アナフィラキシーショックへの対応

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1.アナフィラキシーショックとは

薬物・異種蛋白などの特定アレルゲンによって、Ⅰ型アレルギー反応が生じた結果、血管透過性亢進などの作用をもつヒスタミン・ロイコトリエンなど(ケミカルメディエーター)が遊離し、呼吸困難などを伴うショック症状などを呈する病態である。

発症後、3時間以内がピークであるが、二相性に遅発反応が生じる場合もある。 重症例では、数分のうちに意識消失、死に至る。

2.誘因

  • ①抗生剤(ペニシリン・セフェム系)などの薬剤服用
  • 薬に含まれる成分やそれによって出来た代謝物がアレルゲンとなる。薬物アレルギーの多くが、ペニシリンなどの抗生物質、アスピリンなどの消炎鎮痛剤や、造影剤などに含まれる成分が原因でショック症状を引き起こす。

  • ②ハチ毒
  • 1回目に刺された後に、ハチ毒に対して体内でIgE抗体を生成する。そして2回目以降刺された際に、この抗体が異常に反応した時にアナフィラキシーショックが引き起こされる。しかし、ハチ毒にはヒスタミン・セロトニンなどが含まれるため、初めて刺された場合でも直接作用によりアナフィラキシーショックに陥ることがある。

    ※上記①②は、特定アレルゲンへの感作(生体に特定の抗原を与え、同じ抗原の再刺激に感じやすい状態にすること)と再度のアレルゲン曝露による誘発という2段階を経て発症する。

  • ③食
  • ある特定の成分が入った食物を摂取した場合に、その成分に対し自身の免疫が過剰に反応して起こるもの。代表的な食物は、卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツ、甲殻類など。発症した場合に重症度が高いものが、そばと落花生である。

3.症状(数分~15分程度で発症)

自覚症状 他覚症状
全身症状 不安感、無力感 冷汗
循環器症状 動悸、胸内苦悶 血圧低下、脈拍減弱、頻脈、チアノーゼ
呼吸器症状 鼻閉、喉頭狭窄感、絞扼感 くしゃみ、咳、喘鳴、呼吸困難、チアノーゼ
消化器症状 悪心、腹痛、腹鳴、便意、口内異物感 嘔吐、下痢、便・尿失禁
粘膜・皮膚 皮膚掻痒感 皮膚蒼白、皮膚紅潮、蕁麻疹、眼瞼浮腫、口腔内浮腫、舌腫脹
神経症状 口唇部しびれ、四肢末端しびれ、耳鳴り、めまい けいれん、意識障害

例)投与薬剤に対してアレルギーがある場合

薬剤が投与されると、体内のマスト細胞がヒスタミンなどを放出する。これが気管支や血管に作用し、アレルギー症状が出現する。

初期症状で終わる場合も多いが、重症例では、咽頭浮腫・気管支けいれんによる呼吸困難、血管拡張・透過性亢進による血圧低下、頻脈、意識レベル低下などの症状が出現する。

4.対応

※まずは、原因薬剤などを中止する

軽症

アレルギー反応はあるが、血圧低下や意識障害、呼吸困難などの症状がない場合

  • バイタルサイン、全身観察
  • 補液
  • 抗アレルギー薬、副腎皮質ステロイド薬投与
  • 酸素投与、アドレナリン投与(必要時)
  • ショック時に備えて静脈血管ライン確保と応急処置の準備
  • (輸液や救急薬品の準備、酸素吸入・痰吸引セット、挿管セット、心電図モニターなど)

中等~重症

  • 中等症:血圧低下と呼吸困難が軽度みられる場合
  • 重症:血圧低下、意識障害、呼吸困難がみられる場合

呼吸管理(気道確保、人工呼吸器装着、酸素吸入、痰吸引、挿管、気管切開)

循環器管理(補液とカテコラミン、ステロイド、抗ヒスタミンなどの救急薬品投与)

対応・治療の順序

①素早くABC(気道確保、呼吸、循環)を最優先に確認し、静脈ライン確保、酸素投与、モニター管理を行い治療に移る。呼吸管理・循環管理も同時に行う。

  • 気道確保⇒口頭浮腫による気道閉塞に対して
  • 酸素投与、人工呼吸⇒気管支けいれんに対して
  • 血圧の確保⇒下肢拳上
  • 輸液⇒循環血液量の確保

②最優先の治療

  • 第一選択としてエピネフリン投与(筋肉注射)が最も重要である。
  • アナフィラキシーは、組織や血管の透過性亢進し、全身性の浮腫が出現する。それをおさえるためにアドレナリンが投与される。

※エピネフリン(アドレナリン)0.3~0.5mgの筋肉注射を施行 筋肉注射のほうがより早くアドレナリンの血中濃度が上がる

※アナフィラキシーの進行は非常に早いため、迅速な初期対応や診断が必要 いかに早くアドレナリンを投与できるかが重要(口頭浮腫や低血圧の進行を認めてからでは遅い)であり、後に回れば効果が減少する

③輸液(細胞外液)投与

  • アドレナリンが効力を発揮する前に血管内ボリュームが組織へ漏出しているので、それを補うために細胞外液を補充する。

④抗ヒスタミン剤の投与

  • H1拮抗薬、H1拮抗薬の併用により、蕁麻疹、腹痛、かゆみなどのヒスタミン関連の症状のコントロールに有効。

⑤ステロイド薬の投与

  • アナフィラキシーにまれにみられる二相性に怒る遅延性反応を防ぐ。

⑥初期治療後の経過観察

  • 継続して全身管理を行う。モニター下において、異常の早期発見を見逃さない。

⑦退院時に患者への指示

  • IgE-RASTなどの検査で詳細なアレルギー検査を行い、本人・周囲ともに把握しておくことが必要。また、蜂に刺されたときは、次に刺されたときのアレルギー反応が重篤となる。これらの説明も行っておくと良い。

5.医師の治療を受けるまでの応急処置

エピペンの使用:アナフィラキシー症状が出現した時に、症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤(アドレナリン自己注射薬)

小児のアナフィラキシー症状に対応するため、学校や保育園などの教員にトレーニングが 勧められている。

エピペン注射のタイミングは、過去の症状発現の有無、初期症状などが参考となる。処方医師の説明を聞き、対応する。

 
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