【輸血時の手順と観察のポイント】

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1.目的

血液成分の欠乏・機能不全により臨床上問題となる症状が出現したとき、血液を補充することで不足した成分・機能を補う。

2.血液製剤の種類

  • ①全血製剤

    血液成分をすべて含んだもの

  • ②成分製剤

    血液を遠心分離して成分ごとに分けたもの

  • ③血症分画製剤

    血症から特定の血漿蛋白を分離・精製したもの

※現在では成分製剤・血漿分画製剤により、目的の成分のみを輸血することが推奨されている。それにより目的以外の成分による副作用を防ぐことができる。

3.成分製剤の種類

①赤血球製剤(赤血球濃厚液:RCC-LR)

目的末梢循環系へ不足している酸素供給、循環血液量の維持
適応急性出血、貧血
保存2~6℃、採血後21日間有効
注意点赤血球輸血セットを使用
加温せずそのまま使用するが、急速大量輸血時には体温低下を予防するため専用加温器(37℃)を使用

②血小板製剤(照射濃厚血小板:PC-LR)

目的止血、出血予防
適応血小板減少・機能異常
保存20~24℃にて振とうさせながら保存、採血後4日間有効
注意点血小板輸血セットを使用、受け取り後、すぐに使用
バッグを通して酸素を取り込んでいるため、全体に行き渡らせるために振とうさせる

③血漿製剤(新鮮凍結血漿:FFP-LR)

目的血漿成分・凝固因子を補充し、出血傾向を是正する
適応凝固因子異常を伴う疾患
保存-20℃以下で保存、採血後1年間有効
注意点赤血球輸血セットを使用
30~37℃で急速に融解し、3時間以内に使用

4.輸血の準備・必要物品(医療機関により異なる)

血液製剤のオーダー

  • 輸血オーダー書類
  • 輸血に関する説明文書、同意書などの書類(患者さん用・カルテ保存用)

    法的書類であり、5年間の保存が義務づけられている

  • 採血用物品

血液製剤の払い出し

  • オーダー書類の控え
  • クロスマッチの検査結果
  • 血液型検査結果
  • 血液製剤を運搬するケース(保存温度によって保冷剤を入れていく)
  • カルテ

輸血セットの接続

  • 血液製剤
  • オーダー書類、クロスマッチ・血液型検査結果
  • カルテ
  • 手袋
  • 輸血セット
  • 赤血球輸血セットと血小板輸血セットがあるので、適したものを使用する。

    赤血球輸血セットには、濾過筒があり血液製剤の凝集塊を濾過している。

    血小板輸血セットには、末端のゴム管に濾過機能がついている。

    ※血小板輸血セットのほうが、濾過に用いるメッシュの目が細かく内径が小さい

  • トレイ

5.輸血準備の手順

①医師が患者さん・家族に輸血の必要性やリスクの説明をする

②同意書に患者さんのサインをもらう

③医師が患者さんの血液型を確認し、輸血オーダーを行う

血液型が分かっていない場合は、採血を行い血液型判定することが必要

④本人確認後、交差適合試験(クロスマッチ)用採血を行い検体を提出する

※クロスマッチ

  • 患者血と輸血用血液製剤の適合性(輸血が可能かどうか)を調べる
  • 主試験:患者血清×輸血製剤の血球
  • 副試験:患者血球×輸血製剤の血清
  • 両試験の反応が陰性ではじめて輸血可能となる

⑤輸血部からクロスマッチ終了・準備完了の連絡がくる

※クロスマッチ結果報告書が送られてくる場合もある

⑥必要物品を持ち、受け取りに行く

⑦輸血部スタッフと、ダブルチェックを行う

不適合輸血を防ぐために徹底したダブルチェックが行われる

※チェック項目

  • 患者氏名、IDNO.
  • 血液型
  • クロスマッチ検査結果、不規則抗体の有無
  • 血液製剤名
  • 血液製造番号
  • 単位数(数量)
  • 有効期限

⑧病棟に持ち帰る

血液製剤は、種類によって保存方法が異なる

  • 赤血球製剤:2~6℃、保冷剤を入れて運搬し、製剤が直接触れないようにする
  • 血小板製剤:20~24℃、常温で運搬
  • 血漿製剤:-20℃、保冷剤を入れて運搬、衝撃を与えないようにする

⑨医師とダブルチェックを行う(2回目)

チェック項目は上記参照

※輸血を受け取りに行く際に、医師に連絡しておき病棟で待機してもらうとスムーズ
※輸血をどのくらいの時間で投与するかを確認しておくと良い

⑩看護師とダブルチェックを行う(3回目)

