通常看護を通して患者の容体の一歩先を予測し、夜間の緊急出動につながらない工夫をしています。

例えば、患者の状態をよく観察しておき、もし夜間や土日のうちに悪化しそうな場合はあらかじめ主治医に状況報告して指示をあおいでおいたり、夜間に必要になりそうなものを日中に用意しておいたり、看護師がいないときに患者自身や家族でも処置できるような指導・準備をしておいたりすれば、緊急対応は極力減らすことができるわけです。

訪問看護「各スタッフとの連携」

在宅介護・看護はさまざまな職種のスタッフと連携し、お互いの職種の専門性を尊重し合って動く必要があります。たとえば、入浴の介助は訪問看護師も行いますが、ただ入浴を介助するのではなく、全身の状態をチェックして心配な点や気を付けてケアしてほしいポイントについて、ケアマネジャーを通じて訪問介護員に伝えたりします。

逆に、訪問介護員から褥瘡ができてしまったという報告がケアマネジャーを通じて上がってくる場合もあります。そういうときは、訪問看護師が皮膚の状態をチェックして受診が必要な場合は主治医に連絡し、次の往診の際に診てもらうように伝えます。

そのほか、褥瘡の処置や薬の塗り方は、まず訪問看護師がやってみて、そのうえで「体位はこう」「このクッションを使う」など、看護師以外でもできるようにするためのポイントをケアマネジャーを通じて訪問介護員や患者の家族に伝えます。もしくは、訪問日時を合わせて患者のもとを訪れ、実技を訪問介護員に見てもらうこともあります。

ケアマネジャーが外部の場合は、患者の状態が変化したときに報告し、ケアプランの変更について相談することもあります。

訪問看護師「持ち物」

訪問看護をするためには、バッグにさまざまな道具を入れて持ち運ばなければいけません。具体的な持ち物はどのようなものなのでしょうか。

バイタル、状態観察をする道具
体温計、血圧計、聴診器、パルスオキシメーター、ペンライトなど
検査や処置をする道具
採血セットや駆血帯、点滴セット、手袋など
その他
時計、筆記用具、携帯電話などの連絡機器、自分の手の消毒薬や石鹸、アルコール綿、使い捨てシャワー浴用エプロン、小銭、領収書や請求書、iPadなどタブレット端末(電子カルテを使う場合)、替えの靴下(訪問先による)など

テープ、ガーゼ、包帯、爪切りセット、ゴミ袋などは自ら持っていく場合もあれば、患者の家庭で用意してもらってそれを使う場合もあります。

訪問看護師のメリット・デメリット

訪問看護師のメリットとデメリットは何なのでしょうか。詳しく説明していきましょう。

メリット1.基本、日勤のみで土日祝日は休み

24時間365日対応しなければいけない病院とは違い、訪問看護の仕事の勤務時間は基本的に日勤で、土日祝日はお休みのところが多いといえます。

シフト制で夜勤が必ずある病院勤務は体力的にきつい、子どもがまだ小さくて夜勤ができないという方にはおすすめといえるでしょう。

メリット2.患者の生活に寄り添った看護ができる

患者が退院してしまうと関係が途切れてしまう病院勤務とは違い、訪問看護では一人ひとりの利用者と長い期間関わることになります。

利用者やその家族と話し合い、患者に寄り添った看護ができるのが魅力です。看護を通して家族と話す時間が設けられるので、家族の不安や不満を減らすことができ、計画的に家族にケアの方法や患者との向き合い方について指導していけるのも魅力です。

メリット3.勤務日数・時間が選べる

午前中だけの時短勤務や、週3日だけ働くなど、時間を絞ってパートタイムで働きたい看護師を受け入れている訪問看護ステーションはたくさんあります。

育児や介護などで時間の制約がある人、土日祝日は休みたい人には魅力的な働き方が訪問看護ではできるといえるでしょう。

メリット4.医療行為が少ない

訪問看護の場では患者のバイタルチェックや入浴介助、食事・栄養の管理、口腔ケア、排泄ケア、体位交換、褥瘡のケア、服薬管理、点滴・カテーテル管理、インスリン注射など、リハビリが日常業務の大半です。病院勤務と比べて医療行為の難易度や頻度は低いといえます。

参考サイト:
訪問看護 ココ・ステーション仙台中央「よくある質問にお答えします(看護師編)」
ジョブメドレー「訪問看護ってどんな仕事? 在宅生活を支える訪問看護師の仕事内容・給料・必要な経験・働く場所・服装や持ち物など」

デメリット1.1人体制の訪問看護が多い

訪問先には多くの場合、看護師1人で訪問しすべてを行うことが多いため、看護師の責任は重大です。訪問時間内に判断と対処を求められることが多く、スキルや経験を試される場面に遭遇することも多いといえるでしょう。

病院のように、その場ですぐに相談できる先輩や同僚がいないので、心細く思う人もいます。

デメリット2.オンコール対応がある

夜勤はありませんが、オンコール対応のある事業所は多いです。実際に訪問看護師として働く人からは、「入浴中に電話がかかってきたときにもすぐに取れるよう、ジップロックなどに携帯電話を入れて入浴した」という声も聞きます。

また、小さいお子さんがいる場合などは、夜間に急に呼び出されても出動できるように、家族の協力が必要となります。

オンコール対応の翌日も通常勤務をしなければいけないので、そこは体力的にきついと感じるポイントかもしれません。

デメリット3.病院勤務より収入が下がるかも?

夜勤や土日勤務がない分、体は楽になり自由な時間も増えますが、夜勤手当や休日出勤手当がなくなるため、給料は下がる傾向にあります。

訪問看護師は働く時間こそ短いものの、業務時間内にやるべきことが多いため、とても忙しい仕事です。その忙しさに見合った給料がもらえていないという不満を持つ人は多いようです。

ただし、病院と比べ訪問看護ステーションは求人数に対して応募数が少なく、看護師の定着率も低いことから、最近は病院勤務とほぼ同じ月給を提示するところも増えています。また、地方格差も病院勤務の看護師よりも大きいようです。

訪問看護師の給与については、「訪問看護師の給料」の章でさらに詳しくご紹介しましょう。

デメリット4.移動が多く忙しい

訪問看護師の最大の特徴は移動が多いということ。

地域によっては訪問エリアが広範囲にわたり、訪問先ごとに長距離移動となることもあります。遠い訪問先へ行くときや悪天候の場合は移動にも時間がかかるため、常に急き立てられているような忙しさがあります。

都市部では移動距離が短い反面、自転車移動としている訪問看護ステーションが多く、大雨や大雪、強風の際は危険がともない、雨カッパの脱ぎ着で時間と体力が奪われるという訪問看護師もいます。

また、移動に必要な乗り物を訪問看護師が自前で用意しなければいけない事業所も中にはあります。

デメリット5.病院勤務のように研修・教育体制が整っていない

訪問看護師の需要はここ最近、急激に増加したこともあって、事業者による教育やフォロー体制があまり整っていない場合もあります。

看護師としてある程度経験があると、即戦力として期待される反面、研修が短く簡単に終わってしまうケースもあるようです。

訪問看護師に求められる経験・スキル

訪問看護師に興味のある人にとって気になるのが、訪問看護師に求められる経験やスキル。いったいどのようなものなのでしょうか。

訪問看護師に「必要な経験」

一般的に、できれば5年、短くても3年の病院での勤務経験があると良いといわれています。訪問看護の現場ではひとりでさまざまなことを判断・対応しなければいけないため、多くの臨床経験を積んでおくことが求められます。看護師経験が浅い場合、患者の病状の予測や、患者や家族への対応、ほかの職種との連携を難しく感じる場合もあるからでしょう。

ただし、看護師歴が短くても、訪問看護につながる診療科での経験を積んでいる場合は、訪問看護にそれが生かせるかもしれません。例えば、訪問看護ではおもに内科系の疾患や脳梗塞の患者を診ることが多いので、内科や脳外科の患者の看護経験があれば短い経験年数でも訪問看護師として転職しやすいのではないでしょうか。