※ダブルチェックについては、医療機関によって多少異なる

⑪手袋を装着し、血液製剤を混和する

目詰まりを防ぐためにバッグの口をもみほぐし、静かに上下左右に振って混和させる

※血液製剤の外観に破損、色調の変化などを確認する

⑫輸血セットを準備する

輸血セットを開封し、クレンメを閉じる

※クレンメを開いておくと、血液バッグを接続した際に流れ出てしまう

⑬血液製剤(バッグ)を開封する

2つある口のどちらか一方を開封する

※切り取るタイプ、ねじ切るタイプの2つがある

⑭血液バッグと輸血セットを接続する

輸血セットのキャップを外し、まわしながら輸血口にまっすぐ根元まで刺す

※斜めに差し込むとバッグが破損することがある
※点滴スタンドにかけて行わず、平らにして行うと血液が漏れ出ることがない

⑮ルート内を血液で満たす

漏れがなく接続できたことを確認し、点滴スタンドに吊り下げる

クレンメを閉じた状態で、ポンピングを行い濾過筒内を十分に満たす

点滴筒内を半分程度満たし、クレンメを開きルートの先端まで満たす

※膿盆やトレーなどの上で行うと良い

⑯トレーに入れて準備する

6.輸血実施の必要物品

  • 準備した血液製剤
  • ダブルチェック用の書類、カルテ
  • 手袋
  • 駆血帯
  • アルコール綿
  • 留置針(18~20G)
  • 生食を満たした延長チューブ(シリンジ接続したまま)
  • ドレッシング材
  • 固定用テープ
  • 点滴スタンド
  • ダブルチェックに必要な書類
  • バイタルチェックに必要な物品

7.輸血実施の手順

①患者さんに輸血を開始することを説明する

所要時間、使用する血液製剤などを説明する

②看護師とダブルチェックを行う(4回目)

ダブルチェックに必要な書類を用いて、患者さんの血液型バンド(ネームバンド)を確認する ※血液型検査結果で血液型ネームバンドをつけおく

③バイタルサイン測定を行う

輸血後の副作用の早期発見のために、輸血前の患者さんの状態を把握する

④ルート確保を行う

留置針穿刺を行い、延長ルートを接続する

シリンジで生食を流し、痛み・腫れ・抵抗がないこと確認する

テープにて固定する

※輸血時は溶血を防ぐため太めの留置針を選択する
※延長ルートに三方活栓を接続しておくと副作用が出現したときなどに、側管から輸液投与ができる。

⑤輸液セットを接続する

血液で満たした輸血セットと延長ルートを接続する

※輸血ルートは基本的に単独ルートで使用する

しかし、ルート確保が難しい患者さんなどは、すでに輸液投与されているルートから血液製剤を流すことは可能。しかし、輸液製剤と血液製剤を混ぜることで、凝固や溶血などが生じることがある。そのため、輸液を中断し、三方活栓でオフにする。側管に生食をフラッシュし、輸血ルートを接続する。

⑥滴下する

クレンメを開放し、1ml/分の速度で開始する ※開始直後は重篤な副作用が起こりやすいため、慎重に行う

⑦開始から5分間は、患者さんのそばを離れず副作用出現の有無を観察する

バイタルサインや全身状態の観察を行い、記録する

⑧15分後、バイタルサイン測定を行う

医師の指示通りの所要時間に合わせ、滴下速度を調整する

⑨30分間隔で患者さんの状態を観察する

8.輸血中の副作用、観察ポイント

輸血直後から副作用が出現する可能性があるため、注意して観察を行う

血圧低下、変動の有無、呼吸困難、意識障害、赤褐色尿、発熱、悪寒、戦慄、熱感、ほてり、掻痒感、かゆみ、発赤、顔面紅潮、発疹、じんましん、嘔吐、嘔気、胸痛、腹痛、腰背部痛、頭痛、頭重感、血管痛、動悸、頻脈、血圧上昇

※これらの症状出現の際には、輸血を中止して医師へ連絡する
輸血セットを交換し、輸液を開始するなど医師に指示に従い処置を行う
また、ルート内の血液が輸液に押されて体内に入ってしまうので、血液を吸引してから開始すると良い

※使用した製剤は捨てずに冷蔵庫で保管しておく(原因追及のため)

①ABO不適合輸血

血液製剤や患者取り違えなどの人為的ミスが原因である。患者さんの血液型を異なる赤血球が輸血されることで、血液中の抗体に反応して破壊される。

輸血直後から始まり、重篤になるとショック、DIC、腎不全に至ることもある。

副作用出現時には、すぐに輸血を中止し医師へ報告する。

症状
急性開始直後から
遅発性輸血後24時間~数日経過
  • 発熱、悪寒、
  • 腹痛、胸痛
  • 穿刺部位の熱感、疼痛
  • ヘモグロビン尿
  • 体液貯留
  • 浮腫
  • 息切れなど

②アナフィラキシーショック

アレルギー反応により、輸血後10分以内に発症

症状
  • チアノーゼ
  • 皮膚の高潮
  • 血管浮腫
  • 喘息様症状
  • 腹痛
  • 頻脈
  • 血圧低下など

③細菌感染症

細菌汚染血による菌血症、エンドトキシンショック

④輸血関連急性肺障害(TRALI)

輸血後6時間以内(多くは1~2時間以内)に出現する、非心原性の肺水腫を伴った呼吸困難を呈する障害。心不全との鑑別が必要で、利尿薬使用は症状を悪化させるので注意。

症状
  • 低酸素症
  • 両側肺水腫
  • 血圧低下など

⑤輸血関連循環過負荷(TACO)

急速・大量輸血により、輸血後6時間以内を目安に心不全となり、頻脈・肺水腫を引き起こす。

⑥輸血後移植片対宿主症

輸血後7~14日頃に発症する遅発性の副作用

症状
  • 発熱
  • 紅斑
  • 下痢
  • 肝機能障害
  • 汎血球減少症
 

⑦輸血後ウイルス感染

数か月後に発症する副作用

  • ・B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIV、HTLVなどがある

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