最近は、新卒採用をしている訪問看護ステーションもあるようです。その場合は、最初の数カ月~半年は先輩看護師と同行、その後ひとりの訪問となっても訪問中にいつでも電話で所長や先輩看護師に相談できるなど、長期かつ手厚い教育体制を用意しているようです。

先輩看護師から常にマンツーマンで指導、振り返りの時間も別途設けられるケースもあることから、病院勤務より充実した教育を受けられると感じる新人看護師は多いようです。

訪問看護師に「必要なスキル」

褥瘡の処置と胃ろうの管理などが、訪問看護で必要とされる医療スキルです。また、点滴や採血などを行うことも多いため、採血やルート確保の経験も積んでおいたほうが良いでしょう。点滴や採血を多く経験しておくことでスキルが上がり自信もつくため、訪問看護の際にもろい血管の患者相手に採血や点滴を行う時でも苦手意識を感じにくくなります。

また、常に時間に追われている訪問看護の現場では、ケアを迅速かつ丁寧に行うことも求められます。病棟とは違って、在宅看護は設備が整っていない場所での医療行為なので、そのような環境でも働ける応用力やひとりで動ける判断力も必要です。

そのほか、利用者や家族の信頼を得られるような対応をしたり、エビデンスに基づく処置の必要性を説明したりするコミュニケーション能力も必要です。医師やケアマネジャー、ホームヘルパー、理学療法士などのほかの職種の人たちとうまく連携する力も求められます。

訪問看護師に「向いている人」

何よりも、訪問看護師に求められる能力は高いケア力です。

例えば、清拭やおむつ交換、食事の介助がうまく、どんな相手でも短時間できれいにできる人は訪問看護師に向いています。ほかは、傾聴力のある人や相手に合わせて対応できる人、一般的なマナーを身につけていて丁寧な対応ができる人、能動的に臨機応変な対応ができる人、事前にリスクを予測して最小限にとどめることのできる人なども向いています。

ただし、これらの能力は経験を積めば身につくことが多いので、そういう意味でもある程度経験を積んだ看護師が訪問看護師に向いているといえます。

訪問看護師に「向いていない人」

訪問看護師は短時間で丁寧な仕事をしなければいけないので、おしゃべり好きで気が散りやすい人には向いていません。

また、ケアを通してしっかり患者と向き合い、信頼関係を築いていく看護が好きな人は向いていますが、どちらかというと効率的に医療処置を行うことが好きな人には物足りなく感じるかもしれません。

潔癖症な人も訪問看護には向いていないと言われています。利用者の自宅や家族はさまざまで、清潔とはいい難い環境で暮らしている人もいるからです。

段取りが悪い、処置やケアに時間がかかるなどの理由から「私、訪問看護師に向いていないかも」の感じる方もいるかもしれませんが、これは経験値によって克服可能でしょう。決して、向いていないわけではありません。

訪問看護師の給料

訪問看護師に転職を考える人にとって、気になるのが給料ですよね。実際のところはどうなのでしょうか。

訪問看護師と一般看護師「給料相場、平均給与を比較」

厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査「職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」によると、看護師の月給は事業規模によりばらつきはあるものの、手当込みで平均31万~34万円が相場といわれています。

一方、看護師専門の求人サイトで、訪問看護師(正看護師)で正職員の求人を検索すると、手当込みで月給は25万~37万円程度と幅のある金額で提示されています。

訪問看護師も経験年数や地域によってばらつきは出てしまうのですが、前述したように、どこの事業所でも訪問看護師の確保に苦労をしています。そのため、最近は病院と同等もしくはそれ以上の月給で求人を出しているところが増えています。一方で、以前と同じ低い給与体系のまま求人を出しているところもあり、それが混在している状況かもしれません。

また、給与体系に地域格差の少ない病院看護師に比べ、訪問看護師の給与は首都圏や大都市と地方とでは、大きな格差がうまれています。そのため、相場月給の幅が大きくなっているといえるでしょう。

参考サイト:日本看護協会「訪問看護の伸び悩みに関するデータ」

訪問看護師「平均年収を比較」

厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査「職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」によると、看護師の平均年収は事業規模によりばらつきはあるものの、手当込みで平均440万~510万円が相場です。

一方、看護師専門の求人サイトで、訪問看護師(正看護師)で正職員の求人を検索すると、手当込みで年収は360万~600万円程度となります。こちらも前述したように、病院と同等の年収で人材確保をしようとする求人と、以前の低い給与体系のままの求人が混在していること、都市部と地方とでは給与格差が生まれていることなどから、訪問看護師の年収相場の幅が約240万円にも広がっているのでしょう。

オンコール、残業代、夜間・休日出動…各種手当

オンコール手当は平日1日当たり1000~1500円が一般的ですが、事業所によっては土日祝日は2500円にするなど加算するところもあります。緊急訪問についても2000~5000円など手当てがつく事業所があります。

残業代に関しては、月何時間までは見込み残業として固定残業代を支払い、超過分を順次加算する方式が多いようです(例:月30時間分の固定残業代が37500円など)。また、訪問件数に応じて手当を加算する事業所もあります。ほか、役職手当や住宅手当、交通費などの支給もあります。

訪問看護師のキャリアアップ・スキルアップ

訪問看護師を続けながらキャリアアップやスキルアップを目指すのは可能でしょうか。取得できる資格などについて説明します。

訪問看護師のキャリアアップ

訪問看護師がキャリアアップする道として多いのが、その訪問看護ステーションの長になる、もしくは新しくできた訪問看護ステーションの所長に就任するというケースです。

もしくは、地域連携室長や地域包括支援センター長、地域包括病棟師長、介護療養院の看護部長、介護施設の施設長などになる人もいるようです。

スキルアップできる資格

訪問看護師は、スキルアップのためにケアマネジャーの資格をとることが多いです。こちらは先ほども述べましたが、受験資格として看護師として通算5年以上かつ900日以上の経験が必要です。

患者や家族の心に寄り添うために、心理カウンセラーの資格を取る看護師も多いようです。心理カウンセラーの資格にはさまざまな種類がありますが、特に受験資格はありません。

社会福祉系の仕事に興味があるのなら、国家資格の社会福祉士の資格もおすすめです。こちらは受験するのに決められた機関で学んだり、実務経験が必要だったりします。

また、認知症の患者と接するための知識を得るために認知症ケア専門士の資格を取るのも訪問看護師の仕事に役立つはずです。

参考サイト:
ブラッシュアップ学び「心理カウンセラーになるには」
社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験」
認知症ケア専門士公式サイト「認知症ケア専門士」

訪問看護に役立つ「研修・セミナー」

日本訪問看護財団では訪問看護師向けの研修を行っており、訪問看護の基本をはじめ、子どもや精神障がい者に特化した訪問看護のポイント、リンパマッサージなど、多彩なプログラムが用意されています。

また、患者やその家族のケアのために、精神科の研修を受講するのもおすすめです。

訪問看護師「転職先の選び方」

訪問看護師とひとくちに言っても、就職する事業所によって給料や手当のつき方、働き方などが大きく違ってきます。求人票ではどのようなポイントをチェックすればよいのでしょうか。

事業所によって全く違う「訪問看護」

老人訪問看護ステーションは老人保健法などの法改正を受けて設置が始まってからまだ20年余りで、、業界全体がまだこれから発展していく途上の状態です。事業所の規模もやり方も大きく違いますし、教育体制が整っているところとそうではないところの差も大きいようです。また、利用者へのサービス内容や訪問エリア、訪問体制なども事業所によって違います。

参考サイト
障害保健福祉研究情報システム「老人訪問看護ステーション」

事業所によって違う点1:運営の主体

訪問看護ステーションとひとくちに言っても、運営の主体はさまざまで、医療法人や社会福祉法人、民間企業などがあります。

訪問看護の事業所の多くは医療法人によって運営されています。常駐の医師がいる関係上、24時間365日対応をしているところが多く、所属する看護師は異動で系列の病院で勤務することもあります。

社会福祉法人が運営する訪問看護の事業所は、介護施設が主体となっています。医療法人が母体のところとは違い、常駐医師がいないなどの理由で、24時間365日の対応をうたっているところはあまり多くありません。

医療法人や社会福祉法人が運営する訪問看護の事業所は、運営母体が変わる、業績に左右されるといったことが少ないのがメリットです。

一方で、民間の会社組織では、 クリニックやデイサービス、リハビリ施設がグループ内にあるところもあり、それぞれの施設で働くスタッフ同士の交流があるようです。

ただし、国が診療報酬や介護報酬などの方針を変換すると業績が上下するため、そのたびに運営方針が変わり、現場の訪問看護師や介護スタッフにそのしわ寄せがいくことも。事業所の運営会社自体が変わることもあり、その場合もガラリと運営方針や給与体系が変わることがあるようです。

事業所によって違う点2:提供しているサービス

事業所によってリハビリに力を入れていたり、重症患者をみたりするかで、仕事内容は変わってきます。軽症の利用者であればケアとバイタルチェックが業務の大半になるのでしょうが、重症だと医療行為も必要となってきます。

オンコール対応も事業所によってさまざまです。医療法人が母体になっている事業所では、契約者全員にオンコール対応をしているところが多いです。しかし、民間会社などが母体だと、オンコール対応には別料金が必要となる事業所もあります。

たとえば、運営母体が民間会社で、その会社がリハビリ施設も経営しているのであれば、訪問看護でもリハビリを受けられることもあります。

勤務形態がシフト制か担当制かでも提供サービスは変わります。担当制だといつも同じ看護師から患者は医療やケアを受けられるメリットがありますが、看護師側から見れば、患者の担当が自分だけということで責任が負担になることも。

ただし、ひとりの患者としっかりと信頼関係を築いて看護したいという人には担当制はぴったりです。

また、事業所によって、必ず医師が同行する場合もありますし、看護師が2人で訪問する体制のところもあります。

なお、同じ運営母体でも、所長の考え方によって事業所ごとのサービスが違うこともあります。ですから、サービスは本当に事業所ごとにさまざまであると考えておいた方がよいでしょう。

事業所によって違う点3:規模・範囲

看護師が3人未満の小さな事業所もあれば、10人以上の大きい事業所もあります。ただ、日本看護協会の「訪問看護事業所数の減少要因の分析及び対応策のあり方に関する調査研究事業 2009年3月」によると、看護師の数が3人以上5人未満の事業所が約半数を占め、3人未満の小規模な事業所の割合が14%で、10人以上の大規模な事業所は5%となっています。基本的には小規模な事業所が過半数だと考ておいた方がよいでしょう。

また、訪問エリアも事業所によってまちまちです。おもに都市部ではエリアの範囲が狭いのですが、地方になると車が必要なほど広いです。地方の訪問エリアの広い事業所であれば、転職にあたって自動車免許も必要だと考えておいた方がよいでしょう。その一方で、都市部では車や原付ではなく、維持費や保険費を抑えられ小回りがきく自転車で訪問するのが定番です。

事業所によって違う点4:訪問件数・手段

事業所が定めている訪問エリアとも関係しますが、利用者の家が事業所と近く、自転車で1日何件も訪問することもあれば、片道を車で1時間かけて訪問しなければいけないようなエリアでは1日に訪問できる件数は2~3件ということもあります。

事業所によっては「訪問は1日6件」など訪問件数や売り上げがノルマとして課されているケースもあります。

事業所によって違う点5:教育体制

多くのところが2週間程度の研修期間を設けているようです。

例えば、ひとりで訪問看護をする体制の事業所では、最初の1週間はサブ担当として先輩の看護師に同行し、次の1週間では自分がメイン担当として実際に患者の看護を行って同行の職員にフィードバックをもらいます。そして3週目からはひとり立ちとなり、さまざまなことを経験しながら仕事を覚えていきます。

上記の2週間の研修とは別に、ほかの看護師の訪問看護を「見るだけ」の研修を3日~1週間もうけているところもあるようです。

訪問看護師「求人の探し方」

訪問看護師に転職したい場合、どこでどうやって求人情報を探せばいいのでしょうか?

公的な職業紹介サイトを利用するか、民間の転職サイトを利用するか

求人情報を探せる場所として、公的機関のものは以下の2つが挙げられるでしょう。

ブランクがあり医療行為に自信がないなどの看護師に向いている求人サイトといえるでしょう。ただし、どちらのサイトも使い勝手が悪く、掲載の求人数もあまり多くないようです。

一方、民間の転職サイトについては、さまざまなものがあり、求人件数の多さも魅力のひとつです。あらかじめ自分の情報を登録しておけばマッチングする情報を検索でき、キャリアアドバイザーから求人の紹介や転職活動のフォローなども受けられます。

ただし、中には訪問看護師の求人があまり掲載されていない転職サイトもあるので、複数を比較して、訪問看護師の求人が多く、なおかつ希望勤務地に強い転職サイトに登録しましょう。

サポートの手厚さもサイトによって大きく違います。登録するとたくさんの連絡が来て仕事の合間に対応するのが大変だったり、その反対にまったく連絡が来なかったりすることもあります。そして、希望と違う求人案件を紹介されたりすることも。メリットとデメリットをよく知って、自分に合うサイトを見つけて上手に活用してみましょう。

おすすめの訪問看護師転職サイト ベスト5

ココナスで人気の高い訪問看護師転職サイトは次の5つです。

看護roo!

求人の質・量ともに、常にトップクラスの「看護roo!」。条件を伝えるだけで、ぴったり合った求人情報を的確に提案してくれるキャリアアドバイザーの質の高さにも定評があります。

ただし、対応している地域が首都圏・東海・関西のみと限定されているため、それ以外の地域の求人は保有していないというデメリットがあります。

レバウェル看護(旧 看護のお仕事)

公開求人数の多さと、キャリアアドバイザーのサポート力と交渉力が魅力の転職サイト。看護師業界を知りぬいたキャリアアドバイザーが、ていねいかつ細やかに対応してくれるので、初めて転職する看護師の強い味方となってくれるでしょう。

また、自分からは言い出しにくい給与や勤務条件の交渉なども、キャリアアドバイザーが粘り強く行ってくれるので、不安が残ったまま新しい職場へ…といった心配がありません。

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全国対応でありながら、各エリアの専属担当者がいる「ナースではたらこ」。求人票だけではわからない内部情報なども提供してもらえる利点があります。

また、キャリアアドバイザーのていねいかつ親身な対応が評判で、勤務しながら求職活動をする忙しい看護師に臨機応変にサポート。そのため、メールや電話は回数を絞り、短くかつスピーディーで的確な内容のため、業務の邪魔にならず助かったという声も聞かれます。

マイナビ看護師

転職サイト大手のマイナビが運営する看護師専門転職サイト「マイナビ看護師」。対応エリアが全国で、相談会場も北海道から鹿児島まで21カ所もあり、対面で相談しながら転職活動をしたいという方に最適です。

ただし、「担当者が細やかに対応してくれた」という声がある一方で「希望と違う求人をすすめられた」「かかってくる電話が多く困った」の口コミもあり、キャリアアドバイザーの当たり外れがあることも。

ナース人材バンク

「ナース人材バンク」の特徴として、さまざまな経歴・条件の看護師に対応した転職サポートをしてくれる点です。例えば、とにかく高収入、育児・介護のため時短勤務希望、離職期間が長いブランク看護師など、それぞれの状況や条件、スキルに合った求人情報を提供してもらえます。また、病院だけに限らず、介護施設や訪問看護ステーションへの求人にも力を入れており、求人数が多いところも魅力のひとつです。

まとめ

訪問看護師は病院で働くのとは勤務形態も仕事内容も違います。

夜勤はなく、平日の日中のみ働けばよいところがほとんどですが、オンコールの対応はあります。自分のペースで仕事が進められ、一人ひとりの患者さんとしっかり向き合えることに喜びを感じられる人は、訪問看護師はおすすめの転職といえるでしょう。

ただし、サービスの内容や訪問の件数・範囲、訪問形態、給料などは事業所によって大きく違うので、よく調べてから就職先を決めたほうがよいでしょう。

※ランキング評価の詳細は看護師転職サイトおすすめランキングの記事で紹介しています。

※ページ内の求人数は職種別に集計しています。